まえがき
超高齢社会の到来とともに,臥位での褥瘡発生の頻度は一段と高くなり,また交通外傷やスポーツ外傷,脳梗塞などの疾患による車椅子褥瘡も十分に予防できているとはいいがたく,褥瘡という二文字はいまだ医療者に重くのしかかっている現状があります.
この現状を打破するため,1998年に日本褥瘡学会が設立され,国もこの分野の施策に深い関心を寄せるようになりました.その結果,褥瘡は,予防にせよ治療にせよ,一部のエキスパートのみで行われていた時代から,今や多くの分野の医療職がかかわり,多職種連携のモデルといわれるほど注目されるまでに変革を遂げました.
厚生労働省が出版した2009年版の医師国家試験出題基準によると,索引別に一番多い疾患名は褥瘡であり,妊娠,認知症,熱傷が続いていました.2008年の医師国家試験には褥瘡に関連した問題が3題出題され,看護師国家試験にも4題出題されていることを鑑みると,新たに誕生する医師,看護師への教育も充実してきたといっても過言ではありません.
確かに,急性期病院における褥瘡医療は,「褥瘡ハイリスク患者ケア加算」によりある程度予防されるようになりましたが,在宅には急性期病院に匹敵するほどの褥瘡患者が存在し,その予防・管理に難渋するとともに介護負担も著しく増大しております.つまり,在宅でのチームアプローチを視野に入れた,急性期病院から,高齢者施設,そして在宅までの一貫した褥瘡対策が今後の課題といえるでしょう.
本書は病院や在宅で褥瘡医療のエキスパートとして活躍している医療者がわかりやすく書き下ろしたハンドブックです.病棟で,在宅で,いつでも持ち運び簡単に活用できるようポケット版にしています.皆様の日常の医療,ケアに役立てていただければ幸甚です.
2008年盛夏
森口隆彦,真田弘美
超高齢社会の到来とともに,臥位での褥瘡発生の頻度は一段と高くなり,また交通外傷やスポーツ外傷,脳梗塞などの疾患による車椅子褥瘡も十分に予防できているとはいいがたく,褥瘡という二文字はいまだ医療者に重くのしかかっている現状があります.
この現状を打破するため,1998年に日本褥瘡学会が設立され,国もこの分野の施策に深い関心を寄せるようになりました.その結果,褥瘡は,予防にせよ治療にせよ,一部のエキスパートのみで行われていた時代から,今や多くの分野の医療職がかかわり,多職種連携のモデルといわれるほど注目されるまでに変革を遂げました.
厚生労働省が出版した2009年版の医師国家試験出題基準によると,索引別に一番多い疾患名は褥瘡であり,妊娠,認知症,熱傷が続いていました.2008年の医師国家試験には褥瘡に関連した問題が3題出題され,看護師国家試験にも4題出題されていることを鑑みると,新たに誕生する医師,看護師への教育も充実してきたといっても過言ではありません.
確かに,急性期病院における褥瘡医療は,「褥瘡ハイリスク患者ケア加算」によりある程度予防されるようになりましたが,在宅には急性期病院に匹敵するほどの褥瘡患者が存在し,その予防・管理に難渋するとともに介護負担も著しく増大しております.つまり,在宅でのチームアプローチを視野に入れた,急性期病院から,高齢者施設,そして在宅までの一貫した褥瘡対策が今後の課題といえるでしょう.
本書は病院や在宅で褥瘡医療のエキスパートとして活躍している医療者がわかりやすく書き下ろしたハンドブックです.病棟で,在宅で,いつでも持ち運び簡単に活用できるようポケット版にしています.皆様の日常の医療,ケアに役立てていただければ幸甚です.
2008年盛夏
森口隆彦,真田弘美
1 褥瘡治療に必要な基礎知識
1―褥瘡とは(森口隆彦)
褥瘡の定義 褥瘡発生の機序 褥瘡発生の危険因子 好発部位
2―褥瘡のなおり方(森口隆彦)
皮膚の解剖 褥瘡治癒のメカニズム 急性創傷と慢性創傷
3―褥瘡医療の現状(真田弘美)
褥瘡と診療報酬 褥瘡ケアの認定資格制度
2 褥瘡を発生させないための注意点
1―危険因子の観察
基礎疾患(森口隆彦) リスクアセスメントツール(田中秀子)
2―除圧(佐藤 文)
圧管理の重要性 体圧分散寝具の選択 ベッド上での体圧分散 椅子上坐位保持 関節拘縮のある場合
3―栄養管理(田村佳奈美)
栄養補給と褥瘡対策チーム 栄養サポート 栄養補給
4―スキンケア(溝上祐子)
皮膚の観察 清潔の保持 浮腫 湿潤:浸軟(尿失禁・便失禁) ドライスキン
3 褥瘡の分類と評価(森口隆彦)
1―深さによる分類
NPUAPの分類
2―治癒過程の評価
3―DESIGN分類と評価方法
DESIGNについて 重症度分類 急性期における褥瘡の評価 褥瘡経過評価 重症度分類用のDESIGNの記入例 DESIGNの今後の展開
4 日本褥瘡学会のガイドラインにもとづく局所治療(森口隆彦)
1―褥瘡の進展様式と治療の枠組み
急性期の褥瘡 慢性期の褥瘡
2―DESIGNを用いた局所治療
褥瘡の深さ―Dをdにする 壊死組織の除去―Nをnにする 炎症・感染の鎮静化―Iをiにする 滲出液のコントロール―Eをeにする ポケットの処置―Pをなくす 不良肉芽組織の処理―Gをgにする 大きさ―Sをsにする
3―注目されている治療法
消毒と洗浄 マゴットセラピー 陰圧閉鎖療法 銀製剤 自己由来多血小板血漿療法
4―外科的治療
褥瘡の外科的治療の変遷 外科的治療のエビデンス 外科的治療の適応 手術前の創管理 手術時期の検討 褥瘡手術の実際 手術術式の選択 術後管理 再発予防 外科的治療のメリット,デメリット 術後の褥瘡外来-患者・家族への教育
5 具体的な創部管理方法(宇野光子)
1―アセスメント
ドレッシング材を除去する前のアセスメント 除去したドレッシング材のアセスメント 創部のアセスメント
2―創部管理の技術
ドレッシング材の除去 創周囲皮膚の洗浄 創部の洗浄 創部の洗浄-ポケットがある場合 創の計測 ドレッシング材・外用薬の選択と使用 ドレッシング材の固定
6 褥瘡対策の実際
1―褥瘡対策委員会(貝川恵子)
褥瘡対策委員会の構成と運営 今後の課題
2―褥瘡回診(貝川恵子)
3―各職種の役割
褥瘡管理者(貝川恵子) 医師(岡 博昭) 病棟看護師(貝川恵子) 管理栄養士(市川和子,銅山紀江) 薬剤師(古田勝経) 理学療法士,作業療法士(武田正則) 事務職(大塚京子)
7 褥瘡対策の評価(須釜淳子)
1―発生率,有病率
算出式 収集法 収集時の注意点 意義
2―深達度,部位
深達度 部位
3―深い褥瘡の報告方法
事故発生日時 当該事故にかかる患者に関する情報 当該事故にかかる医療関係者に関する情報 発生場面・場所・内容に関する情報 当該事故の内容に関する情報 当該事故に関する必要な情報
4―褥瘡対策の質保証
施設全体への質保証 個への褥瘡対策
8 在宅における褥瘡治療の実際
1―保険制度
健康保険(栗原誠一) 介護保険(袋 啓)
2―在宅に特化した褥瘡治療方法(袋 秀平,栗原誠一)
在宅と施設・病院の違い-在宅のメリット・デメリット 在宅での褥瘡局所治療に用いる薬剤など 患者・家族に対する教育 在宅での褥瘡診療の実際 坐位での褥瘡
3―在宅に特化した褥瘡看護技術(村山志津子)
褥瘡発生リスクのアセスメント 枕(クッション)の選択と活用 体位変換 褥瘡ケア
4―各職種の役割
かかりつけ医の役割(袋 秀平) 訪問看護師の役割(袋 秀平) 薬剤師の役割(水野正子) ケアマネジャーの役割(袋 秀平)
5―在宅における多職種連携の方法と必要性(袋 秀平)
医師同士の連携 訪問看護師との連携 ケアマネジャーとの連携 ホームヘルパーとの連携 その他
6―在宅褥瘡患者と家族への支援の実際(村山志津子)
索引
1―褥瘡とは(森口隆彦)
褥瘡の定義 褥瘡発生の機序 褥瘡発生の危険因子 好発部位
2―褥瘡のなおり方(森口隆彦)
皮膚の解剖 褥瘡治癒のメカニズム 急性創傷と慢性創傷
3―褥瘡医療の現状(真田弘美)
褥瘡と診療報酬 褥瘡ケアの認定資格制度
2 褥瘡を発生させないための注意点
1―危険因子の観察
基礎疾患(森口隆彦) リスクアセスメントツール(田中秀子)
2―除圧(佐藤 文)
圧管理の重要性 体圧分散寝具の選択 ベッド上での体圧分散 椅子上坐位保持 関節拘縮のある場合
3―栄養管理(田村佳奈美)
栄養補給と褥瘡対策チーム 栄養サポート 栄養補給
4―スキンケア(溝上祐子)
皮膚の観察 清潔の保持 浮腫 湿潤:浸軟(尿失禁・便失禁) ドライスキン
3 褥瘡の分類と評価(森口隆彦)
1―深さによる分類
NPUAPの分類
2―治癒過程の評価
3―DESIGN分類と評価方法
DESIGNについて 重症度分類 急性期における褥瘡の評価 褥瘡経過評価 重症度分類用のDESIGNの記入例 DESIGNの今後の展開
4 日本褥瘡学会のガイドラインにもとづく局所治療(森口隆彦)
1―褥瘡の進展様式と治療の枠組み
急性期の褥瘡 慢性期の褥瘡
2―DESIGNを用いた局所治療
褥瘡の深さ―Dをdにする 壊死組織の除去―Nをnにする 炎症・感染の鎮静化―Iをiにする 滲出液のコントロール―Eをeにする ポケットの処置―Pをなくす 不良肉芽組織の処理―Gをgにする 大きさ―Sをsにする
3―注目されている治療法
消毒と洗浄 マゴットセラピー 陰圧閉鎖療法 銀製剤 自己由来多血小板血漿療法
4―外科的治療
褥瘡の外科的治療の変遷 外科的治療のエビデンス 外科的治療の適応 手術前の創管理 手術時期の検討 褥瘡手術の実際 手術術式の選択 術後管理 再発予防 外科的治療のメリット,デメリット 術後の褥瘡外来-患者・家族への教育
5 具体的な創部管理方法(宇野光子)
1―アセスメント
ドレッシング材を除去する前のアセスメント 除去したドレッシング材のアセスメント 創部のアセスメント
2―創部管理の技術
ドレッシング材の除去 創周囲皮膚の洗浄 創部の洗浄 創部の洗浄-ポケットがある場合 創の計測 ドレッシング材・外用薬の選択と使用 ドレッシング材の固定
6 褥瘡対策の実際
1―褥瘡対策委員会(貝川恵子)
褥瘡対策委員会の構成と運営 今後の課題
2―褥瘡回診(貝川恵子)
3―各職種の役割
褥瘡管理者(貝川恵子) 医師(岡 博昭) 病棟看護師(貝川恵子) 管理栄養士(市川和子,銅山紀江) 薬剤師(古田勝経) 理学療法士,作業療法士(武田正則) 事務職(大塚京子)
7 褥瘡対策の評価(須釜淳子)
1―発生率,有病率
算出式 収集法 収集時の注意点 意義
2―深達度,部位
深達度 部位
3―深い褥瘡の報告方法
事故発生日時 当該事故にかかる患者に関する情報 当該事故にかかる医療関係者に関する情報 発生場面・場所・内容に関する情報 当該事故の内容に関する情報 当該事故に関する必要な情報
4―褥瘡対策の質保証
施設全体への質保証 個への褥瘡対策
8 在宅における褥瘡治療の実際
1―保険制度
健康保険(栗原誠一) 介護保険(袋 啓)
2―在宅に特化した褥瘡治療方法(袋 秀平,栗原誠一)
在宅と施設・病院の違い-在宅のメリット・デメリット 在宅での褥瘡局所治療に用いる薬剤など 患者・家族に対する教育 在宅での褥瘡診療の実際 坐位での褥瘡
3―在宅に特化した褥瘡看護技術(村山志津子)
褥瘡発生リスクのアセスメント 枕(クッション)の選択と活用 体位変換 褥瘡ケア
4―各職種の役割
かかりつけ医の役割(袋 秀平) 訪問看護師の役割(袋 秀平) 薬剤師の役割(水野正子) ケアマネジャーの役割(袋 秀平)
5―在宅における多職種連携の方法と必要性(袋 秀平)
医師同士の連携 訪問看護師との連携 ケアマネジャーとの連携 ホームヘルパーとの連携 その他
6―在宅褥瘡患者と家族への支援の実際(村山志津子)
索引