やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

監修者の序
 本書は,姉妹書の『イラストでわかる小児理学療法』(2013年 医歯薬出版刊)でカバーできなかった部分を補足するものとして企画しました.具体的には,本分野で重要な疾患である「脳性麻痺」,「小児整形疾患」,「デュシャンヌ型筋ジストロフィー」等を中心に取り上げ,学生にとってイメージしにくい障害児の臨床像については「症例」を提示し,必要な「症例」の観察・評価・介入のアドバイスをまとめました.
 従来のテキストでは,疾患の「原因」,「全体像」,「評価」等の項目で構成されていますが,臨床像をイメージすることまではなかなか困難だったのではないかと思います.しかし,本書はクリニカルリーズングの構成をとっていますので,実際に担当症例の介入方法を展開することで,より疾患を身近に感じることができるものと考えます.それにより,「疾患の特徴」の復習にとどまらず,難渋な問題である国試の「実地問題」の解決能力や,臨床実習への対応まで可能であると考えます.
 また,講義で,症例の示す現症を講師が真似して説明しても限界があるように思います.事実,脳性麻痺の痙直型とアテトーゼ型を講義したあとで,実際の症例を見せて判別できない学生が多々いることを経験する教員が多いのではないでしょうか?そこで,本書では,症例を動画で提示することによって学生の理解を図るようにしました.
 そして,「イラストでわかるシリーズ」として共通した内容である,理学療法士養成校の学生に合った内容で「わかりやすい」・「興味がもてる」・「ポイントを絞った」を目標に,平易な文章でイラストを多用しコンパクトにまとめました.ぜひ小児理学療法に興味をもち,セラピストとして児・保護者に還元してもらえれば監修者としてうれしいかぎりです.
 監修にあたり,できるだけ読みやすさを心がけました.また,不適切な用語がありましたらご教授いただければうれしく思います.最後に,ご子息・ご令嬢の撮影許可をいただいた保護者の皆様,ご多忙のところ監修者のお願いをこころやすくお聞き入れてくださいました著者の先生方,および出版に労をいとわずにご尽力をくださった医歯薬出版株式会社編集部担当者に深くお礼申し上げます.
 2018年2月
 監修者 上杉雅之
 執筆者一覧
 動画コンテンツについて
 索引
 監修者の序(上杉雅之)
第1章 リスク児(早産・新生児仮死)
 (浅野大喜)
第2章 脳性麻痺(痙直型両麻痺)
 (中野尚子)
第3章 脳性麻痺(痙直型片麻痺)
 (山川友康(動画・浪本正晴)
第4章 脳性麻痺(痙直型四肢麻痺)
 (正木光裕)
第5章 脳性麻痺(ジストニックアテトーゼ)
 (横井裕一郎,井上和広)
第6章 脳性麻痺(痙性を伴うアテトーゼ)
 (浪本正晴)
第7章 脳性麻痺(失調型)
 (森田正治)
第8章 ダウン症候群
 (森田正治)
第9章 デュシャンヌ型筋ジストロフィー
 (吉田勇一,岩田恭幸)
第10章 小児整形疾患(先天性多発性関節拘縮症)
 (浪本正晴)
第11章 小児整形疾患(二分脊椎)
 (横井裕一郎)
第12章 広汎性発達障害
 (藪中良彦)

 索引