改訂(2023年版)にあたって
DX(デジタルトランスフォーメーション)の大きな波が医療分野にも押し寄せている.国は,「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チームを発足し,国民の健康増進や切れ目のない質の高い医療の提供に向けた医療分野のデジタル化を進め,保健・医療情報(介護含む)の利活用を積極的に推進することを目指している1).そのような改革のなかで,看護としても当然,価値を高めた情報の収集と活用により,さらなる良質な看護ケアの実現が求められることになる.
このような変革の流れの予兆は,すでに多くの医療機関ではじまっている.たとえば本書初版が刊行された2006年頃には10%程度であった電子カルテの導入率(一般病院の平均)は2020年には57%(400床以上では91%)と4倍以上に増加し,今や電子カルテは当たり前の病院システムになっている.そのため,本書も「医療情報システム」という章のなかで,初版刊行時には11ページを割いていた「電子カルテ」という項について,第3版(2020年)以降は4ページに圧縮し,電子カルテの本質にかかわる内容に絞って掲載している.章全体としても,システムの具体的な説明からシステムの意義や情報活用に焦点を当てて構成し直している.
昨年の改訂版の序文でも述べたように,医療における情報化,システム化の流れは早く,昨年から毎年,内容の見直しと必要な情報の追加や構成の見直しを行えるよう年度版とした.2023年版においては,2022年4月から施行されている改正個人情報保護法(令和3(2021)年改正)の解説の補強,ICNP(看護実践国際分類)が2021年9月にSNOMED CTに統合されたことに伴う内容と構成の見直しを行うとともに,わが国独自の看護実践用語であるが医療機関での普及が進んでいる「看護実践用語標準マスター」(開発:医療情報システム開発センター)に関する解説を追加するなど,比較的大きな改訂を行った.
本書が掲げる「看護情報学」が,依然として看護基礎教育のなかで体系的に位置づけられていない現状のもとで,本書を採用いただき授業が展開されている看護教育機関においては,質と安全の確保にとどまらず,創造的に看護を発展させるために情報を活用できる人材が育っていくことを期待する.
文献
1)「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チーム:医療DXについて.
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000992373.pdf(2022.11.15参照)
2022年11月
太田勝正
はじめに(第1版)
看護は,情報なしでは成り立たない.電子カルテなどを中心とする情報の電子化,ネットワーク化の急速な普及とともに,看護が取り扱う情報は膨大になってきているが,どんな情報をどうやって入手し,それを日々の看護にどのように活用していったらよいだろう.その問題に取り組むのが看護情報学であり,看護の質や効率の向上のために必要な情報を,タイムリーにわかりやすく提供するのが,看護情報学の実践の大きな柱である.
看護情報学という看護の専門分野が看護の中に確立して,まだ日は浅い.わが国においては,教育体制もまだ十分に確立していない.そのような中で,看護基礎教育において体系的に看護情報学を教育するための標準テキストが求められていた.本書は,看護系の4年制大学において徐々に普及してきている1単位8コマの「看護情報学」の授業を想定し,その枠組みの中で展開できるように内容を編集した.
第1章では,看護情報学という専門領域とその専門から求められる基本的な知識,技術について,第2章では,看護に情報を活用するために必要なコンピュータリテラシーと情報リテラシーの学び方について,第3章は,看護が取り扱う情報の特徴について,第4章は,情報を取り扱う際の倫理的問題と基本的な倫理的態度について,第5章は,医療情報システム,電子カルテの特徴とシステム導入の際のポイントについて,第6章は,地域・在宅看護における情報の活用とそれを支えるシステムについて,第7章は,看護が何をしているのかを具体的に示すために不可欠な看護用語の標準化について,そして第8章は,看護情報学のこれからの方向や課題などについてまとめた.それぞれの章の始めには,学習目標が示され,また,主要な項目ごとに学習上のポイントを示している.
執筆陣は,さまざまな分野で活躍している次代を担う看護教育者,看護情報学の専門家,臨床看護実践者で構成している.章ごとに責任者を決め(執筆者一覧の○印参照),それぞれの専門から,最新の内容をわかりやすくまとめている.とくに小林先生には,担当の章以外に全体の構成や執筆陣について貴重な助言をいただいた.また,医歯薬出版の編集担当者各位には,本書の完成に向けて忍耐強く,原稿の収集,整理をして頂き,感謝している.
情報をただ集めるだけなら,それほど難しくはない.しかし,やみくもに集めた情報から得られるものはわずかである.必要な情報を目的に応じて収集し,看護に活かしていくためには,看護情報学に基づく情報のとらえ方,取り扱いが不可欠である.そのためには,看護基礎教育課程において,きちんとした看護情報学の教育を行う必要がある.本書が,そのための教科書として,また,卒後の継続教育や自己学習の教材として活用され,豊富な看護の情報が,より質の高い看護の実現に活かされることを期待している.
2006年4月
太田勝正
DX(デジタルトランスフォーメーション)の大きな波が医療分野にも押し寄せている.国は,「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チームを発足し,国民の健康増進や切れ目のない質の高い医療の提供に向けた医療分野のデジタル化を進め,保健・医療情報(介護含む)の利活用を積極的に推進することを目指している1).そのような改革のなかで,看護としても当然,価値を高めた情報の収集と活用により,さらなる良質な看護ケアの実現が求められることになる.
このような変革の流れの予兆は,すでに多くの医療機関ではじまっている.たとえば本書初版が刊行された2006年頃には10%程度であった電子カルテの導入率(一般病院の平均)は2020年には57%(400床以上では91%)と4倍以上に増加し,今や電子カルテは当たり前の病院システムになっている.そのため,本書も「医療情報システム」という章のなかで,初版刊行時には11ページを割いていた「電子カルテ」という項について,第3版(2020年)以降は4ページに圧縮し,電子カルテの本質にかかわる内容に絞って掲載している.章全体としても,システムの具体的な説明からシステムの意義や情報活用に焦点を当てて構成し直している.
昨年の改訂版の序文でも述べたように,医療における情報化,システム化の流れは早く,昨年から毎年,内容の見直しと必要な情報の追加や構成の見直しを行えるよう年度版とした.2023年版においては,2022年4月から施行されている改正個人情報保護法(令和3(2021)年改正)の解説の補強,ICNP(看護実践国際分類)が2021年9月にSNOMED CTに統合されたことに伴う内容と構成の見直しを行うとともに,わが国独自の看護実践用語であるが医療機関での普及が進んでいる「看護実践用語標準マスター」(開発:医療情報システム開発センター)に関する解説を追加するなど,比較的大きな改訂を行った.
本書が掲げる「看護情報学」が,依然として看護基礎教育のなかで体系的に位置づけられていない現状のもとで,本書を採用いただき授業が展開されている看護教育機関においては,質と安全の確保にとどまらず,創造的に看護を発展させるために情報を活用できる人材が育っていくことを期待する.
文献
1)「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チーム:医療DXについて.
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000992373.pdf(2022.11.15参照)
2022年11月
太田勝正
はじめに(第1版)
看護は,情報なしでは成り立たない.電子カルテなどを中心とする情報の電子化,ネットワーク化の急速な普及とともに,看護が取り扱う情報は膨大になってきているが,どんな情報をどうやって入手し,それを日々の看護にどのように活用していったらよいだろう.その問題に取り組むのが看護情報学であり,看護の質や効率の向上のために必要な情報を,タイムリーにわかりやすく提供するのが,看護情報学の実践の大きな柱である.
看護情報学という看護の専門分野が看護の中に確立して,まだ日は浅い.わが国においては,教育体制もまだ十分に確立していない.そのような中で,看護基礎教育において体系的に看護情報学を教育するための標準テキストが求められていた.本書は,看護系の4年制大学において徐々に普及してきている1単位8コマの「看護情報学」の授業を想定し,その枠組みの中で展開できるように内容を編集した.
第1章では,看護情報学という専門領域とその専門から求められる基本的な知識,技術について,第2章では,看護に情報を活用するために必要なコンピュータリテラシーと情報リテラシーの学び方について,第3章は,看護が取り扱う情報の特徴について,第4章は,情報を取り扱う際の倫理的問題と基本的な倫理的態度について,第5章は,医療情報システム,電子カルテの特徴とシステム導入の際のポイントについて,第6章は,地域・在宅看護における情報の活用とそれを支えるシステムについて,第7章は,看護が何をしているのかを具体的に示すために不可欠な看護用語の標準化について,そして第8章は,看護情報学のこれからの方向や課題などについてまとめた.それぞれの章の始めには,学習目標が示され,また,主要な項目ごとに学習上のポイントを示している.
執筆陣は,さまざまな分野で活躍している次代を担う看護教育者,看護情報学の専門家,臨床看護実践者で構成している.章ごとに責任者を決め(執筆者一覧の○印参照),それぞれの専門から,最新の内容をわかりやすくまとめている.とくに小林先生には,担当の章以外に全体の構成や執筆陣について貴重な助言をいただいた.また,医歯薬出版の編集担当者各位には,本書の完成に向けて忍耐強く,原稿の収集,整理をして頂き,感謝している.
情報をただ集めるだけなら,それほど難しくはない.しかし,やみくもに集めた情報から得られるものはわずかである.必要な情報を目的に応じて収集し,看護に活かしていくためには,看護情報学に基づく情報のとらえ方,取り扱いが不可欠である.そのためには,看護基礎教育課程において,きちんとした看護情報学の教育を行う必要がある.本書が,そのための教科書として,また,卒後の継続教育や自己学習の教材として活用され,豊富な看護の情報が,より質の高い看護の実現に活かされることを期待している.
2006年4月
太田勝正
第1章 看護情報学をなぜ学ぶのか
【太田勝正】
1-1 看護情報学とは(太田勝正)
1-1-1 看護情報学の誕生と定義
1-1-2 看護師に求められる看護情報学の知識,能力
1-2 情報とは(太田勝正)
1-2-1 ウイナーによる情報の定義
1-2-2 データ,情報,知識について
1-2-3 マクドノウの情報の概念
1-3 看護におけるデータ・情報の特徴(真弓尚也)
1-3-1 看護師が接するデータ・情報
1.看護の情報源
2.情報の分類
3.医療情報システム
1-3-2 情報の活用と記録
1.看護過程
2.POS
3.その他の記録
1-3-3 情報の共有―チーム医療,申し送り,カンファレンス
1.チーム医療
2.申し送り
3.カンファレンス
第2章 コンピュータリテラシーと情報リテラシー
【前田樹海】
2-1 コンピュータリテラシー(前田樹海)
2-1-1 情報の定量化
1.シャノンの情報理論
2.二進法と十進法
3.情報量の単位「ビット」
4.英語圏で使用される文字の情報量
5.日本人が用いる文字の情報量
2-1-2 コンピュータの基本構成
1.ハードウェア
2.ソフトウェア
3.アプリケーションの意義
2-1-3 データの保存
1.データを保存するための記録媒体
2.記録媒体にかかわる諸注意
2-1-4 インターネットに関するポイント
1.インターネットの起源
2.WWWの起源
3.インターネット上のサーバにアクセスする仕組み
4.ウェブのセキュリティ
2-1-5 電子メールに関するポイント
1.電子メールアドレスの構成
2.ドメイン名の構成
3.ドメインによる組織の識別
4.電子メールのセキュリティ
5.電子メールのヘッダ情報
2-2 情報リテラシー(前田樹海)
2-2-1 看護に役立つ情報の所在
2-2-2 看護に役立つ情報の入手法
2-2-3 検索法
2-2-4 情報の価値,信頼性の評価法
2-2-5 情報の価値を高める情報処理の方法
2-3 情報セキュリティ(前田樹海)
2-3-1 情報セキュリティの概念
1.セキュリティとは
2.情報セキュリティの3要素
3.情報セキュリティの視点
4.情報セキュリティを維持向上させるための方法
2-3-2 コンピュータのセキュリティ
1.ハードディスクのメンテナンスとバックアップ
2.データ盗難対策
3.マルウェア対策
2-4 情報発信について(前田樹海)
1.電子掲示板
2.メーリングリスト
3.ブログ
4.ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)
5.ソーシャルメディアの可能性と課題
第3章 情報倫理と法
【太田勝正】
3-1 情報倫理とは(板井孝壱郎)
3-1-1 「倫理」と「道徳」の違い
3-1-2 「情報倫理」誕生の歴史的背景と「コンピュータ倫理」との違い
3-1-3 高度情報化社会における「情報モラル」の重要性
3-1-4 「電子カルテ」をめぐる情報倫理的課題
3-2 プライバシーと守秘義務(佐原弘子)
3-2-1 プライバシーの概念の変遷
1.領域的なプライバシーの概念
2.相互関係モデルにおけるプライバシーの概念
3.情報化時代のプライバシー
3-2-2 法律的側面としてのプライバシーの権利
1.法益としてのプライバシー権
2.看護場面において何がプライバシーの問題となりうるのか
3-2-3 守秘義務とは
1.法で定められた守秘義務
2.倫理規定に示された守秘義務
3-2-4 プライバシーと守秘義務の違いについて
3-3 個人情報保護に関する法(望月聡一郎)
3-3-1 「個人情報の保護に関する法律」について
3-3-2 OECD 8原則
3-3-3 HIPAAについて
1.アメリカ合衆国の統治システムと法体系について
2.HIPAAの概要と医療に関する個人情報保護について
3.HIPAAプライバシールールのポイント
4.HIPAAおよびHIPAAプライバシールールの課題
3-3-4 個人情報の取り扱いに関する指針等
1.医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス
2.医学研究に関する倫理指針
3-4 臨地実習における患者情報の取り扱い(太田勝正)
3-4-1 実習記録の取り扱いについて
3-4-2 実習中のメモに関する問題
3-4-3 ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の利用について
第4章 医療情報システム
【瀬戸僚馬】
4-1 病院情報システム(瀬戸僚馬)
4-1-1 病院情報システムの種類
4-1-2 病院情報システム導入の意義
4-1-3 病院情報システムによる情報活用
4-2 電子カルテシステム(瀬戸僚馬)
4-2-1 電子カルテシステムとユーザーインターフェイス
4-2-2 電子カルテの法的な位置づけと要件
4-3 オーダエントリシステム(瀬戸僚馬)
4-3-1 オーダエントリシステムを利用した業務の流れ
4-3-2 オーダエントリシステムと医療安全管理
1.オーダ発行時のエラーとワーニング
2.オーダ実施時の3点認証
第5章 看護用語の標準化
【横田慎一郎】
5-1 なぜ,看護用語の標準化が必要か(柏木公一)
5-1-1 専門用語はなぜ必要なのか
5-1-2 専門用語はどのようにつくられるか
5-1-3 用語集が果たす役割
1.識別
2.分類
3.集約
4.関連
5.用語集間の対応づけ(マッピング)
5-2 医療・看護用語の標準化の取り組み(横田慎一郎)
5-2-1 国際的な医療用語標準化の取り組み
1.ICD
2.SNOMED CT
3.米国看護師協会が認定する標準用語集
5-2-2 日本における医療用語標準化の取り組み
1.保健医療情報分野の標準規格(厚生労働省標準規格)
2.標準病名マスター
3.看護実践用語標準マスター(行為編・観察編)
4.HL7 FHIR
5.日本医学会による取り組み
5-2-3 看護用語の標準化の取り組みにおける次のステップ
1.システム実装
2.シンボルグラウンディング問題
第6章 看護における情報システムの活用例
【太田勝正】
6-1 地域看護における情報システムの活用例―遠隔看護(テレナーシング)(亀井智子)
6-1-1 はじめに―テレナーシングとは?―
6-1-2 テレナーシングの定義
6-1-3 テレヘルス・テレナーシングの歴史
6-1-4 テレナーシングの方法と法的側面
6-1-5 遠隔医療におけるテレナーシングの位置づけと関連用語
1.より上位の概念を表す用語
2.テレヘルスにおけるテレナーシングの位置づけ
3.テレモニタリング
4.通信方法
5.記号による表現方法
6-1-6 慢性疾患をもつ在宅療養者へのテレナーシング実践方法
6-1-7 テレナーシングの実践例
1.オーストラリア・クイーンズランド州クイーンズランド大学の例
2.テレナースによる在宅モニタリングに基づくテレナーシングの例
6-1-8 在宅モニタリングに基づくテレナーシングのエビデンス
6-2 病院看護における情報システムの活用例(宇都由美子)
6-2-1 看護情報の2次利用
1.看護ケアの見える化
2.2次利用を意識した仕組みづくり
6-2-2 チーム医療と医療安全の推進に不可欠な指示のシステム化
1.指示システム開発が遅れた背景
2.電子指示システムの体系化
6-2-3 病院情報システムに蓄積された大量データの分析・活用
1.DWHとは
2.病院DWHの活用例
6-2-4 標準的なツールを用いた病院経営情報の分析
1.診断群分類による包括評価制度
2.DPCとDWHの活用による病院経営情報の見える化
6-2-5 地域包括ケア時代の看護情報の継続性の保障
1.看護業務の効率化と看護記録
2.ICFの活用
6-3 ビッグデータ・IoT・人工知能と看護(横田慎一郎)
6-3-1 ビッグデータと医療
6-3-2 ビッグデータと看護
第7章 コラム集
【太田勝正】
コラム1 米国の看護情報学教育の歴史と現状(太田勝正)
コラム2 わが国の看護情報学教育の現状(太田勝正)
コラム3 POSについて(真弓尚也)
コラム4 実践の証明としての看護記録(真弓尚也)
コラム5 領域によって異なる専門用語(柏木公一)
コラム6 ICNPについて(太田勝正)
コラム7 看護行為用語分類について(太田勝正)
コラム8 看護ミニマムデータセット(NMDS)(太田勝正)
索引
【 】は章担当責任者
【太田勝正】
1-1 看護情報学とは(太田勝正)
1-1-1 看護情報学の誕生と定義
1-1-2 看護師に求められる看護情報学の知識,能力
1-2 情報とは(太田勝正)
1-2-1 ウイナーによる情報の定義
1-2-2 データ,情報,知識について
1-2-3 マクドノウの情報の概念
1-3 看護におけるデータ・情報の特徴(真弓尚也)
1-3-1 看護師が接するデータ・情報
1.看護の情報源
2.情報の分類
3.医療情報システム
1-3-2 情報の活用と記録
1.看護過程
2.POS
3.その他の記録
1-3-3 情報の共有―チーム医療,申し送り,カンファレンス
1.チーム医療
2.申し送り
3.カンファレンス
第2章 コンピュータリテラシーと情報リテラシー
【前田樹海】
2-1 コンピュータリテラシー(前田樹海)
2-1-1 情報の定量化
1.シャノンの情報理論
2.二進法と十進法
3.情報量の単位「ビット」
4.英語圏で使用される文字の情報量
5.日本人が用いる文字の情報量
2-1-2 コンピュータの基本構成
1.ハードウェア
2.ソフトウェア
3.アプリケーションの意義
2-1-3 データの保存
1.データを保存するための記録媒体
2.記録媒体にかかわる諸注意
2-1-4 インターネットに関するポイント
1.インターネットの起源
2.WWWの起源
3.インターネット上のサーバにアクセスする仕組み
4.ウェブのセキュリティ
2-1-5 電子メールに関するポイント
1.電子メールアドレスの構成
2.ドメイン名の構成
3.ドメインによる組織の識別
4.電子メールのセキュリティ
5.電子メールのヘッダ情報
2-2 情報リテラシー(前田樹海)
2-2-1 看護に役立つ情報の所在
2-2-2 看護に役立つ情報の入手法
2-2-3 検索法
2-2-4 情報の価値,信頼性の評価法
2-2-5 情報の価値を高める情報処理の方法
2-3 情報セキュリティ(前田樹海)
2-3-1 情報セキュリティの概念
1.セキュリティとは
2.情報セキュリティの3要素
3.情報セキュリティの視点
4.情報セキュリティを維持向上させるための方法
2-3-2 コンピュータのセキュリティ
1.ハードディスクのメンテナンスとバックアップ
2.データ盗難対策
3.マルウェア対策
2-4 情報発信について(前田樹海)
1.電子掲示板
2.メーリングリスト
3.ブログ
4.ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)
5.ソーシャルメディアの可能性と課題
第3章 情報倫理と法
【太田勝正】
3-1 情報倫理とは(板井孝壱郎)
3-1-1 「倫理」と「道徳」の違い
3-1-2 「情報倫理」誕生の歴史的背景と「コンピュータ倫理」との違い
3-1-3 高度情報化社会における「情報モラル」の重要性
3-1-4 「電子カルテ」をめぐる情報倫理的課題
3-2 プライバシーと守秘義務(佐原弘子)
3-2-1 プライバシーの概念の変遷
1.領域的なプライバシーの概念
2.相互関係モデルにおけるプライバシーの概念
3.情報化時代のプライバシー
3-2-2 法律的側面としてのプライバシーの権利
1.法益としてのプライバシー権
2.看護場面において何がプライバシーの問題となりうるのか
3-2-3 守秘義務とは
1.法で定められた守秘義務
2.倫理規定に示された守秘義務
3-2-4 プライバシーと守秘義務の違いについて
3-3 個人情報保護に関する法(望月聡一郎)
3-3-1 「個人情報の保護に関する法律」について
3-3-2 OECD 8原則
3-3-3 HIPAAについて
1.アメリカ合衆国の統治システムと法体系について
2.HIPAAの概要と医療に関する個人情報保護について
3.HIPAAプライバシールールのポイント
4.HIPAAおよびHIPAAプライバシールールの課題
3-3-4 個人情報の取り扱いに関する指針等
1.医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス
2.医学研究に関する倫理指針
3-4 臨地実習における患者情報の取り扱い(太田勝正)
3-4-1 実習記録の取り扱いについて
3-4-2 実習中のメモに関する問題
3-4-3 ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の利用について
第4章 医療情報システム
【瀬戸僚馬】
4-1 病院情報システム(瀬戸僚馬)
4-1-1 病院情報システムの種類
4-1-2 病院情報システム導入の意義
4-1-3 病院情報システムによる情報活用
4-2 電子カルテシステム(瀬戸僚馬)
4-2-1 電子カルテシステムとユーザーインターフェイス
4-2-2 電子カルテの法的な位置づけと要件
4-3 オーダエントリシステム(瀬戸僚馬)
4-3-1 オーダエントリシステムを利用した業務の流れ
4-3-2 オーダエントリシステムと医療安全管理
1.オーダ発行時のエラーとワーニング
2.オーダ実施時の3点認証
第5章 看護用語の標準化
【横田慎一郎】
5-1 なぜ,看護用語の標準化が必要か(柏木公一)
5-1-1 専門用語はなぜ必要なのか
5-1-2 専門用語はどのようにつくられるか
5-1-3 用語集が果たす役割
1.識別
2.分類
3.集約
4.関連
5.用語集間の対応づけ(マッピング)
5-2 医療・看護用語の標準化の取り組み(横田慎一郎)
5-2-1 国際的な医療用語標準化の取り組み
1.ICD
2.SNOMED CT
3.米国看護師協会が認定する標準用語集
5-2-2 日本における医療用語標準化の取り組み
1.保健医療情報分野の標準規格(厚生労働省標準規格)
2.標準病名マスター
3.看護実践用語標準マスター(行為編・観察編)
4.HL7 FHIR
5.日本医学会による取り組み
5-2-3 看護用語の標準化の取り組みにおける次のステップ
1.システム実装
2.シンボルグラウンディング問題
第6章 看護における情報システムの活用例
【太田勝正】
6-1 地域看護における情報システムの活用例―遠隔看護(テレナーシング)(亀井智子)
6-1-1 はじめに―テレナーシングとは?―
6-1-2 テレナーシングの定義
6-1-3 テレヘルス・テレナーシングの歴史
6-1-4 テレナーシングの方法と法的側面
6-1-5 遠隔医療におけるテレナーシングの位置づけと関連用語
1.より上位の概念を表す用語
2.テレヘルスにおけるテレナーシングの位置づけ
3.テレモニタリング
4.通信方法
5.記号による表現方法
6-1-6 慢性疾患をもつ在宅療養者へのテレナーシング実践方法
6-1-7 テレナーシングの実践例
1.オーストラリア・クイーンズランド州クイーンズランド大学の例
2.テレナースによる在宅モニタリングに基づくテレナーシングの例
6-1-8 在宅モニタリングに基づくテレナーシングのエビデンス
6-2 病院看護における情報システムの活用例(宇都由美子)
6-2-1 看護情報の2次利用
1.看護ケアの見える化
2.2次利用を意識した仕組みづくり
6-2-2 チーム医療と医療安全の推進に不可欠な指示のシステム化
1.指示システム開発が遅れた背景
2.電子指示システムの体系化
6-2-3 病院情報システムに蓄積された大量データの分析・活用
1.DWHとは
2.病院DWHの活用例
6-2-4 標準的なツールを用いた病院経営情報の分析
1.診断群分類による包括評価制度
2.DPCとDWHの活用による病院経営情報の見える化
6-2-5 地域包括ケア時代の看護情報の継続性の保障
1.看護業務の効率化と看護記録
2.ICFの活用
6-3 ビッグデータ・IoT・人工知能と看護(横田慎一郎)
6-3-1 ビッグデータと医療
6-3-2 ビッグデータと看護
第7章 コラム集
【太田勝正】
コラム1 米国の看護情報学教育の歴史と現状(太田勝正)
コラム2 わが国の看護情報学教育の現状(太田勝正)
コラム3 POSについて(真弓尚也)
コラム4 実践の証明としての看護記録(真弓尚也)
コラム5 領域によって異なる専門用語(柏木公一)
コラム6 ICNPについて(太田勝正)
コラム7 看護行為用語分類について(太田勝正)
コラム8 看護ミニマムデータセット(NMDS)(太田勝正)
索引
【 】は章担当責任者