はじめに
〜臨床の“?”を“!”に変えるために
「歯周治療とインプラントのエビデンス」をテーマとした別冊を手に取った皆さんは,読む前にどのようなイメージをもたれたでしょうか.
「エビデンス」というと難しそうですが皆さんが日々の臨床で感じられている素朴な疑問ってたくさんありませんか? 私が卒業したてのころはその疑問に答えてくれるのは先輩,勉強仲間,そして正書でした.インターネットはすでに発達していましたが,いまほどではなく,なんでも答えてくれるわけではありませんでした(先輩方もそうだったような……).最近は歯科医療に関する動画コンテンツやYouTubeなど,動画で学べる機会も多くあり,以前よりも効率よく,“浅く,広く学ぶこと”ことが容易になっています.しかし,“?”が確信をもって“!”に変わるほど,その動画は真実を語っているでしょうか.そして,この情報過多の時代,皆さんは正しい情報を取捨選択できるだけの知識や学識に基づいたコンセプトを自分のなかに育てていますか.また,これらを育てるためには何が必要なのでしょうか.
そのためには,遠回りかもしれませんが,自分のなかの“?”を自分で調べてみることです.質の高いレビューや原著論文を紐解きながら何が真実なのか考え,真実に近づく努力をすることが大切です.
おもしろいことに,調べれば調べるほど“?”は“?”のままなのだということに気づくことも多いものです.もしくは知識の欠落を埋めた瞬間は,“?”が“!”に変わるかもしれません.そこには確実に,“調べてよかった”という満足が待っています.また,確信をもって信じていたことが迷信で,“?”に陥ることもあるでしょう.それも本別冊の狙うところで,ドグマから解き放たれた後,新しい知識,考え方を学び直すことも大切なことなのです.
本別冊はまさにそのようにして,学友でもある著者陣によって書かれています.エビデンスが少ない領域は臨床知を記すようにしました.世界を変える本ではありませんが,いまの“?”をどのように解釈すべきなのか,それぞれが論文を目の前にしながら頭をひねって文章を紡いでいます.さまざまな方が本別冊を手に取り,多くの“?”が“!”に変わることを願うとともに,本別冊から刺激をうけ,さらに勉強してみようという,医療人としてのポジティブな気持ちをもってもらえればうれしく思います.
2024年5月 大月基弘
〜臨床の“?”を“!”に変えるために
「歯周治療とインプラントのエビデンス」をテーマとした別冊を手に取った皆さんは,読む前にどのようなイメージをもたれたでしょうか.
「エビデンス」というと難しそうですが皆さんが日々の臨床で感じられている素朴な疑問ってたくさんありませんか? 私が卒業したてのころはその疑問に答えてくれるのは先輩,勉強仲間,そして正書でした.インターネットはすでに発達していましたが,いまほどではなく,なんでも答えてくれるわけではありませんでした(先輩方もそうだったような……).最近は歯科医療に関する動画コンテンツやYouTubeなど,動画で学べる機会も多くあり,以前よりも効率よく,“浅く,広く学ぶこと”ことが容易になっています.しかし,“?”が確信をもって“!”に変わるほど,その動画は真実を語っているでしょうか.そして,この情報過多の時代,皆さんは正しい情報を取捨選択できるだけの知識や学識に基づいたコンセプトを自分のなかに育てていますか.また,これらを育てるためには何が必要なのでしょうか.
そのためには,遠回りかもしれませんが,自分のなかの“?”を自分で調べてみることです.質の高いレビューや原著論文を紐解きながら何が真実なのか考え,真実に近づく努力をすることが大切です.
おもしろいことに,調べれば調べるほど“?”は“?”のままなのだということに気づくことも多いものです.もしくは知識の欠落を埋めた瞬間は,“?”が“!”に変わるかもしれません.そこには確実に,“調べてよかった”という満足が待っています.また,確信をもって信じていたことが迷信で,“?”に陥ることもあるでしょう.それも本別冊の狙うところで,ドグマから解き放たれた後,新しい知識,考え方を学び直すことも大切なことなのです.
本別冊はまさにそのようにして,学友でもある著者陣によって書かれています.エビデンスが少ない領域は臨床知を記すようにしました.世界を変える本ではありませんが,いまの“?”をどのように解釈すべきなのか,それぞれが論文を目の前にしながら頭をひねって文章を紡いでいます.さまざまな方が本別冊を手に取り,多くの“?”が“!”に変わることを願うとともに,本別冊から刺激をうけ,さらに勉強してみようという,医療人としてのポジティブな気持ちをもってもらえればうれしく思います.
2024年5月 大月基弘
はじめに
Chapter 1 エビデンスを臨床に活かすための基礎知識
EBMとは〜Experience(経験)からEvidence(根拠)へ
EBMの流れ
まずは論文を読んでみよう!
ミニコラム(1) エビデンスによる圧政
ミニコラム(2) 論文の「質」とは?
ミニコラム(3) 翻訳ソフト使用時のコピーアンドペーストのコツ
Chapter 2 臨床で活かす! ペリオの疑問とエビデンス
プラークコントロール
Q1 歯を磨いてくれない患者さんにはどう対応すればよいですか?
Q2 PCR20%以下をセルフケアの目標にしないと駄目ですか?
Q3 デンタルフロスと歯間ブラシ,手用歯ブラシと電動歯ブラシ,どちらを勧めればいいですか?
歯周組織検査
Q4 歯の動揺度や根分岐部病変の正しい測定方法は?
歯周基本治療
Q5 手用キュレットと超音波スケーラー,どちらが有効ですか?
Q6 歯肉縁下へのエアーポリッシングは効果的ですか?
Q7 抗菌薬の使用は歯周治療に効果的ですか?
Q8 根分岐部病変に対し,SRPでどこまでアプローチできますか?
Q9 SRP後の再評価って,いつ行えばいいですか?
Q10 再SRP,やる? やらない?
歯周組織再生療法
Q11 歯周組織再生療法が予定されている場合,SRPはあまりしないほうがよいって本当?
咬合と歯周病
Q12 「先生,動揺があるので咬合調整をお願いします」……その動揺は本当に悪いもの?
メインテナンス・SPT
Q13 患者さんごとにメインテナンスの内容を変えたほうがよいですか?
Q14 メインテナンスの間隔はどのように決定しますか?
歯周病と全身疾患
Q15 歯周病に関連するおもな全身疾患を教えてください
ミニコラム(4) どちらが“よい“とは“何をもってよい”とするかで違う
ミニコラム(5) 歯磨きにより齲蝕は予防できるか
Chapter 3 臨床で活かす! インプラント治療の疑問とエビデンス
インプラント周囲疾患
Q1 歯周炎とインプラント周囲炎の違いは何ですか?
Q2 インプラント周囲粘膜炎とインプラント周囲炎の違いは何ですか?
Q3 インプラント周囲疾患の有病率はどれくらいですか?
Q4 もしインプラント周囲炎になってしまったら,どうなるのですか?
Q5 インプラント周囲炎になりやすいのは,どんな人ですか?
インプラントの検査
Q6 インプラント周囲の健康状態は,天然歯同様にプロービングでわかりますか?
Q7 インプラントへのプロービングやデンタルX線写真撮影は,どのタイミングで行ったらいいですか?
インプラントメインテナンス
Q8 清掃性が悪い上部構造が入っている場合はどうしたらいいですか?
Q9 インプラント患者さんへのフッ化物製剤の応用は害があると聞きましたが,本当ですか?
Q10 インプラント患者さんのメインテナンスでは,何をしたらいいですか?
Q11 咬合力によってインプラントは影響を受けますか?
Q12 インプラント周囲疾患のリスクとなる全身疾患にはどのようなものがありますか?
ミニコラム(6) 上部構造を外して行う歯肉縁下の清掃について
Chapter 4 歯科衛生士も知っておきたい 歯周病の「新分類」の活かし方
旧分類から新分類へ〜変化のポイント
新分類を使ってみよう!
症例を通じて新分類を理解しよう!
ミニコラム(7) アタッチメントレベルとアタッチメントロス
ミニコラム(8) こんな場合はどうする?〜迷いがちな例
執筆者一覧
参考文献
Chapter 1 エビデンスを臨床に活かすための基礎知識
EBMとは〜Experience(経験)からEvidence(根拠)へ
EBMの流れ
まずは論文を読んでみよう!
ミニコラム(1) エビデンスによる圧政
ミニコラム(2) 論文の「質」とは?
ミニコラム(3) 翻訳ソフト使用時のコピーアンドペーストのコツ
Chapter 2 臨床で活かす! ペリオの疑問とエビデンス
プラークコントロール
Q1 歯を磨いてくれない患者さんにはどう対応すればよいですか?
Q2 PCR20%以下をセルフケアの目標にしないと駄目ですか?
Q3 デンタルフロスと歯間ブラシ,手用歯ブラシと電動歯ブラシ,どちらを勧めればいいですか?
歯周組織検査
Q4 歯の動揺度や根分岐部病変の正しい測定方法は?
歯周基本治療
Q5 手用キュレットと超音波スケーラー,どちらが有効ですか?
Q6 歯肉縁下へのエアーポリッシングは効果的ですか?
Q7 抗菌薬の使用は歯周治療に効果的ですか?
Q8 根分岐部病変に対し,SRPでどこまでアプローチできますか?
Q9 SRP後の再評価って,いつ行えばいいですか?
Q10 再SRP,やる? やらない?
歯周組織再生療法
Q11 歯周組織再生療法が予定されている場合,SRPはあまりしないほうがよいって本当?
咬合と歯周病
Q12 「先生,動揺があるので咬合調整をお願いします」……その動揺は本当に悪いもの?
メインテナンス・SPT
Q13 患者さんごとにメインテナンスの内容を変えたほうがよいですか?
Q14 メインテナンスの間隔はどのように決定しますか?
歯周病と全身疾患
Q15 歯周病に関連するおもな全身疾患を教えてください
ミニコラム(4) どちらが“よい“とは“何をもってよい”とするかで違う
ミニコラム(5) 歯磨きにより齲蝕は予防できるか
Chapter 3 臨床で活かす! インプラント治療の疑問とエビデンス
インプラント周囲疾患
Q1 歯周炎とインプラント周囲炎の違いは何ですか?
Q2 インプラント周囲粘膜炎とインプラント周囲炎の違いは何ですか?
Q3 インプラント周囲疾患の有病率はどれくらいですか?
Q4 もしインプラント周囲炎になってしまったら,どうなるのですか?
Q5 インプラント周囲炎になりやすいのは,どんな人ですか?
インプラントの検査
Q6 インプラント周囲の健康状態は,天然歯同様にプロービングでわかりますか?
Q7 インプラントへのプロービングやデンタルX線写真撮影は,どのタイミングで行ったらいいですか?
インプラントメインテナンス
Q8 清掃性が悪い上部構造が入っている場合はどうしたらいいですか?
Q9 インプラント患者さんへのフッ化物製剤の応用は害があると聞きましたが,本当ですか?
Q10 インプラント患者さんのメインテナンスでは,何をしたらいいですか?
Q11 咬合力によってインプラントは影響を受けますか?
Q12 インプラント周囲疾患のリスクとなる全身疾患にはどのようなものがありますか?
ミニコラム(6) 上部構造を外して行う歯肉縁下の清掃について
Chapter 4 歯科衛生士も知っておきたい 歯周病の「新分類」の活かし方
旧分類から新分類へ〜変化のポイント
新分類を使ってみよう!
症例を通じて新分類を理解しよう!
ミニコラム(7) アタッチメントレベルとアタッチメントロス
ミニコラム(8) こんな場合はどうする?〜迷いがちな例
執筆者一覧
参考文献














