序
インプラントは欠損修復,歯科治療に大きな変革の潮流を起こしている.過去,総義歯,局部床義歯,クラウンブリッジなど,患者の欠損歯数により各種修復が行われてきたが,インプラント治療はこれらの垣根を取り払っている.つまり,欠損の大きさにより補綴修復を決定するのではなく,患者の希望により,各修復法のメリット,デメリット,リスクを正確,的確に提示し,患者自身の選択により決定するインプラント治療が欠損修復の有力な選択肢の一つとなった.
この背景には,Branemarkらによりオッセオインテグレーテッドインプラントの治療が開始されて40年が経過し,この間ヨーロッパ,米国,アジアの世界各国で臨床応用され,また多くのEBMに基づく評価や,基礎研究が行われてきたことと,インプラント治療に対する予知性および高いQOLの達成がある.
今日,分散された歯科医学は統合され,包括的な治療が求められている.補綴修復のゴールは,いかに失われた機能と審美を回復するかであって,補綴装置の種類ではない.患者の立場に立って最も求められる治療は何か,そしてそのEBMに基づく評価はどうあるかが重要である.
口腔インプラント治療はこの点から,口腔外科,歯周,補綴学をベースとし,放射線,麻酔学等を加え,これらを包括した学問,治療として組み立てられている.また解剖,組織,病理,歯科材料学などの基礎分野がこれを支えている.インプラント治療は,過去分散して進められていた治療を統合し,患者の求めるQOLの高い治療を達成できるように関連する分野を組み合わせて治療を行っているのである.
残存組織の状態により修復法が決定されるのではなく,組織のダイナミックスを考慮し,残存組織の状態を改善し,より患者が求める結果に達成できるような技術が求められている.歯科医学は,各専門分野に分かれ,臨床,研究と発展してきたが,今後は高い水準の各分野の専門知識の習得や治療技術をもつことが必要である.患者にとって最良の治療は一つである.本書が,読者諸兄の歯科臨床の一助になれば幸いである.
2004年10月
編集委員
日本歯科大学新潟歯学部 総合診療科 口腔インプラントセンター
渡邉文彦
九州歯科大学 口腔機能再建学講座 口腔再建リハビリテーション学分野
細川隆司
インプラントは欠損修復,歯科治療に大きな変革の潮流を起こしている.過去,総義歯,局部床義歯,クラウンブリッジなど,患者の欠損歯数により各種修復が行われてきたが,インプラント治療はこれらの垣根を取り払っている.つまり,欠損の大きさにより補綴修復を決定するのではなく,患者の希望により,各修復法のメリット,デメリット,リスクを正確,的確に提示し,患者自身の選択により決定するインプラント治療が欠損修復の有力な選択肢の一つとなった.
この背景には,Branemarkらによりオッセオインテグレーテッドインプラントの治療が開始されて40年が経過し,この間ヨーロッパ,米国,アジアの世界各国で臨床応用され,また多くのEBMに基づく評価や,基礎研究が行われてきたことと,インプラント治療に対する予知性および高いQOLの達成がある.
今日,分散された歯科医学は統合され,包括的な治療が求められている.補綴修復のゴールは,いかに失われた機能と審美を回復するかであって,補綴装置の種類ではない.患者の立場に立って最も求められる治療は何か,そしてそのEBMに基づく評価はどうあるかが重要である.
口腔インプラント治療はこの点から,口腔外科,歯周,補綴学をベースとし,放射線,麻酔学等を加え,これらを包括した学問,治療として組み立てられている.また解剖,組織,病理,歯科材料学などの基礎分野がこれを支えている.インプラント治療は,過去分散して進められていた治療を統合し,患者の求めるQOLの高い治療を達成できるように関連する分野を組み合わせて治療を行っているのである.
残存組織の状態により修復法が決定されるのではなく,組織のダイナミックスを考慮し,残存組織の状態を改善し,より患者が求める結果に達成できるような技術が求められている.歯科医学は,各専門分野に分かれ,臨床,研究と発展してきたが,今後は高い水準の各分野の専門知識の習得や治療技術をもつことが必要である.患者にとって最良の治療は一つである.本書が,読者諸兄の歯科臨床の一助になれば幸いである.
2004年10月
編集委員
日本歯科大学新潟歯学部 総合診療科 口腔インプラントセンター
渡邉文彦
九州歯科大学 口腔機能再建学講座 口腔再建リハビリテーション学分野
細川隆司
インプラント修復の最新エビデンス CONTENTS
Implant restoration based on the latest evidence
序
執筆者一覧
PART 1 インプラント治療コンセプトの変化と最新トレンド(細川隆司)
PART 2 治療計画に関するポイント
1. インプラント修復における埋入数とサイズの決定(渡邉文彦)
2. 単独か連結かの判断基準(前田芳信・十河基文・佐藤琢也)
3. メタルかセラミックスかハイブリッドか(塩田 真・横山紗和子)
4. 天然歯との連結(渡邉文彦)
5. 咬合と咬合面形態(佐藤裕二・山縣徹哉)
6. 早期負荷・即時負荷のオーバービュー(是竹克紀・赤川安正)
PART 3 システムの選択
CAMLOGTMインプラントシステム(渡邉文彦)
FRIALIT-2インプラントシステム(倉嶋敏明)
Straumann(ITI)インプラントシステム(細川隆司)
Replace SelectおよびNobel Directの特徴(森本啓三)
3iインプラントシステム(船登彰芳)
POIシステム(林 美穂)
PART 4 適応症とステントの重要性
1. ステントの有用性と目的(渡邉文彦)
2. 前歯・小臼歯部における少数歯欠損(杉山貴彦)
3. 臼歯部欠損から多数歯欠損まで(細川隆司)
4. 骨吸収を含む場合(萩原芳幸)
5. オーバーデンチャー(松永興昌・城戸寛史・佐藤博信)
PART 5 上部構造・装着
1. プロビジョナルレストレーションの有用性(倉嶋敏明)
2. 咬合調整(細川隆司)
3. スクリュー固定とセメント固定(萩原芳幸)
4. インプラント治療後のメインテナンス(佐藤るり・古賀剛人)
5. リカバリー(松井孝道・添島義和)
6. 加齢とインプラント(渡邉文彦)
【コラム】
インプラントの歴史(塩田 真)
インプラントシステムのこれから(渡邉文彦)
Implant restoration based on the latest evidence
序
執筆者一覧
PART 1 インプラント治療コンセプトの変化と最新トレンド(細川隆司)
PART 2 治療計画に関するポイント
1. インプラント修復における埋入数とサイズの決定(渡邉文彦)
2. 単独か連結かの判断基準(前田芳信・十河基文・佐藤琢也)
3. メタルかセラミックスかハイブリッドか(塩田 真・横山紗和子)
4. 天然歯との連結(渡邉文彦)
5. 咬合と咬合面形態(佐藤裕二・山縣徹哉)
6. 早期負荷・即時負荷のオーバービュー(是竹克紀・赤川安正)
PART 3 システムの選択
CAMLOGTMインプラントシステム(渡邉文彦)
FRIALIT-2インプラントシステム(倉嶋敏明)
Straumann(ITI)インプラントシステム(細川隆司)
Replace SelectおよびNobel Directの特徴(森本啓三)
3iインプラントシステム(船登彰芳)
POIシステム(林 美穂)
PART 4 適応症とステントの重要性
1. ステントの有用性と目的(渡邉文彦)
2. 前歯・小臼歯部における少数歯欠損(杉山貴彦)
3. 臼歯部欠損から多数歯欠損まで(細川隆司)
4. 骨吸収を含む場合(萩原芳幸)
5. オーバーデンチャー(松永興昌・城戸寛史・佐藤博信)
PART 5 上部構造・装着
1. プロビジョナルレストレーションの有用性(倉嶋敏明)
2. 咬合調整(細川隆司)
3. スクリュー固定とセメント固定(萩原芳幸)
4. インプラント治療後のメインテナンス(佐藤るり・古賀剛人)
5. リカバリー(松井孝道・添島義和)
6. 加齢とインプラント(渡邉文彦)
【コラム】
インプラントの歴史(塩田 真)
インプラントシステムのこれから(渡邉文彦)








