序文
わが国でがん患者リハビリテーション(以下リハビリ)料に関する施設基準が2010年4月に設けられて以降,早いもので約10年が経過し,がん診療連携拠点病院のみならず全国の医療機関で広くがんのリハビリが展開されるようになってきました.国民の2人に1人ががんに罹患する時代を迎えているなかで,全国でがんの治療,療養に合わせて必要な対象者にリハビリが提供されることはとても心強いことです.
これまでは広くがんのリハビリを推進するとともに,リハビリ専門職のなかで,また,がん医療に従事する医療・福祉専門職のなかでも「がんのリハビリ」について知ってもらう必要がありました.しかし,制度が創設され10年を超え,これからはその質が問われています.がんのリハビリが広く実践される一方で,その質を担保し続けることは重要な課題です.がん患者のリハビリに専門的に従事する療法士がいる一方で,極まれに従事する療法士もおり,その質を担保していくためには知識・技術をより共有し,さまざまな実践に役立つ情報を得ることも重要であると感じています.
本書は,がんのリハビリを取り組んでいると誰もが経験するだろうと思われる臨床上の疑問,ちょっとしたコツ,ポイントなどの多くの声をまとめ,経験の浅い方でも臨床上の取り組みが分かりやすいような実践方法をまとめました.本書ががんのリハビリに従事している療法士,これから従事する療法士の取り組みの一助となるとともに,がん医療にかかわるあらゆる職種の臨床の一助としてお役立ていただけたら幸いです.
本書の発刊にあたり,ご支援いただきました共同編著者の井上順一朗先生をはじめ,各項をご執筆いただきました皆様,担当いただいた医歯薬出版株式会社の小口真司様,皆様に心より感謝申し上げます.
2021年11月
島ア寛将
わが国でがん患者リハビリテーション(以下リハビリ)料に関する施設基準が2010年4月に設けられて以降,早いもので約10年が経過し,がん診療連携拠点病院のみならず全国の医療機関で広くがんのリハビリが展開されるようになってきました.国民の2人に1人ががんに罹患する時代を迎えているなかで,全国でがんの治療,療養に合わせて必要な対象者にリハビリが提供されることはとても心強いことです.
これまでは広くがんのリハビリを推進するとともに,リハビリ専門職のなかで,また,がん医療に従事する医療・福祉専門職のなかでも「がんのリハビリ」について知ってもらう必要がありました.しかし,制度が創設され10年を超え,これからはその質が問われています.がんのリハビリが広く実践される一方で,その質を担保し続けることは重要な課題です.がん患者のリハビリに専門的に従事する療法士がいる一方で,極まれに従事する療法士もおり,その質を担保していくためには知識・技術をより共有し,さまざまな実践に役立つ情報を得ることも重要であると感じています.
本書は,がんのリハビリを取り組んでいると誰もが経験するだろうと思われる臨床上の疑問,ちょっとしたコツ,ポイントなどの多くの声をまとめ,経験の浅い方でも臨床上の取り組みが分かりやすいような実践方法をまとめました.本書ががんのリハビリに従事している療法士,これから従事する療法士の取り組みの一助となるとともに,がん医療にかかわるあらゆる職種の臨床の一助としてお役立ていただけたら幸いです.
本書の発刊にあたり,ご支援いただきました共同編著者の井上順一朗先生をはじめ,各項をご執筆いただきました皆様,担当いただいた医歯薬出版株式会社の小口真司様,皆様に心より感謝申し上げます.
2021年11月
島ア寛将
序章 サポーティブケアとしてのがんのリハビリテーションの役割
第1章 運営
1 がんのリハビリテーションに取り組む体制づくり
01 医師からリハビリテーション依頼をもらうためには
02 看護師の理解・協力を得るためには
03 リハビリテーション専門職にかかわってもらうためには
04 連携先の施設や在宅医療でがんのリハビリテーションに取り組んでもらうためには
2 チーム医療のなかで上手にリハビリテーションを展開するためには
01 リハビリテーション専門職がかかわるときに考えておきたいこと
02 チームの一員としてまず何から始めたらよいのか
03 チーム医療の実践 その1―骨転移カンファレンスでの実際の活動
04 チーム医療の実践 その2―緩和ケアチーム・病棟での実際の活動
第2章 スキルアップ29
1 リハビリテーション専門職に求められるがんの知識
01 知っておくべきがん治療
02 知っておきたい疾患に応じた特徴
03 予防的リハビリテーション(prehabilitation)が大切な理由
04 担当する患者が化学療法・放射線療法を受けていたら
05 押さえておきたい悪液質のポイント
06 年齢に応じて注意が必要なこと―高齢がん患者の場合
07 年齢に応じて注意が必要なこと―小児がん患児の場合
2 リハビリテーション専門職に求められる緩和ケアの知識
01 身体的苦痛に関する議論が優先されているときに黙っていてよいのか
02 患者が痛みを訴えたらどうするか―なぜ痛いのかわからないときの対応
03 患者が医療用麻薬(オピオイド鎮痛薬)を使っているときに注意すること
04 患者が息苦しさを訴えたらどうするか
05 患者に不穏症状を認めたら考えるべきこと―せん妄と認知症の違い
06 鎮静が選択されるのはどのようなときか
07 患者の精神症状が強いときに考えるべきこと
08 「もう死ぬんですか?」と聞かれたら
第3章 実践
1 情報収集
01 病室へ行く前に確認しておくとよいこと―周術期,進行期のがん患者の場合
02 病室へ行く前に確認しておくとよいこと―終末期を迎えたがん患者の場合
03 病室で顔を合わせたらまず確認するとよいこと―周術期,進行期のがん患者の場合
04 病室で顔を合わせたらまず確認するとよいこと―終末期を迎えたがん患者の場合
2 目標設定
01 何をリハビリテーションの目標にすべきかが難しい場合は
02 対象者から「がんなのにリハビリをしても大丈夫?」といわれたら
03 患者と家族間の想いのギャップが埋まらないときは
04 リハビリテーションがうまくいっていないと感じたらどうすべきか
3 リハビリテーションアプローチ
01 乳がん術後のリハビリテーションは術式と社会的役割を知るのがポイント
02 このような患者の開胸・開腹術の術後合併症のリスクには要注意!
03 食道がん術後に食事を開始する際はココをみる
04 頭頸部がん術後のコミュニケーション訓練はココがポイント
05 頭頸部がん術後・放射線療法後の肩関節・頸部機能障害への対応
06 造血器腫瘍の治療を受ける患者が倦怠感や発熱などの症状が強いときにどこまでリハビリテーションを行うべきか
07 造血器腫瘍の外来化学療法中に運動をしてもよいのか
08 リンパ浮腫指導(予防)で患者に伝えるべきこととは
09 リンパ浮腫の患者が来たら最低限すべきこと
10 脊椎転移がある患者の離床をすすめるときはココに注意する
11 体動時にレスキュードーズを使用するときは眠気と効果に着目する
12 がん患者にみられる知っておくべき脳の障害
13 体力消耗状態,全身倦怠感の強い患者への対応時の注意点
14 呼吸困難が強いときの対応
15 終末期にみられる四肢の浮腫に対しては症状緩和を目指す
16 最期まで食べる楽しみを感じてもらえるためにできること
第4章 進行期・終末期を迎えたがん患者の退院支援,外泊・外出支援
1 患者・家族に対する支援
2 環境調整
3 がんのリハビリテーションにおける地域連携
第5章 在宅支援(在宅医療)
1 医療機関(他職種)から得ておくとよい情報
2 緊急時にはどこに連絡をすればよいのか
3 初回訪問時に確認すべきポイント
4 毎回の訪問時に確認すべきポイント
第6章 家族ケア―緩和ケアが主体となる時期を中心に
1 家族について考える
2 家族ケア
3 落ち込まないように支援するのが家族ケア(グリーフケア)ではない
4 リハビリテーション場面でどのような家族支援ができるのか
5 若年がん患者の子どもにどのようなケアができるのか
第7章 自分自身とスタッフのケア
第8章 看取りのときの対応
1 看取りの時期に入り病室に行く足が重くなるときは
2 患者さんが亡くなったときにどうすればよいのか(ご挨拶,お見送り,エンゼルケア,グリーフケア)
第9章 今,悩んでいるリハビリテーション専門職に伝えたいこと
索引
第1章 運営
1 がんのリハビリテーションに取り組む体制づくり
01 医師からリハビリテーション依頼をもらうためには
02 看護師の理解・協力を得るためには
03 リハビリテーション専門職にかかわってもらうためには
04 連携先の施設や在宅医療でがんのリハビリテーションに取り組んでもらうためには
2 チーム医療のなかで上手にリハビリテーションを展開するためには
01 リハビリテーション専門職がかかわるときに考えておきたいこと
02 チームの一員としてまず何から始めたらよいのか
03 チーム医療の実践 その1―骨転移カンファレンスでの実際の活動
04 チーム医療の実践 その2―緩和ケアチーム・病棟での実際の活動
第2章 スキルアップ29
1 リハビリテーション専門職に求められるがんの知識
01 知っておくべきがん治療
02 知っておきたい疾患に応じた特徴
03 予防的リハビリテーション(prehabilitation)が大切な理由
04 担当する患者が化学療法・放射線療法を受けていたら
05 押さえておきたい悪液質のポイント
06 年齢に応じて注意が必要なこと―高齢がん患者の場合
07 年齢に応じて注意が必要なこと―小児がん患児の場合
2 リハビリテーション専門職に求められる緩和ケアの知識
01 身体的苦痛に関する議論が優先されているときに黙っていてよいのか
02 患者が痛みを訴えたらどうするか―なぜ痛いのかわからないときの対応
03 患者が医療用麻薬(オピオイド鎮痛薬)を使っているときに注意すること
04 患者が息苦しさを訴えたらどうするか
05 患者に不穏症状を認めたら考えるべきこと―せん妄と認知症の違い
06 鎮静が選択されるのはどのようなときか
07 患者の精神症状が強いときに考えるべきこと
08 「もう死ぬんですか?」と聞かれたら
第3章 実践
1 情報収集
01 病室へ行く前に確認しておくとよいこと―周術期,進行期のがん患者の場合
02 病室へ行く前に確認しておくとよいこと―終末期を迎えたがん患者の場合
03 病室で顔を合わせたらまず確認するとよいこと―周術期,進行期のがん患者の場合
04 病室で顔を合わせたらまず確認するとよいこと―終末期を迎えたがん患者の場合
2 目標設定
01 何をリハビリテーションの目標にすべきかが難しい場合は
02 対象者から「がんなのにリハビリをしても大丈夫?」といわれたら
03 患者と家族間の想いのギャップが埋まらないときは
04 リハビリテーションがうまくいっていないと感じたらどうすべきか
3 リハビリテーションアプローチ
01 乳がん術後のリハビリテーションは術式と社会的役割を知るのがポイント
02 このような患者の開胸・開腹術の術後合併症のリスクには要注意!
03 食道がん術後に食事を開始する際はココをみる
04 頭頸部がん術後のコミュニケーション訓練はココがポイント
05 頭頸部がん術後・放射線療法後の肩関節・頸部機能障害への対応
06 造血器腫瘍の治療を受ける患者が倦怠感や発熱などの症状が強いときにどこまでリハビリテーションを行うべきか
07 造血器腫瘍の外来化学療法中に運動をしてもよいのか
08 リンパ浮腫指導(予防)で患者に伝えるべきこととは
09 リンパ浮腫の患者が来たら最低限すべきこと
10 脊椎転移がある患者の離床をすすめるときはココに注意する
11 体動時にレスキュードーズを使用するときは眠気と効果に着目する
12 がん患者にみられる知っておくべき脳の障害
13 体力消耗状態,全身倦怠感の強い患者への対応時の注意点
14 呼吸困難が強いときの対応
15 終末期にみられる四肢の浮腫に対しては症状緩和を目指す
16 最期まで食べる楽しみを感じてもらえるためにできること
第4章 進行期・終末期を迎えたがん患者の退院支援,外泊・外出支援
1 患者・家族に対する支援
2 環境調整
3 がんのリハビリテーションにおける地域連携
第5章 在宅支援(在宅医療)
1 医療機関(他職種)から得ておくとよい情報
2 緊急時にはどこに連絡をすればよいのか
3 初回訪問時に確認すべきポイント
4 毎回の訪問時に確認すべきポイント
第6章 家族ケア―緩和ケアが主体となる時期を中心に
1 家族について考える
2 家族ケア
3 落ち込まないように支援するのが家族ケア(グリーフケア)ではない
4 リハビリテーション場面でどのような家族支援ができるのか
5 若年がん患者の子どもにどのようなケアができるのか
第7章 自分自身とスタッフのケア
第8章 看取りのときの対応
1 看取りの時期に入り病室に行く足が重くなるときは
2 患者さんが亡くなったときにどうすればよいのか(ご挨拶,お見送り,エンゼルケア,グリーフケア)
第9章 今,悩んでいるリハビリテーション専門職に伝えたいこと
索引