はじめに
昭和23年に歯科衛生士法が発足し,歯科衛生士の業務が主として歯科疾患の予防処置を行なうように定められたが,いろいろな社会情勢からして昭和30年には法律の一部改正が見られ,歯科診療の補助が歯科衛生士の業務として加えられるようになった.このことは歯科衛生士は単に予防処置の面のみならず,診療面においても増大しつつある歯科医療の需要に応えて,歯科診療普及向上に資するよう配慮されたものと考えられる.
振り返ってみると,昭和33年に東京医科歯科大学付属歯科衛生士学校の講師として歯科診療補助の講義を受けもち,ついで同大学の看護学校においても歯科概論を講ずるようになり,つづいて昭和39年に神奈川歯科大学に転じてからは日本女子衛生短期大学で臨床概論と診療補助を担当し,その間ざっと数えても二千数百名の諸嬢に教鞭をとっていたことになり,今更ながら,自分自身でもその数に驚いている次第である.
このような関係で医歯薬出版社から,歯科診療補助に関する本を書くようにと,数年前から何回となく催促を受けて来たが,元来の筆不精に加えて,新設歯科大学の業務多忙にかこつけて,のびのびにしてしまった.しかし今回,歯内療法に関する診療補助だけでよいということで,勇を鼓して筆を執ったものの,不勉強と遅筆のため誠に至らぬ内容のものになってしまったことは慙愧の至りである.
しかしながら執筆内容としては,歯内療法の概論を歯科大学教授要綱にのっとって記し,術式および診療補助については私どもが日常実際に行なっている臨床に則して記してみた心算である.したがって歯科衛生士,歯科助手あるいは看護婦の皆さんに,歯内療法の何たるかが分かりやすく理解できると考えられるし、また一方、診療補助者を使用する先生方にとっても,知識の整理上の参考にもなり得ると思われる.
良く訓練され教育された歯科診療補助者は,デンタルヘルスチームの一員として,一般大衆の口腔保健向上のために大いなる役割を有する.この拙著が歯科診療にたずさわる人々の一助たり得れば幸いこの上ない.
終りに臨みいろいろご協力を頂いた医歯薬出版の諸氏,写真撮影に協力をお願いした歯科衛生士の佐生,佐々木両嬢に感謝する.
1972.3.1 長田 保
昭和23年に歯科衛生士法が発足し,歯科衛生士の業務が主として歯科疾患の予防処置を行なうように定められたが,いろいろな社会情勢からして昭和30年には法律の一部改正が見られ,歯科診療の補助が歯科衛生士の業務として加えられるようになった.このことは歯科衛生士は単に予防処置の面のみならず,診療面においても増大しつつある歯科医療の需要に応えて,歯科診療普及向上に資するよう配慮されたものと考えられる.
振り返ってみると,昭和33年に東京医科歯科大学付属歯科衛生士学校の講師として歯科診療補助の講義を受けもち,ついで同大学の看護学校においても歯科概論を講ずるようになり,つづいて昭和39年に神奈川歯科大学に転じてからは日本女子衛生短期大学で臨床概論と診療補助を担当し,その間ざっと数えても二千数百名の諸嬢に教鞭をとっていたことになり,今更ながら,自分自身でもその数に驚いている次第である.
このような関係で医歯薬出版社から,歯科診療補助に関する本を書くようにと,数年前から何回となく催促を受けて来たが,元来の筆不精に加えて,新設歯科大学の業務多忙にかこつけて,のびのびにしてしまった.しかし今回,歯内療法に関する診療補助だけでよいということで,勇を鼓して筆を執ったものの,不勉強と遅筆のため誠に至らぬ内容のものになってしまったことは慙愧の至りである.
しかしながら執筆内容としては,歯内療法の概論を歯科大学教授要綱にのっとって記し,術式および診療補助については私どもが日常実際に行なっている臨床に則して記してみた心算である.したがって歯科衛生士,歯科助手あるいは看護婦の皆さんに,歯内療法の何たるかが分かりやすく理解できると考えられるし、また一方、診療補助者を使用する先生方にとっても,知識の整理上の参考にもなり得ると思われる.
良く訓練され教育された歯科診療補助者は,デンタルヘルスチームの一員として,一般大衆の口腔保健向上のために大いなる役割を有する.この拙著が歯科診療にたずさわる人々の一助たり得れば幸いこの上ない.
終りに臨みいろいろご協力を頂いた医歯薬出版の諸氏,写真撮影に協力をお願いした歯科衛生士の佐生,佐々木両嬢に感謝する.
1972.3.1 長田 保
監修のことば
はじめに
歯肉療法学・概論
■歯肉療法学の目的と意義■
■歯の硬組織疾患■
1.非感染性硬組織疾患…4
1.発育不全…4
2.歯の損傷…5
2.う触…6
1.う触とは…6
2.う触の原因…7
3.う触の分類…7
4.う蝕の好発部位…8
5.う蝕処置の重要性…9
■歯髄疾患■
1.歯髄疾患の原因…10
1.細菌学的原因…10
2.物理的原因…11
3.化学的原因…11
2.歯髄疾患の臨床分類…12
3.歯髄充血…12
4.急性歯髄炎…13
1.急性漿液性(単純性)歯髄炎(一部性,全部性)…13
2.急性化膿性歯髄炎(一部性,全部性)…14
3.壊疽性歯髄炎…15
5.慢性歯髄炎…16
1.慢性閉鎖性歯髄炎…16
2.慢性潰瘍性歯髄炎…16
3.慢性増殖性歯髄炎…17
6.歯髄壊死と壊疽…18
7.歯髄の退行変性…19
8.歯髄炎の経過と転帰…19
■根尖性歯周組織疾患■
1.根尖性歯周組織疾患の原因…20
1.局所的原因…20
2.全身的原因…21
2.根尖性歯周組織疾患の分類…21
3.急性根尖性歯周炎の概要…21
4.慢性根尖性歯周炎の概要…22
1.慢性根尖性化膿性歯周炎…22
2.歯根肉芽腫…23
3.歯根嚢胞…23
歯内療法における診療補助
■チームプレーとしての診療補助■
■診療補助の準備■
1.歯内療法領域における消毒…29
1.術者の手指…29
2.手術野の消毒…30
3.器材消毒滅菌法のいろいろ…30
4.器具材料別の消毒法…33
2.材料の準備…34
1.ブローチ綿栓の作製法…34
2.ペーパーポイント作製法…36
3.診療前準備…36
1.診療室の準備…36
2.機械器具の準備…37
3.患者に対する準備…38
4.chairside assistant に対する準備…40
■診療録の記載とその補助法■
1.既往症の診査…45
2.主訴の診査…45
3.現症の診査…45
4.診査の補助…46
■歯の硬組織疾患の処置と診療補助■
1.非感染性硬組織疾患処置…48
1.象牙質の知覚過敏症の処置…48
2.補助法…49
2.う蝕の処置…50
1.う蝕処置の概要…50
2.う蝕処置の診療補助…54
■歯髄の処置と診療補助■
1.歯髄疾患の臨床的診断術式とその補助…59
1.臨床診断の概要…59
2.臨床診断の補助…61
2.歯髄保存療法…62
1.歯髄の鎮痛消炎療法…62
2.間接覆髄法…64
3.直接覆髄法…66
3.歯髄除去療法…68
1.前準備…68
2.歯髄切断(断髄)法…73
3.抜髄法…76
■感染根管治療■
1.感染根管治療の指針…84
2.感染根管治療…85
1.前準備…85
2.感染根管治療術式…86
3.感染根管治療の補助法…90
■根管充填■
1.根管充填…93
1.根管充填の目的…93
2.根管充填を行なう時期…93
3.眼管充填剤(材)…94
4.根管充填の術式…96
5.根管充填の補助…98
2.根管の細菌検査法…103
1.細菌検査法の擬要…103
2.根管の細菌培養補助…105
3.感染根管治療の補助療法…107
1.補助療法の概要…107
2.補助療法の診療補助…109
■根尖性歯周組織疾患治療■
1.原因除去…111
2.安静療法…111
3.局所ならびに全身抵抗力の補強…111
4.対症療法…112
■歯髄ならびに根管処置時の偶発事故■
1.その種類と処置…113
2.その予防対策…115
■歯内療法終了時の補助者としての注意事項■
参考文献…118
はじめに
歯肉療法学・概論
■歯肉療法学の目的と意義■
■歯の硬組織疾患■
1.非感染性硬組織疾患…4
1.発育不全…4
2.歯の損傷…5
2.う触…6
1.う触とは…6
2.う触の原因…7
3.う触の分類…7
4.う蝕の好発部位…8
5.う蝕処置の重要性…9
■歯髄疾患■
1.歯髄疾患の原因…10
1.細菌学的原因…10
2.物理的原因…11
3.化学的原因…11
2.歯髄疾患の臨床分類…12
3.歯髄充血…12
4.急性歯髄炎…13
1.急性漿液性(単純性)歯髄炎(一部性,全部性)…13
2.急性化膿性歯髄炎(一部性,全部性)…14
3.壊疽性歯髄炎…15
5.慢性歯髄炎…16
1.慢性閉鎖性歯髄炎…16
2.慢性潰瘍性歯髄炎…16
3.慢性増殖性歯髄炎…17
6.歯髄壊死と壊疽…18
7.歯髄の退行変性…19
8.歯髄炎の経過と転帰…19
■根尖性歯周組織疾患■
1.根尖性歯周組織疾患の原因…20
1.局所的原因…20
2.全身的原因…21
2.根尖性歯周組織疾患の分類…21
3.急性根尖性歯周炎の概要…21
4.慢性根尖性歯周炎の概要…22
1.慢性根尖性化膿性歯周炎…22
2.歯根肉芽腫…23
3.歯根嚢胞…23
歯内療法における診療補助
■チームプレーとしての診療補助■
■診療補助の準備■
1.歯内療法領域における消毒…29
1.術者の手指…29
2.手術野の消毒…30
3.器材消毒滅菌法のいろいろ…30
4.器具材料別の消毒法…33
2.材料の準備…34
1.ブローチ綿栓の作製法…34
2.ペーパーポイント作製法…36
3.診療前準備…36
1.診療室の準備…36
2.機械器具の準備…37
3.患者に対する準備…38
4.chairside assistant に対する準備…40
■診療録の記載とその補助法■
1.既往症の診査…45
2.主訴の診査…45
3.現症の診査…45
4.診査の補助…46
■歯の硬組織疾患の処置と診療補助■
1.非感染性硬組織疾患処置…48
1.象牙質の知覚過敏症の処置…48
2.補助法…49
2.う蝕の処置…50
1.う蝕処置の概要…50
2.う蝕処置の診療補助…54
■歯髄の処置と診療補助■
1.歯髄疾患の臨床的診断術式とその補助…59
1.臨床診断の概要…59
2.臨床診断の補助…61
2.歯髄保存療法…62
1.歯髄の鎮痛消炎療法…62
2.間接覆髄法…64
3.直接覆髄法…66
3.歯髄除去療法…68
1.前準備…68
2.歯髄切断(断髄)法…73
3.抜髄法…76
■感染根管治療■
1.感染根管治療の指針…84
2.感染根管治療…85
1.前準備…85
2.感染根管治療術式…86
3.感染根管治療の補助法…90
■根管充填■
1.根管充填…93
1.根管充填の目的…93
2.根管充填を行なう時期…93
3.眼管充填剤(材)…94
4.根管充填の術式…96
5.根管充填の補助…98
2.根管の細菌検査法…103
1.細菌検査法の擬要…103
2.根管の細菌培養補助…105
3.感染根管治療の補助療法…107
1.補助療法の概要…107
2.補助療法の診療補助…109
■根尖性歯周組織疾患治療■
1.原因除去…111
2.安静療法…111
3.局所ならびに全身抵抗力の補強…111
4.対症療法…112
■歯髄ならびに根管処置時の偶発事故■
1.その種類と処置…113
2.その予防対策…115
■歯内療法終了時の補助者としての注意事項■
参考文献…118