やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第2版の序文
 心臓リハビリテーション(以下心臓リハ)とは,心血管疾患患者の身体的・心理的・社会的・職業的状態を改善し,基礎にある動脈硬化や心不全の病態の進行を抑制あるいは軽減し,再発・再入院・死亡を減少させ,快適で活動的な生活を実現することを目指して,個々の患者の「医学的評価・運動処方に基づく運動療法・冠危険因子是正・患者教育およびカウンセリング・最適薬物治療」を多職種チームが協調して実践する長期にわたる多面的・包括的プログラムである.
 生活習慣の欧米化や超高齢社会を背景に虚血性心疾患,心不全,末梢動脈疾患など循環器疾患の患者数が著増した.HIJAMI Registryによれば,わが国の心筋梗塞患者(平均69歳)は発症平均4.3年で再入院率が40%,心筋梗塞再発率が22%にも達することが判明している.一方,急性期から後期回復期までのシームレスな包括的心臓リハが,日常生活や仕事への復帰に加えて,再発防止や生命予後の延長にも劇的な効果を発揮することが明らかであり,心臓リハが心血管疾患の治療および再発予防に必須であることがガイドラインにも明記されるまでに至っている.
 本書初版は,筆者が2013年に第19回日本心臓リハビリテーション学会学術集会を会長として仙台で開催するのに合わせて出版された.以来,包括的心臓リハに関するすべてを網羅した心臓リハチームの教科書として,幸い多くの支持を得て,臨床現場や教育現場で広く利用され,増刷を重ねてきた.2017年には中国語版も出版された.
 初版発行以来約6年が経過し,心臓リハの対象や役割はさらに急速に拡大し,内容も進歩した.循環器疾患の診断や治療,統計も新しくなり,多くのガイドラインの改訂が行われた.この第2版はこのような背景のもと,この領域でトップランナーとして活躍されている日本心臓リハビリテーション学会会員を中心に執筆し,1)最新ガイドラインの知見を盛り込む,2)最新統計データを盛り込む,3)特に進歩の目立つ心不全,末梢動脈疾患などの項目を充実させる,4)図表を増やすとともに頁数増は極力避けて購入しやすい価格にとどめる,の4点を心がけて改訂したものである.結果的に,本文内容を図表などにまとめることで頁数を2割圧縮し,初版にも増してお求めやすい価格になった.
 本書は,心臓リハビリテーション指導士・認定医・上級指導士の試験にも役立つ必読書となるとともに,すでに行っている方々の技術や考え方の再点検やブラッシュアップの役割も果たせるものと確信している.協力いただいた執筆者各位に感謝するとともに,初版より企画・編集で何かと手を煩わせた医歯薬出版の小口真司氏にも感謝する.
 エビデンスが明らかでリスク管理の徹底した心臓リハはリハ医療のなかでも先進的であり,重複障害時代のリハにおいて心臓リハの役割がますます大きくなることは明白である.
 本書により,心臓リハにかかわる医師やメディカルスタッフが十分な自信をもって良質な包括的心臓リハを供給できるようになり,1人でも多くの心臓機能障害者やご家族の福音になれば,編者としてこれに勝る喜びはない.
 2019年4月
 上月正博


序文
 わが国は歴史上で世界のどの国も経験したことのない超高齢社会となった.その結果,障害者の増加とともに,障害の重複化が大きな問題になり,リハビリテーション(以下リハ)に対するニーズは予想以上に高まった.身体障害者のなかでも心臓機能障害者が過半数を占める内部障害者数の割合は急増し,2006年には身体障害者数全体の30%を突破した.特にこの5年間での内部障害者数の増加は驚異的であり,身体障害者数増加分の93%を占めている.すなわち,超高齢社会・重複障害の現代では,心臓リハがすべてのリハ関連職種の精通すべき基本領域になったといえよう.
 心臓リハは,医学的評価,運動処方,運動療法,薬物療法,食事療法,患者教育,カウンセリングから成る長期間にわたる包括的なプログラムであり,その目的は,個々の患者がもつ循環器疾患に起因する身体的・精神的影響をできるだけ軽減し,突然死や再発のリスクを是正し,症状を調整し,動脈硬化の過程を抑制あるいは逆転させ,精神心理ならびに職業の状況を改善させることである.すなわち,心臓リハの目的は,単に自宅退院,ADL(日常生活活動)の自立や復職にあるのみではなく,再発防止や生命予後の延長までを目指すものである.この点が脳卒中リハなどと大きく異なる.
 心臓リハは,多要素プログラムを擁する「包括的リハ」の代表格である.この包括的心臓リハにより,運動耐容能の増加,冠動脈硬化・冠循環の改善,冠危険因子の是正,生命予後の改善,QOLの改善などめざましい効果が実際に示されている.
 心臓リハの有効性が認められている循環器疾患は,心筋梗塞の他にも,狭心症,冠動脈バイパス術後,心臓弁膜症術後,心不全,心臓移植後,大動脈疾患,末梢動脈疾患など多岐にわたる.
 リハ医療はもともと“Adding Life to Years(生活機能予後やQOLの改善)”を主目的に発展してきたが,心臓リハはさらに“Adding Years to Life(生命予後の改善)”にも効果があり,“AddingLife to Years and Years to Life”を達成できる極めて優れた医療である.しかもそのエビデンスレベルはAと極めて高く,さまざまな循環器疾患の治療ガイドラインに「極めて有効な治療」の1つとして収載されている.エビデンスが明らかでリスク管理の徹底した心臓リハはリハ医療のなかでも先進的であり,重複障害時代のリハにおいて心臓リハの役割がますます大きくなることは明白である.
 しかし,心臓リハの普及はいまだ十分でない.今後,心臓リハのエビデンスや重要性を患者・医療関係者双方に周知徹底させることが何よりも重要である.
 本書は,筆者が会長として仙台で開催する第19回日本心臓リハ学会学術集会(メインテーマ:「重複障害時代の心臓リハビリテーションの役割(Cardiac Rehabilitation in the Era of Multimorbidity)」)にあわせて企画されたものである.執筆者各位に感謝するとともに,企画・編集で何かと手を煩わせた医歯薬出版株式会社の小口真司氏にも感謝する.
 本書には,心臓リハの最新知識と具体的進め方を盛り込み,これから心臓リハを開始しようという医師および関連専門職の標準的な教科書として,また,すでに現場で行っている方々の技術や考え方のブラッシュアップの役割も果たせるように構成されている.本書が,質・量ともに優れた心臓リハの普及と発展に貢献する一助となれば,編著者としてこれに勝る喜びはない.
 2013年7月
 上月正博
第1章 循環器疾患総論
 1 循環器系の解剖と機能
  1.解剖
   心臓の解剖
   冠(状)動脈の解剖
   刺激伝導系
   大血管
  2.生理
   冠血流量
   心拍出量
   心収縮力
   心筋酸素消費量
 2 骨格筋の解剖と機能,廃用症候群
  1.骨格筋の解剖と機能
   骨格筋
   骨格筋の構造と収縮
   筋収縮のためのエネルギー供給
   筋線維
   筋の収縮様式とその特徴
   運動による筋線維の変化
  2.廃用症候群
   廃用症候群の定義と内容
   系別の病態生理と治療の原則
 3 運動と呼吸
  1.運動と外呼吸
   呼吸と肺の役割
   換気調節
   運動強度の増加と換気亢進
  2.運動と内呼吸(代謝)
   内呼吸とは
   骨格筋におけるエネルギー産生
   運動強度と乳酸値
   critical Po2と無酸素代謝の関係
   乳酸の緩衝によるCO2産生
   無酸素代謝出現による呼気ガスの変化
   無酸素代謝の役割
   ATP再合成と骨格筋・心血管系・呼吸器系の連関
   骨格筋・心血管系・呼吸器系の連関
 4 循環器系の症候と検査
  1.自覚症状
   胸痛(chest pain)
   動悸(palpitation)
   呼吸困難(dyspnea)
   チアノーゼ(cyanosis)
  2.身体所見
   脈拍の診察
   血圧測定
   心臓の診察
   頸部血管の診察
  3.検査
   胸部X線検査
   心臓超音波検査(心エコー,echocardiography)
   心電図
   心臓カテーテル検査
   血管機能検査
第2章 循環器疾患各論
 1 虚血性心疾患
  1.虚血性心疾患総論
   定義・概念
  2.狭心症
   病態
   分類
   診断
   治療
  3.心筋梗塞
   病態
   診断
   治療
   心筋梗塞の合併症
   心筋梗塞慢性期の治療
 2 心不全
  1.心不全総論
   心不全とは
   心不全の臨床症状と診断(HFpEF/HFrEF)
   心不全の代償機構と神経体液性因子
  2.急性心不全
   急性心不全と慢性心不全
   臨床的分類
   急性心不全の診断・病態把握と治療
   慢性心不全
   慢性心不全の検査
   慢性心不全の治療
   慢性心不全の予後
 3 弁膜疾患と先天性疾患
  1.弁膜症
   大動脈弁狭窄症
   僧帽弁閉鎖不全症
   大動脈弁閉鎖不全症
   僧帽弁狭窄症
  2.先天性心疾患
   心房中隔欠損症
   心室中隔欠損症
   ファロー(Fallot)四徴症
 4 不整脈
  1.頻脈性不整脈
   上室性期外収縮(PAC)
   心房粗動(AFL)
   心房細動(AF)
   発作性上室性頻拍症(PSVT)
   WPW症候群
   心室性期外収縮(PVC)
   心室頻拍(VT)
   心室細動(VF)
  2.徐脈性不整脈
   洞不全症候群(SSS)
   房室ブロック(AV block)
  3.治療
   薬物治療
   カテーテルアブレーション
   電気的除細動
   ペースメーカ
   植込み型除細動器(ICD)
   両心室ペーシング(bi-ventricular pacing)
   両心室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)
 5 その他の心血管疾患
  1.心筋・心膜疾患
   拡張型心筋症
   肥大型心筋症
   急性心膜炎
   感染性心内膜炎
   心タンポナーデ
  2.肺動脈疾患
   肺動脈血栓塞栓症
   肺高血圧症
  3.大動脈疾患
   大動脈瘤
   大動脈解離
  4.末梢動脈疾患
  5.末梢静脈疾患
   深部静脈血栓症
   血栓性静脈炎
   静脈瘤
 6 生活習慣病・代謝疾患
  1.高血圧
   病態・症状
   診断
   検査
   治療
  2.糖尿病・耐糖能障害
   糖尿病とは
   糖の流れ─糖尿病病態の理解のために
   糖尿病の分類
   糖尿病の診断
   糖尿病の治療
   糖尿病合併症
   慢性合併症
  3.脂質異常症
   病態
   診断
   症状
   検査
   脂質異常症の治療
  4.メタボリックシンドローム・肥満症
   メタボリックシンドロームの概念
   メタボリックシンドローム・肥満症の病態
   心臓リハビリテーションにおけるメタボリックシンドローム・肥満の評価法
   メタボリックシンドロームの介入および改善機序
  5.慢性閉塞性肺疾患(COPD)
   概念と疫学
   病態
   診断
   検査
   治療
  6.慢性腎臓病(CKD)
   定義
   CKDの有病者数とCKD対策の推移
   糸球体濾過量(GFR)
   腎臓の細胞,機能,疾患の関係
   CKDの原因
   CKDの管理と治療
   心腎連関を念頭においたCKD管理
   おわりに
第3章 心臓・血管と他臓器連関
 1 心臓・血管と腎臓
  慢性腎臓病
  生活習慣病と心腎連関
  腎臓疾患が心臓に及ぼす影響
  心臓疾患が腎臓に及ぼす影響
  おわりに
 2 心臓・血管と肺
  肺疾患が心臓に及ぼす影響
  心臓疾患が肺に及ぼす影響
  心血管疾患と肺疾患の合併
 3 心臓・血管と脳・神経
  心疾患と脳神経疾患
  心臓・血管と脳・神経における類似性と相違点
  微小循環障害と脳機能障害
 4 心臓・血管と骨
   骨粗鬆症と生活習慣病との関連性
   骨代謝と動脈硬化・心血管疾患
   骨代謝とスタチン
   骨代謝と高血圧
   おわりに
第4章 心臓リハビリテーションに必要な評価
 1 心臓リハビリテーション診療の手順
  心臓リハビリテーション患者の診療の基本事項
  高齢患者の特徴
  包括的心臓リハビリテーションで目指すこと
 2 身体機能評価
  身体計測
  筋力測定
  柔軟性テスト
  バランステスト
  サルコペニア
  フレイル
  CONUT(Controlling Nutritional Status)
  GNRI(Geriatric Nutritional Risk Index)
  SPPB(Short Physical Performance Battery)
 3 ADL評価法
  ADLの概念
  基本的ADL評価法(BI,FIM)
  手段的ADL評価法
 4 心肺運動負荷試験
  1.運動負荷試験の目的と種類
   運動負荷試験の目的
   運動の種類と運動負荷試験
   各種運動負荷試験の特徴
  2.運動負荷試験の実際
   運動負荷試験の禁忌
   運動負荷試験中の注意点
   運動負荷試験の中止基準
   運動負荷終了後の注意点
   心筋虚血の評価法
  3.各種呼気ガス分析指標
   直線的漸増(ramp)負荷試験中の生理学的応答
   測定中に得られるパラメータとその生理学的意義
   おわりに
 5 精神・心理機能検査
  抑うつを測定するスケール
  不安を測定するスケール
  Type Dパーソナリティを測定するスケール
  敵意・怒り・攻撃性を測定するスケール
  感情・気分を測定するスケール
  健康関連Quality of life(QOL)を測定するスケール
第5章 運動処方総論
 1 運動処方の基本
  患者選択・リスク層別化
  運動処方の目的
  外来における運動療法の組み立て
  ベッドサイドでの運動療法の組み立て
  運動種目・種類
  運動強度の設定
  おわりに
 2 監視,非監視の運動療法
  監視型運動療法
  非監視型運動療法
 3 運動療法の一般的な注意点
  運動療法中止基準
  その他
第6章 心臓リハビリテーション総論
 1 心臓リハビリテーションの変遷と日本の現状
  心臓リハビリテーションの歴史
  日本における心臓リハビリテーションの現状
 2 心臓リハビリテーションに関する基本的事項
  心臓リハビリテーションの定義と目的
  心臓リハビリテーションの構成要素
  心臓リハビリテーションの時期的区分(第I相,第II相,第III相)
  [補足]包括的リハビリテーションの考え方
 3 心臓リハビリテーションの有効性
  1.身体的効果
   運動耐容能の増加
   レジスタンストレーニングによる筋力増加
   心機能,心室リモデリングに対する影響
   冠循環に及ぼす効果
   換気機能の改善
   自律神経機能の改善
   末梢循環に及ぼす影響
   炎症性指標の改善
   骨格筋の適応現象
   冠危険因子の是正
   生命予後の改善
   性差と運動療法効果
  2.精神的満足度およびQOLに及ぼす効果
   心臓リハビリテーションにおけるHRQOL評価
   心筋梗塞
   冠動脈バイパス術後
   慢性心不全
   おわりに
第7章 心臓リハビリテーション各論
 1 心筋梗塞
  1.急性期心臓リハビリテーション
   有効性
   リハビリテーションの概要
   留意点
  2.回復期心臓リハビリテーション
   有効性
   包括的心臓リハビリテーションの要素
   リハビリテーションの概要
   留意点
   他職種へのメッセージ
  3.維持期心臓リハビリテーション
   現状
   メディックスクラブの取り組み
   運動教室の利点
 2 狭心症・冠動脈インターベンション
  1.狭心症例に対する心臓リハビリテーション
   現状
   効果
   狭心症後運動療法の実際
  2.冠動脈インターベンション後の心臓リハビリテーション
   現状
   運動療法の実際
   安全性と評価
  3 心臓術後
   運動療法の効果
   運動療法の方法
   原疾患・術式の相違による留意点
 4 慢性心不全
  心不全患者の運動耐容能低下機序
  心不全患者への運動療法の有効性
  運動療法の有効性の機序
  心不全患者への運動療法の実際
  心不全患者への運動療法と併用薬剤
  高齢心不全患者への運動療法
  おわりに
 5 ペースメーカ,ICDまたはCRT-D装着
  デバイス植込み後の上肢の運動
  デバイス植込み後の運動負荷試験
  ペースメーカ
  植込み型除細動器(ICD)
  両心室ペースメーカ(CRT),植込み型除細動器付きCRT(CRT-D)
  両心室ペースメーカ患者の運動耐容能
  デバイス植込み症例のフレイル,栄養
  デバイスの情報を心臓リハビリテーションに生かす
  まとめ
 6 補助人工心臓
  植込み型補助人工心臓装着後のリハビリテーションの実際
  精神的なサポート
 7 心臓移植
  心臓移植患者の特徴
  心臓移植後のリハビリテーションの効果
  心臓移植後のリハビリテーションプログラム
 8 大血管疾患
  大血管疾患における心臓リハビリテーションの意義
  リハビリテーションの効果
  大血管術後リハビリテーション時に考慮すべき病態
  運動療法の適応
  禁忌
  安全性
  リハビリテーションの実際
 9 末梢動脈疾患
  リハビリテーションの効果
  リハビリテーション開始にあたって
  リハビリテーションの実際
 10 不整脈
  心室性不整脈
  心房細動
  運動トレーニングの中止基準
  運動中の心事故
  不整脈研究の限界と問題点
  まとめ
 11 生活習慣病
  1.高血圧
   心臓リハビリテーションの効果
   適応・禁忌
   方法
   注意点
  2.肥満・脂質異常症
   リハビリテーションの効果
   適応・禁忌
   方法
   注意点
  3.糖尿病
   リハビリテーション(運動療法)の効果
   適応・禁忌
   運動療法の実際
   注意点:リハビリテーション・運動療法を始める前に
  4.慢性閉塞性肺疾患(COPD)
   リハビリテーションの効果
   適応・禁忌
   方法
   注意点
  5.慢性腎臓病(CKD)
   リハビリテーションの効果
   適応・禁忌
   方法と注意点
   運動に際しての特別な配慮
 Topics(1):高齢者心血管疾患における心臓リハビリテーションの意義
 Topics(2):慢性心不全患者に対する電気刺激の適応,効果とその機序
 Topics(3):和温療法
 Topics(4):衝撃波治療
 Topics(5):心臓リハビリテーションにおける作業療法
 Topics(6):理学療法士や看護師などのリハビリテーション従事者に望むこと
 Topics(7):「慢性心不全看護」認定看護師から「心不全看護」認定看護師へ
第8章 生活指導
 1 薬剤
  グレープフルーツジュースとカルシウム拮抗薬
  抗血栓薬
  周術期と抗血栓薬
 2 禁煙
  禁煙に対する医療者の姿勢
  禁煙指導のプロセス
  ニコチン依存─身体的依存と心理的依存
  禁煙指導の実際
  加熱式タバコ
 3 酸素療法
  酸素濃縮器使用におけるトラブルとその対処
  在宅酸素療法の患者が旅行するときのサポートと注意点
 4 救急処置・安全対策
  成人に対するBLS(一次救命処置)
  心停止に対するACLS(二次救命処置)
  早期除細動の原則
 5 入浴
  入浴が心血管系に及ぼす影響
  循環器疾患患者にふさわしい入浴法
 6 ウォーキング
  靴
  服装
  環境
  ウォーキングの方法
  運動強度(歩行速度)
  目的意識やバリエーション
 7 社会復帰支援
  家庭生活の復帰支援
  復職支援
  趣味・運動・スポーツの取り入れ方
  自動車運転
  航空機旅行
 8 栄養
  心臓リハビリテーション患者への栄養指導の意義
  虚血性心疾患の一次予防,二次予防
  動脈硬化性疾患予防のための食事療法
  うっ血性心不全
  高血圧
  糖尿病
  脂質異常症
  肥満症
 9 食塩制限
  食塩摂取の現状
  食塩摂取量の評価法
  個別の減塩指導
  減塩できる社会へ,環境づくり
  おわりに
 10 嗜好品
  アルコール飲料
  コーヒー,緑茶
 11 サプリメント
  サプリメントの定義と分類
  サプリメントの評価
 12 心理・カウンセリング
  循環器系疾患患者の心理的諸問題と予後への影響
  循環器系疾患患者における認知行動療法による治療的介入
第9章 心臓リハビリテーションの実際
 1 心臓リハビリテーションの運営
  1.心大血管疾患リハビリテーション料(I)(II)の施設基準
   心大血管疾患リハビリテーション料の施設基準
  2.心臓リハビリテーションチームにかかわる職種
   心臓リハビリテーションチームスタッフ
   心臓リハビリテーション指導士
  3.必要な機器と設備・施設
   運動療法施設の設計
   運動療法施設の例示(小規模施設/中規模施設/大規模施設)
   厚生労働省指定疾病予防運動施設
 2 心臓リハビリテーションの診療報酬と医療経済
  1.心臓リハビリテーションの診療報酬制度
   心大血管疾患リハビリテーション診療報酬制度の変遷
   心大血管疾患リハビリテーション料算定の施設基準
   心大血管疾患リハビリテーションの標準的な実施時間,従事者1人当たりの患者数
   心大血管疾患リハビリテーション料算定の手順
   維持期における月13単位までのリハビリテーション提供の継続
   標準的算定日数上限の除外対象
   負荷心肺機能検査と連続呼気ガス分析加算
   診療報酬改定での疑問点とその解釈
   診療報酬に関しての検討すべき事項と目標
  2.心臓リハビリテーションの医療経済的な価値評価
   医療の社会経済的な価値
   心臓リハビリテーションの社会経済的な評価
   健康関連QOLにかかわる課題
   おわりに
 3 心臓リハビリテーションの普及と阻害因子
  1.心臓リハビリテーションの普及の状況
   心臓リハビリテーションの普及の実態
   心臓リハビリテーションをさらに普及させるために
  2.心臓リハビリテーションへの参加と継続を阻害する因子とその対策
   参加阻害因子とその対策
   継続阻害因子とその対策
  3.地域運動療法施設との連携(現状と未来)
   一次予防・二次予防に対する行政の対応
   脳卒中・循環器病対策基本法の成立
   医療施設における運動療法施設の運営
   NPO法人ジャパンハートクラブ

 付録
  付録1 心機能関係指標正常値一覧
  付録2 eGFR男女・年齢別早見表
  付録3 METs換算表
  付録4 心臓リハビリテーション実施計画書

 索引