はじめに
戸辺一之
東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科
高脂肪食・運動不足の生活習慣により,肥満・インスリン抵抗性を基盤にして糖尿病・高血圧・脂質代謝異常を複数クラスターし最終的に動脈硬化症を発症する者の数が増加しており,その予防策・治療法の開発は急務である.
2005年4月,メタボリックシンドロームの診断基準が策定され,日本においても動脈硬化のハイリスク者を初期のころより抽出し,生活習慣の改善を中心とした介入を行っていくための第一歩が踏みだされた.
これまで,糖尿病・高血圧・脂質代謝異常(とくにLDL-コレステロール)のそれぞれの分野において心血管イベント発症に関する疫学,薬剤介入大規模スタディの研究成果も蓄積し,個々の危険因子をどの程度にコントロールすればよいかが明らかにされてきた.わが国で策定された診断基準は腹囲を必須項目とした点に特徴があるが,腹囲をどの程度に設定すればよいのか,また,本当に腹囲を必順項目にすべきなのか.食後高血糖も考慮に入れる必要があるかなども検討課題である.動脈硬化発症のハイリスクグループを抽出するという目的ならばメタボリックシンドロームとは別の概念になるが,LDL-コレステロール,喫煙についても考慮に入れる必要があるかもしれない.
メタボリックシンドロームの基盤病態はインスリン抵抗性であり,その重要性の認識はYalow and Barsonによる2型糖尿病者が高インスリン血症を呈したという発見にはじまる.1970年代のインスリン受容体の存在の証明にはじまり,インスリン受容体異常症という疾患概念の確立,1980年代に入ってからのインスリン受容体チロシンキナーゼの発見,cDNAクローニング,インスリン受容体基質(IRS)の同定に至る.1990年代には発生工学を用いることにより,インスリンシグナルの個体での糖尿病発症における役割が明らかとなってきた.すなわち,インスリン受容体やIRS-1やIRS-2欠損マウスの解析により,インスリンシグナルに肝・骨格筋・脂肪細胞での代謝作用のみならず,膵β細胞の増殖,中枢での抗肥満作用,血管保護作用があることが明らかにされた.実際,IRS-1,IRS-2欠損マウスはメタボリックシンドロームを呈する.
一方,肥満者でインスリン抵抗性が誘導される機序についても研究が進められた.初期のクランプスタディにより骨格筋での非酸化的パスウェイの障害が肥満者でみられるという報告から,肥満者の脂肪細胞からは何らかの分子が分泌され,骨格筋でのインスリン抵抗性を誘導するという概念が形成された.また,脂肪細胞が欠如した脂肪萎縮性糖尿病からもインスリン感受性を全身に賦与する分泌物質の存在が想定された.1980年代後半,アディプシンが報告されたが,本格的に研究が進みはじめたのは1990年代である.1993年 HotamisligilらによるTNF-α,1994年Friedmanらによるレプチン,1995〜1996年のアディポネクチンの発見が続く.これらの発見から“インスリン抵抗性“とは,体内のエネルギーの過剰の度合いを示す概念であり,エネルギーの貯蔵と消費のバランスにより規定されていることが明らかになった.この過程で,エネルギーの貯蔵や転写に関与する転写因子やコアクティベーター,すなわちPPARファミリー,PGC-1,SREBP-1,細胞内酵素としてAMPキナーゼなどが見出された.また,インスリン抵抗性を増悪する“悪玉アディポカイン”として,遊離脂肪酸やMCP-1の役割が徐々に明らかにされるとともに,レジスチン,RBP-4などがあらたに見出された.
一方で,脂肪細胞の大きさとインスリン抵抗性の関係も注目され,肥満による脂肪細胞の大型化に伴い,レプチン抵抗性の誘導やアディポネクチン低下などの“善玉アディポカイン“の作用低下,TNF-α・レジスチン・遊離脂肪酸などの“悪玉アディポカイン”の増加がインスリン抵抗性の誘導につながることが明らかにされた.最近では肥満によるインスリン抵抗性と炎症との関係も注目されている.肥満者の脂肪組織にはマクロファージが集積し,炎症性サイトカインの源になるとともに脂肪細胞の形質転換に関与していることが明らかにされた.現在,脂肪細胞は高血糖による酸化ストレス,多数の蛋白質の分泌によるERストレスを受けやすい細胞と考えられている.炎症により活性化するJNKやNF-κBなどを介したパスウェイのインスリン抵抗性における役割も明らかにされつつある.
本別冊では,メタボリックシンドロームの最新の研究の成果を現在第一線で活躍中の研究者の方々に御執筆いただいた.これまでさまざまな側面からアプローチされてきたものを整理し,各分野の課題や論点を読者の方々が対比することにより統合的に理解できるような構成に配慮した.とくに,代謝の研究者と循環器・動脈硬化の研究者のアプローチを対比して読めるような構成にした.それぞれの研究成果が全体のなかでどのような位置づけにあるのかを,その研究分野が生まれてきた背景も含めて読者の方々が理解する一助となれば幸いである.
戸辺一之
東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科
高脂肪食・運動不足の生活習慣により,肥満・インスリン抵抗性を基盤にして糖尿病・高血圧・脂質代謝異常を複数クラスターし最終的に動脈硬化症を発症する者の数が増加しており,その予防策・治療法の開発は急務である.
2005年4月,メタボリックシンドロームの診断基準が策定され,日本においても動脈硬化のハイリスク者を初期のころより抽出し,生活習慣の改善を中心とした介入を行っていくための第一歩が踏みだされた.
これまで,糖尿病・高血圧・脂質代謝異常(とくにLDL-コレステロール)のそれぞれの分野において心血管イベント発症に関する疫学,薬剤介入大規模スタディの研究成果も蓄積し,個々の危険因子をどの程度にコントロールすればよいかが明らかにされてきた.わが国で策定された診断基準は腹囲を必須項目とした点に特徴があるが,腹囲をどの程度に設定すればよいのか,また,本当に腹囲を必順項目にすべきなのか.食後高血糖も考慮に入れる必要があるかなども検討課題である.動脈硬化発症のハイリスクグループを抽出するという目的ならばメタボリックシンドロームとは別の概念になるが,LDL-コレステロール,喫煙についても考慮に入れる必要があるかもしれない.
メタボリックシンドロームの基盤病態はインスリン抵抗性であり,その重要性の認識はYalow and Barsonによる2型糖尿病者が高インスリン血症を呈したという発見にはじまる.1970年代のインスリン受容体の存在の証明にはじまり,インスリン受容体異常症という疾患概念の確立,1980年代に入ってからのインスリン受容体チロシンキナーゼの発見,cDNAクローニング,インスリン受容体基質(IRS)の同定に至る.1990年代には発生工学を用いることにより,インスリンシグナルの個体での糖尿病発症における役割が明らかとなってきた.すなわち,インスリン受容体やIRS-1やIRS-2欠損マウスの解析により,インスリンシグナルに肝・骨格筋・脂肪細胞での代謝作用のみならず,膵β細胞の増殖,中枢での抗肥満作用,血管保護作用があることが明らかにされた.実際,IRS-1,IRS-2欠損マウスはメタボリックシンドロームを呈する.
一方,肥満者でインスリン抵抗性が誘導される機序についても研究が進められた.初期のクランプスタディにより骨格筋での非酸化的パスウェイの障害が肥満者でみられるという報告から,肥満者の脂肪細胞からは何らかの分子が分泌され,骨格筋でのインスリン抵抗性を誘導するという概念が形成された.また,脂肪細胞が欠如した脂肪萎縮性糖尿病からもインスリン感受性を全身に賦与する分泌物質の存在が想定された.1980年代後半,アディプシンが報告されたが,本格的に研究が進みはじめたのは1990年代である.1993年 HotamisligilらによるTNF-α,1994年Friedmanらによるレプチン,1995〜1996年のアディポネクチンの発見が続く.これらの発見から“インスリン抵抗性“とは,体内のエネルギーの過剰の度合いを示す概念であり,エネルギーの貯蔵と消費のバランスにより規定されていることが明らかになった.この過程で,エネルギーの貯蔵や転写に関与する転写因子やコアクティベーター,すなわちPPARファミリー,PGC-1,SREBP-1,細胞内酵素としてAMPキナーゼなどが見出された.また,インスリン抵抗性を増悪する“悪玉アディポカイン”として,遊離脂肪酸やMCP-1の役割が徐々に明らかにされるとともに,レジスチン,RBP-4などがあらたに見出された.
一方で,脂肪細胞の大きさとインスリン抵抗性の関係も注目され,肥満による脂肪細胞の大型化に伴い,レプチン抵抗性の誘導やアディポネクチン低下などの“善玉アディポカイン“の作用低下,TNF-α・レジスチン・遊離脂肪酸などの“悪玉アディポカイン”の増加がインスリン抵抗性の誘導につながることが明らかにされた.最近では肥満によるインスリン抵抗性と炎症との関係も注目されている.肥満者の脂肪組織にはマクロファージが集積し,炎症性サイトカインの源になるとともに脂肪細胞の形質転換に関与していることが明らかにされた.現在,脂肪細胞は高血糖による酸化ストレス,多数の蛋白質の分泌によるERストレスを受けやすい細胞と考えられている.炎症により活性化するJNKやNF-κBなどを介したパスウェイのインスリン抵抗性における役割も明らかにされつつある.
本別冊では,メタボリックシンドロームの最新の研究の成果を現在第一線で活躍中の研究者の方々に御執筆いただいた.これまでさまざまな側面からアプローチされてきたものを整理し,各分野の課題や論点を読者の方々が対比することにより統合的に理解できるような構成に配慮した.とくに,代謝の研究者と循環器・動脈硬化の研究者のアプローチを対比して読めるような構成にした.それぞれの研究成果が全体のなかでどのような位置づけにあるのかを,その研究分野が生まれてきた背景も含めて読者の方々が理解する一助となれば幸いである.
はじめに(戸辺一之)
第1章 分子病態研究の新展開―代謝面と血管面のクロストーク
1.アディポカイン:代謝の面から―インスリン感受性を制御し,メタボリックシンドローム発症にかかわるアディポカイン(山内敏正・門脇 孝)
●アディポカイン
●高脂肪食負荷・FFAによるインスリン抵抗性惹起メカニズム
●TNF-αによるインスリン抵抗性惹起メカニズム
●インスリン感受性調節におけるレプチンの役割
●抗糖尿病・抗動脈硬化ホルモン,アディポネクチン
●インスリン抵抗性惹起性のアディポカインとして同定されたレジスチン
●おわりに
2.アディポカイン:血管の面から―心血管病治療の分子標的・メタボリックシンドロームのあらたな病態評価マーカーとしてのアディポサイトカイン(木原進士)
●アディポサイトカイン
●脂肪組織・血管におけるマクロファージの意義
●アディポサイトカイン,マクロファージ分泌因子の相互作用
●アディポネクチンの心血管病治療への応用
●おわりに
3.炎症・ストレス:代謝の面から―脂肪組織・肝における炎症・ストレスとメタボリックシンドローム(植木浩二郎)
●肥満と脂肪組織の炎症
●脂肪細胞や肝細胞の炎症性変化と酸化ストレス
●肝における小胞体(ER)ストレス
●おわりに
4.炎症・ストレス:血管の面から―メタボリックシンドロームにおける動脈硬化予防をめざした薬物治療法の可能性(平瀬徹明・野出孝一)
●メタボリックシンドロームとインスリン抵抗性
●インスリン抵抗性とアンジオテシンII
●インスリン抵抗性・糖代謝異常に伴う血管障害
●脂質代謝とアンジオテンシンII
●スタチンの動脈硬化抑制作用
●今後の展望
5.転写因子:代謝の面から―PPARαとSREBP-1cによる栄養代謝と病態(島野 仁)
●エネルギー代謝転写因子研究の展開とメタボリックシンドローム
●代謝面と血管面のクロストーク
●脂質代謝と炎症のクロストーク
●生理作用の延長としての病態
●メタボリックシンドロームの標的PPARα―脂肪分解の視点から
●脂肪酸合成転写因子SREBP-1cとメタボリックシンドローム
●SREBP-1cと肝インスリン抵抗性
●β細胞におけるSREBP-1cとインスリン分泌不全
●新規インスリン抵抗性改善転写因子TFE3
6.転写因子:血管の面から―血管と脂肪の両者を制御する転写因子KLF5(真鍋一郎)
●血管と脂肪組織における慢性炎症
●血管と脂肪細胞の両者で機能する転写因子
●血管リモデリングと脂肪細胞分化に働く転写因子KLF5
●おわりに
第2章 診断基準・診断法の新展開
7.メタボリックシンドロームの診断基準(岡内幸義・船橋 徹)
●メタボリックシンドロームの概念
●メタボリックシンドロームの診断基準
●メタボリックシンドロームとアディポサイトカイン
●メタボリックシンドロームの治療戦略
8.診断基準をめぐる問題点(原 一雄)
●American Diabetes Association(ADA)/European Association for the Study of Diabetes(EASD)による提言
●現在のメタボリックシンドローム診断基準は心血管疾患の予測に有効か―WHOによる診断基準および NCEP-ATPIIIによる診断基準に対して
●新しいメタボリックシンドローム診断基準は心血管疾患の予測に有効か―IDFによる診断基準に対して
●ウェスト周囲径
●おわりに
第3章 最新治療エビデンス
9.糖代謝:PROactive(高橋まゆみ・寺内康夫)
●PROactive研究の概要
●PROactive研究の結果
●PROactive研究の質
●安全性
●心筋梗塞の既往のある2型糖尿病患者についてのサブ解析
●おわりに
10.糖代謝:Japan Diabetes Complications Study(JDCS)(曽根博仁・山田信博・JDCSグループ)
●日本人糖尿病患者の大規模臨床研究
●メタボリックシンドロームの診断とその意義
●糖尿病患者におけるメタボリックシンドローム診断の意義
●日本人糖尿病患者におけるメタボリックシンドローム診断の有用性
●おわりに
11.メタボリックシンドロームと高血圧(岩嶋義雄・楽木宏実・荻原俊男)
●内臓肥満に伴う高血圧発症機序
●アディポサイトカインと高血圧の関連
●尿酸と高血圧との関連
●ガイドラインに示されているメタボリックシンドロームを合併する高血圧患者の降圧治療
●インスリン抵抗性改善効果のある降圧薬
●降圧薬のアディポサイトカインへの影響
●レニン-アンジオテンシン系阻害薬の新規糖尿病発症抑制効果
●おわりに
第4章 メタボリックシンドロームの理解に必要な最新研究動向
疫学
12.端野・壮瞥町研究(斎藤重幸・浦 信行)
●MSの診断基準と有病率
●MSの構成要因
●MSと surrogated endpoint
●MSの予後
13.疫学からみた日本人の糖尿病とメタボリックシンドローム(伊藤千賀子)
●メタボリックシンドロームとその診断基準の推移
●日本人における内臓脂肪面積と腹囲(国際基準),body mass index(BMI)の関連
●メタボリックシンドロームの頻度
●おわりに
基礎研究
【シグナル・パスウェイ】
14.インスリン感受性を調節するシグナル(窪田直人・戸辺一之・門脇 孝)
●インスリンシグナル
●PPARγ
15.レプチン抵抗性の分子機構―SOCS3の解析を中心として(吉村昭彦・佐藤直一)
●レプチン
●レプチンのシグナル伝達機構
●レプチン抵抗性
●レプチンシグナルの負の制御機構
●SOCS3 コンディショナルノックアウトマウスの解析
●脳内SOCS3はレプチン耐性に関与する
●SOCS3はインスリンシグナルも負に制御する
●おわりに
16.脂肪細胞におけるグルココルチコイド活性化―アディポステロイド:メタボリックシンドローム病態基盤(益崎裕章・泰江慎太郎・中尾一和)
●脂肪細胞機能異常症―メタボリックシンドロームの基盤
●メタボリックシンドロームにおける11β-HSD1の役割
●遺伝子操作マウスから得られた知見
●期待される創薬標的
17.摂食調節分子のシグナル(上野浩晶・中里雅光)
●摂食調節機構総論
●摂食調節分子
●おわりに
18.細胞内ストレスと糖尿病―酸化ストレスおよび小胞体ストレス(金藤秀明)
●糖尿病状態における酸化ストレスの増加
●酸化ストレスを介した膵β細胞機能障害
●酸化ストレスを介したインスリン抵抗性
●糖尿病状態における小胞体ストレスの増加
●小胞体ストレスを介した膵β細胞機能障害
●小胞体ストレスを介したインスリン抵抗性
●おわりに
19.AMPキナーゼとエネルギー代謝調節―AMPキナーゼによる摂食・代謝調節作用(箕越靖彦)
●AMPキナーゼの活性調節機構
●糖・脂質代謝に及ぼすAMPキナーゼの調節作用
●摂食行動に及ぼすAMPキナーゼの調節作用
●おわりに
20.メタボリックシンドロームの原因遺伝子(後藤田貴也)
●メタボリックシンドロームの遺伝因子の存在
●因子分析による危険因子の重複機序
●メタボリックシンドロームの候補遺伝子
●ゲノムワイド連鎖解析による原因遺伝子座の探索
●おわりに
【臓器】
21.細胞周期と脂肪細胞の分化・肥大化(酒井太門・阪上 浩)
●肥満における脂肪細胞数の意義
●脂肪細胞のライフサイクル
●細胞周期(増殖機構)と脂肪細胞分化の接点
●細胞周期(増殖機構)と細胞肥大化の接点
●おわりに
22.肝の糖代謝とメタボリックシンドローム(小川 渉)
●メタボリックシンドロームにおけるインスリン抵抗性の位置づけ
●グルコース取り込みとグルコース6リン酸(G6P)代謝
●グリコーゲンの合成と分解の制御
●糖新生制御のメカニズム
●転写コアクチベータによる糖新生酵素遺伝子発現の調節
●Fox01 と糖新生系遺伝子発現制御
●中枢神経を介した肝糖産生制御
●肝のインスリン抵抗性にかかわる諸分子
23.脂肪細胞とマクロファージの相互作用(小川佳宏)
●肥満の脂肪組織の変化とマクロファージの浸潤
●脂肪細胞とマクロファージの共培養系
●脂肪細胞とマクロファージのパラクリン調節
●肥満の脂肪組織における脂肪細胞とマクロファージの相互作用
●脂肪組織におけるvicious cycle
●脂肪組織リモデリング
●おわりに
24.メタボリックシンドローム発症におけるMCP-1の役割(亀井 望・戸辺一之・門脇 孝)
●MCP-1と動脈硬化
●MCP-1とインスリン抵抗性
●おわりに
【臨床】
25.高分子量アディポネクチン(堀越桃子)
●アディポネクチンの多量体構造
●高分子量アディポネクチンと糖尿病
●高分子量アディポネクチンとインスリン抵抗性
●高分子量アディポネクチンとメタボリックシンドローム
●おわりに
26.細胞内脂質とメタボリックシンドローム(田村好史・綿田裕孝)
●1H-MRSによる細胞内脂質測定法
●臓器内脂肪蓄積の原因とインスリン抵抗性発生メカニズム
●2型糖尿病における食事,運動療法の細胞内脂質,インスリン抵抗性に対する作用
●肥満症に対する食事療法の効果
●細胞内脂質とメタボリックシンドロームの関係とその治療法
27.カンナビノイド拮抗薬:リモナバン―新しい食欲抑制薬(宮崎 滋)
●内因性カンナビノイド系
●体重減少効果
●メタボリックシンドロームに対する効果
●安全性
●リモナバンの喫煙抑制作用
●おわりに
【その他・最新トピックス】
28.血管新生と肥満の連関―メタボリック症候群と血管新生因子(尾池雄一)
●脂肪組織と血管新生
●血管新生制御による肥満治療の可能性
●“血管新生“と“代謝”をリンクさせるアンジオポエチン様因子
●おわりに
29.核内受容体を介した炎症制御機構(小川純人)
●核内受容体の分子構造と転写活性化
●転写共役因子群を介した転写制御機構
●核内受容体を介したトランスリプレッション
●おわりに
●サイドメモ目次
脂肪毒性 lipotoxicity仮説
リポジェニック酵素とリポジェネシス
チアゾリジン薬の抗動脈硬化作用の分子基盤
腹囲の測定
CIS/SOCSファミリー
HapMap project
shRNA(short hairpin RNA)
第1章 分子病態研究の新展開―代謝面と血管面のクロストーク
1.アディポカイン:代謝の面から―インスリン感受性を制御し,メタボリックシンドローム発症にかかわるアディポカイン(山内敏正・門脇 孝)
●アディポカイン
●高脂肪食負荷・FFAによるインスリン抵抗性惹起メカニズム
●TNF-αによるインスリン抵抗性惹起メカニズム
●インスリン感受性調節におけるレプチンの役割
●抗糖尿病・抗動脈硬化ホルモン,アディポネクチン
●インスリン抵抗性惹起性のアディポカインとして同定されたレジスチン
●おわりに
2.アディポカイン:血管の面から―心血管病治療の分子標的・メタボリックシンドロームのあらたな病態評価マーカーとしてのアディポサイトカイン(木原進士)
●アディポサイトカイン
●脂肪組織・血管におけるマクロファージの意義
●アディポサイトカイン,マクロファージ分泌因子の相互作用
●アディポネクチンの心血管病治療への応用
●おわりに
3.炎症・ストレス:代謝の面から―脂肪組織・肝における炎症・ストレスとメタボリックシンドローム(植木浩二郎)
●肥満と脂肪組織の炎症
●脂肪細胞や肝細胞の炎症性変化と酸化ストレス
●肝における小胞体(ER)ストレス
●おわりに
4.炎症・ストレス:血管の面から―メタボリックシンドロームにおける動脈硬化予防をめざした薬物治療法の可能性(平瀬徹明・野出孝一)
●メタボリックシンドロームとインスリン抵抗性
●インスリン抵抗性とアンジオテシンII
●インスリン抵抗性・糖代謝異常に伴う血管障害
●脂質代謝とアンジオテンシンII
●スタチンの動脈硬化抑制作用
●今後の展望
5.転写因子:代謝の面から―PPARαとSREBP-1cによる栄養代謝と病態(島野 仁)
●エネルギー代謝転写因子研究の展開とメタボリックシンドローム
●代謝面と血管面のクロストーク
●脂質代謝と炎症のクロストーク
●生理作用の延長としての病態
●メタボリックシンドロームの標的PPARα―脂肪分解の視点から
●脂肪酸合成転写因子SREBP-1cとメタボリックシンドローム
●SREBP-1cと肝インスリン抵抗性
●β細胞におけるSREBP-1cとインスリン分泌不全
●新規インスリン抵抗性改善転写因子TFE3
6.転写因子:血管の面から―血管と脂肪の両者を制御する転写因子KLF5(真鍋一郎)
●血管と脂肪組織における慢性炎症
●血管と脂肪細胞の両者で機能する転写因子
●血管リモデリングと脂肪細胞分化に働く転写因子KLF5
●おわりに
第2章 診断基準・診断法の新展開
7.メタボリックシンドロームの診断基準(岡内幸義・船橋 徹)
●メタボリックシンドロームの概念
●メタボリックシンドロームの診断基準
●メタボリックシンドロームとアディポサイトカイン
●メタボリックシンドロームの治療戦略
8.診断基準をめぐる問題点(原 一雄)
●American Diabetes Association(ADA)/European Association for the Study of Diabetes(EASD)による提言
●現在のメタボリックシンドローム診断基準は心血管疾患の予測に有効か―WHOによる診断基準および NCEP-ATPIIIによる診断基準に対して
●新しいメタボリックシンドローム診断基準は心血管疾患の予測に有効か―IDFによる診断基準に対して
●ウェスト周囲径
●おわりに
第3章 最新治療エビデンス
9.糖代謝:PROactive(高橋まゆみ・寺内康夫)
●PROactive研究の概要
●PROactive研究の結果
●PROactive研究の質
●安全性
●心筋梗塞の既往のある2型糖尿病患者についてのサブ解析
●おわりに
10.糖代謝:Japan Diabetes Complications Study(JDCS)(曽根博仁・山田信博・JDCSグループ)
●日本人糖尿病患者の大規模臨床研究
●メタボリックシンドロームの診断とその意義
●糖尿病患者におけるメタボリックシンドローム診断の意義
●日本人糖尿病患者におけるメタボリックシンドローム診断の有用性
●おわりに
11.メタボリックシンドロームと高血圧(岩嶋義雄・楽木宏実・荻原俊男)
●内臓肥満に伴う高血圧発症機序
●アディポサイトカインと高血圧の関連
●尿酸と高血圧との関連
●ガイドラインに示されているメタボリックシンドロームを合併する高血圧患者の降圧治療
●インスリン抵抗性改善効果のある降圧薬
●降圧薬のアディポサイトカインへの影響
●レニン-アンジオテンシン系阻害薬の新規糖尿病発症抑制効果
●おわりに
第4章 メタボリックシンドロームの理解に必要な最新研究動向
疫学
12.端野・壮瞥町研究(斎藤重幸・浦 信行)
●MSの診断基準と有病率
●MSの構成要因
●MSと surrogated endpoint
●MSの予後
13.疫学からみた日本人の糖尿病とメタボリックシンドローム(伊藤千賀子)
●メタボリックシンドロームとその診断基準の推移
●日本人における内臓脂肪面積と腹囲(国際基準),body mass index(BMI)の関連
●メタボリックシンドロームの頻度
●おわりに
基礎研究
【シグナル・パスウェイ】
14.インスリン感受性を調節するシグナル(窪田直人・戸辺一之・門脇 孝)
●インスリンシグナル
●PPARγ
15.レプチン抵抗性の分子機構―SOCS3の解析を中心として(吉村昭彦・佐藤直一)
●レプチン
●レプチンのシグナル伝達機構
●レプチン抵抗性
●レプチンシグナルの負の制御機構
●SOCS3 コンディショナルノックアウトマウスの解析
●脳内SOCS3はレプチン耐性に関与する
●SOCS3はインスリンシグナルも負に制御する
●おわりに
16.脂肪細胞におけるグルココルチコイド活性化―アディポステロイド:メタボリックシンドローム病態基盤(益崎裕章・泰江慎太郎・中尾一和)
●脂肪細胞機能異常症―メタボリックシンドロームの基盤
●メタボリックシンドロームにおける11β-HSD1の役割
●遺伝子操作マウスから得られた知見
●期待される創薬標的
17.摂食調節分子のシグナル(上野浩晶・中里雅光)
●摂食調節機構総論
●摂食調節分子
●おわりに
18.細胞内ストレスと糖尿病―酸化ストレスおよび小胞体ストレス(金藤秀明)
●糖尿病状態における酸化ストレスの増加
●酸化ストレスを介した膵β細胞機能障害
●酸化ストレスを介したインスリン抵抗性
●糖尿病状態における小胞体ストレスの増加
●小胞体ストレスを介した膵β細胞機能障害
●小胞体ストレスを介したインスリン抵抗性
●おわりに
19.AMPキナーゼとエネルギー代謝調節―AMPキナーゼによる摂食・代謝調節作用(箕越靖彦)
●AMPキナーゼの活性調節機構
●糖・脂質代謝に及ぼすAMPキナーゼの調節作用
●摂食行動に及ぼすAMPキナーゼの調節作用
●おわりに
20.メタボリックシンドロームの原因遺伝子(後藤田貴也)
●メタボリックシンドロームの遺伝因子の存在
●因子分析による危険因子の重複機序
●メタボリックシンドロームの候補遺伝子
●ゲノムワイド連鎖解析による原因遺伝子座の探索
●おわりに
【臓器】
21.細胞周期と脂肪細胞の分化・肥大化(酒井太門・阪上 浩)
●肥満における脂肪細胞数の意義
●脂肪細胞のライフサイクル
●細胞周期(増殖機構)と脂肪細胞分化の接点
●細胞周期(増殖機構)と細胞肥大化の接点
●おわりに
22.肝の糖代謝とメタボリックシンドローム(小川 渉)
●メタボリックシンドロームにおけるインスリン抵抗性の位置づけ
●グルコース取り込みとグルコース6リン酸(G6P)代謝
●グリコーゲンの合成と分解の制御
●糖新生制御のメカニズム
●転写コアクチベータによる糖新生酵素遺伝子発現の調節
●Fox01 と糖新生系遺伝子発現制御
●中枢神経を介した肝糖産生制御
●肝のインスリン抵抗性にかかわる諸分子
23.脂肪細胞とマクロファージの相互作用(小川佳宏)
●肥満の脂肪組織の変化とマクロファージの浸潤
●脂肪細胞とマクロファージの共培養系
●脂肪細胞とマクロファージのパラクリン調節
●肥満の脂肪組織における脂肪細胞とマクロファージの相互作用
●脂肪組織におけるvicious cycle
●脂肪組織リモデリング
●おわりに
24.メタボリックシンドローム発症におけるMCP-1の役割(亀井 望・戸辺一之・門脇 孝)
●MCP-1と動脈硬化
●MCP-1とインスリン抵抗性
●おわりに
【臨床】
25.高分子量アディポネクチン(堀越桃子)
●アディポネクチンの多量体構造
●高分子量アディポネクチンと糖尿病
●高分子量アディポネクチンとインスリン抵抗性
●高分子量アディポネクチンとメタボリックシンドローム
●おわりに
26.細胞内脂質とメタボリックシンドローム(田村好史・綿田裕孝)
●1H-MRSによる細胞内脂質測定法
●臓器内脂肪蓄積の原因とインスリン抵抗性発生メカニズム
●2型糖尿病における食事,運動療法の細胞内脂質,インスリン抵抗性に対する作用
●肥満症に対する食事療法の効果
●細胞内脂質とメタボリックシンドロームの関係とその治療法
27.カンナビノイド拮抗薬:リモナバン―新しい食欲抑制薬(宮崎 滋)
●内因性カンナビノイド系
●体重減少効果
●メタボリックシンドロームに対する効果
●安全性
●リモナバンの喫煙抑制作用
●おわりに
【その他・最新トピックス】
28.血管新生と肥満の連関―メタボリック症候群と血管新生因子(尾池雄一)
●脂肪組織と血管新生
●血管新生制御による肥満治療の可能性
●“血管新生“と“代謝”をリンクさせるアンジオポエチン様因子
●おわりに
29.核内受容体を介した炎症制御機構(小川純人)
●核内受容体の分子構造と転写活性化
●転写共役因子群を介した転写制御機構
●核内受容体を介したトランスリプレッション
●おわりに
●サイドメモ目次
脂肪毒性 lipotoxicity仮説
リポジェニック酵素とリポジェネシス
チアゾリジン薬の抗動脈硬化作用の分子基盤
腹囲の測定
CIS/SOCSファミリー
HapMap project
shRNA(short hairpin RNA)








