序文
鍼灸治療における安全性ガイドライン委員会(現・鍼灸安全性委員会)による『鍼灸治療における感染防止の指針』が発行されてから,十数年の歳月が経過した.この間に,国内外ではエビデンス(科学的根拠)にもとづく感染防止対策や安全対策が強く求められ,病医院においても標準予防策(CDC)等が一般的に行われるようになった.
一方,鍼灸領域においてもWHOが1999年に「鍼の基礎教育と安全性に関するガイドライン」を発行し,鍼灸医療における安全性のガイドラインを示した.
これらのことから,国内でもこのような情勢を踏まえた新ガイドラインの刊行が求められるようになった.そこで,鍼灸安全性委員会では新ガイドラインの執筆・編集作業を進め,このたび本書を刊行するに至った.
本書は,「第1部 鍼灸医療での感染防止対策」「第2部 鍼灸医療事故,有害事象の防止対策」「第3部 付録(消毒剤の選択と適応)」から構成されている.全体的には,安全性の確保を最優先し,患者中心の鍼灸医療を行うことを基本としている.
このため,第1部では感染に関わる病原体,感染経路,感染症,感染の予防対策,国内の感染症法,手洗い・手指消毒,施術野の消毒,刺鍼・抜鍼時の清潔操作,鍼や器具の洗浄や滅菌・保管,快適な鍼灸医療環境の構築・保持や省エネルギー,廃棄物の処理などに関する基本的知識を持ち,感染予防を適切に行うことで,すべての患者さんに一定の質の鍼灸医療を提供できるように構成している.
第2部では,医療事故の防止対策,鍼灸治療の禁忌と注意すべき病態,重要臓器の傷害事故の防止,鍼灸医療事故や有害事象対策,鍼灸カルテの意義と管理,鍼灸医療機器の安全管理,施術者の定期検診と感染予防などに関する基本的知識を持ち,鍼灸医療事故や有害事象の発生を未然に防ぎ,且つ自らへの感染防止も図るように構成している.
鍼灸医療では,これらの対策を適切に実施することが,安全な鍼灸医療に繋がる.個々の対策が一つでもおろそかになると,(他の防止対策が完全に行われても)全体としての安全性は乏しくなる.本書に示す防止対策を身につけ,安全で事故のない鍼灸医療を行う.
鍼灸医療は,今や世界的な広がりをみせ,安全な鍼灸治療の実施は国際的な潮流である.鍼灸治療で生命の危険や病状の悪化が予測されたり,効果がまったく期待できない場合には,施術を避けなければならない.さらに,安全な鍼灸治療を行うためには,事故の発生に関わる人的要因やシステム要因等に関する基本的な知識を持ち,「人は過ちを犯す」という前提に立ち,常に危機意識を持って,(鍼灸治療での)リスク回避に努めなければならない.
きわめて少数の鍼灸医療従事者が起こす鍼灸医療事故,有害事象が,本人のみでなく,鍼灸医療界全体に対する社会的不信感をもたらしたり,安心して受療しにくい医療という風評等に繋がることも銘記すべきである.反対に,安全で且つ安心,快適な清潔環境で受療できるという鍼灸界全体の潮流は,鍼灸医療の社会的評価を高めることに繋がるのはいうまでもない.
安全な鍼灸医療の実施では,基本的な事項を正しく理解・修得し,一定水準に達すれば応用が可能となり,肝心な対策もはっきりと見え,過剰な心配や対策,過剰な経済的負担等もなくなる.
本書は,これから鍼灸を学ぶ学生,鍼灸医療従事者を対象にしており,全章の冒頭(付録を除く)に「基本(ねらい)」「point(要点)」を統一的な短文で記載し,各章のねらいや要点を明確にしている.本文は二色刷りであり,必要に応じてカラー刷りとすることで,読みやすく,わかりやすいように構成している.本書に示す内容を熟読・体得し,より安全な鍼灸医療を実施されることを願ってやまない.
2006年11月吉日
明治鍼灸大学名誉教授 尾崎昭弘
呉竹学園理事長・校長 坂本 歩
鍼灸治療における安全性ガイドライン委員会(現・鍼灸安全性委員会)による『鍼灸治療における感染防止の指針』が発行されてから,十数年の歳月が経過した.この間に,国内外ではエビデンス(科学的根拠)にもとづく感染防止対策や安全対策が強く求められ,病医院においても標準予防策(CDC)等が一般的に行われるようになった.
一方,鍼灸領域においてもWHOが1999年に「鍼の基礎教育と安全性に関するガイドライン」を発行し,鍼灸医療における安全性のガイドラインを示した.
これらのことから,国内でもこのような情勢を踏まえた新ガイドラインの刊行が求められるようになった.そこで,鍼灸安全性委員会では新ガイドラインの執筆・編集作業を進め,このたび本書を刊行するに至った.
本書は,「第1部 鍼灸医療での感染防止対策」「第2部 鍼灸医療事故,有害事象の防止対策」「第3部 付録(消毒剤の選択と適応)」から構成されている.全体的には,安全性の確保を最優先し,患者中心の鍼灸医療を行うことを基本としている.
このため,第1部では感染に関わる病原体,感染経路,感染症,感染の予防対策,国内の感染症法,手洗い・手指消毒,施術野の消毒,刺鍼・抜鍼時の清潔操作,鍼や器具の洗浄や滅菌・保管,快適な鍼灸医療環境の構築・保持や省エネルギー,廃棄物の処理などに関する基本的知識を持ち,感染予防を適切に行うことで,すべての患者さんに一定の質の鍼灸医療を提供できるように構成している.
第2部では,医療事故の防止対策,鍼灸治療の禁忌と注意すべき病態,重要臓器の傷害事故の防止,鍼灸医療事故や有害事象対策,鍼灸カルテの意義と管理,鍼灸医療機器の安全管理,施術者の定期検診と感染予防などに関する基本的知識を持ち,鍼灸医療事故や有害事象の発生を未然に防ぎ,且つ自らへの感染防止も図るように構成している.
鍼灸医療では,これらの対策を適切に実施することが,安全な鍼灸医療に繋がる.個々の対策が一つでもおろそかになると,(他の防止対策が完全に行われても)全体としての安全性は乏しくなる.本書に示す防止対策を身につけ,安全で事故のない鍼灸医療を行う.
鍼灸医療は,今や世界的な広がりをみせ,安全な鍼灸治療の実施は国際的な潮流である.鍼灸治療で生命の危険や病状の悪化が予測されたり,効果がまったく期待できない場合には,施術を避けなければならない.さらに,安全な鍼灸治療を行うためには,事故の発生に関わる人的要因やシステム要因等に関する基本的な知識を持ち,「人は過ちを犯す」という前提に立ち,常に危機意識を持って,(鍼灸治療での)リスク回避に努めなければならない.
きわめて少数の鍼灸医療従事者が起こす鍼灸医療事故,有害事象が,本人のみでなく,鍼灸医療界全体に対する社会的不信感をもたらしたり,安心して受療しにくい医療という風評等に繋がることも銘記すべきである.反対に,安全で且つ安心,快適な清潔環境で受療できるという鍼灸界全体の潮流は,鍼灸医療の社会的評価を高めることに繋がるのはいうまでもない.
安全な鍼灸医療の実施では,基本的な事項を正しく理解・修得し,一定水準に達すれば応用が可能となり,肝心な対策もはっきりと見え,過剰な心配や対策,過剰な経済的負担等もなくなる.
本書は,これから鍼灸を学ぶ学生,鍼灸医療従事者を対象にしており,全章の冒頭(付録を除く)に「基本(ねらい)」「point(要点)」を統一的な短文で記載し,各章のねらいや要点を明確にしている.本文は二色刷りであり,必要に応じてカラー刷りとすることで,読みやすく,わかりやすいように構成している.本書に示す内容を熟読・体得し,より安全な鍼灸医療を実施されることを願ってやまない.
2006年11月吉日
明治鍼灸大学名誉教授 尾崎昭弘
呉竹学園理事長・校長 坂本 歩
序文
第1部 鍼灸医療での感染防止対策
I 序:医療における感染予防の基本
1. 病原体
●病原体の種類と大きさ
●ウイルスと細菌の増殖
2. 病原体の侵入門戸,侵入のしかたと感染の成立
3. 感染経路
4. 感染症
●一般感染症
●日和見感染症
5.感染の予防対策
●標準予防策
●感染経路別予防策
6. 感染症法とは
●旧来の感染症予防関係の法律の廃止と感染症法(感染症新法)の制定・施行
●感染症法の一部改正
●感染症の類型と対象疾患
●感染症の入院または入院勧告,健康診断,就業制限の概要と行政による強権的な措置
●医師,指定届出機関の管理者の届け出
II 手洗い・手指消毒
1. 手洗い・手指消毒による感染予防
●手指衛生
●手洗い・手指消毒の分類
2. 手洗い・手指消毒のしかた
●手洗い・手指消毒上の注意
●日常手洗いのしかた
●衛生的手洗いのしかた
3. 手荒れ対策
III 施術野の消毒
1. 鍼灸治療の安全性を保つための施術野の消毒
2. 施術野の皮膚消毒に用いられる消毒剤
●アルコール類(消毒用エタノール,イソプロパノール)
●四級アンモニウム塩系
●ビグアナイド系(グルコン酸クロルヘキシジン)
●ヨウ素系(ポビドンヨード)
●鍼灸治療前後の施術野の皮膚消毒で推奨されている消毒剤
3. 消毒綿花の作製と管理
●消毒綿花の作製と管理の注意点
●使い捨てタイプのアルコール綿花入りの製品
4. 刺鍼前の施術野の消毒のしかた
●刺鍼前の消毒綿花による施術野の清拭
●これまでの清拭方向の提唱と鍼灸治療での清拭方向のあり方
5. 刺鍼後と施灸前後の施術野の消毒操作
●刺鍼後の消毒操作
●施灸前後の消毒操作
IV 刺鍼・抜鍼時の清潔操作
1. 単回使用毫鍼(JIS適合)の滅菌済み鍼の活用
●ディスポーザブル鍼から単回使用毫鍼への移行
●改正薬事法におけるリスク区分の再編
●単回使用毫鍼の滅菌済み鍼に対する品質保証
●単回使用毫鍼の滅菌済み鍼の活用
2. 消毒した施術野を手指等で汚染した場合の再消毒
●施術野の再消毒
●鍼治療前に消毒した部位を誤って触れた場合の再消毒
3. 鍼のクリーンテクニック(指サック・手袋の装着を含む)
●毫鍼の伝統的な刺入・抜去操作の特徴と感染のリスク
●推奨される手術用グローブや指サックの使用
●指サック等の使用上の注意
●毫鍼以外の刺鍼操作の注意点
●抜去操作の注意点
●クリーンニードルテクニックに準拠した製品の開発
●鍼治療の清潔操作の基本
4. 出血時の処置
V 鍼や器具の洗浄,滅菌と保管
1. 滅菌処理
●滅菌法
●滅菌処理のフロ-チャ-ト
●洗浄器
●滅菌のための包装(滅菌バッグ等)
●滅菌器
2. 単回使用毫鍼の未滅菌鍼の滅菌
3. 特殊な鍼や器具などの滅菌
4. 既滅菌物の保管
VI 快適な鍼灸医療環境の構築・保持と省エネルギー
1. 鍼灸院の新築,リフォーム
●建築材料・内装材
●バリアフリー
●玄関
●床
●受付
●待合室
●診察・治療室
●手洗い設備
●トイレ
2. 室内空気の清浄化,温度・湿度,照明と省エネルギー
●室内空気の清浄化,温度・湿度
●照明
3. クリーンメンテナンス(清潔清掃)
●院内環境の清掃
●血液,体液による環境表面汚染時の清掃
4. リネン類の処理
●一般リネン類の処理
●汚染リネン類の処理
5. 鍼灸院の省エネルギー
●省エネルギー(省エネ)
●グリーン購入(グリーン調達)
●エネルギー消費効率の向上を義務づけた特定機器の指定(省エネ法)
●国際標準化機構(ISO)の環境ラベルに関する規格
●(省エネラベリング制度に基づいた)省エネラベル
VI 廃棄物の処理
1. 廃棄物処理法に基づいた廃棄物の適正処理
2. 廃棄物
3. 感染性廃棄物と非感染性廃棄物
●感染性廃棄物とは
●感染性廃棄物と非感染性廃棄物の判断基準
4. 廃棄物の処理方法:分別・梱包・表示・保管
●院内廃棄物の分別
●梱包(容器への収納)
●表示
●保管
5. 専用廃棄容器への鍼の廃棄
6. 廃棄物処理業者への委託
●委託契約の締結
●マニフェスト(産業廃棄物管理票)
●収集・運搬容器の設置
●収集運搬業者・中間処理業者・最終処分業者
第2部 鍼灸医療事故,有害事象の防止対策
I 序:医療事故の防止対策
1. 患者中心の医療
●インフォームド・コンセント
●個人情報の保護
2. 医療事故の発生につながる要因
●人的要因
●システム要因
3. 鍼灸におけるリスクマネジメント
●リスクマネジメントとは
●鍼灸医療におけるリスクマネジメントの基本
●鍼灸臨床でのリスクマネジメント
II 鍼灸治療の禁忌と注意すべき病態
1. 鍼通電の禁忌と一般的注意
●鍼通電の禁忌
●安全な鍼通電を行うための一般的注意
2. レーザー鍼の禁忌と一般的注意
●レーザー鍼の禁忌
●安全なレーザー鍼を行うための一般的注意
3. 埋没鍼の禁止
4. 鍼灸治療で注意すべき病態
●鍼治療で注意すべき病態
●灸治療で注意すべき病態
5. 刺鍼,施灸を避ける部位と注意
●刺鍼を避ける部位と(刺鍼による)臓器の刺傷の禁止
●施灸を避ける部位
●顔面部の刺鍼ならびに間接灸の注意
III 重要臓器の傷害事故の防止
1. 刺鍼を避ける部位
2. 重要臓器付近での刺鍼による傷害事故の防止
3. 主要経穴の安全深度の目安について
●肺および胸膜の傷害事故(主に気胸)の防止
●心臓の傷害事故の防止
●肝臓などの傷害事故の防止
●腎臓の傷害事故の防止
●中枢神経の傷害事故の防止
●その他の危険性のある部位での刺鍼による傷害事故の防止
IV 鍼灸医療事故,有害事象対策
1. 鍼灸医療における安全性の確保
2. 気胸
●外傷性気胸を回避するための注意点
●外傷性気胸を回避する対策
●刺鍼による外傷性気胸の発生例
3. 折鍼,埋没鍼,抜け鍼
●折鍼の予防対策
●埋没鍼の予防対策
●抜け鍼の予防対策
●折鍼,埋没鍼,抜け鍼の発生例
4. 鍼の皮膚埋没や金粒・銀粒の皮膚へのくい込み,絆創膏かぶれ
●鍼の皮膚埋没や金粒・銀粒の皮膚へのくい込み,絆創膏かぶれの予防対策
●円皮鍼の皮下埋没,粒鍼(銀粒)の皮膚へのくい込みの発生例
5. 神経障害
●刺鍼による神経障害
●刺鍼による神経障害の予防対策
6. 感染
●鍼治療による感染
●鍼灸治療での感染の予防対策
●関節内刺鍼での感染の予防対策
7. 症状の増悪と鍼感の残存
●症状の増悪,鍼感の残存の発生
●症状の増悪,鍼感の残存の予防対策
8. 出血
●皮下出血
●四肢の太い血管損傷による出血
●誤刺による特殊な出血
●出血傾向
9. 熱傷・灸痕の化膿等
●灸頭鍼による熱傷
●・線香・ライターや医療器具による熱傷
●灸痕の化膿など
10. 神経原性ショックによる失神(いわゆる脳貧血)
●予防対策と処置
●鍼による失神
11. 抜鍼困難
●予防対策と処置
●鍼による抜鍼困難
12. その他
●鍼の抜き忘れ
●ベッドからの転落
●顔面上での操管操作中の鍼の落下
●タオルかけに起因した鍼の刺入深度の変化
●鍼通電時の注意
V 鍼灸カルテの意義と管理
1. 鍼灸カルテの記載と保存の必要性
●重要な情報の申し送り
●証拠資料
●その他の意義
2. カルテ記載の際の注意事項
3. 医療事故が発生した際の記録事項
4. 記録の管理と個人情報保護
VI 鍼灸医療機器の安全管理
1. 医療機器
●医療機器のクラス分類と品目
●特定保守管理医療機器の品目
2. 鍼灸医療機器の安全管理
●医療機器に起因する事故発生の防止
●医療機器による事故発生への対応
3. 鍼電極低周波治療器の安全管理
●鍼通電治療器の購入業者の選定
●安全管理の要点
●鍼通電治療器の修理
VII 施術者の定期検診と感染予防
1. 定期検診
●定期検診の必要性
●定期健康診断の内容
2. ワクチン接種による肝炎などの予防
●HBワクチン
●HCV,HIVへの対応
●インフルエンザワクチン
3. 針(鍼)刺し事故の対策
●注射針による針刺し事故
●鍼治療での鍼刺し事故
●一般的な注意事項
●針刺し事故が起こってしまったときの対応
第3部 付録
消毒剤の選択と適応
●消毒剤の効果と使用条件
●消毒剤の副作用・毒性
●消毒剤の保管・廃棄
索引
第1部 鍼灸医療での感染防止対策
I 序:医療における感染予防の基本
1. 病原体
●病原体の種類と大きさ
●ウイルスと細菌の増殖
2. 病原体の侵入門戸,侵入のしかたと感染の成立
3. 感染経路
4. 感染症
●一般感染症
●日和見感染症
5.感染の予防対策
●標準予防策
●感染経路別予防策
6. 感染症法とは
●旧来の感染症予防関係の法律の廃止と感染症法(感染症新法)の制定・施行
●感染症法の一部改正
●感染症の類型と対象疾患
●感染症の入院または入院勧告,健康診断,就業制限の概要と行政による強権的な措置
●医師,指定届出機関の管理者の届け出
II 手洗い・手指消毒
1. 手洗い・手指消毒による感染予防
●手指衛生
●手洗い・手指消毒の分類
2. 手洗い・手指消毒のしかた
●手洗い・手指消毒上の注意
●日常手洗いのしかた
●衛生的手洗いのしかた
3. 手荒れ対策
III 施術野の消毒
1. 鍼灸治療の安全性を保つための施術野の消毒
2. 施術野の皮膚消毒に用いられる消毒剤
●アルコール類(消毒用エタノール,イソプロパノール)
●四級アンモニウム塩系
●ビグアナイド系(グルコン酸クロルヘキシジン)
●ヨウ素系(ポビドンヨード)
●鍼灸治療前後の施術野の皮膚消毒で推奨されている消毒剤
3. 消毒綿花の作製と管理
●消毒綿花の作製と管理の注意点
●使い捨てタイプのアルコール綿花入りの製品
4. 刺鍼前の施術野の消毒のしかた
●刺鍼前の消毒綿花による施術野の清拭
●これまでの清拭方向の提唱と鍼灸治療での清拭方向のあり方
5. 刺鍼後と施灸前後の施術野の消毒操作
●刺鍼後の消毒操作
●施灸前後の消毒操作
IV 刺鍼・抜鍼時の清潔操作
1. 単回使用毫鍼(JIS適合)の滅菌済み鍼の活用
●ディスポーザブル鍼から単回使用毫鍼への移行
●改正薬事法におけるリスク区分の再編
●単回使用毫鍼の滅菌済み鍼に対する品質保証
●単回使用毫鍼の滅菌済み鍼の活用
2. 消毒した施術野を手指等で汚染した場合の再消毒
●施術野の再消毒
●鍼治療前に消毒した部位を誤って触れた場合の再消毒
3. 鍼のクリーンテクニック(指サック・手袋の装着を含む)
●毫鍼の伝統的な刺入・抜去操作の特徴と感染のリスク
●推奨される手術用グローブや指サックの使用
●指サック等の使用上の注意
●毫鍼以外の刺鍼操作の注意点
●抜去操作の注意点
●クリーンニードルテクニックに準拠した製品の開発
●鍼治療の清潔操作の基本
4. 出血時の処置
V 鍼や器具の洗浄,滅菌と保管
1. 滅菌処理
●滅菌法
●滅菌処理のフロ-チャ-ト
●洗浄器
●滅菌のための包装(滅菌バッグ等)
●滅菌器
2. 単回使用毫鍼の未滅菌鍼の滅菌
3. 特殊な鍼や器具などの滅菌
4. 既滅菌物の保管
VI 快適な鍼灸医療環境の構築・保持と省エネルギー
1. 鍼灸院の新築,リフォーム
●建築材料・内装材
●バリアフリー
●玄関
●床
●受付
●待合室
●診察・治療室
●手洗い設備
●トイレ
2. 室内空気の清浄化,温度・湿度,照明と省エネルギー
●室内空気の清浄化,温度・湿度
●照明
3. クリーンメンテナンス(清潔清掃)
●院内環境の清掃
●血液,体液による環境表面汚染時の清掃
4. リネン類の処理
●一般リネン類の処理
●汚染リネン類の処理
5. 鍼灸院の省エネルギー
●省エネルギー(省エネ)
●グリーン購入(グリーン調達)
●エネルギー消費効率の向上を義務づけた特定機器の指定(省エネ法)
●国際標準化機構(ISO)の環境ラベルに関する規格
●(省エネラベリング制度に基づいた)省エネラベル
VI 廃棄物の処理
1. 廃棄物処理法に基づいた廃棄物の適正処理
2. 廃棄物
3. 感染性廃棄物と非感染性廃棄物
●感染性廃棄物とは
●感染性廃棄物と非感染性廃棄物の判断基準
4. 廃棄物の処理方法:分別・梱包・表示・保管
●院内廃棄物の分別
●梱包(容器への収納)
●表示
●保管
5. 専用廃棄容器への鍼の廃棄
6. 廃棄物処理業者への委託
●委託契約の締結
●マニフェスト(産業廃棄物管理票)
●収集・運搬容器の設置
●収集運搬業者・中間処理業者・最終処分業者
第2部 鍼灸医療事故,有害事象の防止対策
I 序:医療事故の防止対策
1. 患者中心の医療
●インフォームド・コンセント
●個人情報の保護
2. 医療事故の発生につながる要因
●人的要因
●システム要因
3. 鍼灸におけるリスクマネジメント
●リスクマネジメントとは
●鍼灸医療におけるリスクマネジメントの基本
●鍼灸臨床でのリスクマネジメント
II 鍼灸治療の禁忌と注意すべき病態
1. 鍼通電の禁忌と一般的注意
●鍼通電の禁忌
●安全な鍼通電を行うための一般的注意
2. レーザー鍼の禁忌と一般的注意
●レーザー鍼の禁忌
●安全なレーザー鍼を行うための一般的注意
3. 埋没鍼の禁止
4. 鍼灸治療で注意すべき病態
●鍼治療で注意すべき病態
●灸治療で注意すべき病態
5. 刺鍼,施灸を避ける部位と注意
●刺鍼を避ける部位と(刺鍼による)臓器の刺傷の禁止
●施灸を避ける部位
●顔面部の刺鍼ならびに間接灸の注意
III 重要臓器の傷害事故の防止
1. 刺鍼を避ける部位
2. 重要臓器付近での刺鍼による傷害事故の防止
3. 主要経穴の安全深度の目安について
●肺および胸膜の傷害事故(主に気胸)の防止
●心臓の傷害事故の防止
●肝臓などの傷害事故の防止
●腎臓の傷害事故の防止
●中枢神経の傷害事故の防止
●その他の危険性のある部位での刺鍼による傷害事故の防止
IV 鍼灸医療事故,有害事象対策
1. 鍼灸医療における安全性の確保
2. 気胸
●外傷性気胸を回避するための注意点
●外傷性気胸を回避する対策
●刺鍼による外傷性気胸の発生例
3. 折鍼,埋没鍼,抜け鍼
●折鍼の予防対策
●埋没鍼の予防対策
●抜け鍼の予防対策
●折鍼,埋没鍼,抜け鍼の発生例
4. 鍼の皮膚埋没や金粒・銀粒の皮膚へのくい込み,絆創膏かぶれ
●鍼の皮膚埋没や金粒・銀粒の皮膚へのくい込み,絆創膏かぶれの予防対策
●円皮鍼の皮下埋没,粒鍼(銀粒)の皮膚へのくい込みの発生例
5. 神経障害
●刺鍼による神経障害
●刺鍼による神経障害の予防対策
6. 感染
●鍼治療による感染
●鍼灸治療での感染の予防対策
●関節内刺鍼での感染の予防対策
7. 症状の増悪と鍼感の残存
●症状の増悪,鍼感の残存の発生
●症状の増悪,鍼感の残存の予防対策
8. 出血
●皮下出血
●四肢の太い血管損傷による出血
●誤刺による特殊な出血
●出血傾向
9. 熱傷・灸痕の化膿等
●灸頭鍼による熱傷
●・線香・ライターや医療器具による熱傷
●灸痕の化膿など
10. 神経原性ショックによる失神(いわゆる脳貧血)
●予防対策と処置
●鍼による失神
11. 抜鍼困難
●予防対策と処置
●鍼による抜鍼困難
12. その他
●鍼の抜き忘れ
●ベッドからの転落
●顔面上での操管操作中の鍼の落下
●タオルかけに起因した鍼の刺入深度の変化
●鍼通電時の注意
V 鍼灸カルテの意義と管理
1. 鍼灸カルテの記載と保存の必要性
●重要な情報の申し送り
●証拠資料
●その他の意義
2. カルテ記載の際の注意事項
3. 医療事故が発生した際の記録事項
4. 記録の管理と個人情報保護
VI 鍼灸医療機器の安全管理
1. 医療機器
●医療機器のクラス分類と品目
●特定保守管理医療機器の品目
2. 鍼灸医療機器の安全管理
●医療機器に起因する事故発生の防止
●医療機器による事故発生への対応
3. 鍼電極低周波治療器の安全管理
●鍼通電治療器の購入業者の選定
●安全管理の要点
●鍼通電治療器の修理
VII 施術者の定期検診と感染予防
1. 定期検診
●定期検診の必要性
●定期健康診断の内容
2. ワクチン接種による肝炎などの予防
●HBワクチン
●HCV,HIVへの対応
●インフルエンザワクチン
3. 針(鍼)刺し事故の対策
●注射針による針刺し事故
●鍼治療での鍼刺し事故
●一般的な注意事項
●針刺し事故が起こってしまったときの対応
第3部 付録
消毒剤の選択と適応
●消毒剤の効果と使用条件
●消毒剤の副作用・毒性
●消毒剤の保管・廃棄
索引








