やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

序文
 骨折は,世の東西を問わず,昔も今もわれわれ人間の日常生活と不離の関係にある.おそらく骨折の無血整復は医学の歴史以前から,国あるいは民族により,それぞれ特徴のある対策が講じられていたことは,想像にかたくない.
 特に近年,急速な高齢者の増加,生活習慣病の増加,小児の虚弱化,運動不足などからくる身体活動の低下,さらに増加の一途をたどる交通事故や産業の発達による労働災害などが加わり,骨折の発生機序にも変化がみられる.さらに健康維持のためのスポーツ外傷などによる緊急時の骨折に対する応急処置など,その施術についても質的に高い知識と技術が要求される.
 骨折の最良の療法は,無血整復であることは論を俟たないが,この適応の重要性がますます大となり,その処置の適否は早期社会復帰と密接な関係があるため,きわめて重大である.
 たとえば,上肢の骨折に対する治療方針を決定する際には,各種骨折の臨床経験から得た知識や技術に加えて,諸外国の文献と中国やわが国の優れた伝承的な無血整復を実施する以前に,本書では,諸家による骨折の段階(grade)分類とその限界を明確にするとともに,常に上肢全体の機能を念頭においた考えのもとに適切な骨折の治療(無血整復法)を示した.そうした科学的な思考のもとに,その科学性の発展を促進させる礎となる無血整復の治療を念頭におき,その手技に関して分かりやすくフローチャートなどで示した.さらに固定法,および理学療法についても簡素に記述した.
 そのため医学生および柔道整復師などの医療従事者(コメディカルスタッフ)の教育と臨床の現場においても即,役に立つ技術書として最も基礎的なことを解説した.
 本書「上肢骨折の保存療法」(無血整復法)がひろく反響を呼び,骨折の治療に役立てば著者らの限りない喜びである.最後に,本書のイラストはすべて竹内敬子さんに提供いただいたものである.心から感謝致します.
 平成17年新春
 武田 功
・序文
・はじめに

第I章 鎖骨骨折
  (解剖)
  I.発生機序
  II.症状
  III.評価
   1.一般的評価  2.X線の心得  3.分類
  IV.治療方針
  V.整復法
   1.坐位整復法  2.背臥位(鎖骨整復台を利用)整復法
  VI.固定法
   1.鎖骨バンド固定法  2.キャストによるフィギュア・エイト固定法
  VII.理学療法
  VIII.合併症と後遺症
  ・文献
第II章 肩甲骨骨折
  (解剖)
  I.発生機序
   1.直達外力  2.介達外力
  II.症状
  III.評価
   1.一般的評価  2.X線の心得  3.分類
  IV.治療方針
  V.整復法
  VI.固定法
  VII.理学療法
  VIII.合併症と後遺症
  ・文献
第III章 上腕骨近位端骨折
 (分類法)
 1.上腕骨頭骨折
  I.発生機序
  II.症状
  III.評価と治療方針
  IV.固定法
  V.理学療法
  VI.合併症と後遺症
 2.上腕骨解剖頸骨折
  I.発生機序
   1.直達外力  2.介達外力
  II.症状
  III.治療方針
  IV.整復法
  V.固定法
  VI.理学療法
  VII.合併症と後遺症
 3.上腕骨大結節骨折
  I.発生機序
   1.直達外力  2.介達外力
  II.症状
  III.評価
   1.一般的評価  2.X線の心得
  IV.治療方針
  V.整復法
  VI.固定法
  VII.理学療法
  VIII.合併症と後遺症
 4.上腕骨小結節骨折
 5.上腕骨外科頸骨折
  I.発生機序
   1.直達外力  2.介達外力
  II.症状
  III.評価
  IV.治療方針
  V.整復法
  VI.固定法
   1.転位の少ない場合  2.ハンギング・キャスト法  3.中国式固定法
  VII.理学療法
  VIII.合併症と後遺症
 参考)内転骨折(内転タイプ)
  I.発生機序
  II.症状
  III.整復法・固定法
 6.上腕骨近位骨端軟骨板離開
  (解剖)
  I.発生機序
   1.直達外力  2.介達外力
  II.症状
  III.評価
  IV.治療方針
  V.整復法・固定法
  VI.理学療法
  VII.合併症と後遺症
  ・文献
第IV章 上腕骨骨幹部骨折
  (解剖)
  I.発生機序
  II.症状
  III.評価
   1.一般的評価  2.X線の心得  3.分類
  IV.治療方針
  V.整復法
  VI.固定法
   1.懸垂帯固定  2.U字型ギプス副子固定  3.機能装具固定  4.ハンギング・キャスト法  5.古典的な材料による固定
  VII.理学療法
  VIII.合併症と後遺症
   1.橈骨神経損傷とその部位  2.遷延治癒と偽関節の発生について  3.変形について
  ・文献
第V章 上腕骨顆上骨折
  (解剖)
  I.発生機序
   1.伸展型骨折  2.屈曲型骨折
  II.症状
  III.評価
   1.一般的評価  2.X線の心得  3.分類
  IV.治療方針
  V.整復法
   1.徒手整復法  2.牽引療法による整復法  3.徒手・牽引療法における整復後の確認事項
  VI.固定法
   1.転位のない場合  2.転位のある場合(伸展型骨折の場合)
  VII.治療後の評価法
  VIII.理学療法
  IX.合併症と後遺症
   1.阻血性拘縮  2.橈骨・正中神経損傷  3.内反肘  4.上腕筋の骨化性筋炎
  ・文献
第VI章 上腕骨外顆骨折
  I.発生機序
   1.直達外力  2.介達外力
  II.症状
  III.評価
   1.一般的評価とX線の心得  2.鑑別診断  3.分類
  IV.治療方針
  V.整復法
   1.整復前の注意事項  2.保存的整復法(一般的整復法)  3.デパルマの整復手技
  VI.固定法
  VII.理学療法
  VIII.合併症と後遺症
   1.変形治癒  2.偽関節  3.骨端線の早期閉鎖  4.無腐性壊死  5.外反肘変形  6.遅発性の尺骨神経障害
  ・文献
第VII章 上腕骨内上顆骨折
  (解剖)
  I.発生機序
   1.肘関節伸展位での発生機序  2.肘関節屈曲位での発生機序
  II.症状
  III.評価
   1.一般的評価  2.X線の心得  3.分類  4.治療成績評価
  IV.治療方針
   1.軽度の転位  2.高度の転位
  V.整復法
   1.タイプI,IIの場合  2.タイプIIIの場合  3.タイプIVの場合
  VI.固定法
   1.タイプI  2.タイプII
  VII.理学療法
  VIII.合併症と後遺症
  ・文献
第VIII章 橈骨近位端骨折
 (解剖)
 1.橈骨頭骨折
  I.発生機序
   1.直達外力  2.介達外力
  II.症状
  III.評価
   1.一般的評価  2.X線の心得  3.分類
  IV.治療方針
  V.整復法
  VI.固定法
  VII.理学療法
  VIII.合併症と後遺症
 2.橈骨頸部骨折
  (解剖)
  I.発生機序
  II.症状
  III.評価
   1.X線の心得  2.分類
  IV.治療方針
  V.整復法
   1.パターソンの整復法  2.カウマンらの整復法
  VI.固定法
  VII.理学療法
  VIII.合併症と後遺症
   1.合併症  2.後遺症
  ・文献
第IX章 肘頭骨折
  (解剖)
  I.発生機序
   1.直達外力  2.介達外力
  II.症状
  III.評価
   1.一般的評価  2.X線の心得  3.治療評価項目  4.分類
  IV.治療方針
   1.保存療法  2.観血療法
  V.整復法
  VI.固定法
  VII.理学療法
  VIII.合併症と後遺症
  ・文献
第X章 橈・尺骨骨幹部骨折
  (解剖)
  I.発生機序
   1.直達外力  2.介達外力
  II.症状
  III.評価
   1.一般的評価  2.X線の心得  3.治療成績評価  4.分類
  IV.治療方針
   1.保存療法  2.観血療法
  V.整復法
  VI.固定法
   1.機能装具,またはショートアームキャスト  2.ギプスによるロングアームキャスト
  VII.理学療法
  VIII.合併症と後遺症
  ・文献
第XI章 モンテギア骨折
  (解剖)
  I.発生機序
   1.直達外力  2.介達外力
  II.症状
  III.評価
   1.一般的評価  2.X線の心得  3.分類
  IV.治療方針
  V.整復法
   1.バドの分類タイプIの一般的整復法  2.バドの分類タイプIIの一般的整復法  3.ウィルキンスの整復法
  VI.固定法
  1.バドのタイプI  2.バドのタイプII,III  3.バドのタイプIV
  VII.理学療法
  VIII.合併症と後遺症
   1.橈骨神経麻痺  2.遅発性後骨間神経麻痺  3.遷延癒合または偽関節  4.変形治癒  5.橋状仮骨形成
  ・文献
第XII章 ガレアッジ骨折(逆モンテギア骨折)
  (解剖)
  I.発生機序
  II.症状
  III.評価
   1.一般的評価  2.X線の心得  3.分類
  IV.治療方針
  V.整復法
  VI.固定法
  VII.治療後の評価法
  VIII.理学療法および合併症と後遺症
  ・文献
第XIII章 前腕骨遠位端骨折
  コーレス骨折
  (解剖)
  I.発生機序
  II.症状
  III.評価
   1.一般的評価  2.X線の心得  3.分類
  IV.治療方針
   1.保存療法を選択する基準  2.保存療法の考え方  3.観血療法の適応  4.治療成績判定
  V.整復法
   1.整復時の牽引方法  2.徒手整復法  3.フィンガートラクションによる整復法 4.小児の整復の必要性
  VI.固定法
   1.シュガートング副子  2.中国式固定法  3.機能装具(サルミエントによる)  4.固定の3点支持  5.固定肢位と固定範囲について  6.コーレス骨折の固定時の手関節の肢位  7.小児骨折の固定法 8.コーレス骨折に対する固定の違い  9.固定法の違いと後遺症の発生  10.固定期間  11.固定後,観察すべき事項
  VII.理学療法
  VIII.合併症と後遺症
   1.尺骨遠位端骨折(尺骨茎状突起骨折)  2.手根骨骨折(舟状骨骨折)  3.遠位橈・尺関節脱臼および不全脱臼  4.長母指伸筋腱断裂  5.橈骨短縮と握力  6.変形治癒  7.患者の不満度  8.指・手・肘・肩関節の拘縮(とくに高齢者の場合)  9. 橈骨遠位骨端線の損傷と成長障害  10.正中神経麻痺  11.手根管症候群  12.循環障害  13.弾発指
  参考)屈曲型骨折(スミス骨折)
  ・文献
第XIV章 舟状骨骨折
  (解剖)
  I.発生機序
  II.症状
   1.痛み  2.腫脹  3.圧痛  4.運動痛  5.軸圧痛
  III.評価
   1.一般的評価  2.X線の心得  3.分類
  IV.治療方針
  V.整復法
  VI.固定法
  VII.理学療法
  VIII.治療成績評価
   1.ウエバーの評価法  2.ムルダーの評価法
  IX.合併症と後遺症
   1.遷延癒合および偽関節  2.阻血性壊死
  ・文献
第XV章 中手骨骨折
  (解剖)
  I.発生機序
   1.直達外力  2.介達外力
  II.症状
  III.評価
   1.一般的評価  2.X線の心得  3.分類
  IV.治療方針
  V.整復法
   1.一般的な整復法  2.ジャスの90°―90°整復法
  VI.固定法
   1.代表的な固定法  2.固定時の留意点
  VII.理学療法
  VIII.合併症と後遺症
   文献
第XVI章 基節骨骨折
  (解剖)
  I.発生機序
   1.基節骨骨幹部骨折  2.基節骨基部骨折
  II.症状
  III.評価
   1.一般的評価  2.X線の心得
  IV.治療方針
  V.整復法
   1.徒手整復法  2.持続牽引による整復法
  VI.固定法
   1.エクステンションブロック法  2.一般的な固定法  3.その他の固定法
  VII.理学療法
  VIII.合併症と後遺症
 参考1)PIP関節背側脱臼骨折
  I.発生機序
  II.評価
   1.シェンクらの分類  2.イートンらの分類
  III.治療と固定法
 参考2)PIP関節掌側脱臼骨折
 参考3)母指MP関節靱帯損傷
   1.尺側側副靱帯損傷  2.橈側側副靱帯損傷
 参考4)基節骨・中節骨頸部骨折(骨頭回転型)
 参考5)骨頭・頸部骨折
 ・文献
第XVII章 中節骨骨折
  I.発生機序
  II.症状
  III.評価
  1.一般的評価  2.X線の心得
  IV.治療方針
  V.整復法
   1.整復前の注意事項  2.徒手整復法
  VI.固定法
   1.固定肢位  2.固定期間
  VII.理学療法
  VIII.合併症と後遺症
  ・文献
第XVIII章 マレットフィンガー(槌指変形)
  (解剖)
  I.発生機序
   1.直達外力  2.介達外力
  II.症状
  III.評価
   1.一般的評価  2.X線の心得  3.分類
  IV.治療方針
  V.整復法
  VI.固定法
   1.転位がないか少ない場合  2.転位のある場合
  VII.理学療法
  VIII.治療成績評価
  ・文献

・索引