やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

特集 セッティング別のリハビリテーション栄養
 企画主旨
 編集委員 前田圭介
 高齢化率上昇を背景に,わが国では高齢者の介護予防および障害に対するリハビリテーション(リハ)といった,身体的問題に対する関心が高まっている.加齢だけでなく,加齢に付随して観察される活動量減少,低栄養,疾病率増加なども身体的問題に直結する超高齢社会の課題である.加齢,低活動,低栄養,さまざまな疾病は,骨格筋量減少と筋機能低下を引き起こし得る.つまり,近年よく知られるようになったサルコペニアという病態の誘因となる.また,一見元気そうにみえるがアクシデントに対する脆弱性を秘めている高齢者を指すフレイルも,老年栄養学上重要視されているトピックである.特に,身体的フレイルはサルコペニアを軸に病態が説明できることから,高齢者のサルコペニア対策が重要であると考えられている.
 リハ栄養は,サルコペニアや関連病態を評価,診断し,対象者の心身機能,活動,社会参加を最大限に発揮できるよう支援する栄養管理法であるといえる.リハは狭義には,理学療法士などの専門職がマンツーマンで行う運動療法であるが,広義には,障害をもつ人が個別のゴールを達成するために行われるプロセスすべてであるとされる.リハ栄養は,広義のリハの概念をさらに拡張させ,老年栄養学上問題を抱え障害リスクを抱える人に対する予防的な介入まで含んでいる.対象者は介護予防から障害に対する機能向上訓練を目的とした人までと幅広い.そのため,セッティングによりリハ栄養のアプローチは少し異なる.
 本企画では,リハ栄養を読者に広く理解してもらうことを目的に,セッティング別のリハ栄養を取り上げた.「リハ入院患者の栄養」「療法士がいないとできない」などといった,リハ栄養の誤解を少しでも解いて,多くの対象者へリハ栄養のコンセプトに準じた栄養ケアが届くことを願っている.
特集 セッティング別のリハビリテーション栄養
 企画主旨
 【総論】セッティング別に考えるリハビリテーション栄養(前田圭介)
 【急性期病院(common disease)】急性期病院に入院するcommon diseaseとリハビリテーション栄養(社本 博)
 【急性期病院(重症疾患/ICU)】重症患者のサルコペニア対策(飯田有輝)
 【亜急性期・包括ケア病棟】地域包括ケア病棟ならではのリハビリテーション栄養(森川 暢)
 【回復期リハビリテーション病棟(管理栄養士の視点)】回復期リハビリテーション病棟におけるリハ栄養ケアプロセスと管理栄養士の役割(山仁子)
 【回復期リハビリテーション病棟(リハ医の視点)】回復期リハビリテーション病棟に求められるダイナミックなリハ栄養(森脇美早)
 【長期療養型病棟】長期介護を要する高齢者の低栄養,嚥下障害,サルコペニア(山内杏奈 吉村芳弘・他)
 【入所介護型施設】リハビリテーションも栄養も不十分な現状(藤本篤士)
 【通所介護型施設】介護施設から在宅へ―高齢者が望む生活を支える通所リハビリテーション栄養(西田有里)
 【訪問診療・訪問看護】訪問診療・訪問看護におけるリハビリテーション栄養(佐々木 淳)
 【訪問栄養指導】「在宅リハビリテーション栄養」を実践するセッティングを整えるために(塩野崎淳子)
 【訪問薬剤師】足し算・引き算では解決しない在宅の「薬と栄養」(豊田義貞)
 【訪問歯科】訪問歯科診療から要介護高齢者の「食べる力」をサポートする(長谷剛志)
 【歯科医院】歯科医院で行うリハビリテーション栄養(高橋正樹)
 【地域在住高齢者】介護予防のためのサルコペニア対策(山田 実)
 【災害避難所】災害避難所における課題とリハビリテーション栄養(小島 香)

連載
【災害支援とリハビリテーション栄養(2)】
 リアル災害支援・リハビリテーション栄養(古屋 聡)

【リハ栄養あるある(2)】
 回復期にやってきたパーキンソン病・サルコペニア・重度摂食嚥下障害(鈴木瑞恵)

リハビリテーション栄養論文紹介(2)
 (百崎 良)

症例報告 Sarcopenic dysphagia due to dumping syndrome after gastrectomy:A case report
 (Reiko Mori,Hiroshi Shamoto et al)

リハビリテーション栄養学会診療ガイドライン2018年版

第8回日本リハビリテーション栄養学会学術集会 抄録集

 日本リハビリテーション栄養学会 入会のすすめ
 日本リハビリテーション栄養学会誌投稿規定
 次号予告