はじめに:元気さが力の源です
●子どもと保護者,切り離しては考えられません
子どもの歯科治療を成功に導くには,保護者がとても重要なキーポイントです.したがって子どもをみていく小児歯科の臨床は,子どもと保護者の両方を対象とした医療であり,二者を切り離して論じることはできません.このような医療体系で,小児歯科が日本の歯科医療の一端を担うようになってから,すでに半世紀が経過しようとしています.
この間,子どもへの歯科医療はめざましい発展をとげてきました.もちろんそこには,研究,教育,行政機関の多くの人々のたゆまぬ努力が存在します.しかし小児歯科が導入された当初から,それまでの医療とは違った角度から社会との接点を追い求めてきた小児歯科の臨床の歴史が,現在の社会的認知に貢献していることも忘れてはならないでしょう.
定期検診,母親教室,子どもへの歯科保健指導や食事指導などがその一例です.
●あなたは嫌われてもいいですか?
ところが,「一生懸命子どもたちの健康のためにと頑張っているのに,子どもってどうして歯医者を嫌うのかしら?」と考えることはありませんか.「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」のことわざのように,歯科の治療が嫌いなために,歯科医院に勤める歯科衛生士さんまで嫌われてしまったのでは,日頃の苦労や努力が無に帰してしまいます.
もちろん,ただ「やさしいお姉さん」とだけ思われていては,コデンタルスタッフとしての仕事を遂行できているとはいえません.子どもの口の健康を守る専門家として仕事をしようとすれば,問題が生ずるのは当然です.正しいことを当たり前のようにできないときに,大いなる悩みとなるのです.子どものご機嫌をとるような行動をしたときなどは,情けない自分に嫌気がさすかもしれません.
それほど小児歯科の臨床は困難なものですが,ときには発想を変えることも必要です.そうすれば,きっと苦しみが楽しさに変わるはずです.子どもに嫌われたくないのなら,常に仕事を楽しくする皆さん自身の元気さが必要なのです.
●この本は「楽しく仕事をするためのガイドブック」と思ってください
この本は,読み手の気持ちを第一に考えて作りました.そしてなお,楽しく仕事をするためのガイドブックになるよう考えました.「読んで元気になる本」−それがこの本のめざすところです.
もちろん,子どもの健康を守るために日々努力する皆さんにとっての,バイブル的要素をたくさん含んでいます.でも教科書ではありませんから,のんびりとコーヒーを飲みながら,あるいは寝そべって音楽でも聞きながら,あまり難しく考えずにページを開いてみてください.何より「元気さが力の源」なのですから….
そしてこの本を読んで元気が出たところで,仕事にチャレンジしてください.いままで悩んでいたこと,苦しんでいたこと,ちょっと避けていたことなどのすべての答えは,きっと子どもとその保護者が教えてくれることでしょう.日々向かい合う子どもやお父さん,お母さんからは教わることばかりです.
この本が,問題解決の糸口を見つける一助となれば幸いです.
1998年5月 編者代表 浜野良彦
●子どもと保護者,切り離しては考えられません
子どもの歯科治療を成功に導くには,保護者がとても重要なキーポイントです.したがって子どもをみていく小児歯科の臨床は,子どもと保護者の両方を対象とした医療であり,二者を切り離して論じることはできません.このような医療体系で,小児歯科が日本の歯科医療の一端を担うようになってから,すでに半世紀が経過しようとしています.
この間,子どもへの歯科医療はめざましい発展をとげてきました.もちろんそこには,研究,教育,行政機関の多くの人々のたゆまぬ努力が存在します.しかし小児歯科が導入された当初から,それまでの医療とは違った角度から社会との接点を追い求めてきた小児歯科の臨床の歴史が,現在の社会的認知に貢献していることも忘れてはならないでしょう.
定期検診,母親教室,子どもへの歯科保健指導や食事指導などがその一例です.
●あなたは嫌われてもいいですか?
ところが,「一生懸命子どもたちの健康のためにと頑張っているのに,子どもってどうして歯医者を嫌うのかしら?」と考えることはありませんか.「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」のことわざのように,歯科の治療が嫌いなために,歯科医院に勤める歯科衛生士さんまで嫌われてしまったのでは,日頃の苦労や努力が無に帰してしまいます.
もちろん,ただ「やさしいお姉さん」とだけ思われていては,コデンタルスタッフとしての仕事を遂行できているとはいえません.子どもの口の健康を守る専門家として仕事をしようとすれば,問題が生ずるのは当然です.正しいことを当たり前のようにできないときに,大いなる悩みとなるのです.子どものご機嫌をとるような行動をしたときなどは,情けない自分に嫌気がさすかもしれません.
それほど小児歯科の臨床は困難なものですが,ときには発想を変えることも必要です.そうすれば,きっと苦しみが楽しさに変わるはずです.子どもに嫌われたくないのなら,常に仕事を楽しくする皆さん自身の元気さが必要なのです.
●この本は「楽しく仕事をするためのガイドブック」と思ってください
この本は,読み手の気持ちを第一に考えて作りました.そしてなお,楽しく仕事をするためのガイドブックになるよう考えました.「読んで元気になる本」−それがこの本のめざすところです.
もちろん,子どもの健康を守るために日々努力する皆さんにとっての,バイブル的要素をたくさん含んでいます.でも教科書ではありませんから,のんびりとコーヒーを飲みながら,あるいは寝そべって音楽でも聞きながら,あまり難しく考えずにページを開いてみてください.何より「元気さが力の源」なのですから….
そしてこの本を読んで元気が出たところで,仕事にチャレンジしてください.いままで悩んでいたこと,苦しんでいたこと,ちょっと避けていたことなどのすべての答えは,きっと子どもとその保護者が教えてくれることでしょう.日々向かい合う子どもやお父さん,お母さんからは教わることばかりです.
この本が,問題解決の糸口を見つける一助となれば幸いです.
1998年5月 編者代表 浜野良彦
はじめに:元気さが力の源です
浜野自彦
<Introduction>
歯科衛生士と小児歯科臨床の今昔物語
矢尾和彦
<Part.1 お母さんの心をつかもう!>
「いまどきのお母さん」ってどんな感じ?
−本当はさびしいマニュアルママたち−
丹羽洋子
座談会:「いまどきのお母さん」の心をつかむアプローチ
小泉江美子・杉本利惠・田島睦子・吉田昊哲・渡辺恵子・井本 恵
古野聡美・平田ゆかり・宮嶋あずさ・上園弥生
Q&A:お母さんが歯科医院で聞きたいこと・ベスト10
羽田宣裕・浜野良彦・吉田昊哲
(1)ラバーダムをしなくてはいけないのですか?
(2)治療するときに子どもを抑えつけるのですか?
(3)麻酔の後はすぐものを食べてもよいのですか?
(4)フッ素を塗ったら歯が黒くなったのですが
(5)治療したはずの歯がまた黒くなってきたのですが
(6)指しゃぶりが治らないのですが
(7)歯磨きを嫌がるのですがどうすればよいのでしようか?
(8)歯磨剤は使わないほうがよいのですか?
(9)どんなおやつならむし歯になりませんか?
(10)どうしたらむし歯にならずにすむのですか?
番外編:備えあれば憂いなし
<Part.2 子どもの心をつかもう!>
「いまどきの子ども」ってどんな感じ?
−子どもと機嫌よく付き合っていくために−
岩城敏之
座談会:ここがおもしろい! 子どもみていく喜びと責務
安部晴美・神田裕子・木部美栄・羽田宣裕
対応が難しいのはどんな子ども?
−タイプ別対応策−
石井智子・井本 恵・上園弥生・羽田宣裕・浜野良彦・平田ゆかり
古野聡美・松井晃子・宮嶋あずさ・吉田昊哲・渡辺恵子
(1)泣く子ども
(2)暴れる子ども
(3)治療経験が豊富な子ども
(4)嘔吐しやすい子ども
(5)思春期の男女
(6)母親や祖母の関与が過剰な子ども
(7)母親が無関心な子ども
私の歯科医院で子どもに人気のグッズたち
石田鐵男・石田房枝・桑原康生・徳永順一郎・羽田宣裕
浜野良彦・丸山進一郎・吉田昊哲
<Part.3 子どもの保健指導を成功させよう!>
コンサルティングとガイダンス成功の秘訣
(1)対お母さん編
犬塚勝昭
(2)対子ども編
高橋喜一
(3)対グループ編
徳永順一郎
子どもが行きたいのはどんな歯科医院?
(1)快適な歯科医院づくりへのヒン卜【ハード編】
羽田宣裕
(2)快適な職場空間へのヒント【ソフト編】
浜野良彦・渡辺恵子・井本 恵
座談会:受付と待合室の大切な役目
武智由美・平野美由紀・森田畠美・浜野良彦
<Others>
コラム
たたかうハイジさん劇場
編者からのメッセージ
執筆者紹介
編集後記
イラスト:うやまゆたか
The Joumal of Dental Hygiene,Extra lssue/WHAT'S THE MOST HEALING DENTAL ENVIRONMENTS FOR CHILDREN AND PARENTS?
浜野自彦
<Introduction>
歯科衛生士と小児歯科臨床の今昔物語
矢尾和彦
<Part.1 お母さんの心をつかもう!>
「いまどきのお母さん」ってどんな感じ?
−本当はさびしいマニュアルママたち−
丹羽洋子
座談会:「いまどきのお母さん」の心をつかむアプローチ
小泉江美子・杉本利惠・田島睦子・吉田昊哲・渡辺恵子・井本 恵
古野聡美・平田ゆかり・宮嶋あずさ・上園弥生
Q&A:お母さんが歯科医院で聞きたいこと・ベスト10
羽田宣裕・浜野良彦・吉田昊哲
(1)ラバーダムをしなくてはいけないのですか?
(2)治療するときに子どもを抑えつけるのですか?
(3)麻酔の後はすぐものを食べてもよいのですか?
(4)フッ素を塗ったら歯が黒くなったのですが
(5)治療したはずの歯がまた黒くなってきたのですが
(6)指しゃぶりが治らないのですが
(7)歯磨きを嫌がるのですがどうすればよいのでしようか?
(8)歯磨剤は使わないほうがよいのですか?
(9)どんなおやつならむし歯になりませんか?
(10)どうしたらむし歯にならずにすむのですか?
番外編:備えあれば憂いなし
<Part.2 子どもの心をつかもう!>
「いまどきの子ども」ってどんな感じ?
−子どもと機嫌よく付き合っていくために−
岩城敏之
座談会:ここがおもしろい! 子どもみていく喜びと責務
安部晴美・神田裕子・木部美栄・羽田宣裕
対応が難しいのはどんな子ども?
−タイプ別対応策−
石井智子・井本 恵・上園弥生・羽田宣裕・浜野良彦・平田ゆかり
古野聡美・松井晃子・宮嶋あずさ・吉田昊哲・渡辺恵子
(1)泣く子ども
(2)暴れる子ども
(3)治療経験が豊富な子ども
(4)嘔吐しやすい子ども
(5)思春期の男女
(6)母親や祖母の関与が過剰な子ども
(7)母親が無関心な子ども
私の歯科医院で子どもに人気のグッズたち
石田鐵男・石田房枝・桑原康生・徳永順一郎・羽田宣裕
浜野良彦・丸山進一郎・吉田昊哲
<Part.3 子どもの保健指導を成功させよう!>
コンサルティングとガイダンス成功の秘訣
(1)対お母さん編
犬塚勝昭
(2)対子ども編
高橋喜一
(3)対グループ編
徳永順一郎
子どもが行きたいのはどんな歯科医院?
(1)快適な歯科医院づくりへのヒン卜【ハード編】
羽田宣裕
(2)快適な職場空間へのヒント【ソフト編】
浜野良彦・渡辺恵子・井本 恵
座談会:受付と待合室の大切な役目
武智由美・平野美由紀・森田畠美・浜野良彦
<Others>
コラム
たたかうハイジさん劇場
編者からのメッセージ
執筆者紹介
編集後記
イラスト:うやまゆたか
The Joumal of Dental Hygiene,Extra lssue/WHAT'S THE MOST HEALING DENTAL ENVIRONMENTS FOR CHILDREN AND PARENTS?