やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

序文
 本書は,既刊『カラー写真で学ぶ 実践スポーツ障害のみかた 下肢編』の続刊であり上肢・体幹のスポーツ障害への入門書である.
 通常,スポーツ障害というと,動きの激しい,また荷重による負荷の影響を受けやすい下肢がその対象となりがちである.しかし,上肢・体幹においても成長期に見逃すことのできない疾患が多く存在する.また,上肢は下肢と異なって非荷重関節であるため,病態の進行に気づく機会が少なく,したがって,重篤なレベルに至るまで受診が控えられるケースも多いと思われる.臨床家は,日常のわずかなサインについても見逃すことなく慎重な対応が求められる.
 本書『上肢・体幹編』は,『下肢編』と同様,解剖学的部位を示すとともに,その部位に特有な疾患について症例を示し,豊富な画像を提示しながら解説を行っている.臨床上,珍しい疾患も一部含まれているが,鑑別する上で重要な症例である.症例は上肢・体幹の部位ごとに示し,目で楽しみながらその解剖から臨床まで自然と頭に入るように工夫している.是非とも,本書を熟読されまして,スポーツ障害に対する理解を深めていただければ幸いである.
 最後に,本書作成にあたって,全面的なご協力をいただきました堺整骨院総院長の堺正孝先生をはじめ,堺整形外科医院福岡スポーツクリニック診療放射線技師中上晃一先生,画像のCG作成には本学教員の田口大輔講師,写真のモデルには本学学生の井上友希さんと杉山陽子さん,さらに,医歯薬出版の竹内大様に多大なるご協力を頂きましたこと,この場をお借りしまして心より感謝申し上げます.
 明治国際医療大学保健医療学部
 竹内義享
 序文
 はじめに
第1章 肩・上腕部
 1.烏口突起
  肩関節脱臼
 2.肩鎖関節
  肩鎖関節脱臼
 3.棘上筋腱
  棘上筋腱断裂 肩峰下インピンジメント症候群
 4.肩甲骨内側縁
  長胸神経麻痺
 5.後方四角腔
  腋窩神経損傷 ベネット病変
 6.棘上筋・棘下筋
  肩甲上神経麻痺
 7.上腕二頭筋長頭腱
  上腕二頭筋長頭腱断裂 関節唇損傷(SLAP損傷)
 8.上腕骨近位骨端線(小児における)
  上腕骨近位骨端線離開
 9.上腕骨骨幹部
  上腕骨骨折(投球骨折) 橈骨神経麻痺
第2章 肘・前腕部
 1.上腕骨外側上顆
  上腕骨外側上顆炎
 2.腕橈関節
  離断性骨軟骨炎(野球肘外側型)
 3.上腕骨内側上顆
  野球肘(内側型)
 4.尺側側副靭帯(前斜走線維)
  尺側側副靭帯損傷
 5.尺骨神経
  尺骨神経炎
 6.肘頭
  野球肘(後方型)(肘頭疲労骨折,肘頭骨端線離開) 肘頭滑液包炎
 7.ヒューター線・ヒューター三角
  肘関節後方脱臼
 8.尺骨骨幹部
  尺骨疲労骨折(中央部)
第3章 手・指部
 1.橈骨遠位端部
  橈骨遠位端骨折 交叉性腱鞘炎
 2.遠位橈尺関節
  遠位橈尺関節脱臼
 3.尺骨茎状突起
  TFCC損傷
 4.尺側手根伸筋腱
  尺側手根伸筋腱鞘炎・脱臼
 5.指伸筋腱
  指伸筋腱脱臼
 6.スナッフボックス
  舟状骨骨折 プライザー病 キーンベック病
 7.有鉤骨鉤
  有鉤骨鉤骨折
 8.第1指MP関節
  第1指MP関節損傷
 9.中手骨
  中手骨骨折(ファイター骨折)
 10.手指IP関節
  PIP関節側副靭帯損傷 PIP関節脱臼
 11.指節骨
  マレットフィンガー 中節骨基部剥離骨折
第4章 胸郭・脊柱
 1.大鎖骨上窩
  第1肋骨疲労骨折
 2.肋骨
  肋骨骨折
 3.椎間板
  腰椎椎間板ヘルニア バーナー症候群
 4.第4・5腰椎棘突起
  腰椎分離症
 5.腰椎横突起
  腰椎横突起骨折
 6.腹直筋
  腹直筋肉離れ

 付.画像所見の活用方法
 索引