序
今日,数ある非侵襲的脳機能イメージング法のなかでも,特に機能的磁気共鳴画像法(fMRI:functional magnetic resonance imaging)は最も信頼性が高く,基礎・臨床医学においてはいうまでもなく,心理学,工学,言語学などさまざまな領域において活用され,日々,脳機能に関する新しい知見が世界中の研究者によって報告されている.これに伴い,解析のためのソフトウェアも着実に進化・発展し,さまざまな解析法も開発されてきた.
脳機能イメージデータの解析ソフトウェアのなかでも,特にSPM(Statistical ParametricMapping)はSPM96として1997年にリリースされて以来,多くの研究者・科学者によってその信頼性が常に検証されバージョンアップを繰り返してきた.本書では,その最新バージョンであるSPM12を取り扱う.初めてSPM12にふれるユーザーはもちろんのこと,すでにSPM12を用いて脳イメージデータの解析を行っている研究者,大学教員や学生にも十分に役立つようにその内容を充実させた.すなわち,(1)具体的な解析手順とPC画面を並置することで,読者自身がご自分のPCで実際にfMRIデータ解析がすぐにできるように配慮した.(2)SPM12の一般的な脳活動解析についての詳細な解説はいうまでもなく,最近脳内ネットワークの解析において特に注目されているCONNを用いた機能的結合性(FC:Functional Connectivity)の解析や心理生理交互作用(PPI:PsychoPhysiological Interaction)の解析の手順についても,すぐに実践できるようにわかりやすく解説した.
また,近年,パラメトリック検定を用いた脳科学論文における統計的誤謬の問題が指摘されて以来(Vul et al,2009;Eklund et al,2016),関連研究者による絶え間ない議論が繰り返されてきたが,いまだにこの問題が完全に解決されたとはいいがたい.せっかくデータをたくさん集めたのに,最後の仮説検定の段階で大きな壁が立ちはだかる現状は,脳機能研究に携わる私たちにとって,とても深刻な状況である.この問題をクリアできるひとつの有効な方法として,ノンパラメトリック検定法による脳イメージデータの解析を挙げることができる.本書では,このノンパラメトリック検定が簡単にできるSnPM13を取り上げ,あらためて「第3章ノンパラメトリック検定による脳活動の有意性検定」と章立てしている.SnPM13の手順についてもわかりやすく解説し,読者自身がご自分のfMRIデータにすぐ応用できるように配慮した.
2019年5月
菊池吉晃
今日,数ある非侵襲的脳機能イメージング法のなかでも,特に機能的磁気共鳴画像法(fMRI:functional magnetic resonance imaging)は最も信頼性が高く,基礎・臨床医学においてはいうまでもなく,心理学,工学,言語学などさまざまな領域において活用され,日々,脳機能に関する新しい知見が世界中の研究者によって報告されている.これに伴い,解析のためのソフトウェアも着実に進化・発展し,さまざまな解析法も開発されてきた.
脳機能イメージデータの解析ソフトウェアのなかでも,特にSPM(Statistical ParametricMapping)はSPM96として1997年にリリースされて以来,多くの研究者・科学者によってその信頼性が常に検証されバージョンアップを繰り返してきた.本書では,その最新バージョンであるSPM12を取り扱う.初めてSPM12にふれるユーザーはもちろんのこと,すでにSPM12を用いて脳イメージデータの解析を行っている研究者,大学教員や学生にも十分に役立つようにその内容を充実させた.すなわち,(1)具体的な解析手順とPC画面を並置することで,読者自身がご自分のPCで実際にfMRIデータ解析がすぐにできるように配慮した.(2)SPM12の一般的な脳活動解析についての詳細な解説はいうまでもなく,最近脳内ネットワークの解析において特に注目されているCONNを用いた機能的結合性(FC:Functional Connectivity)の解析や心理生理交互作用(PPI:PsychoPhysiological Interaction)の解析の手順についても,すぐに実践できるようにわかりやすく解説した.
また,近年,パラメトリック検定を用いた脳科学論文における統計的誤謬の問題が指摘されて以来(Vul et al,2009;Eklund et al,2016),関連研究者による絶え間ない議論が繰り返されてきたが,いまだにこの問題が完全に解決されたとはいいがたい.せっかくデータをたくさん集めたのに,最後の仮説検定の段階で大きな壁が立ちはだかる現状は,脳機能研究に携わる私たちにとって,とても深刻な状況である.この問題をクリアできるひとつの有効な方法として,ノンパラメトリック検定法による脳イメージデータの解析を挙げることができる.本書では,このノンパラメトリック検定が簡単にできるSnPM13を取り上げ,あらためて「第3章ノンパラメトリック検定による脳活動の有意性検定」と章立てしている.SnPM13の手順についてもわかりやすく解説し,読者自身がご自分のfMRIデータにすぐ応用できるように配慮した.
2019年5月
菊池吉晃
序
脳活動性の解析
1章 SPM12によるfMRIデータ解析の基本
(菊池吉晃)
SPM12で解析するfMRIデータについて
前処理(Preprocessing)の意味
1 脳機能画像の動きの補正(Realignment)
2 脳解剖画像の脳機能画像への登録(Coregistration)
3 脳解剖画像の分解(Segmentation)
4 脳機能画像の標準化(Normalisation)
5 脳機能画像の空間的平滑化(Smoothing)
一般線形モデルによる脳活動の定式化
コントラストの意味
脳活動の有意性検定
2章 SPM12によるfMRIデータの解析
(則内まどか,菊池吉晃)
SPM12の設定
1 SPM12をダウンロードする
2 SPM12を起動する
fMRIデータのディレクトリ構成
前処理(Preprocessing)
1 Realignment
2 Coregistration
3 Segmentation
4 Normalisation
5 Smoothing
6 Batch処理について
脳活動の個人解析(1st-level analysis)
1 fMRI model specification
2 Model estimation
3 コントラストの作成と結果の表現
4 脳活動の表現
脳活動の集団解析(2nd-level analysis)
1 集団解析のためのデザインマトリクス作成
2 推定(Estimation)
3 集団解析結果の表示
3章 SnPM13によるノンパラメトリック集団解析
(菊池吉晃)
SnPM13の設定
SnPM13によるノンパラメトリック解析
1 Specification
2 Computation
3 Inference
神経ネットワークの解析
4章 機能的結合(Functional Connectivity)解析
(元村祐貴,菊池吉晃)
機能的結合とは
CONNについて
CONNの設定
セットアップ(Setup)
1 Basic
2 Structural
3 Functional
4 Preprocessing
5 ROIs
6 Conditions
7 Covariates 1st-level
8 Covariates 2nd-level
9 Options
デノイジング(Denoising)
機能的結合の個人解析(1st-level analysis)
機能的結合の集団解析(2nd-level analysis)
1 ROI to ROI解析
2 Seed to Voxel解析
5章 PP(I Psychophysiological Interaction)解析
(渡辺 塁,菊池吉晃)
PPI解析とは
SPM12によるPPI解析
1 Seedの設定
2 回帰子の設定
3 デザインマトリクスの作成
4 偏回帰係数の推定
5 有意性の検定と結果の表示
付録:解析用fMRIデータの入手について
索 引
脳活動性の解析
1章 SPM12によるfMRIデータ解析の基本
(菊池吉晃)
SPM12で解析するfMRIデータについて
前処理(Preprocessing)の意味
1 脳機能画像の動きの補正(Realignment)
2 脳解剖画像の脳機能画像への登録(Coregistration)
3 脳解剖画像の分解(Segmentation)
4 脳機能画像の標準化(Normalisation)
5 脳機能画像の空間的平滑化(Smoothing)
一般線形モデルによる脳活動の定式化
コントラストの意味
脳活動の有意性検定
2章 SPM12によるfMRIデータの解析
(則内まどか,菊池吉晃)
SPM12の設定
1 SPM12をダウンロードする
2 SPM12を起動する
fMRIデータのディレクトリ構成
前処理(Preprocessing)
1 Realignment
2 Coregistration
3 Segmentation
4 Normalisation
5 Smoothing
6 Batch処理について
脳活動の個人解析(1st-level analysis)
1 fMRI model specification
2 Model estimation
3 コントラストの作成と結果の表現
4 脳活動の表現
脳活動の集団解析(2nd-level analysis)
1 集団解析のためのデザインマトリクス作成
2 推定(Estimation)
3 集団解析結果の表示
3章 SnPM13によるノンパラメトリック集団解析
(菊池吉晃)
SnPM13の設定
SnPM13によるノンパラメトリック解析
1 Specification
2 Computation
3 Inference
神経ネットワークの解析
4章 機能的結合(Functional Connectivity)解析
(元村祐貴,菊池吉晃)
機能的結合とは
CONNについて
CONNの設定
セットアップ(Setup)
1 Basic
2 Structural
3 Functional
4 Preprocessing
5 ROIs
6 Conditions
7 Covariates 1st-level
8 Covariates 2nd-level
9 Options
デノイジング(Denoising)
機能的結合の個人解析(1st-level analysis)
機能的結合の集団解析(2nd-level analysis)
1 ROI to ROI解析
2 Seed to Voxel解析
5章 PP(I Psychophysiological Interaction)解析
(渡辺 塁,菊池吉晃)
PPI解析とは
SPM12によるPPI解析
1 Seedの設定
2 回帰子の設定
3 デザインマトリクスの作成
4 偏回帰係数の推定
5 有意性の検定と結果の表示
付録:解析用fMRIデータの入手について
索 引














