やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに

 早いもので今年が5回目の介護支援専門員実務研修受講試験となりました.介護保険制度もはじまって2年が経ち,さまざまな問題点が出現し,改正も行われてきました.それに伴って試験の内容も大きく変わってきました.前回の試験では,なかには『介護支援専門員基本テキスト』通りに答えると不正解になる問題もありました.常に最新の情報を集め,知識を修正していくことが介護支援専門員やそれを目指す人の重要な仕事の1つと考えてください.
 社会保障審議会では「介護支援専門員の質を上げるためにはどうすればよいのか」も議論されています.議事録にも多くの意見が記載されています.そのことを受けてかどうかはわかりませんが,試験も回を重ねるごとに問題がむずかしくなってきているようです.
 第1〜3回の試験問題は,武冨章先生を中心に「どんたくアカデミー」や「百(もも)道(ち)浜(はま)ケアマネジメント研究会」で集めたものに加筆・修正したものです.第4回の試験からは,試験問題の持ち帰りができるようになりました.それだけ厚生労働省が試験問題に自信をもってきた証拠だと思います.それらの既出問題420問を出題年別にじっくり解析していくと,どのような介護支援専門員を育てたいのかもみえてくるような気がします.
 試験に合格するコツは,テキストを熟読し,多くの問題を解くことです.曖昧な記憶だと,ある問題は簡単だと思えても,違う角度から出題されるとわからなくなる,という現象が起こってきます.そういうことも考慮に入れて,この問題集は,さまざまな角度から出題するよう心がけました.もちろん実務に関する問題や人権擁護に関する問題,新たに加わった通知等もしっかり検討して出題してあります.
 私が主宰しております「百道浜ケアマネジメント研究会」では,受講試験のために多くの練習問題を提供してきました.また,インターネット上に複数の掲示板を用意して,介護保険に関連するさまざまな情報の公開や意見交換を行っています.本書に関しても,今後,介護保険法や政・省令の改訂や通知等で変化した部分の情報,読者の皆様から寄せられた情報等を随時掲載していきたいと思っております.
 インターネット上のURLは,百道浜ケアマネジメント研究会 http://www.comel.or.jp/〜kei/です.
 今では全国に多くの介護関連のホームページがありますので,それぞれ検索して情報を集めてください.
 本書は,実際に行われた受講試験の傾向をもとに,前書『新介護支援専門員2001年版わかる必勝問題1700戦』よりもさらにきめこまやかに全体を検討し直し,万全を期したものです.本書を存分に活用して合格されるようお祈りいたしております.
 最後に,既出問題を集めるに際して,ご自身で集められた問題を快く提供してくださった方城町立医療センター所長の武冨章先生,「どんたくアカデミー」の皆様,「百道浜ケアマネジメント研究会」の皆様,終始励ましと援助をくださった医歯薬出版の岸本舜晴氏に深謝いたします.
 2002年6月
 百道浜ケアマネジメント研究会 代表 川 島 圭 司
 (日本メディカル専門学院 理学療法学科教務主任 国家試験対策担当)

本書について

 (1) 本書は,『介護保険法』『介護保険法施行法』ならびに関係法規,関係政令・省令・通知等および『介護支援専門員実務研修受講試験の試験範囲及び解答免除範囲』(厚生労働省老発第519号)(以下,「試験範囲」と略)を基に編集作成された,介護支援専門員受験対策の決定版実戦練習問題集です.
 (2) 本書は,過去,第3回,第4回の「介護支援専門員実務研修受講試験」の出題内容とその傾向,およびその際出題のベースとなった『介護支援専門員標準テキスト』『介護支援専門員基本テキスト』(財団法人長寿社会開発センター)ならびに『介護支援専門員必修テキスト』(医歯薬出版)等の内容を参考にしながら,「試験範囲」を参酌して作問してあります.
 (3) 添付の赤いマークシートで解答をガードしながら学習できます.
 (4) 「試験範囲」 の特徴は,2000年4月1日からの介護保険の実施に伴い,以下の諸点にあるといえます.
 a 厚生労働省は介護支援専門員の即戦力化を求め, 「関連通知」 等についても理解するべき点を強調しています.すなわち,指定居宅介護支援等の事業,指定居宅サービス等の事業,介護保険施設における人員,設備および運営に関する基準や介護サービス計画書(ケアプラン)への理解です.
 b 要介護認定の手法等の重要性に鑑み,要介・E要支援認定特論が再構成され,要介護認定の流れ,一次判定の仕組み,二次判定の仕組みが重視されています.
 c 介護支援サービス(ケアマネジメント)方法論については,とくに実践的内容が重視されており,ケアマネジメントのそれぞれのプロセスを習熟する必要があります.
 d 高齢者支援展開論の各論が実践的な視点から,全面的に見直しウれています.
 e また,2001年1月6日に中央省庁等改革関係法が施行され,それに伴い関連法規等の改正や読み替えが行われています.
 f 介護保険の実施に伴い,地域福祉権利擁護事業,介護予防,身体拘束の廃止の視点が強調されてきています.
 (5) 本書の構成は以下の通りです.
 a 厚生労働省の示している「試験範囲」は,区分・大項目・中項目・小項目の順に分かれており,それぞれに番号が付いています.たとえば,「1.基本視点(区分),1.介護保険制度導入の背景(大項目),1.高齢化の進展と高齢者を取り巻く状況の変化(中項目),1.長寿・高齢化の進展(小項目)」となっており,「長寿・高齢化の進展」をみるならば,(1-1-1-1)という関係になります.本書で各問題に付している()内の数字はこれに該当します.したがって問題の出典がどこにあるかを探るには,()内の数字に該当する「試験範囲」の項目をみればわかります.
 また,解答免除範囲区分のうち,Aは全員受験しますが,B・Cについては職種によって免除範囲が異なります.
 b 「I編」は,「2002年の焦点『関連通知』問題精選特集」です.
 c 「II編」は,介護保険の理念的中核をまとめて整理した「介護保険知識の整理」です.
 d 「III編」は,「試験範囲」の目次順に沿って系統的に学習ができる「実力徹底養成の精選問題・解答」です.膨大な範囲からの出題ですから,関連書誌を参考にしながら学習するとよいでしょう.
 e 「IV編」は,過去4年間に出題された問題(7回分)を収録しています.昨年まで試験用紙は試験会場以外へは帯出禁止でしたので,すべてが出題問題と同文とはいきませんが,ほぼ近い内容になっていますので,模擬試験としても活用できます.
 (6) 出題問題には,問題の重要度(難易度)のめやすとなる五つ星が示してあります.
 ★★★★★ 超重要問題
 ★★★★ 最重要問題
 ★★★ 重要問題
 ★★ 知識を補完するための問題
 ★ 満点をねらうための問題
 (7) 本書の姉妹版として,介護支援専門員として理解しておくべき詳細テキスト『新介護支援専門員必修テキスト』と,「関連通知」の解説を入れた要点テキスト『新介護支援専門員2002年版全科のまとめ』があります(医歯薬出版刊).全領域が「試験範囲」に沿ってわかりやすく簡明にまとめてありますので,本書との併用で学習効果が一層上がります.
 (8) 本書には,CD-ROM版が用意されています.関連通知の全文を収載し,多機能を付加させて新しく開発された学習ツールです.
 (9) 第5回の試験は,2002年10月27日(日曜日)に,全国一斉に行われる予定です.ご健闘をお祈りします.
 医歯薬出版株式会社
 はじめに……川島圭司
 新しい試験範囲等について
 本書について……医歯薬出版
 介護支援専門員実務研修受講試験の試験問題出題範囲および解答免除の範囲……厚生労働省

I編 2002年の焦点
    「関連通知」問題精選特集
II編 介護保険 知識の整理
   1.基本視点
   2.介護保険制度論
   3.要介護・要支援認定特論
   4.介護支援サービス(ケアマネジメント)機能論
   5.福祉の要点
   6.保健医療サービス分野
   7.居宅サービス事業各論
   8.介護保険施設各論
   9.実務問題対策
III編 介護支援専門員実務研修受講試験合格のための実力徹底養成精選問題・解答
   1.基本視点
     1-1.介護保険制度導入の背景
     1-2.介護保険における介護支援サービスの基本理念
   2.介護保険制度論
     2-1.介護保険制度論
    介護保険制度の目的等
    保険者および国,都道府県の責務等
    被保険者
    保険給付の手続・種類・内容
    事業者および施設
    介護保険事業計画
    保険財政
    財政安定化基金等
    保健福祉事業
    国民健康保険団体連合会(国保連)の介護保険事業関係業務
    審査請求
    雑則
    検討規定(附則)
   3.要介護・要支援認定特論
     3-1.要介護認定の流れ
     3-2.一次判定の仕組み
     3-3.二次判定の仕組み
   4.介護支援サービス(ケアマネジメント)機能論
     4-1.介護支援サービス(ケアマネジメント)機能論
     4-2.介護支援サービス(ケアマネジメント)方法論
   5.高齢者支援展開論(高齢者介護総論)
     5-1.総論I 医学論
     5-2.総論II 福祉論
     5-3.総論III 臨死論
   6.高齢者支援展開論(居宅サービス事業各論)
     6-1.訪問介護方法論
     6-2.訪問入浴介護方法論
     6-3.訪問看護方法論
     6-4.訪問リハビリテーション方法論
     6-5.居宅療養管理指導方法論
     6-6.通所介護方法論
     6-7.通所リハビリテーション方法論
     6-8.短期入所生活介護方法論
     6-9.短期入所療養介護方法論
     6-10.痴呆対応型共同生活介護方法論
     6-11.特定施設入所者生活介護方法論
     6-12.福祉用具および住宅改修方法論
   7.高齢者支援展開論(介護保険施設各論)
     7-1.指定介護老人福祉施設サービス方法論
     7-2.介護老人保健施設サービス方法論
     7-3.指定介護療養型医療施設サービス方法論
   8.高齢者支援展開論(社会資源活用論)
     8-1.公的サービスおよびその他の社会資源導入方法論
   9.その他
IV編 介護支援専門員実務研修受講試験既出問題・解答
  第3回介護支援専門員実務研修受講試験問題・解答
    (2000年11月12日実施)
  第4回介護支援専門員実務研修受講試験問題・解答
    (2001年11月11日実施)
    介護支援専門員試験の受験申込み手続き等・実務研修の概要(東京都)
     利用者本位
     合格に向けての「場」をつくる
     介護保険の目的
     問題作成心理学―1 「文が長いほど○が多い」
     問題作成心理学―2 「否定形で終わる文は×が多い」
     問題作成心理学―3 「絶対的な表現は×が多い」
     問題作成心理学―4 「どちらか迷ったら下を選ぼう」
     ケアマネのお仕事―1
     ケアマネのお仕事―2
     形態の共鳴―1
     形態の共鳴―2
     公益を代表する委員
     住所地特例
     要介護認定
     調査員
     勝ち残った鉛筆
     受験資格
     合格の秘訣―1 「勉強時間をいかにつくるか」
     合格の秘訣―2 「どうしても合格したい」と思い続けられるか
     介護支援専門員のお仕事
     訪問リハビリテーション
     合格体験記/職員旅行
     「開幕戦」
     攻略大作戦
     「第2戦」
     「第3戦」
     「第4戦」
     「第5戦」
     「第6戦」
     「第7戦」
     「第8戦」
     「第9戦」
 @   「第10戦」
     「第11戦」
     「第12戦」
     「第13戦」
     「第14戦」
     「第15戦」
     「第16戦」
     「第17戦」
     「第18戦」
     「第19戦」
     「第20戦」
     「第21戦」
     「第22戦」
     「第23戦」
     「第24戦」
     「第25戦」
     「番外第1戦」
     「番外第2戦」
     「最終戦」
     数値はあっていても(その1)
     数値はあっていても(その2)
     意外と高いもの
     介護者の男性が占める割合は
     強制適応はわかっているのだが
     認定のための調査をするのは
     指定を受けなくても
     前のほうはよいのだが
     中等度の介護を要する
     まとめてみよう