やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

序文
 本書の対象は障害児(者)の摂食嚥下リハビリテーション指導にかかわっている言語聴覚士,理学療法士,作業療法士の他,療育や介護に直接かかわっている特別支援学校等の教員,看護師,保育士,医学や歯学を学ぶ学生などである.
 「食べる」ことは楽しみである.
 おいしいものを食べると,笑顔になる.
 笑顔がひろがると,幸せになる.
 「食べる」ことは幸せである.
 本書は,すべての人に幸せを届けるために「食べる」ことを学ぶ本である.
 本書を書くにあたって,多くの子どもたちやその介護者の方たちから教えていただいたことを心から感謝申し上げるとともに,一人でも多くの子どもたちが「口から食べることの楽しさ」を知ってもらえることを心から願っている.
 2019年7月 編者
基礎編
1 摂食嚥下リハビリテーション概要
 (尾本和彦)
 1 障害児(者)と成人(中途障害)との食事支援の違い
 2 最近の動向
 3 食事支援で留意したいこと
2 障害児(者)の医学的背景
 (小沢 浩)
 1 障害の種類
 2 合併症
 3 薬剤の食べる機能への影響
3 誤嚥と誤嚥性肺炎
 (石井光子)
 1 誤嚥とは
 2 誤嚥に起因する疾患
 3 誤嚥性肺炎の原因
 4 誤嚥性肺炎の症状と重症児(者)等にみられる非定型的症状
 5 口から食べることを中止する基準
4 気管切開,喉頭気管分離等
 (小沢愉理)
 1 気管切開の適応
 2 気管切開の時期
 3 気管切開等の術式とその特徴
 4 気管切開による誤嚥の悪化と嚥下機能の低下
 5 気管切開による合併症とその対策
 6 気管切開の弊害
 7 気管軟化症の場合のリスク
5 食べる機能の発達と障害
 (尾本和彦)
 1 摂食機能の定型発達
 2 摂食機能の障害(非定型発達)
6 摂食機能の評価と診断
 (尾本和彦・中村達也)
 1 簡易臨床評価
 2 VF(ビデオ嚥下造影検査)
 3 VE(ビデオ嚥下内視鏡検査)
 4 咳反射テスト
 5 頸部聴診法
7 姿勢運動と食べる機能の発達
 (高橋賢太郎)
 1 離乳開始の時期
 2 運動発達と食べる機能の関係
 3 遊びのもつ役割
 4 食べることの意義
実践編
1 摂食嚥下姿勢の工夫
 (高橋賢太郎)
 1 摂食嚥下姿勢
 2 座位の基本姿勢
 3 姿勢を安定させる工夫
2 食事支援の実際
 (尾本和彦・高橋賢太郎)
 1 支援や訓練の考え方
 2 誤嚥や窒息事故の注意と対応
 3 経口摂取訓練の基礎
 4 異常パターンへの対応
 5 固形食摂取訓練
 6 口唇閉鎖を促す訓練
 7 嚥下機能を促す訓練
 8 咀嚼訓練
 9 液体摂取訓練
 10 その他の訓練
 11 訓練目的に合わせた食物形態ととろみ調整食品
 12 介助される立場を理解するための健常者同士の疑似体験
3 経管栄養法
 (見澤 滋)
 1 経鼻胃カテーテル栄養法
 2 胃瘻栄養法
 3 まとめ
 4 胃瘻からのミキサー食注入の進め方
 5 ミキサー食の効果
 6 ミキサー食の問題点
 7 まとめ
4 進行性疾患への対応
 (尾本和彦)
5 心理行動的問題への対応
 (尾本和彦)
 1 機能障害に取り組む場合でも心理的な配慮は重要
 2 心理行動的問題として取り組む場合
 3 生活を楽しませることを最優先する
 4 子どもの性格による環境設定の違い
 5 こだわりを拒食改善に活用していく
 6 嘔吐を誘発する要因
 7 嚥下障害の有無との関係
 8 拒食の判定をどうするか
 9 経管栄養を短期間に離脱させる取り組み
6 症例
 (尾本和彦)
 1 経管から離脱したケース
 2 丸飲み込みするケース
 3 拒食のケース
 4 その他のケース

 付録
  付録1 オリジナル版初診用診査用紙
  付録2 オリジナル版再診用診査用紙