刊行にあたって
臨床の場で看護師が担当する仕事は多岐にわたっているが,中でもバイタルサインの観察やフィジカルアセスメントは適正に行わなければならないし,注射や喀痰吸引,導尿や浣腸などは安全かつ確実でなければ医療事故のもとになり,危険である.これらの看護技術が「身体の構造や機能」すなわち解剖学や生理学に基づいていることは言うまでもないが,特に初心者にとって,看護技術と解剖・生理学との関係を理解するのは必ずしも容易なことではない.
四半世紀程前に,私は医学部保健学科に配置転換となり,看護や検査技術,理学・作業療法などのコメディカル学科で解剖学を担当することになった.保健学科では医学科に比べて解剖学に使える時間が少ないし,学科ごとに時間数も異なる.また,まだ漠然とではあったが,医療職種が異なればそれぞれに必要な解剖学も違うのではないかと思うようになった.そこで,各学科の先生方に意見や要望を聞き,それらに基づいて講義や実習を学科ごとに組み立てた.そして内科や外科,整形外科,産科・婦人科などの医系教員やコメディカル教員の応援を仰ぎ,かなり充実した「肉眼解剖の実習見学」を全学科で始めた.解剖学教育に強い関心を持ってくれた看護学の若手教員はこの実習見学に当初から参加したが,やがて自分達で看護学を念頭に置いた「解剖学演習マトリックス」を作成し,それに基づいて実習見学が行われるようになると,そのレベルが飛躍的に向上した.本書の出発点はまさにこの「解剖学演習マトリックス」である.そして本書を執筆したメンバーの大半が,今ではベテラン教員になって各方面で活躍している「当時の若手教員」であり,長年の仲間である.
様々な看護技術を習得するには,経験豊富な先輩の指導や助言を仰ぐのが最も近道である.これに加えて「何のためにするのか?」,「なぜそのようにするのか?」,「どこに危険性が潜んでいるのか?」など,看護技術に関する解剖・生理学的知識が加われば,より適正で,安全かつ確実な看護を実践することができる.解剖学に強い関心を持つ看護教員と,看護技術に興味を持つ解剖教員の合作である本書が,その一助となれば幸いである.
最後に,貴重な解剖学実習見学の機会を与えて下さった神戸大学名誉教授の寺島俊雄先生,神戸大学大学院医学研究科生理学・細胞生物学講座生体構造解剖学分野教授の仁田亮先生,並びに実習見学を様々な面でサポートして下さった同講座技術員の薛富義,崎浜吉昭の両氏に深謝いたします.また本書の刊行に当たっては,献身的にお世話頂いた医歯薬出版株式会社の担当編集の方々に篤くお礼申し上げます.
平成31年1月
さぬき明徳塾にて
三木明徳
はじめに
看護職は,生命を育み守る,生活を支えるといった活動を通して,人々のより健康で豊かな人生に貢献する専門職である.その専門的活動を遂行するには,「ひと」の理解と,安全かつ正確な看護技術の習得は欠かせない.それらの理解や技術を支えているのは,生物体としての人体の構造や機能に関する知識である.すなわち,生命の営みや生活機能がどのような仕組みで成り立っているのかという解剖生理学の知識なのである.さらに,現代の医療現場は多様な医療職が協働する多職種連携として実践されている.医療チームの中で,対象者を理解しあうためには,互いの議論が必要であるが,その際に「解剖学」の知識は共通言語として機能する.つまり,私たち看護職には,看護学独自の視点と同時に医療チームのメンバーと共通理解する視点を兼ね備えていることが求められている.
このように,看護職にとって解剖学は必須の知識であることは言うまでもないが,一方で,解剖学は苦手だと思う人も多いと思う.解剖学の用語は難解に感じるし,覚えることが多い.つまり「暗記」科目だと感じている人が多いかもしれない.しかし,看護実践に活用し,医療チーム内での共通言語として身に付けるには,暗記だけでは不十分である.本書は,解剖学の知識を日々の看護実践に活用していけるように,そして,看護技術や看護実践を通して,共通言語としての解剖学を理解できることを目指して作成してきた.そのため,本書は単なる技術の手順書や根拠の列挙ではなく,人体の構造の理解から看護技術を学ぶことを重視している書籍である.
序章では身体を系統的に把握するために必要となる基準線と骨性指標の確認方法を具体的に示した.各章は,解剖学の知識と看護技術のつながりを示し,看護技術のポイントを提示した.各章の発展学習では臨床現場で行われる実践を踏まえ解説している.COLUMNでは,看護実践に関するいくつかのテーマについて解剖学や発生学的見地から解説している.「自分の体で確認しよう!」のコーナーは,読者が自身の体や友人間で確認しあえる内容を提示した.実践してみることで解剖学の知識を深め,日々の看護実践につなげてほしい.
最後に,別冊として,人体解剖学見学実習にも活用できる「看護の視点から学ぶ解剖学ワークブック」を作成した.人体解剖学見学実習の機会がある読者には,ワークブックを活用し,看護の視点から,人体の構造とその奥深さを学んで欲しいと願っている.また,たとえ人体解剖学見学実習の機会はなくとも,このワークブックを通して看護の視点から解剖学の知識を見直し,看護技術への活用につながることを願っている.
本書は,人体解剖学見学実習において学生指導を担当してこられた多くの先生方のご協力と教育実践の積重ねが原点となっている.人体解剖学見学実習に関わられた全ての先生方に感謝申し上げたい.また,人体解剖学見学実習に真摯に取り組み,我々に学ぶ姿を示してくれた学生たちにも感謝したい.彼らの姿が本書出版の動機となり,我々の執筆活動の支えであったことは間違いない.本書を手にされる多くの学生や,解剖学,看護技術を教授する先生方の学習―教授活動の一助となることを心から願っている.
平成31年1月
編者一同
臨床の場で看護師が担当する仕事は多岐にわたっているが,中でもバイタルサインの観察やフィジカルアセスメントは適正に行わなければならないし,注射や喀痰吸引,導尿や浣腸などは安全かつ確実でなければ医療事故のもとになり,危険である.これらの看護技術が「身体の構造や機能」すなわち解剖学や生理学に基づいていることは言うまでもないが,特に初心者にとって,看護技術と解剖・生理学との関係を理解するのは必ずしも容易なことではない.
四半世紀程前に,私は医学部保健学科に配置転換となり,看護や検査技術,理学・作業療法などのコメディカル学科で解剖学を担当することになった.保健学科では医学科に比べて解剖学に使える時間が少ないし,学科ごとに時間数も異なる.また,まだ漠然とではあったが,医療職種が異なればそれぞれに必要な解剖学も違うのではないかと思うようになった.そこで,各学科の先生方に意見や要望を聞き,それらに基づいて講義や実習を学科ごとに組み立てた.そして内科や外科,整形外科,産科・婦人科などの医系教員やコメディカル教員の応援を仰ぎ,かなり充実した「肉眼解剖の実習見学」を全学科で始めた.解剖学教育に強い関心を持ってくれた看護学の若手教員はこの実習見学に当初から参加したが,やがて自分達で看護学を念頭に置いた「解剖学演習マトリックス」を作成し,それに基づいて実習見学が行われるようになると,そのレベルが飛躍的に向上した.本書の出発点はまさにこの「解剖学演習マトリックス」である.そして本書を執筆したメンバーの大半が,今ではベテラン教員になって各方面で活躍している「当時の若手教員」であり,長年の仲間である.
様々な看護技術を習得するには,経験豊富な先輩の指導や助言を仰ぐのが最も近道である.これに加えて「何のためにするのか?」,「なぜそのようにするのか?」,「どこに危険性が潜んでいるのか?」など,看護技術に関する解剖・生理学的知識が加われば,より適正で,安全かつ確実な看護を実践することができる.解剖学に強い関心を持つ看護教員と,看護技術に興味を持つ解剖教員の合作である本書が,その一助となれば幸いである.
最後に,貴重な解剖学実習見学の機会を与えて下さった神戸大学名誉教授の寺島俊雄先生,神戸大学大学院医学研究科生理学・細胞生物学講座生体構造解剖学分野教授の仁田亮先生,並びに実習見学を様々な面でサポートして下さった同講座技術員の薛富義,崎浜吉昭の両氏に深謝いたします.また本書の刊行に当たっては,献身的にお世話頂いた医歯薬出版株式会社の担当編集の方々に篤くお礼申し上げます.
平成31年1月
さぬき明徳塾にて
三木明徳
はじめに
看護職は,生命を育み守る,生活を支えるといった活動を通して,人々のより健康で豊かな人生に貢献する専門職である.その専門的活動を遂行するには,「ひと」の理解と,安全かつ正確な看護技術の習得は欠かせない.それらの理解や技術を支えているのは,生物体としての人体の構造や機能に関する知識である.すなわち,生命の営みや生活機能がどのような仕組みで成り立っているのかという解剖生理学の知識なのである.さらに,現代の医療現場は多様な医療職が協働する多職種連携として実践されている.医療チームの中で,対象者を理解しあうためには,互いの議論が必要であるが,その際に「解剖学」の知識は共通言語として機能する.つまり,私たち看護職には,看護学独自の視点と同時に医療チームのメンバーと共通理解する視点を兼ね備えていることが求められている.
このように,看護職にとって解剖学は必須の知識であることは言うまでもないが,一方で,解剖学は苦手だと思う人も多いと思う.解剖学の用語は難解に感じるし,覚えることが多い.つまり「暗記」科目だと感じている人が多いかもしれない.しかし,看護実践に活用し,医療チーム内での共通言語として身に付けるには,暗記だけでは不十分である.本書は,解剖学の知識を日々の看護実践に活用していけるように,そして,看護技術や看護実践を通して,共通言語としての解剖学を理解できることを目指して作成してきた.そのため,本書は単なる技術の手順書や根拠の列挙ではなく,人体の構造の理解から看護技術を学ぶことを重視している書籍である.
序章では身体を系統的に把握するために必要となる基準線と骨性指標の確認方法を具体的に示した.各章は,解剖学の知識と看護技術のつながりを示し,看護技術のポイントを提示した.各章の発展学習では臨床現場で行われる実践を踏まえ解説している.COLUMNでは,看護実践に関するいくつかのテーマについて解剖学や発生学的見地から解説している.「自分の体で確認しよう!」のコーナーは,読者が自身の体や友人間で確認しあえる内容を提示した.実践してみることで解剖学の知識を深め,日々の看護実践につなげてほしい.
最後に,別冊として,人体解剖学見学実習にも活用できる「看護の視点から学ぶ解剖学ワークブック」を作成した.人体解剖学見学実習の機会がある読者には,ワークブックを活用し,看護の視点から,人体の構造とその奥深さを学んで欲しいと願っている.また,たとえ人体解剖学見学実習の機会はなくとも,このワークブックを通して看護の視点から解剖学の知識を見直し,看護技術への活用につながることを願っている.
本書は,人体解剖学見学実習において学生指導を担当してこられた多くの先生方のご協力と教育実践の積重ねが原点となっている.人体解剖学見学実習に関わられた全ての先生方に感謝申し上げたい.また,人体解剖学見学実習に真摯に取り組み,我々に学ぶ姿を示してくれた学生たちにも感謝したい.彼らの姿が本書出版の動機となり,我々の執筆活動の支えであったことは間違いない.本書を手にされる多くの学生や,解剖学,看護技術を教授する先生方の学習―教授活動の一助となることを心から願っている.
平成31年1月
編者一同
序章 看護技術に必要な体表解剖学
(三谷理恵)
I 体幹の基準線と骨性指標の理解
1 体幹前面の基準線と骨性指標
1)体幹前面の骨性指標
2)体幹前面・側面の基準線
(1)体幹前面の垂線
(2)体幹側面の垂線
(3)体幹前面の水平線
3)体幹前面における骨性指標の確認法
2 体幹後面の基準線と骨性指標
1)体幹後面の骨性指標
2)体幹後面の基準線
(1)体幹後面の垂線
(2)体幹後面の水平線
3)体幹後面における骨性指標の確認法
(1)第7頚椎棘突起
(2)肩甲骨
(3)肩峰の確認法
(4)第12肋骨の確認法
(5)腸骨稜,上前腸骨棘,上後腸骨棘の確認法
(6)仙骨と尾骨の確認法
3 下肢の骨性指標
1)大転子
2)腓骨頭
4 身体の基準線,骨性指標と看護技術とのつながり
1)心臓の位置
2)肺と気管支
3)腹部の区分
4)背部からの腎臓・尿管の位置
5)筋肉注射部位の同定
COLUMN 身体の相対的位置や運動の方向を表す解剖学用語(三木明徳)
第1章 生命徴候の観察
(石井豊恵・築田 誠)
I 脈拍測定(石井豊恵)
1 脈拍の成り立ち
1)脈拍と心拍の関係
2 脈拍が触知できる部位と触知のコツ
1)ワンアクションで触知するために
2)3本の指をそろえて触知するワケ
発展学習 脈拍の左右差が教えてくれること
COLUMN 心臓死と脳死(三木明徳)
II 血圧測定(石井豊恵)
1 血圧の成り立ち
1)血圧と心拍出量や末梢血管抵抗との関係
2)血圧測定の方法と測定部位
2 正確に測定する技術とその解剖学的根拠
1)マンシェットを巻く位置とサイズ
2)聴診器を当てる部位
発展学習 触診法と聴診法
III 呼吸状態の観察(築田 誠)
1 呼吸器の構造
1)呼吸器の構造
2)体表から見た肺・気管支の位置
2 呼吸状態の観察方法とその根拠
1)呼吸運動を診る
2)患者に気づかれないように診る
3)呼吸音を聴く
4)呼吸の観察をすべきタイミング
COLUMN なぜ肺胞は膨らんだりしぼんだりするの?―弾性線維と肺サーファクタントー(三木明徳)
自分の体で確認してみよう!
第2章 呼吸を整える援助技術
(築田 誠)
I 安楽な呼吸の維持
1 安楽な呼吸とは(呼気と吸気の関係)
1)換気効率の良い呼吸
2 呼吸がしやすい体位
1)気道が確保されている
2)呼吸に必要な筋肉が動きやすいように整える
3)分泌物を出しやすくする体位(重力を利用する)
4)正常な肺胞と血液が接触する面積が多くなるように(換気血流比)
COLUMN 起座呼吸はどうして安楽なのか?(三木明徳)
II 吸引法
1 口腔・鼻腔吸引
1)口腔・鼻腔吸引チューブの長さ
2)鼻腔吸引チューブの挿入方向
3)口腔吸引と鼻腔吸引はセットではない!
2 気管吸引
1)気管吸引チューブの挿入
2)1回の吸引時間と吸引圧
3)気管吸引の効果
COLUMN 痰ってなに?(三木明徳)
発展学習 排痰のためのポイント
第3章 食と栄養摂取を支える技術
(澁谷 幸)
I 食事介助
1 安全な食事姿勢
1)食塊の経路と姿勢
2)食塊と空気の交通整理のしくみ
2 誤嚥を防ぐ食事介助のポイント
1)可能な限り座位に!
2)頸部が後屈しない介助方法
COLUMN 誤嚥するのはヒトだけ?(三木明徳)
発展学習 摂食・嚥下リハビリテーションと発声練習の関係
II 経管栄養法
1 経鼻栄養チューブの挿入
1)経鼻栄養チューブの挿入方向とタイミング
2)経鼻栄養チューブの経路
3)経鼻栄養チューブの長さ
2 栄養剤の注入
1)注入前の確認
自分の体で確認してみよう!
第4章 排便・排尿を支える技術
(福田敦子・片山 恵)
I 腹部の観察(福田敦子)
1 腹部臓器の位置関係
1)腹部の基準線と区分
2)腹部の立体的な位置関係
COLUMN 開腹術後のカテーテルの留置場所―胃や肝臓の後ろにも網嚢という腹膜腔がある―(三木明徳)
発展学習 ダグラス窩(直腸子宮窩)の臨床的意義
2 腹部の観察
1)腹部の観察の順序
2)腹部の観察方法
発展学習 痛みの不思議!原因の手掛かりになる『関連痛』を理解しよう!
II 排泄の援助(片山 恵)
1 排泄しやすい体位
1)直腸・肛門・骨盤底筋の構造と排便の関係
2)膀胱・尿道の構造と排尿の関係
2 排泄介助
1)床上での援助
2)トイレでの援助
発展学習 骨盤底筋群を鍛えて尿失禁を改善・予防しよう!
III 浣腸(片山 恵)
1 安全な体位
1)左側臥位の必要性
2)立位での浣腸の危険性
2 安全な挿入
1)どこまで挿入するか
IV 導尿(片山 恵)
1 導尿カテーテルの挿入
1)女性の場合
2)男性の場合
2 導尿の安全性・確実性
1)無菌状態の維持
2)膀胱への到達の確認
3 膀胱留置カテーテル法
1)バルーンの固定のタイミング
2)体表でのカテーテルの固定方法
自分の体で確認してみよう!
第5章 安楽な姿勢・歩行を支える援助技術
(三谷理恵・荒川高光)
I 姿勢の保持
1 姿勢の維持
1)ヒトの骨格と姿勢
2)姿勢の安定:支持基底面と重心の位置
2 安楽で安定した体位の保持を援助する技術
1)支持基底面を広くして,体圧を分散させる
2)体位の保持に伴う二次障害を起こさない:褥瘡,神経障害の予防
3)機能的肢位(良肢位)を考える
発展学習 関節可動域と援助のつながり
II 歩行介助
1 立位から歩行へ.そのメカニズム
1)安定した立位とは
2)歩行を可能にする関節の動きと筋
2 歩行介助のポイント
1)歩行の支持方法
2)付き添う場合の看護師の立ち位置
発展学習 歩行につながるリハビリテーション―理学療法士の視点から
COLUMN 歩行にまつわる脊柱の解剖学 荒川高光
第6章 与薬の技術:注射法
(細名水生・中西泰弘)
I 皮下注射(細名水生)
1 皮下注射に適した部位
1)皮下組織とは
2)皮下注射として適切な部位
2 安全な刺入方法
1)確実に皮下組織に刺入する
2)神経損傷を避ける
発展学習 インスリン自己注射を腹部に行うのはなぜか?
II 筋肉注射(細名水生)
1 筋肉注射に適した部位
1)筋肉組織の特徴
2)中殿筋での筋肉注射
3)三角筋での筋肉注射
2 安全な刺入方法
1)確実に筋肉に刺入する
2)神経損傷と血管への注入を避ける
3)刺入痛の軽減
発展学習 筋肉注射に関する研究の動向
III 静脈注射(中西泰弘)
1 静脈注射に適した血管
1)静脈の構造
2)静脈注射に用いる血管
3)血管選定の条件
2 確実に静脈内に刺入する方法
1)刺入角度と静脈の深さ
2)静脈の走行と刺入の方向
3)適切な道具の選択
発展学習 静脈注射や採血に伴う神経損傷について
COLUMN からだの物差し(三木明徳)
自分の体で確認してみよう!
(三谷理恵)
I 体幹の基準線と骨性指標の理解
1 体幹前面の基準線と骨性指標
1)体幹前面の骨性指標
2)体幹前面・側面の基準線
(1)体幹前面の垂線
(2)体幹側面の垂線
(3)体幹前面の水平線
3)体幹前面における骨性指標の確認法
2 体幹後面の基準線と骨性指標
1)体幹後面の骨性指標
2)体幹後面の基準線
(1)体幹後面の垂線
(2)体幹後面の水平線
3)体幹後面における骨性指標の確認法
(1)第7頚椎棘突起
(2)肩甲骨
(3)肩峰の確認法
(4)第12肋骨の確認法
(5)腸骨稜,上前腸骨棘,上後腸骨棘の確認法
(6)仙骨と尾骨の確認法
3 下肢の骨性指標
1)大転子
2)腓骨頭
4 身体の基準線,骨性指標と看護技術とのつながり
1)心臓の位置
2)肺と気管支
3)腹部の区分
4)背部からの腎臓・尿管の位置
5)筋肉注射部位の同定
COLUMN 身体の相対的位置や運動の方向を表す解剖学用語(三木明徳)
第1章 生命徴候の観察
(石井豊恵・築田 誠)
I 脈拍測定(石井豊恵)
1 脈拍の成り立ち
1)脈拍と心拍の関係
2 脈拍が触知できる部位と触知のコツ
1)ワンアクションで触知するために
2)3本の指をそろえて触知するワケ
発展学習 脈拍の左右差が教えてくれること
COLUMN 心臓死と脳死(三木明徳)
II 血圧測定(石井豊恵)
1 血圧の成り立ち
1)血圧と心拍出量や末梢血管抵抗との関係
2)血圧測定の方法と測定部位
2 正確に測定する技術とその解剖学的根拠
1)マンシェットを巻く位置とサイズ
2)聴診器を当てる部位
発展学習 触診法と聴診法
III 呼吸状態の観察(築田 誠)
1 呼吸器の構造
1)呼吸器の構造
2)体表から見た肺・気管支の位置
2 呼吸状態の観察方法とその根拠
1)呼吸運動を診る
2)患者に気づかれないように診る
3)呼吸音を聴く
4)呼吸の観察をすべきタイミング
COLUMN なぜ肺胞は膨らんだりしぼんだりするの?―弾性線維と肺サーファクタントー(三木明徳)
自分の体で確認してみよう!
第2章 呼吸を整える援助技術
(築田 誠)
I 安楽な呼吸の維持
1 安楽な呼吸とは(呼気と吸気の関係)
1)換気効率の良い呼吸
2 呼吸がしやすい体位
1)気道が確保されている
2)呼吸に必要な筋肉が動きやすいように整える
3)分泌物を出しやすくする体位(重力を利用する)
4)正常な肺胞と血液が接触する面積が多くなるように(換気血流比)
COLUMN 起座呼吸はどうして安楽なのか?(三木明徳)
II 吸引法
1 口腔・鼻腔吸引
1)口腔・鼻腔吸引チューブの長さ
2)鼻腔吸引チューブの挿入方向
3)口腔吸引と鼻腔吸引はセットではない!
2 気管吸引
1)気管吸引チューブの挿入
2)1回の吸引時間と吸引圧
3)気管吸引の効果
COLUMN 痰ってなに?(三木明徳)
発展学習 排痰のためのポイント
第3章 食と栄養摂取を支える技術
(澁谷 幸)
I 食事介助
1 安全な食事姿勢
1)食塊の経路と姿勢
2)食塊と空気の交通整理のしくみ
2 誤嚥を防ぐ食事介助のポイント
1)可能な限り座位に!
2)頸部が後屈しない介助方法
COLUMN 誤嚥するのはヒトだけ?(三木明徳)
発展学習 摂食・嚥下リハビリテーションと発声練習の関係
II 経管栄養法
1 経鼻栄養チューブの挿入
1)経鼻栄養チューブの挿入方向とタイミング
2)経鼻栄養チューブの経路
3)経鼻栄養チューブの長さ
2 栄養剤の注入
1)注入前の確認
自分の体で確認してみよう!
第4章 排便・排尿を支える技術
(福田敦子・片山 恵)
I 腹部の観察(福田敦子)
1 腹部臓器の位置関係
1)腹部の基準線と区分
2)腹部の立体的な位置関係
COLUMN 開腹術後のカテーテルの留置場所―胃や肝臓の後ろにも網嚢という腹膜腔がある―(三木明徳)
発展学習 ダグラス窩(直腸子宮窩)の臨床的意義
2 腹部の観察
1)腹部の観察の順序
2)腹部の観察方法
発展学習 痛みの不思議!原因の手掛かりになる『関連痛』を理解しよう!
II 排泄の援助(片山 恵)
1 排泄しやすい体位
1)直腸・肛門・骨盤底筋の構造と排便の関係
2)膀胱・尿道の構造と排尿の関係
2 排泄介助
1)床上での援助
2)トイレでの援助
発展学習 骨盤底筋群を鍛えて尿失禁を改善・予防しよう!
III 浣腸(片山 恵)
1 安全な体位
1)左側臥位の必要性
2)立位での浣腸の危険性
2 安全な挿入
1)どこまで挿入するか
IV 導尿(片山 恵)
1 導尿カテーテルの挿入
1)女性の場合
2)男性の場合
2 導尿の安全性・確実性
1)無菌状態の維持
2)膀胱への到達の確認
3 膀胱留置カテーテル法
1)バルーンの固定のタイミング
2)体表でのカテーテルの固定方法
自分の体で確認してみよう!
第5章 安楽な姿勢・歩行を支える援助技術
(三谷理恵・荒川高光)
I 姿勢の保持
1 姿勢の維持
1)ヒトの骨格と姿勢
2)姿勢の安定:支持基底面と重心の位置
2 安楽で安定した体位の保持を援助する技術
1)支持基底面を広くして,体圧を分散させる
2)体位の保持に伴う二次障害を起こさない:褥瘡,神経障害の予防
3)機能的肢位(良肢位)を考える
発展学習 関節可動域と援助のつながり
II 歩行介助
1 立位から歩行へ.そのメカニズム
1)安定した立位とは
2)歩行を可能にする関節の動きと筋
2 歩行介助のポイント
1)歩行の支持方法
2)付き添う場合の看護師の立ち位置
発展学習 歩行につながるリハビリテーション―理学療法士の視点から
COLUMN 歩行にまつわる脊柱の解剖学 荒川高光
第6章 与薬の技術:注射法
(細名水生・中西泰弘)
I 皮下注射(細名水生)
1 皮下注射に適した部位
1)皮下組織とは
2)皮下注射として適切な部位
2 安全な刺入方法
1)確実に皮下組織に刺入する
2)神経損傷を避ける
発展学習 インスリン自己注射を腹部に行うのはなぜか?
II 筋肉注射(細名水生)
1 筋肉注射に適した部位
1)筋肉組織の特徴
2)中殿筋での筋肉注射
3)三角筋での筋肉注射
2 安全な刺入方法
1)確実に筋肉に刺入する
2)神経損傷と血管への注入を避ける
3)刺入痛の軽減
発展学習 筋肉注射に関する研究の動向
III 静脈注射(中西泰弘)
1 静脈注射に適した血管
1)静脈の構造
2)静脈注射に用いる血管
3)血管選定の条件
2 確実に静脈内に刺入する方法
1)刺入角度と静脈の深さ
2)静脈の走行と刺入の方向
3)適切な道具の選択
発展学習 静脈注射や採血に伴う神経損傷について
COLUMN からだの物差し(三木明徳)
自分の体で確認してみよう!