やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに

 歯科衛生士の皆さん,こんにちは.
 毎日元気一杯で,歯科診療補助に予防・保健指導にと,頑張っていらっしゃることと思います.
 さて,前回出した『歯科衛生士のための歯周病治療ブック』は,お役に立っていたでしょうか.
 埃を被っていた本もあったかもしれませんが,多くの歯科衛生士さんの目に触れていたようで,励ましのお手紙などをたくさん頂戴しました.
 この場をかりて「ありがとう!」
 さて,月日の経つのは早いものです.
 遠い昔,P-I型歯周治療の流れに慣れて[GOOD状態]で,張り切って診療に取り組んでいた私たちも,平成8年,12年,14年4月の社会保険診療報酬のたび重なる改定で,また新しい体験をしています.
 何事も,初めてはドキドキするものです.
 どこの診療室でも,みんなとワイワイ・ガヤガヤしながら,この歯周病の新治療システムに取り組んでいるところでしょう.
 あなたの歯科医院ではどうですか?
 もし,
 「勤務先に歯科衛生士が一人しかいないの」と,
 不安一杯の方がいらしたら……
 「今までだって,歯周治療を一生懸命にしていたわけじゃないから」と,
 困っていらっしゃったら……
 一人で理解するには,時間もかかるし手間もかかる……
 どうでしょう,一緒にやってみませんか?
 一番最初の取っ掛かりさえうまくいけば,歯周病の治療もスムーズにおこなえます.
 『気楽に学んで楽しく理解』
 さあ,リラックスして最初のページを開いてみましょう.

おわりに

 歯科衛生士は毎日が勉強です.
 でも,最初から難しいことにチャレンジしても長続きしにくいですよね.だからこの本は最初のきっかけとしてお使いください.読んでいるうちに,「もっと知りたい」って,他の本をめくりたくなってくるはずです.
 さて,臨床での患者さんとの出会いはいつでも新鮮で,ここで「考えて行動する」という経験を通して私たちは成長し,「意識や技術」が職場で受け継がれています.しかし,勤務年数が短い歯科衛生士の現状では,伝えられていくものが十分とは言えません.
 だからこのたびは,先輩歯科衛生士から若い歯科衛生士さんへのアドバイスとして,チョットした臨床でのコツを加えることにしました.
 学問的ではないけれど,そこがこの本のポイントになっています.
 さて,私にとってのこの本の作成は,毎日を反省する良い機会となりましたが,保険改正という新しい情報を組み込んでいく作業はとても大変で,途中で何度もくじけそうになりました.でも私の周りには,いつでも手をさしのべてくださる暖かい環境があります.
 落ち込んでいる私を,いつも励まし続けてくださる広島口腔保健センターのスタッフの皆さん.同じ立場の歯科衛生士として,良きアドバイスをたくさんくださった親友の人見早苗さん,ビックティパーの仲間たち.そして今回も楽しいイラストを描いてくれた弟の真砂武さん.
 皆さん,本当にありがとう.
 また,飴と鞭の絶妙コンビで私を引っ張ってくださった医歯薬出版の水島さんと鈴木さん,大変お世話になりました.お二人が担当でなかったら,きっと私は途中でへばってしまい,この本は幻と消えていたと思います.
 そして…,歯科衛生士として「仕事のやり甲斐」を心底教えてくださった,たくさんの患者さん.感謝の気持ちで一杯です.
 私の周りにいる皆さんに「ありがとう」の気持ちを込めて,この本を送ります.
 また,何かの機会にお会いしましょう.
 その時,この本との出会いがお役に立っていれば幸いです.
 それではまた…
 最後に,このたびの本の作成に当たっては「歯科衛生士の立場で書く」というチャンスをくださいました広島県歯科医師会松島悌二会長,監修していただきました先生方に厚く御礼申し上げます. 平成8年10月
 平成12年度は,保険の大きな改正がありました.
 それは,介護保険の導入です.私たちは,歯科関係者だけでなく,保険・医療・福祉分野の方々と出会いました.他の職種との連携による新しいしくみは,医療保険にも影響があり,現場の混乱が生じましたが,秋を迎える今,ずい分とその状況は落ちついてきています.
 また,患者さんとの永いお付き合いを意識する「かかりつけ歯科医」の制度が4月から始まりました.歯科衛生士としての役割は,ますます重要になってくるでしょう.
 この度の本の改訂は,この二つのことを組み込むために行いました.
 どうか,時代の流れに,乗って下さい.皆さんの活躍を,お祈りしております.
 第2版の作成にあたり,御指導下さいました,広島県歯科医師会本山栄荘会長をはじめとする諸先生方に,厚く御礼申し上げます.
 平成12年10月
 小原啓子

 平成14年度の保険改正は,大変厳しいものと言われています.
 しかし,「かかりつけ歯科医」の役割は重くなり,そのしくみの中で歯科衛生士として毎日の治療に取りくまなければならなくなりました.
 本物だけが生き残れる.そんな時代となっています.
 歯科衛生士として,保険のしくみも理解しながら毎日仕事をしてみましょう.
 歯科医療スタッフの一員として,新しい事が見えてくるはずです.
 この度も,御指導下さいました多くの方々に深く感謝申し上げます.
 平成14年4月
 小原啓子
 はじめに

A 患者さんと一緒に確認
 A 歯周病ってなに?
  A1 チェックしましょう,口の中 思い出しましょ,基礎の基礎
  A2 どうして歯周病になるの?
  A3 人によっても違います歯周病の種類
  A4 患者さんと歯科医院はお友達 どう答えましょうこんな時
B 歯周病を治療しましょう
 B 歯周治療ってなに?
  B1 ズッキズキ……痛む所に応急処置
  B2 最初にしましょう,まず検査歯周基本検査 (1)か歯周精密検査 (1)
   (1)ポケットの深さを測る(EPP・プロービング)
   (2)歯が動いていないか調べる(動揺度検査)
   (3)プラーク付着状態の検査
   (4)歯肉からの出血を見る(BOP)
   (5)咬合を調べる
   (6)歯と歯のスキ間を調べる(歯間離開度検査)
   (7)根分岐部の診査
   (8)プラークが増える環境チェック
   (9)その他
  B3 検査時に一緒に準備この資料
   (1)X線写真
   (2)顎模型(スタディモデル)= 模
   (3)口腔内カラー写真
   一人で撮影するときのコツ
   (1)まず用意しましょう
   (2)さて,患者さんのセッティングは?
   (3)口角鉤は誰が持つの?
   (4)撮るときのポイントは?
   (5)カメラはどう持つの?
   (6)まずどうぞパチ
   (7)ミラーはどうするの?
   (8)他の部位も撮りたーい!
   (9)一人でできるかしら
   (10)口腔内写真はミラーが命
  B4 検査の結果で診断・治療計画
  B5 患者さんにしっかり説明病状とこれからの治療
  B6 歯周基本治療の始まり始まり(イニシャルプレパレーション)
  B6-1 毎月やりましょ患者さんへの継続指導・管理
   (1)こんな指導があります,知っておこう!歯周疾患指導管理
   (2)輝く歯科衛生士の役割歯科衛生実地指導(実地指)
  B6-2 お口の中の環境改善まずはプラークコントロール
    患者さんに説明するときのすぐれ物グッズ
    歯磨剤は,なにがいいの? 質問に
  B6-3 お口の中の環境改善さらにスケーリング
  B6-4 効果がでたかな? 歯周基本検査 (2)か歯周精密検査 (2)
    ■重度の歯周病,あきらめないで治療してみましょう
  B6-5 本格的な治療です スケーリング・ルートプレーニングと歯周ポケット掻爬
   (1)スケーリング・ルートプレーニング(SRP)
   (2)歯周ポケット掻爬(PCur)
   見ただけでわかる 歯科衛生士の腕
    ■ルートプレーニング応用編(ポジション)
    治療中におきましたこんなトラブル私達はこうしています.Part 1
    治療中におきましたこんなトラブル私達はこうしています.Part 2
  B6-6 咬める喜び感じるためのお手伝い咬合治療
   (1)咬合調整と歯冠形態修正
   (2)暫間固定
   (3)歯周治療用装置
   (4)歯周治療と欠損補綴
   (5)ブラキシズムの治療
   (6)歯科矯正治療
  B7 よくなったか確認 再び検査歯周精密検査 (3)
    歯周治療に薬をプラスグ〜〜ンと効果がアップします局所薬物送達療法
  B8 治りにくい所を徹底的に治療歯周外科手術
   (1)歯周ポケット掻爬術(ソウハ術)
   (2)新付着手術(ENAP)
   (3)歯肉切除術(GEct)
   (4)歯肉剥離掻爬手術(FOp)
   (5)歯肉歯槽粘膜形成術(MGS)
    根分岐部病変に注目!
  B9 ときには必要部分的再評価でのチェック
  B10 これからどうする? 歯周精密検査 (4)で確認
    どんな風に治るの?歯周病の治療
  B11 病状が安定していますメインテナンス(歯周疾患継続総合診療)に入りましょう
  B12 やったネ健康おめでとう
  B13 歯科衛生士からの質問1
    歯科衛生士からの質問2
C.患者さんからの声

 おわりに
 参考文献