やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 本書は,骨関節の代表的な25疾患を対象にした保存療法の入門書であります.保存療法の有効性については多くの新しい報告があり,あらためてその治療法の見直しが求められている分野でもあります.日常臨床で最もよく目にするこの25疾患について,問診から評価・治療法・リハビリにいたる一連の流れの中で可能な限り保存療法を行うために必要な知識を簡潔に説明しています.“臨床直結の書”として十分に利用いただけるものと考えております.
 近年,医療費の削減が叫ばれ,特に薬において顕著のようでありますが,この現象は薬に限ったことではありません.高額な検査や過剰な診療は敬遠される傾向にあり,また自己負担金の高額化から,安価な治療への要望が高まっているようであります.
 このような社会的背景もあり,今後,多くの皆様の保存療法に対する興味が高まる中で,本書が臨床応用への参考となれば望外の喜びであります.
 本書の制作にあたって,X線写真等の貴重な資料の提供を頂きました信原病院(兵庫県)信原克哉先生,医療法人堺整形外科医院福岡スポーツクリニック(福岡県)堺研二先生,ならびにご協力いただきました両病院の皆様方に心からお礼を申し上げます.また,出版にあたってご指導賜りました医歯薬出版の竹内大様に深謝いたします.
 最後に,本書の制作にあたって協力いただいた下記の私の仕事仲間と,優秀な本学学生に心より感謝いたします.

 協力者一覧
 林中和也,藤田 剛,藤原佑輔,丸山顕嘉,竹下和良(学生),田中嵩樹(学生),各務裕貴(学生・モデル),田中瑠美(学生・モデル),堀越悠里(学生・モデル)

 明治国際医療大学保健医療学部
 竹内義享
基礎編
1.評価の基礎知識
 ・評価内容
  I.問診 II.視診 III.触診 IV.聴診
 ・計測・検査
  I.形態計測 II.関節可動域(ROM) III.反射 IV.徒手・筋力テスト(MMT)
2.骨・関節・筋・靱帯の基礎とその損傷
 ・骨・関節・筋・靱帯の基礎
  I.骨 II.関節 III.筋・靱帯
 ・外傷の治癒過程と骨・関節・筋等の障害
  I.骨の治癒過程 II.骨折 III.脱臼 IV.筋・靱帯損傷
3.固定の目的と固定材料
  I.固定 II.固定の種類 III.固定材料の種類 IV.固定期間の目安
4.リハビリテーション
 ・物理療法
  I.温熱療法 II.寒冷療法 III.電気療法 IV.光線療法
 ・歩行
  I.正常歩行 II.異常歩行 III.歩行補助具と杖歩行
 ・運動療法
  I.他動運動・自動運動 II.運動療法を行う前に III.運動連鎖 IV.運動とてこ
臨床編
I.上肢
 ・肩関節
  1.肩関節前方脱臼
  2.肩鎖関節脱臼
  3.腱板損傷
  4.鎖骨骨折
 ・肘関節
  5.肘関節後方脱臼
  6.肘内障
  7.上腕骨外側上顆炎
  8.上腕骨内側上顆炎
 ・手関節
  9.橈骨遠位端骨折
 ・指関節
  10.マレットフィンガー
  11.中手骨骨折
  12.バネ指
  13.指捻挫
II.頭部・体幹
 ・頭部
  14.顎関節脱臼
 ・体幹
  15.肋骨骨折
III.下肢
 ・大腿部
  16.肉離れ
 ・膝関節
  17.膝蓋骨脱臼
  18.前十字靱帯(ACL)損傷
  19.膝関節内側側副靱帯(MCL)(単独)損傷
  20.半月損傷
 ・下腿部・足関節
  21.アキレス腱断裂
  22.腓骨骨折
  23.足関節捻挫
  24.踵骨骨折
  25.下駄履き骨折

 索引