やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 2009年に『DVDで学ぶ開業助産師の「わざ」フリースタイル分娩介助』(医歯薬出版株式会社)を発行したことが,本書を執筆するきっかけになった.DVDに収録されている開業助産師の熟練の「わざ」を駆使した分娩介助場面は,さまざまな出産現場で働く多くの助産師たちに大きなインパクトを与えた.
 私はこれまで,分娩介助技術の向上を目的とした研修会講師を何度も引き受け,フリースタイル分娩だけでなく,すべての分娩に活用できるように開業助産師の分娩介助場面のDVDを用いながら何度も何度も解説してきた.その際,受講者からいつも希望されたのは「仰臥位分娩介助についても技術向上ができるようなDVDや解説が欲しい」ということだった.すべての分娩介助に使ってもらえるように実践方法を説明しているつもりでも,日頃,仰臥位分娩を介助している助産師は「仰臥位分娩」の画像や解説が欲しいのだと実感した.
 そのような理由から,本書の企画を真剣に考え始めたのは2012年1月だった.協力が得られそうな病院へ依頼,倫理審査申請,妊産婦のリクルート,撮影,編集,テキスト執筆等,思えば約3年半もの時間を費やし,何とかここまでたどり着くことができた.本書の担当である医歯薬出版の編集者はこの間に第2子を妊娠・出産した.その長さを考えると感慨はひとしおである.
 この度の画像編集にあたっては,仰臥位分娩の場面を数えきれないほど何度も見直した.そして,仰臥位分娩だからこそ重視しなければならないこと,配慮しなければならないことがあることを再確認することができた.これから本書を読み,DVDを視聴してくださる方々には,最終的にそのことに気づき,自分なりの答えを見つけていただければ幸いである(ヒントは最終章に記している).
 最後に,今回DVD作成にあたり,撮影を快く許可してくださった大和徳洲会病院,関東労災病院の病院長様,看護部長様,貴重な分娩場面を提供してくださった妊産婦の皆様,本書にご協力いただいたすべての方々に心から感謝申し上げる.
 2015年8月 村上明美
 序論 今,なぜ仰臥位分娩の介助なのか
CHAPTER 1 仰臥位分娩概説
 1.分娩介助とは
 2.仰臥位分娩の歴史
 3.仰臥位分娩のメリット・デメリット
CHAPTER 2 仰臥位分娩介助の要点
 1.産婦を分娩台に上げるタイミング
 2.外陰部消毒を始めるタイミング
 3.分娩進行が緩徐なときの姿勢の工夫
 4.会陰保護の3つの機能を意識した分娩介助
 5.会陰縫合痕のある経産婦の会陰保護
CHAPTER 3 実際の仰臥位分娩介助の場面から学ぶ
 1.Case1 初産婦
 2.Case2 経産婦
CHAPTER 4 仰臥位分娩介助を熟練の技に近づけるために

 APPENDIX
  仰臥位分娩介助技術Q&A
 ・付属DVD
  仰臥位分娩介助技術