やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
1.KEYメモBOOKの特徴
 「いま」新しい看護師国家試験対策テキストを探しているあなた.この時期に国試のテキストを探しているということは,次のどれかに当てはまるのではないでしょうか.
 *はじめに手にしたテキストをすでに一通り終えて,次のテキストを探している.
 *はじめのテキストがどうも使いにくい(わかりにくい)ので,もっといいテキストを探している.
 *まだ本格的に国試対策の勉強を始めておらず,多少焦りながらどんなテキストで勉強を始めたらよいか悩んでいる.
 このKEYメモBOOKは,どの人にでも役に立つ最新の編集理論でまとめたテキストです.ただし,無駄なく,上手に活用するためには,次の「KEYメモBOOKを上手に活用するためのヒント」を読んでください.
 その前に,KEYメモBOOKの特徴について説明します.
 1)過去6年分の看護師国家試験問題に出てきた全ての問題文をデータベースにまとめて,そこに含まれる約100,000の単語を対象に,出現頻度と用語と用語の関連を解析している(具体的な方法は,「形態素解析について(相良かおる氏)」を参照してください).
 2)出現頻度別に整理された約10,000の用語を看護としての約800のカテゴリーでまとめ直して,そのカテゴリーごとに出現頻度を解析している.
 3)上記の1と2の結果をもとに,個別の単語としての出現頻度とカテゴリーとしての出現頻度の多いものから,一つひとつ看護を学ぶ上での重要度,国試問題を解く上での重要度を考慮して,160語の看護用語(単語およびカテゴリー名)を選んでいる.
 4)この160の看護用語について,もう一度,過去問での他の用語との関連性を分析し,選んだ看護用語をどのような用語と一緒に学べばよいかの傾向を解析し,学習のポイント(すなわち解説上のポイント)を整理して,最終的に128の看護用語について簡潔かつポイントを押さえて解説を行っている.なお,テキストを編纂している途中で,平成20年度第97回の国試問題を入手できたので,最新の国試問題についても同様に解析し,その結果をこの看護用語の選択と,学習のポイントの整理に反映した.
 KEYメモBOOKは,このように看護で学ぶべき用語や概念について,膨大な量の過去問データベースの中から,用語を厳選し,解説すべきポイントを絞り込んだものであり,従来のテキストとまったく異なる新しい編集方針にもとづく画期的な国試対策テキストなのです.
2.KEYメモBOOKを上手に活用するためのヒント
 前項で述べたKEYメモBOOKの特徴から分かるように,すでに1冊目のテキストを終えている人にとっては,いままでに学んだ知識を整理するのに,とても役立つと思います.頭の中にぎっしり詰め込まれた知識をきちんと整理するのに,あるいは,試験直前の「これって何だっけ?」というキーワードを再確認するのに,是非このKEYメモBOOKを役立ててください.
 いま持っているテキストに不満を持っている人.それは,そのテキストが網羅的に知識を解説しているせいではないでしょうか?多くのテキストは,厚生労働省から示される「国家試験出題基準」をもとに,どうしても網羅的な解説を行っています.だから,どこから手を付けたらよいのかが判りにくいのかも知れません.でも,せっかく買ったそのテキストを見捨てる前に,このKEYメモBOOKでまず重点を整理しましょう.KEYメモBOOKは国試によく出るキーワードについてまとめていますので,まずその理解を進めてから,いま持っているそのテキストをもう一度見直してください.テキストに示された網羅的な項目が,今度はポイントを押さえながら,スムーズに読め,容易に理解できるようになると思います.
 これから本格的な勉強を始める人は,このKEYメモBOOKを完全制覇してもそれだけでは合格点に達することは出来ません.それはこの本が,国試に出題される内容をすべて網羅するように作られていないからです.KEYメモBOOKには,厳選した128のキーワード(134項目)しか示されておりません.でも,まず最初にこの限られたキーワードを勉強しておけば,現時点での自分の理解度,自分の弱点が判ると思います.このKEYメモBOOKはとても小さなテキストですので頑張れば1週間,長くても1カ月あれば十分に制覇できるはずです.それからの時間を自分の弱点の克服に努めれば,ゴールは見えてくると期待しています.
 ページの余白と巻末に代表的な過去問をのせてあります.KEYメモBOOKで学んだ知識についての力だめしに役立ててください.
3.過去問の看護関連用語の頻度分布
 表1には,平成14年(第91回)から19年(第96回)までの6年分の看護師国家試験問題正文集(問題と正解をつなげたもの)に出現する用語(意味のある言葉と「不」のような不安,不眠などの接頭語のように用いられているものも含めて)約10,000件についての単純な分析結果に基づく頻度分布の上位50件を示しています.
 この表自体は,皆様が看護の知識を学ぶで,特に意味のあるものではありません.トップの「心」は,例えば,心臓,心拍,心電図,心不全,心音,心理,心配などの単語の一部を拾っているだけです.しかし,7位の「妊娠」は妊娠○×週,妊娠経過,妊娠前などの妊娠経過が状況設定問題でよく出題されていることを示しています.また,22位の「不」は,不安,不眠,(心)不全,不規則,不足,(食欲)不振など,正常あるいは生理的な状態からの逸脱についての出題が多いことを物語っています.表からは,「大」「右」「無」など,同じように位置や状態などを表す単語が意外に多く出現していることが判ります.それに続く単語を推測するのも,時間があればおもしろいかも知れません.
 一方,「腹」「胸」「骨」など,人体の組織・臓器を示す用語の頻度も多いことが判り,一度それらについて系統的に勉強しておく必要がありそうなことが伺われます.
 表2は,これらの解析結果をもとに今回厳選した128のキーワードの出現頻度を多い順に示しています.ただし,第1位の「訪問介護」は,介護,要介護,介護保険を,第8位の「精神保健」は,精神障害者,精神障害者福祉をそれぞれまとめて説明するための新たなキーワードですので別にして,体温,脈拍などバイタルに関する用語,トイレ,排便など患者の入院生活に関する用語,対象として,妊婦(用語は「妊娠経過」),胎児,高齢者が上位に来ていることが判ります.
 なお,表2を見て判るように,90位以降の用語の出現頻度はどれも10回未満とそれ程は多くありません.しかし,これについても単純平均すれば,毎年1回以上出題されている可能性があり(年ごとに出題傾向は変わりますので,必ず1回という訳ではありませんが),限られた勉強時間をどこに振り向けるかを考えるとき,この出現頻度の情報は役に立つと考えています.
 以上,いままでにない編集方針でまとめたこのKEYメモBOOKが,残りわずかなこれからの皆様の学習の効率と効果を大いに高めながら活用されますことを執筆者一同,願っております.
 最後にもうひとつ.
 平成21年度の出題から,「正解が1つだけでなく,複数存在する形式」の問題(X2問題)が一部,含まれることが予想されます.より正確な知識が求められます.これについては,巻末に対策用の改変問題を用意しておりますので,是非,事前にこの問題形式に慣れておくことをお勧めします.
 編者