巻頭言
リハビリテーション医学における心理学的アプローチの重要性
日本人は「人の気持ち推し量り,思いやりをもって接する」といわれる.確かにそれは美点であるが,いくつかの問題点もある.
一つは,「自分と同質な人の気持ちはよく察することができるが,異質な人の気持ちはわからず,うまく接することができず,避けようとする」ことである.障害児(者)との接触を避ける,外国人を避けるなどがそうである.
もう一つは,「善意の押し売りになりやすい」ことである.これは説明不要であろう.
第三の問題は,直感的に「人の気持ちがわかる」と思いがちなためか,「人の心理」というものを客観的・学問的に理解しようという姿勢に欠けることである.これが欧米と最も異なる点で,欧米では一般教育の中で心理学がよく教えられており,一般人の日常会話にもごく自然に「フラストレーション」「アングザエティー(不安)」などの心理学用語が出てくる.日本では,大学の教養課程で選択しなければ,一生涯心理学を学ばずに済んでしまう.
しかし,リハビリテーションに携わる人たちはそうであってはならない.
「リハビリテーション」の語源は「リ」(ふたたび)+「ハビリス」(人間にふさわしい)+「テーション」(状態にすること)であり,西洋中世から「権利の回復」「名誉の回復」などの意味で使われてきた.筆者はこの流れに立って,障害者のリハビリテーションは,障害をもった人の「人間らしく生きる権利の回復」(「全人間的復権」)であると提唱した(拙著『目でみるリハビリテーション医学初版』,1971,p2).
ここで「全人間的」とは,「人が生きることのあらゆる側面において」という意味であり,ICF(国際生活機能分類)の「客観的生活機能」である「参加」,「活動」,「心身機能」に,筆者が以前から重要視してきた「生活機能の主観的次元」(拙著『リハビリテーションの歩み』,2013,p299)を加えた,「人が生きることの全側面にわたって」という意味である.このようにリハビリテーションは,「主観的生活機能」の面の問題解決をも課題とするのである.
以上と関連して,筆者は「リハビリテーション医学」の学問的方法論は4つのものが重層的に発展してきたと述べてきた.すなわち,1920年代からの「末梢性運動障害に対応する方法論」,1940年代からの「中枢性運動障害に対応する方法論」,1960年代からの「高次脳機能障害に対応する方法論」,そして1980年代からの「心理学的方法論」である(拙著『目でみるリハビリテーション医学 第2版』,1994,pp8-9).
このようにリハビリテーション医学の方法論として重要な「患者の心理」を知り,それを日々の臨床に生かすために,ぜひ本書で「臨床心理学」を学び,活用していただきたい.
2024年4月
元東京大学医学部教授,国際リハビリテーション医学会名誉会員(元会長)
上田 敏
序文
本書の読者は,リハビリテーションに携わる理学療法士,作業療法士,言語聴覚士を目指している方,あるいはすでにリハビリテーションの領域で疾病や障害のある人を支援している方だと思われる.
身体のリハビリテーションであっても,言語のリハビリテーションであっても,なんらかの不自由があると,当然その人の心理状態に影響を与える.その人の心理状態を無視して支援することは,現実的でない.皆さんがかかわるのは「人」の身体であり,「人」が発する言葉である.「人」の“心”抜きに「人」にかかわろうとしても,なかなかうまくいかないのではないだろうか.
人の心を扱ってきたのが「心理学」であり,心理学の中でも心理的な問題や不適応行動などへの支援が必要な人に対するアセスメントや支援に関する知識・技術を蓄積してきたのが「臨床心理学」である.リハビリテーションにかかわるスタッフが支援する際に,支援される側がその支援を受け入れなければ,意図していた効果を実現できないこともある.そんなときに,いつかこの本で学んだことが現場で役立つことを意図して,本書を編集した.
本書は理学療法士,作業療法士,言語聴覚士の教科書として活用してもらえるよう,養成校のカリキュラムに合わせて15章で構成している.
特徴の1つ目は,編者陣含め,実際にリハビリテーションの領域で臨床心理学的アプローチを実践してきた多くの先生方に執筆いただいたことである.
2つ目は,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士となれば小児期,成人期,精神科領域といった職域別に従事することが多いと思われるため,それぞれの職域ごとに臨床心理学に関する知見をまとめた章を設けた.
3つ目は,リハビリテーションの領域でかかわることが多い疾患,たとえば脳血管障害や統合失調症などについて,疾病や障害のある人やその家族の心理に関するコラムを多数配置した.
さらに,教科書ということで,国家試験に準拠するということにも力を入れている.出題基準を網羅することはもちろん,出題される頻度の高い人名には脚注に下線,また側柱でも国家試験でどういった問題が出題されているかを紙幅の許す限り記載した.使い勝手の良い作りとなっていれば幸いである.
「心」が動けば「身体」も動き,「身体」が動くことで「心」も動く.支援される側の「心」にも配慮した支援がなされるとき,支援がより効果を発揮すると思われる.本書をお読みになった方がそれぞれの専門性とともに,リハビリテーションを受ける側の「心」へ配慮をなされることで,それぞれの専門性がより発揮されることを心から願っている.
2024年4月
編者を代表して
山口加代子
リハビリテーション医学における心理学的アプローチの重要性
日本人は「人の気持ち推し量り,思いやりをもって接する」といわれる.確かにそれは美点であるが,いくつかの問題点もある.
一つは,「自分と同質な人の気持ちはよく察することができるが,異質な人の気持ちはわからず,うまく接することができず,避けようとする」ことである.障害児(者)との接触を避ける,外国人を避けるなどがそうである.
もう一つは,「善意の押し売りになりやすい」ことである.これは説明不要であろう.
第三の問題は,直感的に「人の気持ちがわかる」と思いがちなためか,「人の心理」というものを客観的・学問的に理解しようという姿勢に欠けることである.これが欧米と最も異なる点で,欧米では一般教育の中で心理学がよく教えられており,一般人の日常会話にもごく自然に「フラストレーション」「アングザエティー(不安)」などの心理学用語が出てくる.日本では,大学の教養課程で選択しなければ,一生涯心理学を学ばずに済んでしまう.
しかし,リハビリテーションに携わる人たちはそうであってはならない.
「リハビリテーション」の語源は「リ」(ふたたび)+「ハビリス」(人間にふさわしい)+「テーション」(状態にすること)であり,西洋中世から「権利の回復」「名誉の回復」などの意味で使われてきた.筆者はこの流れに立って,障害者のリハビリテーションは,障害をもった人の「人間らしく生きる権利の回復」(「全人間的復権」)であると提唱した(拙著『目でみるリハビリテーション医学初版』,1971,p2).
ここで「全人間的」とは,「人が生きることのあらゆる側面において」という意味であり,ICF(国際生活機能分類)の「客観的生活機能」である「参加」,「活動」,「心身機能」に,筆者が以前から重要視してきた「生活機能の主観的次元」(拙著『リハビリテーションの歩み』,2013,p299)を加えた,「人が生きることの全側面にわたって」という意味である.このようにリハビリテーションは,「主観的生活機能」の面の問題解決をも課題とするのである.
以上と関連して,筆者は「リハビリテーション医学」の学問的方法論は4つのものが重層的に発展してきたと述べてきた.すなわち,1920年代からの「末梢性運動障害に対応する方法論」,1940年代からの「中枢性運動障害に対応する方法論」,1960年代からの「高次脳機能障害に対応する方法論」,そして1980年代からの「心理学的方法論」である(拙著『目でみるリハビリテーション医学 第2版』,1994,pp8-9).
このようにリハビリテーション医学の方法論として重要な「患者の心理」を知り,それを日々の臨床に生かすために,ぜひ本書で「臨床心理学」を学び,活用していただきたい.
2024年4月
元東京大学医学部教授,国際リハビリテーション医学会名誉会員(元会長)
上田 敏
序文
本書の読者は,リハビリテーションに携わる理学療法士,作業療法士,言語聴覚士を目指している方,あるいはすでにリハビリテーションの領域で疾病や障害のある人を支援している方だと思われる.
身体のリハビリテーションであっても,言語のリハビリテーションであっても,なんらかの不自由があると,当然その人の心理状態に影響を与える.その人の心理状態を無視して支援することは,現実的でない.皆さんがかかわるのは「人」の身体であり,「人」が発する言葉である.「人」の“心”抜きに「人」にかかわろうとしても,なかなかうまくいかないのではないだろうか.
人の心を扱ってきたのが「心理学」であり,心理学の中でも心理的な問題や不適応行動などへの支援が必要な人に対するアセスメントや支援に関する知識・技術を蓄積してきたのが「臨床心理学」である.リハビリテーションにかかわるスタッフが支援する際に,支援される側がその支援を受け入れなければ,意図していた効果を実現できないこともある.そんなときに,いつかこの本で学んだことが現場で役立つことを意図して,本書を編集した.
本書は理学療法士,作業療法士,言語聴覚士の教科書として活用してもらえるよう,養成校のカリキュラムに合わせて15章で構成している.
特徴の1つ目は,編者陣含め,実際にリハビリテーションの領域で臨床心理学的アプローチを実践してきた多くの先生方に執筆いただいたことである.
2つ目は,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士となれば小児期,成人期,精神科領域といった職域別に従事することが多いと思われるため,それぞれの職域ごとに臨床心理学に関する知見をまとめた章を設けた.
3つ目は,リハビリテーションの領域でかかわることが多い疾患,たとえば脳血管障害や統合失調症などについて,疾病や障害のある人やその家族の心理に関するコラムを多数配置した.
さらに,教科書ということで,国家試験に準拠するということにも力を入れている.出題基準を網羅することはもちろん,出題される頻度の高い人名には脚注に下線,また側柱でも国家試験でどういった問題が出題されているかを紙幅の許す限り記載した.使い勝手の良い作りとなっていれば幸いである.
「心」が動けば「身体」も動き,「身体」が動くことで「心」も動く.支援される側の「心」にも配慮した支援がなされるとき,支援がより効果を発揮すると思われる.本書をお読みになった方がそれぞれの専門性とともに,リハビリテーションを受ける側の「心」へ配慮をなされることで,それぞれの専門性がより発揮されることを心から願っている.
2024年4月
編者を代表して
山口加代子
巻頭言(上田 敏)
序文(山口加代子)
1章 臨床心理学とは
(上田幸彦)
1 臨床心理学とは
2 近代科学以前
3 17世紀〜19世紀
4 19世紀〜20世紀
1.精神測定的側面
2.治療的側面
5 21世紀─心理療法の統合
mini test
2章 臨床心理学におけるアセスメント
(山口加代子)
1 心理的アセスメントの定義
2 心理的アセスメントの目的
3 心理的アセスメントにおけるモデル
1.生物・心理・社会モデル
2.ICF(国際生活機能分類)
3.ケースフォーミュレーション
4 心理的アセスメントの構成要素
5 心理的アセスメントに必要な知識
6 心理的アセスメントに必要なスキル
7 多職種連携に向けて
mini test
3章 性格
(榎木宏之)
1 性格とは
2 パーソナリティを理解する観点(1):類型論
1.類型論の歴史
2.類型論の特徴と批判
3 パーソナリティを理解する観点(2):特性論
1.特性論の歴史
2.ビッグ・ファイブと5因子モデル
3.特性論の特徴と批判
4 パーソナリティと環境
1.パーソナリティに影響を与える要因
2.遺伝論と環境論
5 反社会性パーソナリティ
6 パーソナリティ検査
1.質問紙法と投影法
2.質問紙法の代表的なパーソナリティ検査
3.投影法の代表的なパーソナリティ検査
4.パーソナリティ検査の特徴の違い
mini test
4章 感情
(四ノ宮美惠子)
1 感情とは
1.感情とは
2.感情の分類
3.感情の類義語
2 脳と身体と感情
1.感情を作り出す仕組みに関する諸理論
2.感情に関与する脳の働き
3 感情の働き
4 感情の発達
1.乳幼児期の感情の発達
2.感情の制御と発達
3.自尊感情と発達
5 心理的障害と感情
1.不安と不安症
2.抑うつ症群
3.双極症
6 感情のアセスメント
1.POMS
2.不安尺度
3.抑うつ尺度
7 感情に対する臨床心理学的介入
1.アンガーマネジメント
2.マインドフルネス
mini test
5章 学習
(川上克樹)
1 学習と学習理論
2 条件づけ
1.レスポンデント条件づけ
2.オペラント条件づけ
3.社会的学習理論
4.技能学習
mini test
6章 認知・知能
(緑川 晶)
1 知能とは
2 知能の発達
1.ピアジェの発達理論
2.ヴィゴツキーの発達理論
3.知能の生涯発達
3 知能の評価
1.知能の発達の評価
2.知能の評価
3.発達障害とその評価
4 認知機能の領域と検査
1.学習と記憶
2.言語
3.知覚・運動機能
4.複雑性注意
5.遂行機能
5 臨床に関係するその他の認知機能
1.認知バイアス
2.自己認知
mini test
7章 ストレスと適応
(池田美樹)
1 ストレスとは
2 ストレス理論の歴史
1.緊急反応理論
2.一般(汎)適応症候群
3 ストレッサーとストレス反応
1.ストレッサーの種類
2.ストレス反応
4 ストレスのアセスメント
1.ライフ・イベント
2.認知的評価理論
3.ストレス耐性
5 ストレスに対する臨床心理学的介入
1.心理教育
2.ストレス対処方法の獲得支援
3.ストレス対処の評価と選択の支援
mini test
8章 発達期とその時期に生じやすい問題I
(横山恭子)
1 心理学領域で用いられる発達区分
2 発達理論
1.S.フロイトの心理-性的発達理論
2.E.H.エリクソンの心理社会的発達段階論
3 子どもと環境のかかわり
1.胎児期
2.乳児期
3.幼児期
4.児童期
4 各期に生じる可能性のある臨床上の問題
1.乳幼児期
2.幼児期
3.児童期
mini test
9章 発達期とその時期に生じやすい問題II
(渡邉由己 平川晴加)
1 青年期(渡邉由己)
1.青年期の特徴
2.青年期の発達課題
3.青年期に生じやすい問題
2 壮年期(中年期)(渡邉由己)
1.壮年期の特徴
2.壮年期の発達課題
3.壮年期に生じやすい問題
3 老年期(高齢期)(平川晴加)
1.老年期の特徴
2.老年期の発達理論
3.老年期に生じやすい問題
4.発達理論の観点からみる障害を抱えている人の心理
mini test
10章 心理療法I
(榎木宏之 渡邉由己)
1 精神分析(榎木宏之)
1.精神分析の概要と展開
2.精神分析における心を理解する視点
3.今日の医療現場に精神分析の視点を導入する意義
4.精神分析に関連のある心理療法
2 パーソンセンタード・アプローチ(渡邉由己)
1.パーソンセンタードとは
2.ロジャーズによるカウンセリング理論
3.ジェンドリンによるフォーカシング
4.パーソンセンタードと他の技法の統合
mini test
11章 心理療法II
(久保義郎 橋本優花里 上田幸彦)
1 行動療法・認知行動療法(久保義郎)
1.行動療法(第1世代)
2.認知行動療法(第2世代)
3.第3世代認知行動療法
2 集団療法・アサーション・SST(橋本優花里)
1.集団療法
2.アサーション
3.SST
3 システム療法・家族療法・コミュニティ・アプローチ(上田幸彦)
1.システム療法
2.家族療法
3.コミュニティ・アプローチ
4 日本で開発された心理療法(久保義郎)
1.森田療法
2.内観法(内観療法)
3.動作法(動作療法)
mini test
12章 小児期リハビリテーションにおける臨床心理学的関与
(牛島智子 武部正明)
1 運動発達障害(肢体不自由)(牛島智子)
1.障害の概要
2.乳幼児期の支援と臨床心理学的関与
3.学齢期以降の支援と臨床心理学的関与
2 知的障害および発達障害(武部正明)
1.障害の概要
2.地域の支援体制
3.乳幼児期の支援と地域支援システム
4.学齢期の支援
5.成人期の支援
3 家族支援(牛島智子)
1.障害児の家族の心理
2.家族への支援と臨床心理学的関与
mini test
13章 成人期リハビリテーションにおける臨床心理学的関与
(上田幸彦)
1 脳血管障害(運動麻痺,高次脳機能障害)
2 切断
3 脊髄損傷
4 視覚障害
5 聴覚障害
6 がん
7 重複障害
mini test
14章 精神科領域における臨床心理学的関与
(福田由利 花村温子)
1 精神科領域で求められる視点
1.生物・心理・社会モデル
2.ストレス-脆弱性-対処技能モデル
2 心理的支援のアプローチ方法
3 精神疾患の特性を踏まえた心理的支援
1.うつ病(抑うつ性障害)
2.統合失調症
3.認知症
4.依存症
5.摂食症
6.強迫症
7.パニック症
8.双極症
9.パーソナリティ症
mini test
15章 リハビリテーションチームにおける臨床心理学
(四ノ宮美惠子)
1 リハビリテーション医療とチームアプローチ
2 人間の欲求と動機づけ
1.欲求と動機づけ
2.マズローの欲求階層説(欲求5段階説)
3.リハビリテーションと欲求の階層
3 障害受容
1.障害受容とは
2.障害受容と価値の転換
3.障害者を取り巻く社会の側の障壁
4.障害受容の段階
5.レジリエンスとリカバリー
4 対人支援の専門職としてのベッドサイドマナー
1.ベッドサイドマナーとは
2.ベッドサイドマナーとして心がけたいこと
5 多職種連携
1.チームアプローチにおける多職種連携
2.院内連携から他領域との多職種連携へ
6 アウトリーチ
1.アウトリーチとは
2.アウトリーチで心がけたいこと
3.アウトリーチにおけるピアサポーターの存在
mini test
Column
心理療法の実際(上田幸彦)
「心の理論」のその後の議論(横山恭子)
肢体不自由児の心理(山口加代子)
後天性脳損傷児の心理(中島友加)
小児がんの子どもの心理(温井めぐみ)
脳血管障害の人の心理(藤森秀子)
高次脳機能障害の人の心理(山口加代子)
脊髄損傷の人の心理(四ノ宮美惠子)
がんの人の心理(栗原幸江)
慢性疼痛の人の心理(有村達之)
筋ジストロフィーの人の心理(井村 修)
統合失調症の人の心理(松井三枝)
認知症の人の心理(小森憲治郎)
公認心理師とは(上田幸彦)
ポジティブ心理学(石川利江)
人名索引
用語索引
序文(山口加代子)
1章 臨床心理学とは
(上田幸彦)
1 臨床心理学とは
2 近代科学以前
3 17世紀〜19世紀
4 19世紀〜20世紀
1.精神測定的側面
2.治療的側面
5 21世紀─心理療法の統合
mini test
2章 臨床心理学におけるアセスメント
(山口加代子)
1 心理的アセスメントの定義
2 心理的アセスメントの目的
3 心理的アセスメントにおけるモデル
1.生物・心理・社会モデル
2.ICF(国際生活機能分類)
3.ケースフォーミュレーション
4 心理的アセスメントの構成要素
5 心理的アセスメントに必要な知識
6 心理的アセスメントに必要なスキル
7 多職種連携に向けて
mini test
3章 性格
(榎木宏之)
1 性格とは
2 パーソナリティを理解する観点(1):類型論
1.類型論の歴史
2.類型論の特徴と批判
3 パーソナリティを理解する観点(2):特性論
1.特性論の歴史
2.ビッグ・ファイブと5因子モデル
3.特性論の特徴と批判
4 パーソナリティと環境
1.パーソナリティに影響を与える要因
2.遺伝論と環境論
5 反社会性パーソナリティ
6 パーソナリティ検査
1.質問紙法と投影法
2.質問紙法の代表的なパーソナリティ検査
3.投影法の代表的なパーソナリティ検査
4.パーソナリティ検査の特徴の違い
mini test
4章 感情
(四ノ宮美惠子)
1 感情とは
1.感情とは
2.感情の分類
3.感情の類義語
2 脳と身体と感情
1.感情を作り出す仕組みに関する諸理論
2.感情に関与する脳の働き
3 感情の働き
4 感情の発達
1.乳幼児期の感情の発達
2.感情の制御と発達
3.自尊感情と発達
5 心理的障害と感情
1.不安と不安症
2.抑うつ症群
3.双極症
6 感情のアセスメント
1.POMS
2.不安尺度
3.抑うつ尺度
7 感情に対する臨床心理学的介入
1.アンガーマネジメント
2.マインドフルネス
mini test
5章 学習
(川上克樹)
1 学習と学習理論
2 条件づけ
1.レスポンデント条件づけ
2.オペラント条件づけ
3.社会的学習理論
4.技能学習
mini test
6章 認知・知能
(緑川 晶)
1 知能とは
2 知能の発達
1.ピアジェの発達理論
2.ヴィゴツキーの発達理論
3.知能の生涯発達
3 知能の評価
1.知能の発達の評価
2.知能の評価
3.発達障害とその評価
4 認知機能の領域と検査
1.学習と記憶
2.言語
3.知覚・運動機能
4.複雑性注意
5.遂行機能
5 臨床に関係するその他の認知機能
1.認知バイアス
2.自己認知
mini test
7章 ストレスと適応
(池田美樹)
1 ストレスとは
2 ストレス理論の歴史
1.緊急反応理論
2.一般(汎)適応症候群
3 ストレッサーとストレス反応
1.ストレッサーの種類
2.ストレス反応
4 ストレスのアセスメント
1.ライフ・イベント
2.認知的評価理論
3.ストレス耐性
5 ストレスに対する臨床心理学的介入
1.心理教育
2.ストレス対処方法の獲得支援
3.ストレス対処の評価と選択の支援
mini test
8章 発達期とその時期に生じやすい問題I
(横山恭子)
1 心理学領域で用いられる発達区分
2 発達理論
1.S.フロイトの心理-性的発達理論
2.E.H.エリクソンの心理社会的発達段階論
3 子どもと環境のかかわり
1.胎児期
2.乳児期
3.幼児期
4.児童期
4 各期に生じる可能性のある臨床上の問題
1.乳幼児期
2.幼児期
3.児童期
mini test
9章 発達期とその時期に生じやすい問題II
(渡邉由己 平川晴加)
1 青年期(渡邉由己)
1.青年期の特徴
2.青年期の発達課題
3.青年期に生じやすい問題
2 壮年期(中年期)(渡邉由己)
1.壮年期の特徴
2.壮年期の発達課題
3.壮年期に生じやすい問題
3 老年期(高齢期)(平川晴加)
1.老年期の特徴
2.老年期の発達理論
3.老年期に生じやすい問題
4.発達理論の観点からみる障害を抱えている人の心理
mini test
10章 心理療法I
(榎木宏之 渡邉由己)
1 精神分析(榎木宏之)
1.精神分析の概要と展開
2.精神分析における心を理解する視点
3.今日の医療現場に精神分析の視点を導入する意義
4.精神分析に関連のある心理療法
2 パーソンセンタード・アプローチ(渡邉由己)
1.パーソンセンタードとは
2.ロジャーズによるカウンセリング理論
3.ジェンドリンによるフォーカシング
4.パーソンセンタードと他の技法の統合
mini test
11章 心理療法II
(久保義郎 橋本優花里 上田幸彦)
1 行動療法・認知行動療法(久保義郎)
1.行動療法(第1世代)
2.認知行動療法(第2世代)
3.第3世代認知行動療法
2 集団療法・アサーション・SST(橋本優花里)
1.集団療法
2.アサーション
3.SST
3 システム療法・家族療法・コミュニティ・アプローチ(上田幸彦)
1.システム療法
2.家族療法
3.コミュニティ・アプローチ
4 日本で開発された心理療法(久保義郎)
1.森田療法
2.内観法(内観療法)
3.動作法(動作療法)
mini test
12章 小児期リハビリテーションにおける臨床心理学的関与
(牛島智子 武部正明)
1 運動発達障害(肢体不自由)(牛島智子)
1.障害の概要
2.乳幼児期の支援と臨床心理学的関与
3.学齢期以降の支援と臨床心理学的関与
2 知的障害および発達障害(武部正明)
1.障害の概要
2.地域の支援体制
3.乳幼児期の支援と地域支援システム
4.学齢期の支援
5.成人期の支援
3 家族支援(牛島智子)
1.障害児の家族の心理
2.家族への支援と臨床心理学的関与
mini test
13章 成人期リハビリテーションにおける臨床心理学的関与
(上田幸彦)
1 脳血管障害(運動麻痺,高次脳機能障害)
2 切断
3 脊髄損傷
4 視覚障害
5 聴覚障害
6 がん
7 重複障害
mini test
14章 精神科領域における臨床心理学的関与
(福田由利 花村温子)
1 精神科領域で求められる視点
1.生物・心理・社会モデル
2.ストレス-脆弱性-対処技能モデル
2 心理的支援のアプローチ方法
3 精神疾患の特性を踏まえた心理的支援
1.うつ病(抑うつ性障害)
2.統合失調症
3.認知症
4.依存症
5.摂食症
6.強迫症
7.パニック症
8.双極症
9.パーソナリティ症
mini test
15章 リハビリテーションチームにおける臨床心理学
(四ノ宮美惠子)
1 リハビリテーション医療とチームアプローチ
2 人間の欲求と動機づけ
1.欲求と動機づけ
2.マズローの欲求階層説(欲求5段階説)
3.リハビリテーションと欲求の階層
3 障害受容
1.障害受容とは
2.障害受容と価値の転換
3.障害者を取り巻く社会の側の障壁
4.障害受容の段階
5.レジリエンスとリカバリー
4 対人支援の専門職としてのベッドサイドマナー
1.ベッドサイドマナーとは
2.ベッドサイドマナーとして心がけたいこと
5 多職種連携
1.チームアプローチにおける多職種連携
2.院内連携から他領域との多職種連携へ
6 アウトリーチ
1.アウトリーチとは
2.アウトリーチで心がけたいこと
3.アウトリーチにおけるピアサポーターの存在
mini test
Column
心理療法の実際(上田幸彦)
「心の理論」のその後の議論(横山恭子)
肢体不自由児の心理(山口加代子)
後天性脳損傷児の心理(中島友加)
小児がんの子どもの心理(温井めぐみ)
脳血管障害の人の心理(藤森秀子)
高次脳機能障害の人の心理(山口加代子)
脊髄損傷の人の心理(四ノ宮美惠子)
がんの人の心理(栗原幸江)
慢性疼痛の人の心理(有村達之)
筋ジストロフィーの人の心理(井村 修)
統合失調症の人の心理(松井三枝)
認知症の人の心理(小森憲治郎)
公認心理師とは(上田幸彦)
ポジティブ心理学(石川利江)
人名索引
用語索引