はじめに
昨今の精神保健医療福祉を巡る状況の変化は,これまでになくめまぐるしいものとなっています.2005年の障害者自立支援法の成立を1つの転換点として,日本の精神保健医療福祉は,障害の種別を越えたサービスのもと,地域中心のケアへと大きく動きだしました.こうしたなか一方で,病床削減と精神病床の機能分化が推し進められ,入院医療の役割もまた問われることとなっています.
他方,うつ病や自殺の増加,パーソナリティ障害や高齢精神障害の増加,子どもの精神保健問題の顕在化など,国民の精神保健問題も多様化・複雑化してきています.
こうした状況を受けて,精神看護の実践にもこれまで以上に多様な知識や技術が求められるようになってきています.
本書は,このような昨今の精神保健医療福祉の動向を押さえつつ,精神看護の実践に必要と思われる知識項目を厳選し,それぞれの項目についてポイントを絞ったコンパクトな内容でまとめたものです.「ポケットマニュアル」という名が示すとおり,ポケットに入れて携帯し,必要な知識を確認しながら実習を進めることができるよう,実習の補助を意図した本です.
本書は,看護師国家試験の出題基準も考慮して内容が構成されていますが,単に国家試験の出題基準に準拠することを越えて,精神看護ケアにかかわる新しい概念も押さえるようにしました.さらに,精神看護においても心身の両側面から看護ができるよう,特に心身のかかわりに力を入れて内容を構成しました.
このような趣旨でつくられた本書が,看護学生,新人看護師,実習指導者,看護教員などの皆様にお役に立つことを,執筆者一同心より願っております.
なお,本書をまとめるにあたっては,医歯薬出版編集部担当者の皆様に,いつもながらきめ細やかなご助力をいただきました.
この場をお借りして厚くお礼申し上げます.
2007年2月 編者ら
昨今の精神保健医療福祉を巡る状況の変化は,これまでになくめまぐるしいものとなっています.2005年の障害者自立支援法の成立を1つの転換点として,日本の精神保健医療福祉は,障害の種別を越えたサービスのもと,地域中心のケアへと大きく動きだしました.こうしたなか一方で,病床削減と精神病床の機能分化が推し進められ,入院医療の役割もまた問われることとなっています.
他方,うつ病や自殺の増加,パーソナリティ障害や高齢精神障害の増加,子どもの精神保健問題の顕在化など,国民の精神保健問題も多様化・複雑化してきています.
こうした状況を受けて,精神看護の実践にもこれまで以上に多様な知識や技術が求められるようになってきています.
本書は,このような昨今の精神保健医療福祉の動向を押さえつつ,精神看護の実践に必要と思われる知識項目を厳選し,それぞれの項目についてポイントを絞ったコンパクトな内容でまとめたものです.「ポケットマニュアル」という名が示すとおり,ポケットに入れて携帯し,必要な知識を確認しながら実習を進めることができるよう,実習の補助を意図した本です.
本書は,看護師国家試験の出題基準も考慮して内容が構成されていますが,単に国家試験の出題基準に準拠することを越えて,精神看護ケアにかかわる新しい概念も押さえるようにしました.さらに,精神看護においても心身の両側面から看護ができるよう,特に心身のかかわりに力を入れて内容を構成しました.
このような趣旨でつくられた本書が,看護学生,新人看護師,実習指導者,看護教員などの皆様にお役に立つことを,執筆者一同心より願っております.
なお,本書をまとめるにあたっては,医歯薬出版編集部担当者の皆様に,いつもながらきめ細やかなご助力をいただきました.
この場をお借りして厚くお礼申し上げます.
2007年2月 編者ら
1 精神看護学とは(田中美恵子)
1.精神看護学とは
2.精神看護における倫理
3.精神看護に必要な知識と技術
4.精神看護の活動の場
2 精神看護の実際(田中美恵子)
1.精神看護実践の構造とプロセス
2.精神看護実践の機能と働きかけの技法
3.関係の形成
4.精神状態の観察
1-意識(山内典子) 2-知能 3-記憶 4-見当識 5-知覚 6-思考 7-感情 8-意志・欲動・行動 9-自我意識
5.精神状態とセルフケア
3 精神疾患と看護
1.統合失調症(急性期・慢性期)(濱田由紀)
2.気分障害-1(うつ病性障害)(小山達也)
3.気分障害-2(双極性障害)(小山達也)
4.不安障害-1(パニック障害)(嵐 弘美)
5.不安障害-2(強迫性障害)(永島佐知子)
6.不安障害-3(外傷後ストレス障害:PTSD)(嵐 弘美)
7.身体表現性障害(嵐 弘美)
8.物質関連障害-1(アルコール依存)(横山恵子)
9.物質関連障害-2(薬物依存)(濱田由紀)
10.摂食障害(小林みゆき)
11.パーソナリティ障害(境界性パーソナリティ障害を中心に)(小林みゆき)
12.子どもの精神障害-1(広汎性発達障害)(小山達也)
13.子どもの精神障害-2(注意欠陥/多動性障害)(小山達也)
14.認知症(浅川典子)
15.てんかん(山内典子)
4 精神状態別の看護
1.せん妄(嵐 弘美)
2.不安状態(濱田由紀)
3.興奮状態(濱田由紀)
4.幻覚・妄想状態(濱田由紀)
5.無為・自閉状態(濱田由紀)
6.抑うつ状態(小山達也)
7.躁状態(小山達也)
8.拒否・拒絶(畠山卓也)
9.攻撃的行動・暴力(石川博康)
10.希死念慮・自殺企図(永島佐知子)
11.離脱症状(横山恵子)
12.心気症状(嵐 弘美)
13.精神科救急時の看護(永島佐知子)
5 生活と看護
1.生活支援(濱田由紀)
1-食事・水分摂取の援助 2-排泄の援助 3-清潔の援助 4-活動と休息の援助 5-睡眠の援助 6-人付き合いの援助
2.家族支援(横山恵子)
6 身体症状と看護
1.精神科身体合併症(中村弥生)
2.身体疾患早期発見のための観察ポイント(中村弥生)
3.フィジカルアセスメント(嵐 弘美)
4.検査データの基礎知識(嵐 弘美)
5.精神科でよくみられる身体疾患(中村弥生)
6.精神科救急で気をつけたい身体疾患(中村弥生)
7.うつ病でみられる身体症状(小山達也)
8.身体疾患と精神症状(小山達也)
9.身体疾患治療薬の精神状態への影響(嵐 弘美)
10.向精神薬治療と身体疾患(嵐 弘美)
11.妊娠と向精神薬治療(嵐 弘美)
12.水中毒(田中美恵子)
13.感染予防(嵐 弘美)
7 治療と看護
1.身体的検査(山内典子)
2.心理テスト(田中美恵子)
3.薬物療法(辻脇邦彦)
4.電気けいれん療法(畠山卓也)
5.精神療法(田中美恵子)
6.集団精神療法(小林みゆき)
7.作業療法(濱田由紀)
8.心理教育(福間幸夫)
9.SST(福間幸夫)
10.デイケア(濱田由紀)
11.チーム医療・チームアプローチ(濱田由紀)
12.行動制限(畠山卓也)
13.リスクマネジメント(小山達也)
14.訪問看護(宮城純子)
15.ケアマネジメント(福間幸夫)
16.司法精神看護(宮城純子)
17.コンサルテーション(田中美恵子)
18.リエゾン精神看護(田中美恵子)
19.専門看護師・認定看護師(田中美恵子)
8 法制度と社会資源
1.障害者基本法(田中美恵子)
2.精神保健福祉法(濱田由紀)
3.精神保健福祉法に基づく入院制度・移送制度(濱田由紀)
4.障害者自立支援法(濱田由紀)
5.障害者自立支援法に基づくサービス(濱田由紀)
6.障害者手帳制度(濱田由紀)
7.心身喪失者等医療観察法(石川博康)
8.障害者雇用促進法と就労支援(田中美恵子)
9.医療保険制度(濱田由紀)
10.介護保険制度(浅川典子)
11.生活保護制度(小山達也)
12.障害年金制度(濱田由紀)
13.成年後見制度(田中美恵子)
14.共同作業所(濱田由紀)
15.家族会(横山恵子)
16.セルフヘルプグループ(田中美恵子)
17.AA・断酒会(横山恵子)
文献
付録
処遇の基準(田中美恵子)
主な向精神薬一覧(辻脇邦彦)
抗精神病薬の等価換算表〔TRS-RG(治療抵抗性分裂病調査班)版〕(辻脇邦彦)
抗精神病薬の副作用-1(障害部位別)(辻脇邦彦)
抗精神病薬の副作用-2(遮断受容体別)(辻脇邦彦)
抗精神病薬の副作用-3(悪性症候群へと進展する各段階と起こりうる状態)(辻脇邦彦)
基準検査値一覧(嵐 弘美)
1.精神看護学とは
2.精神看護における倫理
3.精神看護に必要な知識と技術
4.精神看護の活動の場
2 精神看護の実際(田中美恵子)
1.精神看護実践の構造とプロセス
2.精神看護実践の機能と働きかけの技法
3.関係の形成
4.精神状態の観察
1-意識(山内典子) 2-知能 3-記憶 4-見当識 5-知覚 6-思考 7-感情 8-意志・欲動・行動 9-自我意識
5.精神状態とセルフケア
3 精神疾患と看護
1.統合失調症(急性期・慢性期)(濱田由紀)
2.気分障害-1(うつ病性障害)(小山達也)
3.気分障害-2(双極性障害)(小山達也)
4.不安障害-1(パニック障害)(嵐 弘美)
5.不安障害-2(強迫性障害)(永島佐知子)
6.不安障害-3(外傷後ストレス障害:PTSD)(嵐 弘美)
7.身体表現性障害(嵐 弘美)
8.物質関連障害-1(アルコール依存)(横山恵子)
9.物質関連障害-2(薬物依存)(濱田由紀)
10.摂食障害(小林みゆき)
11.パーソナリティ障害(境界性パーソナリティ障害を中心に)(小林みゆき)
12.子どもの精神障害-1(広汎性発達障害)(小山達也)
13.子どもの精神障害-2(注意欠陥/多動性障害)(小山達也)
14.認知症(浅川典子)
15.てんかん(山内典子)
4 精神状態別の看護
1.せん妄(嵐 弘美)
2.不安状態(濱田由紀)
3.興奮状態(濱田由紀)
4.幻覚・妄想状態(濱田由紀)
5.無為・自閉状態(濱田由紀)
6.抑うつ状態(小山達也)
7.躁状態(小山達也)
8.拒否・拒絶(畠山卓也)
9.攻撃的行動・暴力(石川博康)
10.希死念慮・自殺企図(永島佐知子)
11.離脱症状(横山恵子)
12.心気症状(嵐 弘美)
13.精神科救急時の看護(永島佐知子)
5 生活と看護
1.生活支援(濱田由紀)
1-食事・水分摂取の援助 2-排泄の援助 3-清潔の援助 4-活動と休息の援助 5-睡眠の援助 6-人付き合いの援助
2.家族支援(横山恵子)
6 身体症状と看護
1.精神科身体合併症(中村弥生)
2.身体疾患早期発見のための観察ポイント(中村弥生)
3.フィジカルアセスメント(嵐 弘美)
4.検査データの基礎知識(嵐 弘美)
5.精神科でよくみられる身体疾患(中村弥生)
6.精神科救急で気をつけたい身体疾患(中村弥生)
7.うつ病でみられる身体症状(小山達也)
8.身体疾患と精神症状(小山達也)
9.身体疾患治療薬の精神状態への影響(嵐 弘美)
10.向精神薬治療と身体疾患(嵐 弘美)
11.妊娠と向精神薬治療(嵐 弘美)
12.水中毒(田中美恵子)
13.感染予防(嵐 弘美)
7 治療と看護
1.身体的検査(山内典子)
2.心理テスト(田中美恵子)
3.薬物療法(辻脇邦彦)
4.電気けいれん療法(畠山卓也)
5.精神療法(田中美恵子)
6.集団精神療法(小林みゆき)
7.作業療法(濱田由紀)
8.心理教育(福間幸夫)
9.SST(福間幸夫)
10.デイケア(濱田由紀)
11.チーム医療・チームアプローチ(濱田由紀)
12.行動制限(畠山卓也)
13.リスクマネジメント(小山達也)
14.訪問看護(宮城純子)
15.ケアマネジメント(福間幸夫)
16.司法精神看護(宮城純子)
17.コンサルテーション(田中美恵子)
18.リエゾン精神看護(田中美恵子)
19.専門看護師・認定看護師(田中美恵子)
8 法制度と社会資源
1.障害者基本法(田中美恵子)
2.精神保健福祉法(濱田由紀)
3.精神保健福祉法に基づく入院制度・移送制度(濱田由紀)
4.障害者自立支援法(濱田由紀)
5.障害者自立支援法に基づくサービス(濱田由紀)
6.障害者手帳制度(濱田由紀)
7.心身喪失者等医療観察法(石川博康)
8.障害者雇用促進法と就労支援(田中美恵子)
9.医療保険制度(濱田由紀)
10.介護保険制度(浅川典子)
11.生活保護制度(小山達也)
12.障害年金制度(濱田由紀)
13.成年後見制度(田中美恵子)
14.共同作業所(濱田由紀)
15.家族会(横山恵子)
16.セルフヘルプグループ(田中美恵子)
17.AA・断酒会(横山恵子)
文献
付録
処遇の基準(田中美恵子)
主な向精神薬一覧(辻脇邦彦)
抗精神病薬の等価換算表〔TRS-RG(治療抵抗性分裂病調査班)版〕(辻脇邦彦)
抗精神病薬の副作用-1(障害部位別)(辻脇邦彦)
抗精神病薬の副作用-2(遮断受容体別)(辻脇邦彦)
抗精神病薬の副作用-3(悪性症候群へと進展する各段階と起こりうる状態)(辻脇邦彦)
基準検査値一覧(嵐 弘美)








