序文
現代社会には,多様なニーズと多様なサービスが存在する.そして,人々は自らの人生が豊かになることを望んでいる.本書の目的は,作業療法対象者の人生を豊かにするために,個々の作業療法士が質の高い作業療法を提供できるようになることである.
わが国で1965年に『理学療法士及び作業療法士法』が制定されてから53年が経過し,作業療法士免許取得者は80,000人を超えた.現在,作業療法士の養成校は190校を超え,入学定員数は約7,500人となっている.また,社会保障制度変革をはじめとする社会情勢の変化や対象者のニーズや権利に対する意識の変化に伴い,作業療法の現場では,人材育成,医療安全管理,経営管理などの必要性が高まり,これまで療法に専念していた作業療法士らも組織の管理運営に責任を負う時代になっている.そのようななか,2017年に厚生労働省の「理学療法士・作業療法士養成施設カリキュラム等改善検討会」において,組織や業務の管理運営に関する科目として「作業療法管理学」の設置が検討され,2020年から「作業療法管理学」が作業療法養成教育課程に位置付けられることが決まった.
本書は,臨床実践および作業療法教育に役立つ作業療法管理学の入門書として,「作業療法管理学があって,はじめて質の高い作業療法が提供できる」という理念のもと編集させていただいた.第1?5章では,作業療法における管理学の位置づけ,組織マネジメント,医療安全,医療サービスなどの作業療法の管理運営に関するポイントを解説した.第6?8章では,作業療法業務の実際について解説した.第9?13章では,作業療法の職域や職業倫理,作業療法を取り巻く諸制度,作業療法臨床実習,作業療法士のキャリア開発等について解説した.また,各章に学習のねらいと学習課題を設けることで作業療法管理学の教本として活用しやすいようにした.コラムは,臨床経験10年未満(コラム執筆時)の作業療法士の方々にお願いして,作業療法を学ぶ学生や経験の浅い作業療法士の作業療法実践に役立つ体験談を執筆していただいたので,ぜひご一読いただきたい.
本書の出版にあたって,作業療法における臨床・管理運営・教育の経験豊かな作業療法士の方々にご協力いただいた.作業療法学生はもとより,新人作業療法士教育や指導者養成など,作業療法の実務の管理・運営に役立てば幸いである.
最後に,本書に協力いただきました皆様,ご助言・ご指導をいただきました皆様に深謝申し上げます.
2018年7月
編者 大庭潤平
現代社会には,多様なニーズと多様なサービスが存在する.そして,人々は自らの人生が豊かになることを望んでいる.本書の目的は,作業療法対象者の人生を豊かにするために,個々の作業療法士が質の高い作業療法を提供できるようになることである.
わが国で1965年に『理学療法士及び作業療法士法』が制定されてから53年が経過し,作業療法士免許取得者は80,000人を超えた.現在,作業療法士の養成校は190校を超え,入学定員数は約7,500人となっている.また,社会保障制度変革をはじめとする社会情勢の変化や対象者のニーズや権利に対する意識の変化に伴い,作業療法の現場では,人材育成,医療安全管理,経営管理などの必要性が高まり,これまで療法に専念していた作業療法士らも組織の管理運営に責任を負う時代になっている.そのようななか,2017年に厚生労働省の「理学療法士・作業療法士養成施設カリキュラム等改善検討会」において,組織や業務の管理運営に関する科目として「作業療法管理学」の設置が検討され,2020年から「作業療法管理学」が作業療法養成教育課程に位置付けられることが決まった.
本書は,臨床実践および作業療法教育に役立つ作業療法管理学の入門書として,「作業療法管理学があって,はじめて質の高い作業療法が提供できる」という理念のもと編集させていただいた.第1?5章では,作業療法における管理学の位置づけ,組織マネジメント,医療安全,医療サービスなどの作業療法の管理運営に関するポイントを解説した.第6?8章では,作業療法業務の実際について解説した.第9?13章では,作業療法の職域や職業倫理,作業療法を取り巻く諸制度,作業療法臨床実習,作業療法士のキャリア開発等について解説した.また,各章に学習のねらいと学習課題を設けることで作業療法管理学の教本として活用しやすいようにした.コラムは,臨床経験10年未満(コラム執筆時)の作業療法士の方々にお願いして,作業療法を学ぶ学生や経験の浅い作業療法士の作業療法実践に役立つ体験談を執筆していただいたので,ぜひご一読いただきたい.
本書の出版にあたって,作業療法における臨床・管理運営・教育の経験豊かな作業療法士の方々にご協力いただいた.作業療法学生はもとより,新人作業療法士教育や指導者養成など,作業療法の実務の管理・運営に役立てば幸いである.
最後に,本書に協力いただきました皆様,ご助言・ご指導をいただきました皆様に深謝申し上げます.
2018年7月
編者 大庭潤平
第1章 作業療法とマネジメント
I マネジメントとは(大庭潤平)
II 作業療法におけるマネジメントとは(大庭潤平)
III マネジメントプロセスの機能とPDCAサイクル(大庭潤平)
IV 目標管理と目標設定(大庭潤平)
コラム(1) “やってみる”の大切さ(淺井康紀)
第2章 組織の成り立ちとマネジメント
I 組織とは(早坂友成)
II 組織と個人(早坂友成)
III 病院組織の特徴と組織のなかでの作業療法士の役割(岩谷清一)
IV 作業療法部門組織(岩谷清一)
コラム(2) 頼りになる先輩(酒井明日香)
第3章 情報のマネジメント
I 情報とは(稲富宏之)
II チーム医療・多職種連携とコミュニケーション(稲富宏之)
III 診療情報と記録の仕方(柴田八衣子)
IV 情報の取り扱いの注意事項(稲富宏之)
第4章 医療サービスのマネジメント
I サービスとは何か(高畑進一)
II サービスの基本的特性と構成(高畑進一)
III 医療におけるサービスの特徴(高畑進一)
IV 作業療法におけるサービスのマネジメント─質の高い医療サービス提供のために─(高畑進一)
コラム(3) 作業療法が人生を変える!?(見須裕香)
第5章 医療安全のマネジメント
I 医療におけるリスクマネジメントと医療事故(長尾 徹)
II ヒューマンエラー(危険予知トレーニングの方法)(長尾 徹)
III 作業療法におけるリスクマネジメント(長尾 徹)
IV インシデント・アクシデント報告書の書き方(長尾 徹)
コラム(4) まずは「ほう・れん・そう」(末吉謙斗)
第6章 作業療法業務のマネジメント(1) 人・物・経済性のマネジメント
I 人のマネジメント─新人教育と人材育成−(東川哲朗)
II モノ(物)のマネジメント−環境整備と物品管理−(山下剛正)
III 経済性のマネジメント(山下剛正)
コラム(5) 他職種との+αなコミュニケーション(浦田康平)
第7章 作業療法業務のマネジメント(2) 情報・時間・ストレスのマネジメント
I 情報のマネジメント(宇田 薫)
II タイムマネジメントとストレスマネジメント(柴田八衣子)
コラム(6) 私の休日の過ごし方(井上紳也)
第8章 作業療法業務のマネジメント─実践からの学び─
I 作業療法部門の業務管理(峯下隆守)
II 人材育成のマネジメント−新人作業療法が知っておきたい心得−(東川哲朗)
III 連携のマネジメント(宇田 薫)
IV 地域で活動する作業療法士のマネジメント(西上忠臣)
V 行政機関で働く作業療法士の地域住民の生活を支えるマネジメント(高橋明子)
VI 災害時の作業療法士の役割(内田正剛)
コラム(7) 作業療法士はアイデアマン(淺井康紀)
第9章 作業療法の役割と職域
I 作業療法の法律と定義(大庭潤平)
II 作業療法士数と職域(大庭潤平)
III 職能団体の意義と役割(苅山和生)
IV これから期待される作業療法の領域(大庭潤平)
コラム(8) ともに成長できる仲間の「存在」(崎本史生)
第10章 作業療法士の職業倫理
I 倫理とは(藤原瑞穂)
II 作業療法士の職業倫理と研究倫理(藤原瑞穂)
III 患者・対象者(児)の権利と尊厳(加藤雅子)
第11章 作業療法をとりまく諸制度
I 医療保険制度(梶原幸信)
II 介護保険制度(梶原幸信)
III 障害者福祉制度(梶原幸信)
IV 地域包括ケアシステム(佐藤孝臣)
コラム(9) 作業療法士になって考える「臨床の疑問」との向き合い方(崎本史生)
第12章 作業療法臨床実習の理解と管理体制
I 作業療法教育課程の理解−基礎・専門科目と臨床実習の関係−(丹羽 敦)
II 作業療法臨床実習の目的と到達目標および評価(丹羽 敦)
III 作業療法臨床実習の指導体制(管理・運営)と指導方法(丹羽 敦)
IV 作業療法臨床実習で求められる学生の資質(態度)(丹羽 敦)
コラム(10) 今の私を支える臨床実習での経験(澤 晃平)
第13章 作業療法士のキャリア開発
I 臨床と実践知と研究(藤原瑞穂)
II 作業療法士の資格認定制度(認定作業療法士・専門作業療法士)(西出康晴)
III 大学院進学と国際貢献(藤原瑞穂)
IV ワークライフバランス(大浦由紀)
コラム(11) 作業療法士としての自分,母としての自分(長田佑里絵)
コラム(12) 家族ができて変わった,私の作業療法観(菊地理仁)
I マネジメントとは(大庭潤平)
II 作業療法におけるマネジメントとは(大庭潤平)
III マネジメントプロセスの機能とPDCAサイクル(大庭潤平)
IV 目標管理と目標設定(大庭潤平)
コラム(1) “やってみる”の大切さ(淺井康紀)
第2章 組織の成り立ちとマネジメント
I 組織とは(早坂友成)
II 組織と個人(早坂友成)
III 病院組織の特徴と組織のなかでの作業療法士の役割(岩谷清一)
IV 作業療法部門組織(岩谷清一)
コラム(2) 頼りになる先輩(酒井明日香)
第3章 情報のマネジメント
I 情報とは(稲富宏之)
II チーム医療・多職種連携とコミュニケーション(稲富宏之)
III 診療情報と記録の仕方(柴田八衣子)
IV 情報の取り扱いの注意事項(稲富宏之)
第4章 医療サービスのマネジメント
I サービスとは何か(高畑進一)
II サービスの基本的特性と構成(高畑進一)
III 医療におけるサービスの特徴(高畑進一)
IV 作業療法におけるサービスのマネジメント─質の高い医療サービス提供のために─(高畑進一)
コラム(3) 作業療法が人生を変える!?(見須裕香)
第5章 医療安全のマネジメント
I 医療におけるリスクマネジメントと医療事故(長尾 徹)
II ヒューマンエラー(危険予知トレーニングの方法)(長尾 徹)
III 作業療法におけるリスクマネジメント(長尾 徹)
IV インシデント・アクシデント報告書の書き方(長尾 徹)
コラム(4) まずは「ほう・れん・そう」(末吉謙斗)
第6章 作業療法業務のマネジメント(1) 人・物・経済性のマネジメント
I 人のマネジメント─新人教育と人材育成−(東川哲朗)
II モノ(物)のマネジメント−環境整備と物品管理−(山下剛正)
III 経済性のマネジメント(山下剛正)
コラム(5) 他職種との+αなコミュニケーション(浦田康平)
第7章 作業療法業務のマネジメント(2) 情報・時間・ストレスのマネジメント
I 情報のマネジメント(宇田 薫)
II タイムマネジメントとストレスマネジメント(柴田八衣子)
コラム(6) 私の休日の過ごし方(井上紳也)
第8章 作業療法業務のマネジメント─実践からの学び─
I 作業療法部門の業務管理(峯下隆守)
II 人材育成のマネジメント−新人作業療法が知っておきたい心得−(東川哲朗)
III 連携のマネジメント(宇田 薫)
IV 地域で活動する作業療法士のマネジメント(西上忠臣)
V 行政機関で働く作業療法士の地域住民の生活を支えるマネジメント(高橋明子)
VI 災害時の作業療法士の役割(内田正剛)
コラム(7) 作業療法士はアイデアマン(淺井康紀)
第9章 作業療法の役割と職域
I 作業療法の法律と定義(大庭潤平)
II 作業療法士数と職域(大庭潤平)
III 職能団体の意義と役割(苅山和生)
IV これから期待される作業療法の領域(大庭潤平)
コラム(8) ともに成長できる仲間の「存在」(崎本史生)
第10章 作業療法士の職業倫理
I 倫理とは(藤原瑞穂)
II 作業療法士の職業倫理と研究倫理(藤原瑞穂)
III 患者・対象者(児)の権利と尊厳(加藤雅子)
第11章 作業療法をとりまく諸制度
I 医療保険制度(梶原幸信)
II 介護保険制度(梶原幸信)
III 障害者福祉制度(梶原幸信)
IV 地域包括ケアシステム(佐藤孝臣)
コラム(9) 作業療法士になって考える「臨床の疑問」との向き合い方(崎本史生)
第12章 作業療法臨床実習の理解と管理体制
I 作業療法教育課程の理解−基礎・専門科目と臨床実習の関係−(丹羽 敦)
II 作業療法臨床実習の目的と到達目標および評価(丹羽 敦)
III 作業療法臨床実習の指導体制(管理・運営)と指導方法(丹羽 敦)
IV 作業療法臨床実習で求められる学生の資質(態度)(丹羽 敦)
コラム(10) 今の私を支える臨床実習での経験(澤 晃平)
第13章 作業療法士のキャリア開発
I 臨床と実践知と研究(藤原瑞穂)
II 作業療法士の資格認定制度(認定作業療法士・専門作業療法士)(西出康晴)
III 大学院進学と国際貢献(藤原瑞穂)
IV ワークライフバランス(大浦由紀)
コラム(11) 作業療法士としての自分,母としての自分(長田佑里絵)
コラム(12) 家族ができて変わった,私の作業療法観(菊地理仁)














