序文
最先端の医療技術を誇る欧米先進諸国では,伝統医学,相補・代替医療への関心が急速に高まり,国を挙げてその科学化と医療分野への応用を推進している.
米国国立衛生研究所(NIH)は,国立相補・代替医療センター(National Center of Complementary and Alternative Medicine)を創立し,ハーバード大学,コロンビア大学,スタンフォード大学等の有名大学に委託して,この分野の研究を本格的に開始した.また,全米の医学大学,医学部および看護学部で相補・代替医療の講座を開設するよう提言し,現在,多くの大学で,伝統医学,相補・代替医療の教育が行われている.
日本における相補・代替医療の中核は鍼灸医学である.鍼灸医学は中国伝統医学とともに実用の学として4000年以上にわたる臨床実績をもっている.鍼灸医学は経絡・経穴学を基礎として発展したものであり,鍼灸理論,鍼灸治療の根幹は経絡・経穴学である.
学生が,経絡・経穴学の学習をする上で悩んでいる共通の問題点は「経絡・経穴は実在するのか」,「経穴の部位を暗記するのはむずかしいし,忘れやすい」,「わかりやすい取穴法はないのだろうか」などである.
本書は経絡・経穴学に取り組む学生がもつこれらの疑問や悩みを解消し,経絡・経穴学の本質と臨床応用の能力が修得できることを目的に執筆した.
本書の特徴は WOKにある.
Wはわかりやすいこと:経絡・経穴の図式を中心としたため,一目瞭然にイメージとして経絡・経穴を理解し,記憶することができる.
本書では古典的な経穴図だけではなく,経穴と現代医学との関連性,取穴のテクニックなどもイメージ化している.
Oはおもしろいこと:経穴の由来,経穴の部位,取穴のテクニックなどを「経穴春秋」や「経穴争鳴」の項を設けて解説する.これにより,経穴の成り立ちの文化的背景や時代と経穴との関連性が理解できるので,広い視野で経絡・経穴を把握することができる.
Kは気軽に学習できること:「好きこそものの上手なれ」のことわざからわかるように,学問というものはまず問い(好奇心)から始まり,それに興味をもちつつ学習すれば,労少なくしてプロ(専門家)になれる.
このように,本書は W・O・Kを指針とし,イメージ学習法を活用することによって経絡・経穴学をマスターできるよう十分配慮した.
経絡・経穴は長い歴史大河の中で,先人の苦労や叡智による歴史的な無形遺産であるといえる.経絡・経穴学における古典的な理論を最大に尊敬し理解することや,そしてそれをベースにして21世紀の医療の中に融合することは,今日の時代に与えられる使命であると感じている.
最後に,本書の刊行において,御理解,御尽力,御心労をくださった医歯薬出版の吉田邦男氏,竹内 大氏に深くお礼を申し上げたい.
平成16年3月
著 者
最先端の医療技術を誇る欧米先進諸国では,伝統医学,相補・代替医療への関心が急速に高まり,国を挙げてその科学化と医療分野への応用を推進している.
米国国立衛生研究所(NIH)は,国立相補・代替医療センター(National Center of Complementary and Alternative Medicine)を創立し,ハーバード大学,コロンビア大学,スタンフォード大学等の有名大学に委託して,この分野の研究を本格的に開始した.また,全米の医学大学,医学部および看護学部で相補・代替医療の講座を開設するよう提言し,現在,多くの大学で,伝統医学,相補・代替医療の教育が行われている.
日本における相補・代替医療の中核は鍼灸医学である.鍼灸医学は中国伝統医学とともに実用の学として4000年以上にわたる臨床実績をもっている.鍼灸医学は経絡・経穴学を基礎として発展したものであり,鍼灸理論,鍼灸治療の根幹は経絡・経穴学である.
学生が,経絡・経穴学の学習をする上で悩んでいる共通の問題点は「経絡・経穴は実在するのか」,「経穴の部位を暗記するのはむずかしいし,忘れやすい」,「わかりやすい取穴法はないのだろうか」などである.
本書は経絡・経穴学に取り組む学生がもつこれらの疑問や悩みを解消し,経絡・経穴学の本質と臨床応用の能力が修得できることを目的に執筆した.
本書の特徴は WOKにある.
Wはわかりやすいこと:経絡・経穴の図式を中心としたため,一目瞭然にイメージとして経絡・経穴を理解し,記憶することができる.
本書では古典的な経穴図だけではなく,経穴と現代医学との関連性,取穴のテクニックなどもイメージ化している.
Oはおもしろいこと:経穴の由来,経穴の部位,取穴のテクニックなどを「経穴春秋」や「経穴争鳴」の項を設けて解説する.これにより,経穴の成り立ちの文化的背景や時代と経穴との関連性が理解できるので,広い視野で経絡・経穴を把握することができる.
Kは気軽に学習できること:「好きこそものの上手なれ」のことわざからわかるように,学問というものはまず問い(好奇心)から始まり,それに興味をもちつつ学習すれば,労少なくしてプロ(専門家)になれる.
このように,本書は W・O・Kを指針とし,イメージ学習法を活用することによって経絡・経穴学をマスターできるよう十分配慮した.
経絡・経穴は長い歴史大河の中で,先人の苦労や叡智による歴史的な無形遺産であるといえる.経絡・経穴学における古典的な理論を最大に尊敬し理解することや,そしてそれをベースにして21世紀の医療の中に融合することは,今日の時代に与えられる使命であると感じている.
最後に,本書の刊行において,御理解,御尽力,御心労をくださった医歯薬出版の吉田邦男氏,竹内 大氏に深くお礼を申し上げたい.
平成16年3月
著 者
経穴マップ/イラストで学ぶ 十四経穴・奇穴・耳穴・頭鍼
序文
本書の基本構成
第1章 経穴の基礎
1-1 経穴とは何か
1-2 経穴名の由来と表記
1-3 経穴と陰陽・臓腑・経絡との関係
1-4 経絡の分類と気血の流注
1.経絡の分類
2.十二経脈(気血)流注の方向とサイクル
3.十二経脈間の接続部位
4.十四経脈気血の流注
1-5 取穴の3原則
1.体表解剖の標識
2.骨度法
3.手指同身寸
第2章 十四経脈の経穴
2-1 任脈・督脈の経穴
1.任脈の経穴(24穴)
2.督脈の経穴(28穴)
2-2 手足太陰・陽明経脈の経穴
1.手の太陰肺経の経穴(11穴)
2.手の陽明大腸経の経穴(20穴)
3.足の陽明胃経の経穴(45穴)
4.足の太陰脾経の経穴(21穴)
2-3 手足少陰・太陽経脈の経穴
1.手の少陰心経の経穴(9穴)
2.手の太陽小腸経の経穴(19穴)
3.足の太陽膀胱経の経穴(67穴)
4.足の少陰腎経の経穴(27穴)
2-4 手足厥陰・少陽経脈の経穴
1.手の厥陰心包経の経穴(9穴)
2.手の少陽三焦経の経穴(23穴)
3.足の少陽胆経の経穴(44穴)
4.足の厥陰肝経の経穴(14穴)
第3章 経穴の局所解剖
3-1 頭部の経穴と局所解剖
1.前頭部の経穴と体表解剖
2.前頭部の経穴と筋肉
3.後頭部の経穴と体表解剖
4.後頭部の経穴と筋肉
5.側頭部の経穴と体表解剖
6.側頭部の経穴と筋肉
7.頭頂部の経穴と体表解剖
8.頭部の経穴と動脈
9.頭部の経穴と静脈
10.頭部の経穴とリンパ節
11.頭部の経穴と三叉神経
12.頭部の経穴と三叉神経の分布域
13.頭部の経穴と顔面神経
14.頭部の経穴と頚神経の分布域
3-2 頚部の経穴と局所解剖
1.頚部の経穴と筋肉
2.頚部の経穴と頚動脈三角
3.頚部の経穴と頚神経叢
4.頚部の経穴と自律神経
5.頚部の経穴と副神経
3-3 体幹部の経穴と局所解剖
1.体幹腹面の経穴と筋肉
2.体幹腹面の経穴と胸神経
3.体幹腹面の経穴と皮神経・デルマトーム
4.体幹背面の経穴と筋肉
5.体幹背面の経穴と脊髄神経
6.体幹背面の経穴と皮神経・デルマトーム
7.体幹部の経穴と脊髄神経の断面
8.体幹部の経穴と自律神経
9.腰・腹部の経穴と自律神経
10.胸部の経穴と肺・胸膜の体表投影
11.胸部の経穴と呼吸器系の神経支配
12.胸部の経穴と横隔神経
13.胸部の経穴と心臓
14.腹部の経穴と腹腔の臓器
15.背・腹部の経穴と胃
16 背・腹部の経穴と腸
17.背・腹部の経穴と肝臓の体表投影
18.背・腹部の経穴と腎臓・尿管
19.背・腹部の経穴と男性生殖器
20.背・腹部の経穴と女性生殖器
3-4 上肢の経穴と局所解剖
1.上肢帯の経穴と腕神経叢
2.上肢帯の経穴と筋肉
3.上肢の経穴と体表解剖
4.上肢の経穴と筋肉(屈筋)
5.上肢の経穴と筋肉(伸筋)
6.上肢外側面の経穴と筋肉
7.手の経穴と体表解剖
8.上肢の経穴と動脈・静脈
9.上肢の経穴と神経
10.上肢の経穴と肩甲・腋窩・橈骨神経
11.上肢の経穴と橈骨神経
12.上肢の経穴と筋皮神経
13.上肢の経穴と正中神経
14.上肢の経穴と尺骨神経
15.上肢の経穴と皮神経
16.上肢の経穴とデルマトーム
3-5 下肢の経穴と局所解剖
1.下肢前面の経穴と体表解剖
2.下肢前面の経穴と筋肉(伸筋)
3.下肢後面の経穴と体表解剖
4.下肢後面の経穴と筋肉(屈筋)
5.下肢外側面の経穴と体表解剖
6.下肢外側面の経穴と筋肉
7.足の経穴と体表解剖
8.下肢の経穴と動脈・静脈
9.下腹部の経穴と腰・仙骨神経叢
10.大腿の経穴と大腿神経・外側大腿皮神経
11.大腿の経穴と閉鎖神経
12.下肢内側面の経穴と神経
13.下肢後面の経穴と坐骨神経
14.下腿の経穴と脛骨・腓骨神経
15.下肢の経穴と皮神経
16.下肢の経穴とデルマトーム
第4章 特 定 穴
4-1 原穴・絡穴・c穴・五兪穴
1.十二原穴
2.十五絡穴
3.十六c穴
4.五兪穴(手の陰経と陽経)
5.五兪穴(足の陰経と陽経)
6.原穴・絡穴・c穴・五兪穴の総合
4-2 他の特定穴
1.募穴と兪穴
2.八会穴
3.八脈交会穴(八総穴)
4.四総穴と下合穴
第5章 その他の穴位
5-1 奇 穴
1.頭頚部の奇穴
2.背部・腹部の奇穴
3.上肢部の奇穴
4.下肢の奇穴
5-2 耳 穴
1.耳ハリ療法の理論(説)
2.耳介の体表解剖
3.耳ハリの治療点(耳穴)の配列
4.耳ハリの治療点(耳穴)の総合
5-3 頭鍼の刺激区域
1.頭鍼療法の理論(説)
2.大脳機能野の体表投影
3.大脳皮質の体性感覚野
4.大脳皮質の運動野
5.頭鍼の刺激区域
序文
本書の基本構成
第1章 経穴の基礎
1-1 経穴とは何か
1-2 経穴名の由来と表記
1-3 経穴と陰陽・臓腑・経絡との関係
1-4 経絡の分類と気血の流注
1.経絡の分類
2.十二経脈(気血)流注の方向とサイクル
3.十二経脈間の接続部位
4.十四経脈気血の流注
1-5 取穴の3原則
1.体表解剖の標識
2.骨度法
3.手指同身寸
第2章 十四経脈の経穴
2-1 任脈・督脈の経穴
1.任脈の経穴(24穴)
2.督脈の経穴(28穴)
2-2 手足太陰・陽明経脈の経穴
1.手の太陰肺経の経穴(11穴)
2.手の陽明大腸経の経穴(20穴)
3.足の陽明胃経の経穴(45穴)
4.足の太陰脾経の経穴(21穴)
2-3 手足少陰・太陽経脈の経穴
1.手の少陰心経の経穴(9穴)
2.手の太陽小腸経の経穴(19穴)
3.足の太陽膀胱経の経穴(67穴)
4.足の少陰腎経の経穴(27穴)
2-4 手足厥陰・少陽経脈の経穴
1.手の厥陰心包経の経穴(9穴)
2.手の少陽三焦経の経穴(23穴)
3.足の少陽胆経の経穴(44穴)
4.足の厥陰肝経の経穴(14穴)
第3章 経穴の局所解剖
3-1 頭部の経穴と局所解剖
1.前頭部の経穴と体表解剖
2.前頭部の経穴と筋肉
3.後頭部の経穴と体表解剖
4.後頭部の経穴と筋肉
5.側頭部の経穴と体表解剖
6.側頭部の経穴と筋肉
7.頭頂部の経穴と体表解剖
8.頭部の経穴と動脈
9.頭部の経穴と静脈
10.頭部の経穴とリンパ節
11.頭部の経穴と三叉神経
12.頭部の経穴と三叉神経の分布域
13.頭部の経穴と顔面神経
14.頭部の経穴と頚神経の分布域
3-2 頚部の経穴と局所解剖
1.頚部の経穴と筋肉
2.頚部の経穴と頚動脈三角
3.頚部の経穴と頚神経叢
4.頚部の経穴と自律神経
5.頚部の経穴と副神経
3-3 体幹部の経穴と局所解剖
1.体幹腹面の経穴と筋肉
2.体幹腹面の経穴と胸神経
3.体幹腹面の経穴と皮神経・デルマトーム
4.体幹背面の経穴と筋肉
5.体幹背面の経穴と脊髄神経
6.体幹背面の経穴と皮神経・デルマトーム
7.体幹部の経穴と脊髄神経の断面
8.体幹部の経穴と自律神経
9.腰・腹部の経穴と自律神経
10.胸部の経穴と肺・胸膜の体表投影
11.胸部の経穴と呼吸器系の神経支配
12.胸部の経穴と横隔神経
13.胸部の経穴と心臓
14.腹部の経穴と腹腔の臓器
15.背・腹部の経穴と胃
16 背・腹部の経穴と腸
17.背・腹部の経穴と肝臓の体表投影
18.背・腹部の経穴と腎臓・尿管
19.背・腹部の経穴と男性生殖器
20.背・腹部の経穴と女性生殖器
3-4 上肢の経穴と局所解剖
1.上肢帯の経穴と腕神経叢
2.上肢帯の経穴と筋肉
3.上肢の経穴と体表解剖
4.上肢の経穴と筋肉(屈筋)
5.上肢の経穴と筋肉(伸筋)
6.上肢外側面の経穴と筋肉
7.手の経穴と体表解剖
8.上肢の経穴と動脈・静脈
9.上肢の経穴と神経
10.上肢の経穴と肩甲・腋窩・橈骨神経
11.上肢の経穴と橈骨神経
12.上肢の経穴と筋皮神経
13.上肢の経穴と正中神経
14.上肢の経穴と尺骨神経
15.上肢の経穴と皮神経
16.上肢の経穴とデルマトーム
3-5 下肢の経穴と局所解剖
1.下肢前面の経穴と体表解剖
2.下肢前面の経穴と筋肉(伸筋)
3.下肢後面の経穴と体表解剖
4.下肢後面の経穴と筋肉(屈筋)
5.下肢外側面の経穴と体表解剖
6.下肢外側面の経穴と筋肉
7.足の経穴と体表解剖
8.下肢の経穴と動脈・静脈
9.下腹部の経穴と腰・仙骨神経叢
10.大腿の経穴と大腿神経・外側大腿皮神経
11.大腿の経穴と閉鎖神経
12.下肢内側面の経穴と神経
13.下肢後面の経穴と坐骨神経
14.下腿の経穴と脛骨・腓骨神経
15.下肢の経穴と皮神経
16.下肢の経穴とデルマトーム
第4章 特 定 穴
4-1 原穴・絡穴・c穴・五兪穴
1.十二原穴
2.十五絡穴
3.十六c穴
4.五兪穴(手の陰経と陽経)
5.五兪穴(足の陰経と陽経)
6.原穴・絡穴・c穴・五兪穴の総合
4-2 他の特定穴
1.募穴と兪穴
2.八会穴
3.八脈交会穴(八総穴)
4.四総穴と下合穴
第5章 その他の穴位
5-1 奇 穴
1.頭頚部の奇穴
2.背部・腹部の奇穴
3.上肢部の奇穴
4.下肢の奇穴
5-2 耳 穴
1.耳ハリ療法の理論(説)
2.耳介の体表解剖
3.耳ハリの治療点(耳穴)の配列
4.耳ハリの治療点(耳穴)の総合
5-3 頭鍼の刺激区域
1.頭鍼療法の理論(説)
2.大脳機能野の体表投影
3.大脳皮質の体性感覚野
4.大脳皮質の運動野
5.頭鍼の刺激区域





