はじめに
医療の中でのナースの役割は,ここ数年の間に多様化の方向に進展してきました.患者のQOLを高める看護が医療の内外から強く求められるとともに,質的にも技術的にも高いものを求める声が高まり,真に実力のあるナースの育成が緊急の課題となってきました.
患者のQOLを高めるリハビリテーション分野では,今日的で最新の研究成果を,患者の日常生活に反映させるめざましい実践が数多く報告されてきました.なかでも疾患の早い時期からの患者への正しい対応が,その後の患者のQOL向上に好影響を及ぼすことが明らかとなってきました.
ベッドサイドにおいて,長時間患者の日常生活を援助するナースが,リハビリテーション看護へ深い理解と関心をもち,リハビリテーションの正しい知識と技術を身につけることで,患者のQOLが著しく高まることが,医療スタッフの間に共通の認識となりつつあります.また,看護教育の中でのリハビリテーション看護への課題が多くなり,高齢化が進む中でこれらの修得が必須のこととして急がれています.
本書は,このような看護の視点から,リハビリテーション看護とは何かを具体的な看護場面に即して理論的裏付けとともにわかりやすく解説しました.すなわち,回復過程からみたリハビリテーション看護,エージングからみたリハビリテーション看護,看護の場(施設内・地域)からみたリハビリテーション看護のあり方を明示しました.また,日常生活動作を通して残された機能を最大限に発揮し,寝たきりにさせずに患者のQOLを向上させるための看護の役割とは何かを場面事例を豊富に挿入しながら可能なかぎり追及しました.随所に挿入した「ナーシングポイント」は,実践に活かせる知識の整理に役立つよう工夫してあります.
また,本書の執筆者は,いずれもリハビリテーション分野の第一線で活躍中の方々および,リハビリテーション看護実践に取り組んでいるナースです.この本が生まれるまでには,リハビリに専門的にかかわっている医師,コメディカル,看護職など多くの人が一体となって知恵を出し合いました.
本書が,看護を学ぶ学生にとっては基本と実際を学ぶテキストとして,また臨床に携わるナースの方々にとっては看護活動に役立つ実践書として,患者のQOL向上に役立つことを編者一同,心より願ってやみません.
1995年3月吉日 編者
第2版改訂にあたって
本書は初版を発刊して11年が経過し,その間人口の高齢化をはじめ生活習慣病の増加,保健医療を取り巻く環境は大きく変化し,人々の健康に対するニーズも多様化してきています.また2000年介護保険が導入され,制度見直しに伴い2006年予防重視型システムへの転換,2001年WHOの国際障害者分類の改訂など,リハビリテーションを取り巻く社会や生活環境も変化してきています.初版を出して以後補訂や増補を行ってきましたが,上記の状況を踏まえ改訂を行いました.
第2版改訂にあたり,大筋として初版の構成をベースにし,新しい情報やデータ,最新の研究成果や考え方をそれぞれの領域で取り入れ,内容の充実を目指しました.リハビリテーション看護のテキストとしてまた実践書として役立つことを願っています.
今後,読者の方々のご意見やご批判を頂き,さらに研鑽を重ね充実した内容の書となるよう努力していきたいと考えています.
2006年2月 編者
医療の中でのナースの役割は,ここ数年の間に多様化の方向に進展してきました.患者のQOLを高める看護が医療の内外から強く求められるとともに,質的にも技術的にも高いものを求める声が高まり,真に実力のあるナースの育成が緊急の課題となってきました.
患者のQOLを高めるリハビリテーション分野では,今日的で最新の研究成果を,患者の日常生活に反映させるめざましい実践が数多く報告されてきました.なかでも疾患の早い時期からの患者への正しい対応が,その後の患者のQOL向上に好影響を及ぼすことが明らかとなってきました.
ベッドサイドにおいて,長時間患者の日常生活を援助するナースが,リハビリテーション看護へ深い理解と関心をもち,リハビリテーションの正しい知識と技術を身につけることで,患者のQOLが著しく高まることが,医療スタッフの間に共通の認識となりつつあります.また,看護教育の中でのリハビリテーション看護への課題が多くなり,高齢化が進む中でこれらの修得が必須のこととして急がれています.
本書は,このような看護の視点から,リハビリテーション看護とは何かを具体的な看護場面に即して理論的裏付けとともにわかりやすく解説しました.すなわち,回復過程からみたリハビリテーション看護,エージングからみたリハビリテーション看護,看護の場(施設内・地域)からみたリハビリテーション看護のあり方を明示しました.また,日常生活動作を通して残された機能を最大限に発揮し,寝たきりにさせずに患者のQOLを向上させるための看護の役割とは何かを場面事例を豊富に挿入しながら可能なかぎり追及しました.随所に挿入した「ナーシングポイント」は,実践に活かせる知識の整理に役立つよう工夫してあります.
また,本書の執筆者は,いずれもリハビリテーション分野の第一線で活躍中の方々および,リハビリテーション看護実践に取り組んでいるナースです.この本が生まれるまでには,リハビリに専門的にかかわっている医師,コメディカル,看護職など多くの人が一体となって知恵を出し合いました.
本書が,看護を学ぶ学生にとっては基本と実際を学ぶテキストとして,また臨床に携わるナースの方々にとっては看護活動に役立つ実践書として,患者のQOL向上に役立つことを編者一同,心より願ってやみません.
1995年3月吉日 編者
第2版改訂にあたって
本書は初版を発刊して11年が経過し,その間人口の高齢化をはじめ生活習慣病の増加,保健医療を取り巻く環境は大きく変化し,人々の健康に対するニーズも多様化してきています.また2000年介護保険が導入され,制度見直しに伴い2006年予防重視型システムへの転換,2001年WHOの国際障害者分類の改訂など,リハビリテーションを取り巻く社会や生活環境も変化してきています.初版を出して以後補訂や増補を行ってきましたが,上記の状況を踏まえ改訂を行いました.
第2版改訂にあたり,大筋として初版の構成をベースにし,新しい情報やデータ,最新の研究成果や考え方をそれぞれの領域で取り入れ,内容の充実を目指しました.リハビリテーション看護のテキストとしてまた実践書として役立つことを願っています.
今後,読者の方々のご意見やご批判を頂き,さらに研鑽を重ね充実した内容の書となるよう努力していきたいと考えています.
2006年2月 編者
・はじめに
・第2版改訂にあたって
1 リハビリテーション概論
1 リハビリテーション医学の歴史と理念(江藤文夫)
1)医療・医学の歴史的変遷
死をもたらす悪魔退治としての医術/慈善活動としての病院の誕生/看ることから診ることへ―近代医学の発足
2)リハビリテーション医学の歴史
戦傷者の社会復帰を目標とする医学から/社会保障,医療の対応を明確にした障害重症度の考えかた/わが国におけるリハビリテーション医学の導入/臨床医学の専門分科としてのリハビリテーション医学の確立
2 QOLの概念をめぐって(江藤文夫)
1)QOLという言葉はどこから来たか
2)人間行動における欲求の階層構造
3)医療における日常生活での活動性重視
寿命の延長に加えて生活の質(QOL)をめざす現代医学/病気の重症度を生活活動で評価
4)ADLの階層構造
保健医療におけるADL概念の普及/ADLの拡がり/QOLとADL
5)QOLの評価
QOLの定義/代表的な計測法/SF-36について/EuroQolについて
3 健康に関する問題の国際分類(WHOの国際分類)(江藤文夫)
1)20世紀後半からの医療とWHO
2)健康権と医学・医療
健康の定義/健康の保障
3)障害分類の動向
WHOと障害分類/病名の国際分類/WHOとさまざまな国際分類/障害分類(ICIDH)から生活機能分類(ICF)へ/ICFの概念
4 障害のレベルとその基本的アプローチ(江藤文夫)
1)障害の用語について
翻訳文化の不利/ICFとICIDH
2)障害の3層分類と相互関係
障害とは/機能形態障害/能力低下(障害)/社会的不利(ハンディキャップ)/同時に存在する三つの障害
3)三つの障害への基本的アプローチ
障害のレベルごとの対応/リハビリテーション専門職とその役割
4)リハビリテーションの流れ
急性期/回復期/在宅ケアへの援助
5 障害者の心理と受障後の援助(粟生田友子)
1 障害者の受障後の体験―障害のある人の心理
1)障害の種類による心理傾向
2)障害に対する心理社会的反応psychosocial reaction
感情の変化/外観,態度,行動に現れる変化/生活の変化
3)心理社会的反応に影響する要素
受障機転/障害の経過と回復可能性/スティグマ/制度や環境
4)障害受容
受容とは/価値変換/障害受容の過程
6 リハビリテーションチームと諸療法(古市照人)
1)リハビリテーションチームの課題
2)リハビリテーションチームのメンバーとその役割
医師・歯科医師/看護師(保健師)/理学療法士(PT)/作業療法士(OT)/言語聴覚士(ST)/義肢装具士(PO)/医療ソーシャル・ワーカー(MSW)/その他
2 リハビリテーション看護の概念と看護の役割
1 リハビリテーション看護の概念(貝塚みどり)
1)わが国におけるリハビリテーション看護の歴史(中山久美子,堀口良江)
本格的導入は1960年代
2)“リハビリテーション看護”とは(貝塚みどり)
3)リハビリテーション看護目標(貝塚みどり)
患者のより高度な生活の自立をめざして
2 リハビリテーション看護の対象(貝塚みどり)
対象は身体諸機能全般にわたる障害者
3 セルフケア能力向上と看護(大森武子)
1)セルフケアへの援助
セルフケア(self-care)とは/セルフケア自立に向けて/セルフケア確立への援助/セルフケア不足に対する看護ケアの提供
2)セルフケア向上への援助
セルフケア行動が遂行できるようサポートする
4 リハビリテーション活動におけるナースの役割(貝塚みどり)
チームメンバーとしての専門性を活かす/リハビリテーションを始めるためのより良い状態をつくっておく役割/他のメンバーへの情報提供およびチーム内の調整,目標の共有化への働きかけを行う役割/患者の24時間の生活場面の中に訓練が活かされるように援助する役割/患者に回復への意欲,努力を持ち続けさせる役割/家族がチームメンバーとして活動に参加し,回復の手助けができるよう指導する役割
3 リハビリテーション看護の基礎
1 回復過程からみたリハビリテーション看護の特徴(貝塚みどり)
リハビリテーション看護における疾患の回復過程
1)急性期のリハビリテーション看護
救命処置,苦痛軽減のためのケアと観察/現有機能の維持と低下予防のための援助
2)積極的リハビリテーション期のリハビリテーション看護
リハビリテーションチームによる本格的リハビリテーションの実施/患者の状況に応じた効果的な援助
3)維持期のリハビリテーション看護
患者の生活環境を実施した情報把握/“人間としての誇り”をもって生活できるための援助
2 発達段階とリハビリテーション看護の特徴(大森武子)
1)発達段階の特徴
小児期/成人期/老年期
2)発達段階における障害とリハビリテーション
小児期/成人期/老年期
3 運動による身体機能への影響(小林一成)
1)骨におよぼす影響
骨の構成成分とその働き/骨の改変(リモデリング)/骨形成低下の病態と運動による影響
2)関節におよぼす影響
3)骨格筋におよぼす影響
筋肉の血流量変化/筋収縮と運動単位/運動と筋力との関係/筋力増強の理論/筋収縮の種類と特徴
4)呼吸機能におよぼす影響
ガス交換と運動/酸素摂取量と運動/呼吸調節と運動
5)循環機能におよぼす影響
心臓と運動/血圧と運動/血液の再配分
6)水中での運動が身体機能におよぼす影響
7)運動の禁忌とリスク管理
リスク管理
4 運動量の低下した状態と看護(貝塚みどり)
1 人間にとっての動き
“動き”は人間らしく生きるための最低条件/身体の動きと頭脳の動き/姿勢による頭脳への刺激
2 低運動による弊害,その予防と看護
廃用症候群(不動症候群)とは
1)筋力低下
ベッド上安静期は歩行準備期/筋力低下予防および増強運動
2)関節拘縮
不動による可動性の低下/関節拘縮の予防/運動による苦痛を避ける工夫
3)起立性低血圧
血管運動反射機能の低下/起立性低血圧の予防
4)骨の脆弱化
無負荷状態による骨からのカルシウム流出/骨の脆弱化予防
5)精神活動低下
精神活動低下を予防するための工夫
5 リハビリテーション段階にある患者の心理・社会的反応と看護職の援助(長谷川真美)
1 リハビリテーション段階にある患者の心理・社会反応と影響する要因
1)リハビリテーション段階にある患者の心理・社会的反応
2)リハビリテーションの阻害因子
円滑なリハビリテーションの障害となる要因/身体的要因/患者の認識・自立に対する動機にかかわる要因/患者の気持ち・感情にかかわる要因/サポート側の要因/治療そのものによる要因/その他の要因
2 リハビリテーション段階にある患者に対する看護職の援助
1)リハビリテーションの阻害要因の査定と援助
身体的要因/患者の認識・自立に対する動機にかかわる要因/患者の気持ち・感情にかかわる要因/サポート側の要因/治療そのものによる要因
2)患者主体のリハビリテーション
患者自身が納得でき,意欲を持てるゴール設定/状況によってゴールを変更できる柔軟性を持つ
3)患者の努力を認め,共に喜ぶ姿勢を持つ
患者への承認のメッセージを伝える/促進状態として状況を捉えアプローチする
6 各機能障害状態からみたリハビリテーションの特徴
1 運動機能障害のリハビリテーション(尾花正義)
1)脳神経系障害による運動機能障害とそのリハビリテーション
中枢性運動麻痺とそのリハビリテーション/運動失調,パーキンソン症状,不随意運動とそのリハビリテーション/脳神経系障害による運動機能障害に対するリハビリテーションの留意点
2)運動機能障害のリハビリテーション
末梢神経障害による運動機能障害とそのリハビリテーション/骨・関節・筋肉系障害による運動機能障害とそのリハビリテーション
2 循環機能障害のリハビリテーション(廣瀬 健)
心臓リハビリテーションの実際
1)急性期プログラム
2)回復期のための運動強度決定
3)回復期(発症6ヵ月ぐらいまで)
運動の種類/運動強度/運動の時間および頻度/監視型または非監視型運動療法/職業復帰
4)維持期
5)心筋梗塞後リハビリテーションにおける運動療法効果
3 呼吸機能障害のリハビリテーション(新藤直子)
1)慢性閉塞性肺疾患(COPD)
2)呼吸理学療法
呼吸訓練/排痰法/運動療法
3)包括的呼吸リハビリテーション
4 感覚機能障害のリハビリテーション(宇川康二)
1)視覚障害時のリハビリテーション
全盲児へのアプローチ/ロービジョン(弱視)者へのリハビリテーション
2)聴覚障害時のリハビリテーション
補聴器/人工内耳 聴覚障害者への対応
5 コミュニケーションの自立援助(橋本英子)
コミュニケーションとは
1)リハビリテーション看護におけるコミュニケーション
コミュニケーションの対象/コミュニケーションの過程/コミュニケーションの障害とは
2)言語障害者(失語症)とのコミュニケーション
失語症aphasiaとは/言語治療と予後/リハビリテーションプログラムの概略
3)失語症患者のリハビリテーション看護
患者の状態/コミュニケーション環境を知る/コミュニケーション手段の確保/コミュニケーション意欲を引き出す/心理的アプローチ/家族へのアプローチ/事例1-失語症の患者に紙と鉛筆を用意する/事例2-疎外感,孤独感が招いた事故/コミュニケーションの環境は人間的共感によって培われる
6 精神障害のリハビリテーション(古川俊一)
1)精神障害の概念
2)精神障害の重要性
3)精神障害の分類
精神障害の原因と分類/精神障害における機能障害
4)リハビリテーションにおける問題点と社会参加を阻むもの
問題点と注意点/実際の援助/社会参加を阻むもの
4 リハビリテーション看護技術
1 情報・アセスメントとそのアプローチ(貝塚みどり)
1 リハビリテーション看護に必要な情報
回復期別に必要な情報を収集する
1)急性期のリハビリテーション看護に必要な情報
主観的情報/客観的情報
2)積極的リハビリテーション期のリハビリテーション看護に必要な情報
主観的情報/客観的情報
3)維持期のリハビリテーション看護に必要な情報
主観的情報/客観的情報
2 アセスメント・アプローチ
情報の効果的な活用のために
1)急性期のアセスメント・アプローチ
事例1-筋力低下予防運動の理解
2)積極的リハビリテーション期のアセスメント・アプローチ
事例2-疼痛を伴うリハビリテーションから意欲のもてるリハビリテーションへの変換
3)維持期のアセスメント・アプローチ
事例3-退院後のリハビリテーションに対する家族の理解
2 基礎となる機能評価(渋谷健一郎)
1 関節可動域(ROM)評価法
ROM測定の目的/ROMの測定方法
2 筋力評価法
筋力評価の目的/MMTの筋力評価基準/MMTの検査方法と注意点
3 片麻痺機能評価法
Brunnstrome Stage/脳卒中機能評価法SIAS
4 高次脳機能障害評価法
1)リハビリテーション効果を阻害する高次脳機能障害
2)知的機能障害の評価
知的障害のスクリーニング/コース立方体組み合わせテストKohs Block-Design Test/レーヴン色彩マトリックス検査Raven's Color Progressive Matrices(RCPM) 日本版ウェクスラー成人知能検査改訂版Wechsler Adult Intelligence Scale-Revised(WAIS-R)
3)失語症aphasia
症状による失語症の分類/看護計画―発話面での評価を利用
4)失行症apraxia
麻痺や失調がなく,目的動作がわかっているのにできない/代表的な失行症
5)失認症agnosia
要素的知覚の障害はないのに対象を認知できない/代表的な失認症
6)運動持続困難症Motor Impersistence
命令による閉眼,舌出しなどが継続できない
5 日常生活動作・活動(ADL)評価法
1)ADL評価の目的
2)ADLの3段階
基本的ADLの評価/Barthel index/機能的自立度評価法Functional Independence Measure(FIM)/手段的日常生活動作(IADL)/生活関連動作(APDL)/拡大日常生活動作
3 ADL自立への援助技術(佐藤 章)
ADLに必要な要素/援助プログラムを検討する視点/要求される対応
1 食事動作の自立援助(佐藤 章)
食事動作の自立は病人意識から抜け出す第一歩
1)食事動作の行程に合わせた援助
姿勢を保持する/箸やスプーン・フォークを持つ/食物をすくう,さす,つまむ/口まで運び,入れる/流動物を飲む
2)食事動作に伴う留意点
嚥下障害がある場合/視野障害あるいは半側無視がある場合/顔面や口腔に運動麻痺・感覚麻痺がある場合
2 排泄動作の自立援助(佐藤 章)
排泄のコントロール
1)排泄動作の行程に合わせた援助
便座に対して適切な位置をとる(車椅子利用者)/下衣をおろす/便座に座る/排泄をする/尻拭きをする/下衣を上げる,もどる
2)排泄動作に伴う留意点
脳血管障害者が立位で排泄する場合/自己導尿について(脊髄損傷者の場合)/下衣の工夫/摘便について/排尿・排便のコントロールの指導
3 入浴動作の自立援助(佐藤 章)
全身状態の把握と安全確保
1)入浴動作の行程に合わせた援助
洗い場まで移動し,座位をとる/体を流す(シャワー)/洗う準備をする/体幹を洗う/上肢を洗う/下肢を洗う/洗髪をする/浴槽に入り,座位を保つ/立ち上がり,浴槽から出る/タオルを絞り,体を拭く/脱衣室にもどる
2)入浴動作に伴う留意点
4 更衣動作の自立援助(佐藤 章)
入院中から着替えの習慣をつける
1)更衣の対象(部位)に合わせた援助
上衣(前開き型)の着脱/上衣(かぶり型)の着脱/下衣の着脱/靴下の着脱/靴の着脱/下肢装具の着脱
2)更衣動作に伴う留意点
衣服などの選び方と衣服の工夫について/脳血管障害者について/脊髄損傷者について
5 整容動作の自立援助(佐藤 章)
1)周囲への関心や社会性をとりもどす動作
洗顔/手洗い/歯磨き/洗髪/髭剃り/爪切り
6 移動動作の自立援助(塚野 信)
1)車椅子による移動
車椅子の使用目的/車椅子の種類/車椅子の介助法
2)歩行介助
杖歩行の練習はどのように/物をまたぐ(敷居,溝など)ときは/階段昇降は/杖の種類/片麻痺に用いられる杖/各種の歩行器/杖の長さ
4 ADL訓練を生活に活用する援助(大森武子)
1)生活にADL訓練を組み込む
生活の原点としてのADL/回復段階に応じたADLの拡大
2)ADL再構築への援助
生活活動の意識化とADLの拡大/ADL評価をベースにADL向上を目指す/ADL拡大と自立支援機器
3)ADL訓練を生活に活用する援助のポイント
5 疾患に対するリハビリテーション看護
1 脳卒中(酒井郁子)
1)疾患の特徴からみた障害の構造
(1)疾患の特徴と病型分類
(2)脳卒中による障害の構造
(3)発症から回復のプロセス
(4)時期別治療とリハビリテーション
急性期/回復期/維持期
2)脳卒中患者のQOLとアセスメント
(1)脳卒中の体験とQOL
(2)リハビリテーションを受けている脳卒中患者の看護援助に必要なアセスメント
急性期/回復期/維持期
3)援助の実際
(1)急性期
(2)回復期
(3)維持期
2 パーキンソン病(田所良之)
1)疾患の特徴からみた障害の構造
(1)発症・回復のプロセス
症状/治療
(2)ステージ別にみた治療と訓練
2)パーキンソン病患者のQOLとアセスメント
(1)パーキンソン病の影響とQOL
(2)パーキンソン病患者のリハビリテーション看護援助に必要なアセスメント
3)援助の過程
(1)発症から外来受診/診断告知直後〜日常生活上の困難感がほとんどない時期の援助
(2)日常生活上の困難感が少ない時期の援助
(3)日常生活上の困難感が増してきた時期の援助
(4)日常生活上,他者からの介助の必要性が生じてきた時期の援助
(5)寝たきり状態で日常生活に全面的な介助が必要な時期の援助
3 脊髄損傷(宮内康子)
1)疾患の特徴からみた障害の構造
(1)発症・回復のプロセス
(2)ステージ別にみた治療と訓練
2)脊髄損傷患者のQOLとアセスメント
(1)脊髄損傷の影響とQOL
(2)脊髄損傷者のリハビリテーション看護援助に必要なアセスメント
急性期/回復期/維持期
3)援助の過程
(1)急性期の援助
脊椎(受傷部)の安静への援助/褥瘡の予防/排尿管理への援助/排便管理への援助/呼吸管理への援助/清潔への援助/心理面への援助/家族への援助
(2)回復期の援助
セルフケア獲得に向けて/心理面への援助
(3)維持期の援助
4 変形性関節症・関節リウマチ(古藤小枝子)
1)疾患の特徴からみた障害の構造
症状
(1)発症:回復のプロセス
手術を受けるタイミング
(2)ステージ別に見た治療と訓練
発症期(初期)/緩解期(安定期)/再燃期(増悪期)
2)変形性関節症・RAのQOLとアセスメント
(1)変形性関節症・RAの影響とQOL
(2)変形性関節症の膝人工関節全置換術を受ける患者に必要なアセスメント
身体的側面/精神的側面
3)TKA後のリハビリテーションの進め方
(1)急性期のリハビリテーション
(2)回復期のリハビリテーション
(3)退院に向けてのリハビリテーション
5 大腿骨頚部骨折(長谷川真美)
1)疾患の特徴からみた障害の構造
(1)発症・回復のプロセス
病態と症状
(2)ステージ別にみた治療と訓練
急性期/回復期/維持期
2)大腿骨頚部骨折患者のQOLとアセスメント
(1)大腿骨頚部骨折の影響とQOL
(2)大腿骨頚部骨折患者のリハビリテーション看護援助に必要なアセスメント
3)援助の過程
(1)急性期の援助
(2)回復期の援助
(3)維持期の援助
6 四肢切断(貝塚みどり,田中富士美)
四肢切断のおもな原因
1)四肢切断のリハビリテーションの流れ
2)四肢切断後の経過別リハビリテーション看護
切断後早期のリハビリテーション看護/自立に向けてのリハビリテーション看護/障害の受容とリハビリテーション看護/事例―障害の受容と自立に向けて
7 循環器障害
1)疾患の特徴からみた障害の構造(成田伊紀)
(1)発症・回復のプロセス
発症の原因/心臓の筋肉の変性
(2)ステージ別にみた治療と訓練
心筋梗塞のリハビリテーションのステージ
2)心筋梗塞患者のQOLとアセスメント(成田伊紀)
(1)心筋梗塞の影響とQOL
(2)心筋梗塞患者のリハビリテーション看護援助に必要なアセスメント
リハビリテーション上の注意事項
3)援助の過程(遠藤奈津美)
(1)急性期の援助
(2)回復期・維持期の援助
8 呼吸器疾患;慢性閉塞性肺疾患(COPD)(湯浅美千代・勝野久美子)
1)疾患の特徴からみた障害の構造
(1)発症・回復のプロセス
COPDの病態(症状,病理,原因)/経過
(2)COPDにおけるリハビリテーションの意義
(3)運動療法の構成
コンディショニング
2)呼吸器疾患患者のQOLとアセスメント
(1)呼吸器疾患(COPD)の影響とQOL
(2)運動療法を行うCOPD患者の看護に必要なアセスメント
導入期のアセスメント/運動療法時のアセスメント/在宅療養へ向けてのアセスメント/維持期のアセスメント
3)援助の過程:リハビリテーションを受ける人の看護
導入期の看護/運動療法施行時の看護/在宅療養移行期の看護/維持期の看護
9 感覚器障害(中途失明)(阿久津清)
1)視覚障害者リハビリテーションの特徴
障害の特徴/障害適応のポイント
2)リハビリテーション看護の進めかた
失明前後の諸問題/事例―失明者の面接調査にみるリハビリテーション看護/自尊心の回復に向けた支援/障害の受容と自立に向けた支援/情報提供と進路に関する支援―社会的自立をめざして
3)視覚障害者リハビリテーション実技
手・腕の効果的活用/身のまわりに関すること/ガイドによる移動/伝い歩きによる単独歩行/リハビリテーション実技展開の前に
4)低視覚者low visionへの対応
10 統合失調症(粟生田友子)
1)疾患の特徴からみた障害の構造
(1)発症・回復のプロセス
発症・経過の型/症状の経過
(2)治療
薬物療法/精神療法/心理社会的療法
2)統合失調症患者のQOLとアセスメント
3)援助の過程
(1)援助過程における看護職のかかわり
(2)QOLの維持のために必要となるかかわり
5 リハビリテーション看護の継続と地域リハビリテーションシステム
1 リハビリテーション看護の継続(酒井郁子)
1)地域連携と継続看護
2)継続看護とは
継続看護に必要な要素/継続看護の分類
3)リハビリテーションにおける看護の継続
急性期から回復期への移行/回復期から維持期への移行
2 地域リハビリテーションシステム(酒井郁子)
1)看護学における「地域」のとらえかた
2)地域リハビリテーションとはなにか
3)地域リハビリテーションの実際
地域リハビリテーションにおける直接援助活動/地域リハビリテーションのしくみづくり
4)地域リハビリテーションを支える看護の展開
個別援助と評価/住民の学習と予防活動を支える保健活動/地域リハビリテーションのしくみづくりを支える地域看護管理
3 地域リハビリテーション活動の実践(松山めぐみ)
1)地域住民のニーズの把握と事業化
2)関係組織,スタッフ間の連携
3)「介護予防」を目的とした地域リハビリテーション
閉じこもり予防グループの育成・支援/転倒予防教室
4)保健師の関わり
6 ADL自立を助ける環境整備
1 環境的整備のための援助(塚野 信)
住宅改造や機器の導入は介助者のマンパワーを考慮して
2 リハビリテーション機器とその活用方法(塚野 信)
車椅子/段差解消機/上下昇降型車椅子/立ち上がり可能な車椅子/手すり/便器/入浴器具/ベッド/天井走行式リフター/環境制御装置(ECS)/コミュニケーションエイド/家庭にあるものの応用
3 住宅改造(塚野 信)
1)住宅改造とは
2)住宅整備の必要性
3)住宅構造上の問題点(日本家屋の特徴)
段差が多い/全体的にサイズが小さい/和式での生活様式
4)住宅改造の手順
身体状況の把握/動線の確保と短縮/福祉用具,社会資源の活用(例)
5)改築・改造
チームアプローチ
6)住宅改造の実際
玄関出入り口/トイレの改造/浴室
7)改造の時期
7 活用できる社会資源
1 障害者自立支援法で利用できるサービス(大森武子)
サービス内容/サービスの利用手続き
2 介護保険制度で利用できるサービス(大森武子)
被保険者/給付の手続きと内容/サービスの種類/利用できるサービス
・索引
・第2版改訂にあたって
1 リハビリテーション概論
1 リハビリテーション医学の歴史と理念(江藤文夫)
1)医療・医学の歴史的変遷
死をもたらす悪魔退治としての医術/慈善活動としての病院の誕生/看ることから診ることへ―近代医学の発足
2)リハビリテーション医学の歴史
戦傷者の社会復帰を目標とする医学から/社会保障,医療の対応を明確にした障害重症度の考えかた/わが国におけるリハビリテーション医学の導入/臨床医学の専門分科としてのリハビリテーション医学の確立
2 QOLの概念をめぐって(江藤文夫)
1)QOLという言葉はどこから来たか
2)人間行動における欲求の階層構造
3)医療における日常生活での活動性重視
寿命の延長に加えて生活の質(QOL)をめざす現代医学/病気の重症度を生活活動で評価
4)ADLの階層構造
保健医療におけるADL概念の普及/ADLの拡がり/QOLとADL
5)QOLの評価
QOLの定義/代表的な計測法/SF-36について/EuroQolについて
3 健康に関する問題の国際分類(WHOの国際分類)(江藤文夫)
1)20世紀後半からの医療とWHO
2)健康権と医学・医療
健康の定義/健康の保障
3)障害分類の動向
WHOと障害分類/病名の国際分類/WHOとさまざまな国際分類/障害分類(ICIDH)から生活機能分類(ICF)へ/ICFの概念
4 障害のレベルとその基本的アプローチ(江藤文夫)
1)障害の用語について
翻訳文化の不利/ICFとICIDH
2)障害の3層分類と相互関係
障害とは/機能形態障害/能力低下(障害)/社会的不利(ハンディキャップ)/同時に存在する三つの障害
3)三つの障害への基本的アプローチ
障害のレベルごとの対応/リハビリテーション専門職とその役割
4)リハビリテーションの流れ
急性期/回復期/在宅ケアへの援助
5 障害者の心理と受障後の援助(粟生田友子)
1 障害者の受障後の体験―障害のある人の心理
1)障害の種類による心理傾向
2)障害に対する心理社会的反応psychosocial reaction
感情の変化/外観,態度,行動に現れる変化/生活の変化
3)心理社会的反応に影響する要素
受障機転/障害の経過と回復可能性/スティグマ/制度や環境
4)障害受容
受容とは/価値変換/障害受容の過程
6 リハビリテーションチームと諸療法(古市照人)
1)リハビリテーションチームの課題
2)リハビリテーションチームのメンバーとその役割
医師・歯科医師/看護師(保健師)/理学療法士(PT)/作業療法士(OT)/言語聴覚士(ST)/義肢装具士(PO)/医療ソーシャル・ワーカー(MSW)/その他
2 リハビリテーション看護の概念と看護の役割
1 リハビリテーション看護の概念(貝塚みどり)
1)わが国におけるリハビリテーション看護の歴史(中山久美子,堀口良江)
本格的導入は1960年代
2)“リハビリテーション看護”とは(貝塚みどり)
3)リハビリテーション看護目標(貝塚みどり)
患者のより高度な生活の自立をめざして
2 リハビリテーション看護の対象(貝塚みどり)
対象は身体諸機能全般にわたる障害者
3 セルフケア能力向上と看護(大森武子)
1)セルフケアへの援助
セルフケア(self-care)とは/セルフケア自立に向けて/セルフケア確立への援助/セルフケア不足に対する看護ケアの提供
2)セルフケア向上への援助
セルフケア行動が遂行できるようサポートする
4 リハビリテーション活動におけるナースの役割(貝塚みどり)
チームメンバーとしての専門性を活かす/リハビリテーションを始めるためのより良い状態をつくっておく役割/他のメンバーへの情報提供およびチーム内の調整,目標の共有化への働きかけを行う役割/患者の24時間の生活場面の中に訓練が活かされるように援助する役割/患者に回復への意欲,努力を持ち続けさせる役割/家族がチームメンバーとして活動に参加し,回復の手助けができるよう指導する役割
3 リハビリテーション看護の基礎
1 回復過程からみたリハビリテーション看護の特徴(貝塚みどり)
リハビリテーション看護における疾患の回復過程
1)急性期のリハビリテーション看護
救命処置,苦痛軽減のためのケアと観察/現有機能の維持と低下予防のための援助
2)積極的リハビリテーション期のリハビリテーション看護
リハビリテーションチームによる本格的リハビリテーションの実施/患者の状況に応じた効果的な援助
3)維持期のリハビリテーション看護
患者の生活環境を実施した情報把握/“人間としての誇り”をもって生活できるための援助
2 発達段階とリハビリテーション看護の特徴(大森武子)
1)発達段階の特徴
小児期/成人期/老年期
2)発達段階における障害とリハビリテーション
小児期/成人期/老年期
3 運動による身体機能への影響(小林一成)
1)骨におよぼす影響
骨の構成成分とその働き/骨の改変(リモデリング)/骨形成低下の病態と運動による影響
2)関節におよぼす影響
3)骨格筋におよぼす影響
筋肉の血流量変化/筋収縮と運動単位/運動と筋力との関係/筋力増強の理論/筋収縮の種類と特徴
4)呼吸機能におよぼす影響
ガス交換と運動/酸素摂取量と運動/呼吸調節と運動
5)循環機能におよぼす影響
心臓と運動/血圧と運動/血液の再配分
6)水中での運動が身体機能におよぼす影響
7)運動の禁忌とリスク管理
リスク管理
4 運動量の低下した状態と看護(貝塚みどり)
1 人間にとっての動き
“動き”は人間らしく生きるための最低条件/身体の動きと頭脳の動き/姿勢による頭脳への刺激
2 低運動による弊害,その予防と看護
廃用症候群(不動症候群)とは
1)筋力低下
ベッド上安静期は歩行準備期/筋力低下予防および増強運動
2)関節拘縮
不動による可動性の低下/関節拘縮の予防/運動による苦痛を避ける工夫
3)起立性低血圧
血管運動反射機能の低下/起立性低血圧の予防
4)骨の脆弱化
無負荷状態による骨からのカルシウム流出/骨の脆弱化予防
5)精神活動低下
精神活動低下を予防するための工夫
5 リハビリテーション段階にある患者の心理・社会的反応と看護職の援助(長谷川真美)
1 リハビリテーション段階にある患者の心理・社会反応と影響する要因
1)リハビリテーション段階にある患者の心理・社会的反応
2)リハビリテーションの阻害因子
円滑なリハビリテーションの障害となる要因/身体的要因/患者の認識・自立に対する動機にかかわる要因/患者の気持ち・感情にかかわる要因/サポート側の要因/治療そのものによる要因/その他の要因
2 リハビリテーション段階にある患者に対する看護職の援助
1)リハビリテーションの阻害要因の査定と援助
身体的要因/患者の認識・自立に対する動機にかかわる要因/患者の気持ち・感情にかかわる要因/サポート側の要因/治療そのものによる要因
2)患者主体のリハビリテーション
患者自身が納得でき,意欲を持てるゴール設定/状況によってゴールを変更できる柔軟性を持つ
3)患者の努力を認め,共に喜ぶ姿勢を持つ
患者への承認のメッセージを伝える/促進状態として状況を捉えアプローチする
6 各機能障害状態からみたリハビリテーションの特徴
1 運動機能障害のリハビリテーション(尾花正義)
1)脳神経系障害による運動機能障害とそのリハビリテーション
中枢性運動麻痺とそのリハビリテーション/運動失調,パーキンソン症状,不随意運動とそのリハビリテーション/脳神経系障害による運動機能障害に対するリハビリテーションの留意点
2)運動機能障害のリハビリテーション
末梢神経障害による運動機能障害とそのリハビリテーション/骨・関節・筋肉系障害による運動機能障害とそのリハビリテーション
2 循環機能障害のリハビリテーション(廣瀬 健)
心臓リハビリテーションの実際
1)急性期プログラム
2)回復期のための運動強度決定
3)回復期(発症6ヵ月ぐらいまで)
運動の種類/運動強度/運動の時間および頻度/監視型または非監視型運動療法/職業復帰
4)維持期
5)心筋梗塞後リハビリテーションにおける運動療法効果
3 呼吸機能障害のリハビリテーション(新藤直子)
1)慢性閉塞性肺疾患(COPD)
2)呼吸理学療法
呼吸訓練/排痰法/運動療法
3)包括的呼吸リハビリテーション
4 感覚機能障害のリハビリテーション(宇川康二)
1)視覚障害時のリハビリテーション
全盲児へのアプローチ/ロービジョン(弱視)者へのリハビリテーション
2)聴覚障害時のリハビリテーション
補聴器/人工内耳 聴覚障害者への対応
5 コミュニケーションの自立援助(橋本英子)
コミュニケーションとは
1)リハビリテーション看護におけるコミュニケーション
コミュニケーションの対象/コミュニケーションの過程/コミュニケーションの障害とは
2)言語障害者(失語症)とのコミュニケーション
失語症aphasiaとは/言語治療と予後/リハビリテーションプログラムの概略
3)失語症患者のリハビリテーション看護
患者の状態/コミュニケーション環境を知る/コミュニケーション手段の確保/コミュニケーション意欲を引き出す/心理的アプローチ/家族へのアプローチ/事例1-失語症の患者に紙と鉛筆を用意する/事例2-疎外感,孤独感が招いた事故/コミュニケーションの環境は人間的共感によって培われる
6 精神障害のリハビリテーション(古川俊一)
1)精神障害の概念
2)精神障害の重要性
3)精神障害の分類
精神障害の原因と分類/精神障害における機能障害
4)リハビリテーションにおける問題点と社会参加を阻むもの
問題点と注意点/実際の援助/社会参加を阻むもの
4 リハビリテーション看護技術
1 情報・アセスメントとそのアプローチ(貝塚みどり)
1 リハビリテーション看護に必要な情報
回復期別に必要な情報を収集する
1)急性期のリハビリテーション看護に必要な情報
主観的情報/客観的情報
2)積極的リハビリテーション期のリハビリテーション看護に必要な情報
主観的情報/客観的情報
3)維持期のリハビリテーション看護に必要な情報
主観的情報/客観的情報
2 アセスメント・アプローチ
情報の効果的な活用のために
1)急性期のアセスメント・アプローチ
事例1-筋力低下予防運動の理解
2)積極的リハビリテーション期のアセスメント・アプローチ
事例2-疼痛を伴うリハビリテーションから意欲のもてるリハビリテーションへの変換
3)維持期のアセスメント・アプローチ
事例3-退院後のリハビリテーションに対する家族の理解
2 基礎となる機能評価(渋谷健一郎)
1 関節可動域(ROM)評価法
ROM測定の目的/ROMの測定方法
2 筋力評価法
筋力評価の目的/MMTの筋力評価基準/MMTの検査方法と注意点
3 片麻痺機能評価法
Brunnstrome Stage/脳卒中機能評価法SIAS
4 高次脳機能障害評価法
1)リハビリテーション効果を阻害する高次脳機能障害
2)知的機能障害の評価
知的障害のスクリーニング/コース立方体組み合わせテストKohs Block-Design Test/レーヴン色彩マトリックス検査Raven's Color Progressive Matrices(RCPM) 日本版ウェクスラー成人知能検査改訂版Wechsler Adult Intelligence Scale-Revised(WAIS-R)
3)失語症aphasia
症状による失語症の分類/看護計画―発話面での評価を利用
4)失行症apraxia
麻痺や失調がなく,目的動作がわかっているのにできない/代表的な失行症
5)失認症agnosia
要素的知覚の障害はないのに対象を認知できない/代表的な失認症
6)運動持続困難症Motor Impersistence
命令による閉眼,舌出しなどが継続できない
5 日常生活動作・活動(ADL)評価法
1)ADL評価の目的
2)ADLの3段階
基本的ADLの評価/Barthel index/機能的自立度評価法Functional Independence Measure(FIM)/手段的日常生活動作(IADL)/生活関連動作(APDL)/拡大日常生活動作
3 ADL自立への援助技術(佐藤 章)
ADLに必要な要素/援助プログラムを検討する視点/要求される対応
1 食事動作の自立援助(佐藤 章)
食事動作の自立は病人意識から抜け出す第一歩
1)食事動作の行程に合わせた援助
姿勢を保持する/箸やスプーン・フォークを持つ/食物をすくう,さす,つまむ/口まで運び,入れる/流動物を飲む
2)食事動作に伴う留意点
嚥下障害がある場合/視野障害あるいは半側無視がある場合/顔面や口腔に運動麻痺・感覚麻痺がある場合
2 排泄動作の自立援助(佐藤 章)
排泄のコントロール
1)排泄動作の行程に合わせた援助
便座に対して適切な位置をとる(車椅子利用者)/下衣をおろす/便座に座る/排泄をする/尻拭きをする/下衣を上げる,もどる
2)排泄動作に伴う留意点
脳血管障害者が立位で排泄する場合/自己導尿について(脊髄損傷者の場合)/下衣の工夫/摘便について/排尿・排便のコントロールの指導
3 入浴動作の自立援助(佐藤 章)
全身状態の把握と安全確保
1)入浴動作の行程に合わせた援助
洗い場まで移動し,座位をとる/体を流す(シャワー)/洗う準備をする/体幹を洗う/上肢を洗う/下肢を洗う/洗髪をする/浴槽に入り,座位を保つ/立ち上がり,浴槽から出る/タオルを絞り,体を拭く/脱衣室にもどる
2)入浴動作に伴う留意点
4 更衣動作の自立援助(佐藤 章)
入院中から着替えの習慣をつける
1)更衣の対象(部位)に合わせた援助
上衣(前開き型)の着脱/上衣(かぶり型)の着脱/下衣の着脱/靴下の着脱/靴の着脱/下肢装具の着脱
2)更衣動作に伴う留意点
衣服などの選び方と衣服の工夫について/脳血管障害者について/脊髄損傷者について
5 整容動作の自立援助(佐藤 章)
1)周囲への関心や社会性をとりもどす動作
洗顔/手洗い/歯磨き/洗髪/髭剃り/爪切り
6 移動動作の自立援助(塚野 信)
1)車椅子による移動
車椅子の使用目的/車椅子の種類/車椅子の介助法
2)歩行介助
杖歩行の練習はどのように/物をまたぐ(敷居,溝など)ときは/階段昇降は/杖の種類/片麻痺に用いられる杖/各種の歩行器/杖の長さ
4 ADL訓練を生活に活用する援助(大森武子)
1)生活にADL訓練を組み込む
生活の原点としてのADL/回復段階に応じたADLの拡大
2)ADL再構築への援助
生活活動の意識化とADLの拡大/ADL評価をベースにADL向上を目指す/ADL拡大と自立支援機器
3)ADL訓練を生活に活用する援助のポイント
5 疾患に対するリハビリテーション看護
1 脳卒中(酒井郁子)
1)疾患の特徴からみた障害の構造
(1)疾患の特徴と病型分類
(2)脳卒中による障害の構造
(3)発症から回復のプロセス
(4)時期別治療とリハビリテーション
急性期/回復期/維持期
2)脳卒中患者のQOLとアセスメント
(1)脳卒中の体験とQOL
(2)リハビリテーションを受けている脳卒中患者の看護援助に必要なアセスメント
急性期/回復期/維持期
3)援助の実際
(1)急性期
(2)回復期
(3)維持期
2 パーキンソン病(田所良之)
1)疾患の特徴からみた障害の構造
(1)発症・回復のプロセス
症状/治療
(2)ステージ別にみた治療と訓練
2)パーキンソン病患者のQOLとアセスメント
(1)パーキンソン病の影響とQOL
(2)パーキンソン病患者のリハビリテーション看護援助に必要なアセスメント
3)援助の過程
(1)発症から外来受診/診断告知直後〜日常生活上の困難感がほとんどない時期の援助
(2)日常生活上の困難感が少ない時期の援助
(3)日常生活上の困難感が増してきた時期の援助
(4)日常生活上,他者からの介助の必要性が生じてきた時期の援助
(5)寝たきり状態で日常生活に全面的な介助が必要な時期の援助
3 脊髄損傷(宮内康子)
1)疾患の特徴からみた障害の構造
(1)発症・回復のプロセス
(2)ステージ別にみた治療と訓練
2)脊髄損傷患者のQOLとアセスメント
(1)脊髄損傷の影響とQOL
(2)脊髄損傷者のリハビリテーション看護援助に必要なアセスメント
急性期/回復期/維持期
3)援助の過程
(1)急性期の援助
脊椎(受傷部)の安静への援助/褥瘡の予防/排尿管理への援助/排便管理への援助/呼吸管理への援助/清潔への援助/心理面への援助/家族への援助
(2)回復期の援助
セルフケア獲得に向けて/心理面への援助
(3)維持期の援助
4 変形性関節症・関節リウマチ(古藤小枝子)
1)疾患の特徴からみた障害の構造
症状
(1)発症:回復のプロセス
手術を受けるタイミング
(2)ステージ別に見た治療と訓練
発症期(初期)/緩解期(安定期)/再燃期(増悪期)
2)変形性関節症・RAのQOLとアセスメント
(1)変形性関節症・RAの影響とQOL
(2)変形性関節症の膝人工関節全置換術を受ける患者に必要なアセスメント
身体的側面/精神的側面
3)TKA後のリハビリテーションの進め方
(1)急性期のリハビリテーション
(2)回復期のリハビリテーション
(3)退院に向けてのリハビリテーション
5 大腿骨頚部骨折(長谷川真美)
1)疾患の特徴からみた障害の構造
(1)発症・回復のプロセス
病態と症状
(2)ステージ別にみた治療と訓練
急性期/回復期/維持期
2)大腿骨頚部骨折患者のQOLとアセスメント
(1)大腿骨頚部骨折の影響とQOL
(2)大腿骨頚部骨折患者のリハビリテーション看護援助に必要なアセスメント
3)援助の過程
(1)急性期の援助
(2)回復期の援助
(3)維持期の援助
6 四肢切断(貝塚みどり,田中富士美)
四肢切断のおもな原因
1)四肢切断のリハビリテーションの流れ
2)四肢切断後の経過別リハビリテーション看護
切断後早期のリハビリテーション看護/自立に向けてのリハビリテーション看護/障害の受容とリハビリテーション看護/事例―障害の受容と自立に向けて
7 循環器障害
1)疾患の特徴からみた障害の構造(成田伊紀)
(1)発症・回復のプロセス
発症の原因/心臓の筋肉の変性
(2)ステージ別にみた治療と訓練
心筋梗塞のリハビリテーションのステージ
2)心筋梗塞患者のQOLとアセスメント(成田伊紀)
(1)心筋梗塞の影響とQOL
(2)心筋梗塞患者のリハビリテーション看護援助に必要なアセスメント
リハビリテーション上の注意事項
3)援助の過程(遠藤奈津美)
(1)急性期の援助
(2)回復期・維持期の援助
8 呼吸器疾患;慢性閉塞性肺疾患(COPD)(湯浅美千代・勝野久美子)
1)疾患の特徴からみた障害の構造
(1)発症・回復のプロセス
COPDの病態(症状,病理,原因)/経過
(2)COPDにおけるリハビリテーションの意義
(3)運動療法の構成
コンディショニング
2)呼吸器疾患患者のQOLとアセスメント
(1)呼吸器疾患(COPD)の影響とQOL
(2)運動療法を行うCOPD患者の看護に必要なアセスメント
導入期のアセスメント/運動療法時のアセスメント/在宅療養へ向けてのアセスメント/維持期のアセスメント
3)援助の過程:リハビリテーションを受ける人の看護
導入期の看護/運動療法施行時の看護/在宅療養移行期の看護/維持期の看護
9 感覚器障害(中途失明)(阿久津清)
1)視覚障害者リハビリテーションの特徴
障害の特徴/障害適応のポイント
2)リハビリテーション看護の進めかた
失明前後の諸問題/事例―失明者の面接調査にみるリハビリテーション看護/自尊心の回復に向けた支援/障害の受容と自立に向けた支援/情報提供と進路に関する支援―社会的自立をめざして
3)視覚障害者リハビリテーション実技
手・腕の効果的活用/身のまわりに関すること/ガイドによる移動/伝い歩きによる単独歩行/リハビリテーション実技展開の前に
4)低視覚者low visionへの対応
10 統合失調症(粟生田友子)
1)疾患の特徴からみた障害の構造
(1)発症・回復のプロセス
発症・経過の型/症状の経過
(2)治療
薬物療法/精神療法/心理社会的療法
2)統合失調症患者のQOLとアセスメント
3)援助の過程
(1)援助過程における看護職のかかわり
(2)QOLの維持のために必要となるかかわり
5 リハビリテーション看護の継続と地域リハビリテーションシステム
1 リハビリテーション看護の継続(酒井郁子)
1)地域連携と継続看護
2)継続看護とは
継続看護に必要な要素/継続看護の分類
3)リハビリテーションにおける看護の継続
急性期から回復期への移行/回復期から維持期への移行
2 地域リハビリテーションシステム(酒井郁子)
1)看護学における「地域」のとらえかた
2)地域リハビリテーションとはなにか
3)地域リハビリテーションの実際
地域リハビリテーションにおける直接援助活動/地域リハビリテーションのしくみづくり
4)地域リハビリテーションを支える看護の展開
個別援助と評価/住民の学習と予防活動を支える保健活動/地域リハビリテーションのしくみづくりを支える地域看護管理
3 地域リハビリテーション活動の実践(松山めぐみ)
1)地域住民のニーズの把握と事業化
2)関係組織,スタッフ間の連携
3)「介護予防」を目的とした地域リハビリテーション
閉じこもり予防グループの育成・支援/転倒予防教室
4)保健師の関わり
6 ADL自立を助ける環境整備
1 環境的整備のための援助(塚野 信)
住宅改造や機器の導入は介助者のマンパワーを考慮して
2 リハビリテーション機器とその活用方法(塚野 信)
車椅子/段差解消機/上下昇降型車椅子/立ち上がり可能な車椅子/手すり/便器/入浴器具/ベッド/天井走行式リフター/環境制御装置(ECS)/コミュニケーションエイド/家庭にあるものの応用
3 住宅改造(塚野 信)
1)住宅改造とは
2)住宅整備の必要性
3)住宅構造上の問題点(日本家屋の特徴)
段差が多い/全体的にサイズが小さい/和式での生活様式
4)住宅改造の手順
身体状況の把握/動線の確保と短縮/福祉用具,社会資源の活用(例)
5)改築・改造
チームアプローチ
6)住宅改造の実際
玄関出入り口/トイレの改造/浴室
7)改造の時期
7 活用できる社会資源
1 障害者自立支援法で利用できるサービス(大森武子)
サービス内容/サービスの利用手続き
2 介護保険制度で利用できるサービス(大森武子)
被保険者/給付の手続きと内容/サービスの種類/利用できるサービス
・索引