やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

序文
 本書は,柔道整復師国家試験を受験する学生を対象に,柔道整復学における「上肢」と「頭部・体幹」の領域を骨損傷(骨折),関節損傷(捻挫や脱臼),軟部組織損傷に区分してまとめた国家試験対策教本です.本書の最大の特徴としては,国家試験の受験に必要な柔道整復学の重要ポイントを示すことに加え,国家試験での出題が予想される問題を多数併記している点が挙げられます.
 見開きの左ページにはこれまでに出題された国家試験問題を分析したうえで,今後出題が予想される問題をすべてオリジナルで作成しました.これまでの出題傾向の強い項目だけでなく,あまり出題されてこなかった項目についても網羅していますので,今後の国家試験に十分に対応できるだけの問題数となっています.また,二段組みの右半分では解答と解説を赤字で示していますので,赤色シートを用いることで繰り返し問題に取り組むことも可能となっています.
 見開きの右ページには重要ポイントを発生機序,分類,症状,治療法,合併症などの項目ごとにキーワードを示したうえで簡明に記述しています.さらに,表や図(イラスト,X線写真など)を多用することで,より一層理解を深められるようにも工夫しています.また,本書の内容は全国柔道整復学校協会監修の『柔道整復学・理論編 改訂第6 版』および『柔道整復学・実技編 改訂第2 版』(いずれも南江堂刊)を参考にしていますが,それらの書籍に記載されていなくても今後の国家試験に出題される可能性のある内容については「重要ポイント+(プラス)」として追記しましたので,ぜひ活用してください.
 近年の柔道整復師国家試験における柔道整復学分野からの出題は多様化と複雑化の傾向を示しています.これまでの過去問題に偏重した国家試験対策では対応ができない問題も出題されるようになっています.今後この傾向はますます進むものと思われます.国家試験のためだけの学習ではなく,本来学んでおかなければならない卒前教育としての柔道整復学の知識を本書で確認すると同時に,国家試験に対応できる“解答力”も培ってください.
 最後に,小林直行先生にはこれまでも柔道整復師として,また大学教員として数多くのご指導を賜って参りました.本書においても監修の労をお取りいただき誠にありがとうございました.執筆者を代表して厚く御礼申し上げます.また,本書の企画から上梓までご尽力いただきました医歯薬出版株式会社第一出版部の近藤信幸氏に謹んで感謝の意を表します.
 2018 年9 月吉日
 西川 彰
I 骨折
 1 頭部・顔面の骨折
  (1)頭蓋骨骨折
  (2)顔面骨折
   1)眼窩底破裂骨折(眼窩底吹き抜け骨折)
   2)上顎骨骨折
   3)頬骨および頬骨弓骨折
   4)鼻骨・鼻軟骨骨折
   5)下顎骨骨折
 2 脊椎の骨折
  (1)頸椎骨折
   1)環椎破裂型骨折・ジェファーソン(Jefferson)骨折
   2)軸椎歯突起骨折
   3)軸椎関節突起間骨折・ハングマン(hangman's)骨折
   4)椎体楔状圧迫骨折
   5)ティアドロップ(tear drop)骨折
   6)頸椎棘突起骨折
   7)椎体破裂骨折
  (2)胸椎骨折・腰椎骨折
   1)胸椎椎体圧迫骨折および胸腰椎移行部椎体圧迫骨折
   2)チャンス(Chance)骨折
   3)腰椎肋骨突起骨折
   4)椎体破裂骨折
 3 胸郭の骨折
  (1)胸骨骨折
  (2)肋骨骨折・肋軟骨骨折
 臨床実地問題(1)
 4 上肢帯の骨折
  (1)鎖骨骨折
  (2)肩甲骨骨折
 5 上肢の骨折
  (1)上腕骨近位端部骨折
   1)上腕骨骨頭骨折,上腕骨解剖頸骨折
   2)上腕骨外科頸骨折
   3)上腕骨大結節骨折,上腕骨小結節骨折
  (2)上腕骨骨幹部骨折
  (3)上腕骨遠位端部骨折
   1)上腕骨顆上骨折
   2)上腕骨外顆骨折
   3)上腕骨内側上顆骨折
  (4)前腕骨近位端部骨折
   1)尺骨肘頭骨折
   2)橈骨近位端部骨折
   3)肘部の複合損傷
  (5)前腕骨骨幹部骨折
   1)橈骨骨幹部単独骨折
   2)前腕両骨骨幹部骨折
   3)モンテギア(Monteggia)脱臼骨折
   4)ガレアジ(Galeazzi)脱臼骨折
  (6)前腕骨遠位端部骨折
   1)コーレス(Colles)骨折,スミス(Smith)骨折
   2)その他の橈骨遠位端部骨折
  (7)手根部骨折
   1)舟状骨骨折
   2)その他の手根骨骨折
  (8)中手部骨折
   1)中手骨頸部骨折
   2)中手骨骨幹部骨折
   3)中手骨基部骨折
   4)中手骨骨頭骨折
  (9)手指部骨折
   1)基節骨骨折
   2)中節骨骨折
   3)末節骨骨折
 臨床実地問題(2)
II 脱臼
 1 頭部・脊椎の脱臼
  (1)顎関節脱臼
   1)顎関節前方脱臼
 2 上肢の脱臼
  (1)肩部の脱臼
   1)胸鎖関節脱臼
   2)肩鎖関節脱臼
   3)肩関節脱臼
  (2)肘部の脱臼
   1)肘関節脱臼
   2)肘内障
  (3)手部・手指部の脱臼
   1)手関節脱臼
   2)手根骨脱臼
   3)手指部の脱臼
 臨床実地問題(3)
III 軟部組織損傷
 1 頭部・脊椎の軟部組織損傷
  (1)顎関節症
  (2)頸部の軟部組織損傷
   1)寝違え
   2)むちうち損傷
   3)胸郭出口症候群
   4)外傷性腕神経叢損傷
  (3)腰部の軟部組織損傷
   1)腰椎椎間板ヘルニア
 2 上肢の軟部組織損傷
  (1)肩部の軟部組織損傷
   1)腱板損傷
   2)上腕二頭筋長頭腱損傷
   3)肩峰下インピンジメント症候群
   4)その他の肩部の疾患
  (2)肘部の軟部組織損傷
   1)野球肘
   2)肘内側側副靱帯損傷
   3)離断性骨軟骨炎
   4)上腕骨外側上顆炎
   5)その他の肘部の疾患
  (3)手部・手指部の軟部組織損傷
   1)三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷
   2)母指MP関節尺側側副靱帯損傷
   3)狭窄性腱鞘炎
   4)手関節および手指部に変形を及ぼすその他の疾患
  (4)上肢の末梢神経絞扼障害
   1)肩部の末梢神経絞扼障害
   2)肘部の末梢神経絞扼障害
   3)手部の末梢神経絞扼障害
 臨床実地問題(4)

 索引