やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに

 大阪大学大学院医学系研究科情報薬理学講座 倉智嘉久

 本誌はイオンチャネルの特集である.イオンチャネルの研究には,この20年の間にパッチクランプ法の確立と種々の細胞への適応,そして分子生物学の手法による研究の発展による多くのイオンチャネル遺伝子の単離・同定などがあり,その理解は長足に進歩した.生理的あるいは病態時における種々のイオンチャネルの働きや薬物作用の動態の理解,チャネル病の概念の確立など,イオンチャネルをめぐる種々の発展には枚挙にいとまがない.最近では一部のイオンチャネルの三次元構造も明らかとなった.すなわち,遺伝子,分子,構造,機能など,イオンチャネルに関しては必要な情報がすべてそろいつつあるといえよう.
 イオンチャネルに関しての最近の研究の進歩をまとめてみると,以下の8項目をあげることができる.
 (1) 多くのイオンチャネルの遺伝子が単離・同定された.
 (2) イオンチャネル遺伝子の改変動物が作製され,検討が進みつつある.
 (3) 遺伝性のイオンチャネル病の研究が進んでいる.
 (4) イオンチャネルの発現制御や機能・位置制御のシグナル機構が明らかになりつつある.
 (5) いくつかのイオンチャネル蛋白の結晶構造が明らかとなり,分子機能制御の機構が原子レベルで解明されつつある.
 (6) イオンチャネルの多機能性が明らかになりつつある.
 (7) translational researchと適切な病態モデルの重要性が認識されつつある.
 (8) in silicoの研究が進みつつある.
 これらの最近の進歩を基盤として,これからどのようにすればイオンチャネルの研究領域がさらに進展し,広く生物科学の発展にいかに貢献しうるのか,さらにはチャネル病の治療法の開発や有用な治療薬の開発など,現実的な果実を生むようになるのか,イオンチャネル研究の特徴などを種々考えながら私見を述べてみたい.

 Channelopathyから考えるイオンチャネルの特徴
 遺伝性 QT延長症候群,種々の筋肉病,Liddle症候群や Bartter症候群などの腎疾患,遺伝性痙攣など,いくつもの疾患の原因がチャネル遺伝子の異常であることが明らかになり,“チャネル病”という概念が定着してきた1).このときに気づくチャネル病の大きな特徴は,多くのチャネル病ではその原因遺伝子の異常が loss of functionの表現型でありながら autosomal dominantな遺伝形式を示す場合が数多く認められることである.一般に loss of functionの遺伝子異常は,autosomal recessiveな遺伝形式を示すものであるので,これはかなり特徴的であると思われる.この現象の説明のために遺伝子異常産物による dominant negative効果が強調されることが多いが,実際には haploinsufficiencyとなる異常でも autosomal dominantな遺伝形式を示すことが多くある.このことはイオンチャネルが criticalな細胞生理機能の制御に関与していることを端的に示していると考えられる.それではイオンチャネルの生理的な働きにはどのようなものがあろうか.
 イオンチャネルの第1の役割は細胞自体の電気特性を規定することである.すなわち,イオンチャネルはある細胞の静止膜電位や活動電位の形成を行っている.loss of functionの異常が autosomal dominantな遺伝形式となっているイオンチャネルはこれらの働きを行っている場合が多い.イオンチャネルはそのほか,電気活動の伝導を担ったり Ca2+などのイオンシグナルを細胞内へ供給したりする.骨格筋の Ca2+チャネルは電位センサとして働いている.さらには種々の上皮細胞やグリア細胞のように Na+・K+・Cl-チャネルなどがイオン輸送体としての役割を担っている場合もある.この場合にはそのチャネル遺伝子の loss of functionの異常は autosomal recessiveな遺伝形式をとっている.代表的なものに CFTR-Cl-チャネルの異常による cystic fibrosisや ROMKチャネルの異常による Bartter症候群などがある.

 イオンチャネルの生理的役割を決定している因子と異常を起こす機序
 上記のように,あるイオンチャネルの異常,あるいは薬理学的修飾がどのような結果をもたらすかは,それぞれのチャネルが担っている生理的役割に大きく規定されていると考えられる.したがって,それぞれのイオンチャネルの生理機能を決定している要素について明らかにすることは重要な研究項目である.
 これらの要素には,(1)イオンチャネル蛋白をコードする遺伝子発現制御,(2)蛋白合成から細胞膜への細胞内ソーティング,(3)細胞膜上での局在制御機構,(4)イオンチャネル蛋白機能制御機構(イオン透過・ゲート機構),(5)細胞内へのエンドサイトーシスからの分解機構などが含まれる.種々のチャネル病において,これらの要素のいずれかの段階の異常によって引き起こされていることが同定されている.それぞれの要素に関しても解決していない生理学的疑問点が数多くあり,研究途上である.これらの疑問は,現在の生命科学の中心課題を数多く包含している.さらには最近のチャネル蛋白分子の原子構造解析の進歩や脂質-蛋白相互作用の研究の進歩などにより,まったく新しいレベルでの研究が可能になりつつある.また,イオンチャネルの生理的役割を規定している各要素に関しての細胞生物学的な研究は,いまだ緒についたばかりである.
 たとえば,心筋細胞のイオンチャネルを考えてみる.心筋細胞イオンチャネルは心臓各部で特徴的な発現・分布をしていることにより,心臓内の電気的分化を起こしており,このことにより心臓のポンプ機能を保証している.心臓発生過程におけるこれらの発現制御などには,いまだ手つかずの主題が多くある.
 最近,心臓特異的なホメオボックス遺伝子(Csx/Nkx2.5)の異常が心房中壁欠損などの先天性心臓奇形を起こすこと,さらにある種の K+チャネルの発現を低下させることにより,心房細動や房室伝導障害など種々の不整脈を遺伝的に引き起こしていることが,Harvard大学の出雲らにより明らかにされた2).心臓奇形,ある種の不整脈など,従来は sporadicと考えられていた種々の心疾患が転写因子レベルでの異常(転写因子病)であったことが判明してきたわけである.これは従来にはなかった疾患概念であり,基礎的な生物科学としての心臓発生の研究が心臓不整脈やイオンチャネルの研究に根本的な impactを与えている例のひとつである.また,竹島らによる T管系の diadを構成する新規蛋白 junctophyllineの発見3)などから,心筋細胞構築と興奮-収縮連関を中心とした心筋細胞機能制御に関しての新しい考え方の展開も起こってきている.
 ある細胞膜ドメインへのイオンチャネルの局在制御に関しての研究は神経細胞や上皮細胞での研究が進んでいるが,最近では心筋細胞でも,たとえば PDZドメインをもつアンカー蛋白と K+チャネルの位置制御などの関連が明らかにされたりしだしている.また,scaffold蛋白によるシグナル分子群の複合体形成によるチャネル機能制御の機構が明らかとなってきたりしており4),種々の発生・細胞生物学的研究の進展が心筋細胞の電気活動の生理的制御機構の解明や,さらには再生医療も含めた心筋細胞イオンチャネル研究に大きな影響を与えつつある.

 構造生物学のイオンチャネル研究に与えるインパクト
 イオンチャネルに関連した最近の特筆すべき進歩は,MacKinnonらによるチャネル蛋白の結晶構造解析の成功である5).KcsAという細菌の K+チャネルの構造が 3Åのオーダーで明らかになった.このことにより,とくにイオン選択や透過性の機構が原子レベルで明確になった.また,チャネルの不活性化の機構に関しても構造的理解が飛躍的に進展した.これを嚆矢として,アクアポリン水チャネルの構造や P型ポンプ,ABC蛋白,あるいは Cl-チャネルなど,多くのチャネルに関連した膜蛋白の構造が原子レベルで明らかとなり,新時代の到来を実感させている.一方,イオンチャネル機能の構造的理解については,従来の電気生理学的検討から提唱されていた理論的な想定がかなりの精度で正しかったことも指摘しておかなければならない.
 いずれにしても,構造生物学の進歩はチャネル蛋白の機能の理解に根拠を与える.種々の蛋白相互作用や薬物作用などの検討も,実体を想定した解釈が可能となってきている.現在ではいまだ膜蛋白の結晶化などには経験と直感が必要とされているが,方法論の進歩は今後ますます加速されることが当然予想される.網羅的に蛋白構造を決定しようという試みも現在進行中であり,種々のイオンチャネルの構造もつぎつぎと明らかにされることになると考えられる.静的な構造ばかりではなく,チャネル蛋白の動的制御に関しての検出方法に関しても進歩が期待される.一方,これからの機能の研究が構造の理解を飛躍させる.パッチクランプ法では1個のチャネル蛋白の機能を直接観察してきたわけであるが,さらに蛋白構造変化を高感度に計測することが可能になれば,情報が飛躍的に増大し,分子機械としてのイオンチャネルの実像がよりリアルに理解されるようになると考えられる.この分子機械を自由に制御したり何かに組み込んだりする種々のナノレベル操作技術も進展することは間違いないし,進展させなければならない.そのとき,何のためにどのような操作が必要か,ある開発された操作を用いて何を明らかにできるか,それらを判断するための統合生理学的な視点が重要となる.

 Drug-likeという概念の重要性
 本特集では取り上げる余裕はなかったが,イオンチャネルは重要な創薬標的である.ヒトゲノム配列が一応解読され,創薬標的となる遺伝子約 7,000 個のなかで,イオンチャネル遺伝子は約 1,000 個あると考えられている.種々の薬物のなかで,イオンチャネルを標的とする薬物は1996年の時点で約 5%であるとされているので,イオンチャネルは未開発のこれからも有望な創薬標的であると考えられている.チャネル病において,loss of functionの異常が autosomal dominantな遺伝形式を示すような役割を担うイオンチャネルの薬理学的修飾がいかに工夫を要することであるかは容易に想像できるし,また薬理学的な修飾が比較的容易な対象となるイオンチャネルを考えることもできる.
 しかしチャネル病の特性などを考えると,イオンチャネルを標的とする薬物はさらにその作用動態の特性をよく検討することが drug-like compoundsをみつけだすときに非常に重要であると考えられる.すなわち,イオンチャネルを標的とする創薬においては,単に標的蛋白を活性化したり阻害したりする薬物を合成すればよいというものではない.たとえば,現在抗不整脈薬として広く一般的に使用されている Na+チャネル阻害薬はすべてコカインの誘導体である.つまり,現在の classI薬は Na+チャネルの1カ所の作用部位に作用する薬物群である.Na+チャネルにはその機能を阻害しうる作用部位は何カ所もあるが,代表的な Na+チャネル阻害物質であるテトロドトキシンやその誘導体は治療薬として使用されてはいない.このことは,イオンチャネルが細胞機能制御において criticalな働きをしていることを意味するとともに,疾患治療に有効なイオンチャネルの修飾法が非常に限られていることを端的に示している.したがって,実際にある疾患に対して有効性があることがこれまでに確立しているイオンチャネル作用薬物の研究が非常に重要であると著者は考えている.
 たとえば,K+チャネル開口薬(KCO)について考えてみよう.血管拡張薬である種々の KCOの標的は ATP感受性 K+チャネルである.薬理実験では血管の弛緩拡張を起こすという非常に明確な効果を示した.しかし,多くの薬物のなかで実際の臨床治療に用いられている KCOは,diazoxideと nicorandilのみ(発毛剤の minoxidilは除いている)である.その他の pinacidilや cromakalimといった典型的な KCOは,実際の臨床治療には用いられていない.これまでに著者らの種々の検討から前二者に共通の作用特性,すなわち diazoxideと nicorandilの作用には細胞内のヌクレオシド二リン酸の存在が必須であることが明らかとなってきた6).この特性は,その他の KCOには存在しない.この特性と臨床効果,あるいは副作用発生との関連はいまだ明確ではないが,drug-like compoundsを選択するためのひとつの指標が提案できると考えられる.
 つぎに,classIIIの抗不整脈薬について考えてみる.amiodaroneが classIIIに分類されていること,あるいは活動電位の延長による不応期の延長が実験的に不整脈治療効果が非常に高かったことから,dofetilide,E-4031 など種々の classIIIの抗不整脈薬が開発された.ところが,遺伝性 QT延長症候群の原因が HERG(IKr)や KCNQ1(IKs)など,心筋細胞の外向き K+チャネルを構成する遺伝子の loss of functionの異常であることが明らかになったことや,抗ヒスタミン薬の心副作用の原因が IKr電流の抑制によることなどがわかってきたことなどがあり,急速に開発の熱が去ってしまっている.classIII,とくに IKr電流に特異的に作用する薬物は逆頻度依存的な活動電位の延長を起こすと考えられている.著者らの検討では vesnarinoneは IKr電流を特異的に阻害するが,dofetilideなどとはまったく異なった作用動態を示すために逆頻度依存性を示しにくいと考えられた7).いまだ結論に達したわけではないが,薬物作用動態をさらに検討することにより安全性の高い classIII薬を開発できる可能性があると考えている.
 以上のように,有用性が明確な薬物の作用を詳細に検討するという研究は地味ではあるが,イオンチャネルを標的とした有用な薬物の開発にとって非常に重要であると考えられる.その意味では amiodaroneの研究はとくに重要であるといえるであろう.

 Translation researchのための病態生理研究
 イオンチャネルの研究は,これまで主として生理的条件下での実験研究が中心であった.生理的条件下での実験結果を基礎に,病態生理の機構を推定していたわけで,病態自体を真正面から扱うことは少なかったといわざるをえない.最近の分子生物学的なイオンチャネル,トランスポーター,その他の種々の構成要素に関しての研究の進歩,あるいはゲノム科学の思想を基盤とした網羅的解析法の発展は,状況を変化させつつある.このときに必要不可欠な研究のひとつは,適切な病態モデルの確立であろう.遺伝子改変動物によりそのような病態モデルが提供される場合もあるが,またほかの種々の方法による病態モデルの確立とその網羅的な検討が,ある病態の治療戦略を考えるためには重要である.イオンチャネルをめぐるこれらの研究にとって,ひとつの重要な領域と考えられる.
 心筋肥大と不整脈に関して,最近シカゴの Loyolla大学の Donald Bersらは,高率に心室頻拍で死亡する圧・容量負荷による心肥大のモデルをウサギで確立している8).彼らは,このウサギモデルでは Na-Ca交換蛋白の up-regulation,SERCA2 の down-regulation,そしてβ受容体シグナル系の残存による修飾機構などが高率の心室頻拍の発生と心収縮力の減弱の基盤となっていることを示し,Na-Ca交換機構がひとつの治療標的となりうることを示した.基礎研究をいかに実際の臨床治療に結びつけていくかという translational researchを考えたときには,このような適切な疾患モデルの確立とその検討がさらに重要性を増してくる.

 in silico研究の重要性
 上に述べてきたように,イオンチャネルの素子としての実体や特性,あるいは細胞生物学的側面に関しての研究は進みつつある.しかし,統合的に心臓,腎や中枢神経系といった種々の器官機能を理解し病態を解決するためには,種々の素過程から組織,器官全体へと理解を積み上げていくことが必要である.各器官は,種々の特性をもった細胞,組織の集合体である.この集合体としての器官におけるイオンチャネルなどの生理的役割や病態時の働きなどを定量的に理解し,さらにその治療法を考えて開発するためには,器官全体としての実験検討が必要であるばかりでなく,素過程から全体を再構成する方法の確立が不可欠である.この目的を達成するために,in silicoでイオンチャネル素子から器官全体の機能を再構成することが非常に重要となってきていると考えている.ちなみに,前項において心臓肥大病態モデルから不整脈治療において Na-Ca交換機構が治療標的となることが指摘されたと書いたが,実際に心筋細胞の電気活動のモデルにおいて,Na-Ca交換機構を阻害すると,むしろ不整脈が増悪する可能性が強いことが指摘されている.この結果は,Na-Ca交換阻害薬によって実験的不整脈が増悪するという実験結果と一致している.複雑な系の反応を直感的に判断するのは非常に難しいことは明白である.in silicoによる定量的な検討が今後ますます求められてくる.

 おわりに
 以上,イオンチャネルをめぐる最近の動向と将来の展望について,著者自身の関心あることについて私見を述べてみた.本特集ではイオンチャネルに関しての遺伝子治療の可能性やその開発,再生医療・組織工学的手法など,割愛した重要な課題が多く残っている.21 世紀は生命科学がさらに大きく発展し,その影響は測り知れない.さらなる生命科学の進歩には,新しい概念の確立と方法論の開発が必要なのはいうまでもない.そのなかで,とくに異分野融合による方法論の発展をはかることの重要性と,それによってもたらされる概念の革新がひとつの鍵になると考えている.

 文献
 1)倉智嘉久:心筋細胞イオンチャネル.文光堂,2000.
 2)Tanaka,M.et al.:(submitted)
 3)Takeshima,H.et al.:Mol.Cell,6:11-22,2000.
 4)Marx,S. O.et al.:Science,295:496-499,2002.
 5)Doyle,D. A.et al.:Science,280:69-77,1998.
 6)Matsuoka,T.et al.:Circ.Res.,87:873-880,2000.
 7)Katayama,Y.et al.:J.Pharmacol.Exp.Ther.,294:339-346,2000.
 8)Pogwizd,S. M.et al.:Circ.Res.,88:1159-1167,2001.
 はじめに 倉智嘉久

イオンチャネルの一般的特性
  1.イオンチャネルの構造と機能 倉智嘉久
  2.イオンチャネルの機能と位置の制御 石井 優
細胞膜イオンチャネル
 ■ Na +チャネル
  3.電位依存性Na +チャネル――分子と機能の多様性に関する知見 岡村康司
  4.上皮型Na +チャネル――構造・機能と制御機構 丸山良典・新里直美
 ■ Ca+チャネル
  5.高閾値活性化型電位依存性Ca 2 +チャネル――L,P/Q,N,R型Ca 2 +チャネル 赤羽悟美
  6.T型Ca 2 +チャネル――分子機能と病態生理学的かかわり 小野克重・賀来俊彦
  7.TRPチャネル――細胞の恒常性や生存・死を制御するCa 2 +透過型カチオンチャネル 原 雄二・森 泰生
 ■ K +チャネル――Kvチャネル
  8.Kvチャネル――構造と機能および疾患との関連 石井邦明
  9.HERGチャネルとKCNQ1/KCNE1チャネル 辻前賢司
 ■ K +チャネル――Kirチャネル
  10.内向き整流性K +チャネルの整流性を決定するあらたな構造基盤 久保義弘
  11.G蛋白質制御内向き整流性Kチャネル 稲野辺 厚
  12.ATP感受性K +(KATP)チャネルの薬物作用点の構造的理解 松下賢治・他
  13.K +イオン輸送を担うKirチャネル 東 佳代子
  14.膜4回貫通型two-pore domain K +チャネル 藤田秋一
 ■ Cl-チャネル
  15.ClCチャネルと多彩な細胞機能――細胞周期,上皮細胞のイオン輸送,細胞内小胞体酸性化に果たす役割 古川哲史
  16.容積感受性Cl-チャネルとCFTR 岡田泰伸・サビロブ・ラブシャン
 ■ リガンド作働性チャネル
  17.グルタミン酸受容体チャネル 小澤瀞司・掛川 渉
  18.シナプス前神経終末部上のGABAA受容体とストリキニーネ感受性グリシン受容体活性による伝達調節――活動電位依存性および自発性の伝達物質放出を指標として 赤池紀扶・桂林秀太郎
  19.カプサイシン受容体――カプサイシン,酸,熱の3つの痛み刺激を受容するイオンチャネル 沼崎満子・富永真琴
  20.水チャネルの構造と機能――最近の進歩 石橋賢一
細胞内・細胞間のチャネル
  21.リアノジン受容体――結合膜構造におけるリアノジン受容体によるCa 2 +放出  竹島 浩
  22.IP3受容体とCa 2 +シグナル――Ca 2 +シグナルのダイナミズムの分子基盤 飯野正光
  23.ギャップジャンクションチャネル――ギャップジャンクションの構造と心筋興奮伝導 本荘晴朗・児玉逸雄
  24.タイトジャンクションにおけるイオン透過性制御 西信裕美子・古瀬幹夫
臓器でのイオンチャネルの働きと疾患
 ■ 神経・骨格筋系
  25.神経伝達物質放出の制御分子群とCa 2 +チャネル 佐々木卓也
  26.PSDの構造とシナプス伝達 平林 享・畑 裕
  27.グリア細胞機能とイオンチャネル 内田一郎
  28.グルタミン酸受容体チャネルとシナプス可塑性 少作隆子・狩野方伸
  29.電位依存性Na +チャネル・Ca 2 +チャネルと神経疾患 井本敬ニ・松下かおり
  30.ポリグルタミン病――脊髄小脳失調症6型を中心に 常深泰司・水澤英洋
  31.Kチャネルと末梢神経疾患 亀山正樹・林 茂昭
  32.ニコチン性アセチルコリン受容体と神経疾患 尾方克久・後藤 順
  33.骨格筋イオンチャネルと疾患――機能異常と病態への関与 木村 卓・他
 ■ 感覚系
  34.感覚受容細胞とcyclic nucleotide-gatedチャネル 倉橋 隆
  35.網膜内視覚情報処理における電位依存性イオンチャネルの役割――介在ニューロンネットワークによる情報処理 渡辺修一
  36.内耳蝸牛のイオン機構 竹内俊二
  37.痛覚受容イオンチャネル――痛み刺激のコーディングとイオンチャネル 吉村 恵・中塚映政
 ■ 心臓・血管系
  38.遺伝性QT延長症候群 平岡昌和
  39.心筋細胞イオンチャネルのリモデリングと疾患――不整脈の生化学的基質 山下武志
  40.血管平滑筋細胞イオンチャネルとリモデリング 村木克彦・今泉祐治
 ■ 腎臓
  41.腎尿細管におけるイオン・水のtransporterの異常 五十嵐 隆
 ■ 分泌系
  42.KATPチャネルによるインスリン分泌と糖尿病 横倉正明・清野 進
  43.外分泌細胞のイオンチャネル・水チャネル 大城社子・丸山芳夫
  44.脂肪細胞とアクアポリン――脂肪細胞特異的グリセロールチャネル分子・アクアポリンアディポース 岸田 堅・下村伊一郎
 ■ 消化管系
  45.消化管上皮組織機能とイオンチャネル 浅野真司
  46.消化管平滑筋の歩調とり電位発生のイオン機序 鈴木 光・鬼頭佳彦
  47.下痢原性細菌毒素の戦略――細菌毒素はいかにして腸管上皮細胞の選択的イオン透過性を破壊するか 堀口安彦

■サイドメモ
    PDZ蛋白質
    ニューロンにおける電位依存性Naチャネルによるリズム形成の機構
    カルシウム拮抗薬
    T型Ca2+チャネルのクローニング
    KChiP2のノックアウトと心室性不整脈
    KCNQファミリー
    weaverマウス(wv)
    Bartter症候群
    CFTRとORCC
    AMPA受容体サブユニットGluR2におけるRNA編集
    単一神経終末部刺激法の開発
    冷刺激から熱刺激まで
    NPAボックス
    Huntington病
    Ca2+ウェーブとCa2+オシレーション
    Heteromeric connexonとheterotypic channel
    オクルディンの謎
    PSD構成分子のプロテオーム解析
    グリア細胞の機能
    用語解説(可塑性ほか)
    AMPA受容体の動的な移動
    チャネルの構造変化と薬剤の作用
    ムスカリン性アセチルコリン受容体
    筋強直性ジストロフィー症の遺伝子学的メカニズム
    ON経路とOFF経路
    網膜内の神経細胞の種類とサブタイプ
    杆体経路
    外有毛細胞の伸縮と蝸牛機能
    難治性疼痛
    チャネル蛋白の膜移送の欠陥(trafficking defect)
    心房細動リモデリング予防にmibefradilが有効
    KCaチャネル
    単一ヌクレオチド多型(SNPs)
    外分泌腺における水チャネルとSjo¨gren症候群
    Adipocentric hypothesis(脂肪細胞中心仮説)
    イオン輸送蛋白質の極性分布
    Cajalの間質細胞
    ウェルシュ筋エンテロトキシンはタイトジャンクションを開口するか