やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第3版改訂にあたって

 看護婦(士)課程のなかに新カリキュラムとして「在宅看護論」が誕生してから3年が経過し,ちょうど本年2000年の春には,本書で学習した卒業生を送り出したことになります.
 看護教育の場においては,その「在宅看護論」を学習した学生が実習を経験し,平成11年度の看護婦(士)国家試験を受けたことで,授業や演習の目標が考えやすくなったものと思われますが,1997年に出版された本書をテキストとして使用してくださった方々が看護職として働いていることを思うとき,患者さんの退院後の生活を考えた看護を適切に行えているだろうかと,編著者として責任を感じるところです.
 この時期にあたって,幸い多くの方々に活用していただいている本書の内容を,在宅看護の本来の姿にさらに近づけることを願って,改訂第3版として内容の刷新を図りました.
 今回の改訂では,在宅看護にとって欠かせない継続看護の視点を強調するとともに,前回の増補時に加えた公的介護保険制度の実施後の問題をはじめ,近年の在宅看護にかかわる大きな動きに沿って全編を見直し,ページ数が許す限り追加・修正を行いました.さらに,介護保険制度における訪問看護と介護保険施設などについて加えると同時に,「地域における社会資源の特徴」では,地域数を増やして最新の資料に沿った各地域の特徴の紹介に努めました.
 在宅では生活と健康問題をマッチさせ,療養者の意思や希望を尊重しながら看護を考えていかなければなりません.在宅看護,医療機関から地域へ継続する看護の一層の充実のために本書がお役に立てることを願いつつ,読者の皆様からのご意見,ご批判を賜りたいと存じます.
 2000年11月 木下由美子

序文

 平成9年度より「在宅看護論」が新しく看護婦課程のカリキュラムに加えられることになりました.その背景には,健康に問題のある高齢者の増加や,医療施設への入院よりも生活の場である在宅で過ごしたいという療養者の希望があるなど,これまでおもに医療機関で行われていた看護が,療養者の自宅で行われるようになり,看護を提供する場が変化してきたことがあげられます.看護を学び,将来は医療機関で働こうと考えている人たちにとっては,働く場所が増えたと考えてよいでしょう.
 しかし,在宅では医療機関のような医療設備は整っていません.また,“医療職は自分ひとりしかいない”という環境で,どのような看護をすればよいのかわからず,不安を抱くこともあるでしょう.そこで,在宅看護について一緒に考えていくために,このテキストを出版することになりました.
 本書の特徴は,在宅看護を初めて経験する人に「在宅看護は責任は重いが,看護を楽しく進めることができて,やりがいがある」と感じていただけるように構成しました.各章の節ごとに,学習のねらいとキーワードを設けて,そこでは具体的に何を学ぶべきかをわかりやすくしました.在宅看護での留意点については,ワンポイントアドバイスで紹介しています.若い人たちにはちょっと苦手な「訪問時の在宅のマナー」も,実習前に読むときっと役に立つはずです.また,学内演習を必要とするところは演習の欄を設けました.
 地域看護の分野では,平成9年度に地域保健法が施行となり,平成12年を目標に公的介護保険制度の準備が進行中です,本書には,この分野の現段階での新しい情報が網羅されています.公的介護保険が制度化された段階ではさらに改訂が必要となるでしょう.
 なお,本書の執筆者は教育および在宅看護の分野で活躍されている方々であり,また,これからの在宅看護を担う世代の方にもご協力をいただきました.本書が多くの方のお目にとまり,教科書としてご採用いただけることを心より念願いたしております.本書をお読みいただきましたご感想など,忌憚のないご意見,ご批判をいただければ幸いでございます.
 1996年12月吉日 木下由美子

第2版増補にあたって

 平成12年4月に公的介護保険制度が開始されるにあたり,地域看護学の一分野である在宅看護論においても変化をともなうことから,次のような点を中心に本書の増補を行いました.すなわち,公的介護保険制度をわかりやすく解説し最新の情報を追加しました.さらに,公的介護保険制度と在宅看護論の中では最も関連する訪問看護,その看護を実践する訪問看護ステーションについて最近の動向を反映させて内容充実を図りました.
 今後とも新しい情報・動向を視野に入れながら,在宅看護論の基礎テくりを考えていきたいと思います.
 2000年1月 木下由美子
1 在宅で看護するということ
 1.現代社会と在宅看護論  (木下由美子)
  1 社会の変化と在宅ケア
   1)社会の変化
    (1)生活面に関する社会の変化
      戦前と戦後の比較
    (2)健康面に関する社会の変化 
      年齢構成の変化
      疾患構造の変化
      医療費支出の増大
      福祉の重視
      在宅ケア産業の進出
      特定非営利活動法人(NPO)への期待
   2)家族の変化
      小家族化
      単独世帯の増加
      家庭内の事情
      現代の家族に在宅ケアは可能か
   3)在宅ケアの選択
      療養場所を選べない現状
      在宅ケアを選択するには
      看護職に問われること
  2 地域看護と在宅看護
      公衆衛生看護学から地域看護学への改正
      地域看護学とは
      在宅看護の位置づけ
      在宅看護の対象
      在宅看護の学習が必要な職場
  3 在宅看護の目的と特性
   1)在宅看護の目的
      地域で生活し療養する人の援助
   2)在宅看護の特性
      在宅看護(訪問看護)と医療機関内(入院中)看護の違い
      自己決定されたことへの援助
      ケアマネジメントの能力
      単独の看護判断に伴う責任
      効果的な施設利用への援助
      医療機関と同レベルの看護ケア
  4 退院計画と継続看護
   1)退院計画
   2)継続看護
    (1)医療機関側
    (2)訪問看護側
 2.地域で療養する人と社会資源  (木村恵子)
  1 地域で生活する人・療養する人
   1)健康レベルからみた対象者の特性
      健康レベルによるケアの段階
   2)個人の特性からみた対象者の特性
      年齢
      役割
      家族のライフサイクル
   3)地域の特性
      地域の生活習慣・生活信条への理解
  2 地域で療養する人を支える保健・医療・福祉
   1)社会資源とはなにか
      社会資源とは
      社会資源の種類
      社会資源を活用するために
   2)社会資源を活用するプロセス
      社会資源活用のプロセスと看護婦(士)の役割
   3)地域で療養する人を支えるサービス
      在宅介護支援センター
      訪問介護(ホームヘルプ)
      通所介護(デイサービス)
      短期入所介護(ショートステイ)
      在宅3本柱とゴールドプラン
      訪問入浴サービス
      訪問リハビリテーション
      シルバーサービス
  3 地域で療養する人を支える訪問指導と訪問看護
    訪問指導および訪問看護実施機関
   1)行政が行う訪問指導
      保健所 市町村
   2)医療機関(病院・診療所)が行う訪問看護
      在宅療養への移行を支える
   3)訪問看護ステーションが行う訪問看護
      老人医療受給者
      健康保険受給者
      介護保険要介護認定者
   4)民間経営が行う訪問看護
      多様なニーズへの対応
  4 訪問看護ステーション
   1)訪問看護ステーション創設の目的
      訪問看護ステーション創設の目的
      期待される効果
   2)訪問看護ステーションの設置
      訪問看護ステーションの設置数
      どこが実施主体となるか
      訪問看護ステーションの実施形態
   3)訪問看護ステーションの従事者
      管理者および活動に従事する者
      職種別にみた従事者数
   4)訪問看護サービスの流れと特徴
      訪問看護サービスの手順
      複数の病院・診療所の医師との連携
      他機関との連携
   5)訪問看護ステーションの利用者
      疾患
      利用者の自立度と痴呆の状況
      利用と終了の経緯
   6)訪問看護サービスの内容
      サービスの内容
      訪問回数と1回の訪問時間
      緊急連絡体制
  5 在宅から施設への継続看護
      安心した在宅生活をすごすために
      在宅から施設への看護の一貫性
      継続看護の体制
      継続看護のための看護婦(士)の役割
  6 地謔ナ療養する人を支える居住環境・日常生活用具
   1)居住環境を整えるための住宅改修
      適切な居住環境のためのアセスメント
      住宅改修のポイント
   2)日常生活用具のいろいろ
      生活の自立度を上げるための用具の活用
      適切な用具の選択
      〔演習〕
    地域による社会資源の特徴
      北海道(松田ひとみ)
      宮城県(高橋香子)
      東京都荒川区(松村美枝子)
      福井県鯖江市(廣部すみえ)
      愛知県名古屋市(江藤真紀)
      大分県大分市(志賀たずよ)
      沖縄県(松成裕子)
 3.在宅ケアと現代社会 (斎藤泰子)
  1 家族の機能・役割・形態はどう変わったか
   1)家族とは-家族の形態の変化
      家族形態の分類
      戦後日本の家族形態
      高齢化する家族
      少子化と家族
      多様化する家族の姿
   2)家族の機能とその変化
      家族の機能 家族の役割に関する意識の変化
  2 家族のヘルスケア機能を考える
   1)家族生活と家族のヘルスケア機能
      看護が対象とする家族の機能
      普段は意識されないヘルスケア機能
   2)介護者としての家族とヘルスケア機能
      役割の偏りによる家族崩壊の危険性
   3)家族の中に病人がいるということ
      精神的なストレス
      家族生活への影響
      社会生活の影響
      家族の絆の強化
  3 「家族を理解するための諸理論」はどのように応用できるか
   1)家族を理解するための諸理論
    (1)家族システム理論
      家族システム理論とは
      家族システムの特性
    (2)家族危機理論
      危機に関する家族の適応過程と家族危機の発生
      予測できる危機と予測できない危機
      危機の累積概念と危機への適応
    (3)家族発達理論
      家族周期の変化と段階別発達課題
   2)どのように看護に応用できるか
      家族システム理論の応用
      家族危機理論の応用
      家族発達理論の応用
  4 家族看護過程(アセスメント〜看護診断・計画立案〜計画の実施〜評価)
    看護職に求められる家族看護の視点
   1)家族看護アセスメント
      事例:次つぎに問題が顕在化したMさん
      家族アセスメントの内容
      家族の構造
      家族の機能
      家族アセスメントのさいに考慮すべきこと
   2)看護診断
      ニーズを判断する
      援助ニーズを判断する
   3)家族看護計画を立てる
      目標を設定する
      援助仮説を設定する
      〔演習〕
   4)家族援助の実際
      患者を支える家族に働きかける
      家族をとりまく環境とのパイプ役となる
   5)家族看護過程の評価
      家族の再生・自立を援助できたか
  5 家族看護-看護職に新たに求められる視点
   1)家族の健康管理
      支え手である家族成員の健康を保持する
      介護や看護と家族の生活とを両立させる
   2)独居の生活自律困難者の看護
      独居高齢者の急増
      社会・日常生活に対する自立度アセスメント
      人間関係の広がりのアセスメント調整(社会資源の導入)

2 地域で療養する人の理解
 地域で療養する人にみられるおもな疾患・症状の特徴と在宅ケア
  1 在宅で療養する慢性疾患のある人へのケア (篠原柳子)
   1)糖尿病
   2)心不全
   3)慢性閉塞性肺疾患
   4)慢性腎不全
   5)慢性関節リウマチ
    事例1:陳旧性肺結核による呼吸不全で在宅酸素療法を行っている人へのケア
  2 在宅で療養する身体に障害がある人へのケア (宮崎歌代子)
   1)糖尿病網膜症による視覚障害
   2)脳卒中後遺症
    事例2:脳梗塞後遺症(左不全麻痺,運動性失語,まだら痴呆)の人へのケア
  3 在宅で療養する難病のある人へのケア (遠藤信子)
   1)全身性エリテマトーデス(SLE)
   2)パーキンソン病(PD)
   3)筋萎縮性側索硬化症(ALS)
    事例3:筋萎縮性側索硬化症の人へのケア
  4 在宅で療養する悪ォ腫瘍のある人へのケア (篠原柳子)
   1)悪性腫瘍
   2)癌性疼痛のケア
    事例4:甲状腺癌術後骨転移のある人へのケア(骨折で再入院するまでの期間)
  5 在宅で療養する感染症のある人へのケア  (宮崎歌代子)
   1)肺結核症
   2)HIV感染症
   3)MRSA感染症
    事例5:肺気腫・慢性呼吸不全でMRSAを保菌している人へのケア
  6 在宅で療養する精神障害のある人へのケア  (遠藤信子)
   1)精神分裂病
   2)躁うつ病
   3)神経症
    事例6:精神分裂病の人へのケア
  7 在宅で療養する痴呆のある人へのケア  (遠藤信子)
   1)痴呆の特徴
   2)痴呆性老人の心理とケア
   3)アセスメント
   4)ケアの留意点と実際
  8 在宅で療養する終末期を迎えた人へのケア  (宮崎歌代子)
   1)老いて死に逝く人
   2)癌(悪性新生物)で亡くなる人
    事例7:癌の告知を受けケアチームのネットワークで在宅死を迎えられた人へのケア

3 在宅看護の展開(在宅の特徴を踏まえて)
 1.在宅看護での看護過程の特徴  (原 礼子)
    看護過程の構成要素
   1)アセスメント
      情報の組み立てによる対象者の理解
      情報収集における文化的影響
      豊富で質のよい情報を得るには
      何のために情報を集めるのか
      どのような情報を集めるのか
      どこから情報を集めるのか
      情報収集に当たっての注意点
      在宅看護における基礎情報項目とアセスメント項目
      初回訪問の重要性
   2)看護診断
      何を優先してケアを提供していくか
   3)計画立案
      訪問看護の実践計画
      計画立案に当たっての留意点
   4)実施
      計画の確認と修正
      実施上の留意点
   5)評価
      評価の内容
      効果的な評価を行うには
      在宅看護の評価のもう一つの側面
   6)事例を通しての具体的な在宅看護の展開
      事例:外国暮らしで脊髄腫瘍と判断されて帰国したBさん
      初回訪問:基本的情報・アセスメント
      5回目の訪問:再アセスメント・計画修正
   7)記録
      在宅看護における記録の役割
      記録に当たっての注意点 記録様式
   8)訪問看護の終結
 2.在宅看護・訪問時の面接技術  (木下由美子)
  1 初回訪問の面接技術
   1)看護者を知ってもらう
      自己紹介
      第一印象の重要性
   2)相手を知る
      情報収集
      非言語的コミュニケーション
      信頼関係の形成
      信頼関係を形成するには
      話に集中できる条件を整える
  2 面接の条件
   1)場の設定
      決定者は誰か
      面接の場に多人数いる場合
   2)コミュニケーションの障害がある場合
      感覚器の障害 言語障害
     〔演習〕
 3.基本的生活行動と訪問看護とのかかわり  (奥山則子・松村美枝子)
  1 食事
   1)本人の食事への援助
      食事の評価は身体全体,生活全体から
      事例1
      事例2
      事例3
      食事は安全に・安楽に
      事例4
      生活機能の維持・発達を促す
      事例5
   2)介護者への援助
      負担を軽くするには
      適切な食事内容
      事例6
      家族と療養者との献立の工夫と楽しみ
      事例7
      〔演習〕
  2 排泄
   1)自立のための排泄援助や用具の活用
      排泄環境の整備
      障害や自立度に合った用具の選択
      尿路感染の予防
      事例8
   2)失禁への対応
      排泄間隔や失禁の種類の観察
      オムツの選択と活用
      排泄時のサインを見つける
   3)排泄のトラブル
      薬と排泄の関係を記録する
      不潔行為を伴うトラブルへの対処
      事例9
      事例10
  3 清潔
   1)身体の清潔
      入浴のプラス要因とマイナス要因
      入浴前後の観察と浴室の環境整備
      湯の温度と身体への影響
      市販入浴剤への注意
      入浴が無理な場合
      事例11
      事例12
      事例13
      事例14
   2)頭髪,口腔その他の清潔
      身だしなみの援助
      なぜ口腔ケアが必要か
      障害者(児)への口腔ケア
      事例15
      事例16
      〔演習〕
  4 寝具・寝衣・衣服・更衣
   1)寝具
      寝具の選択と清潔への配慮
      ベッドと布団の利点と布団利用時の工夫
      ベッド選びのポイント
      事例17
      事例18
      掛け物の選び方と注意点
      シーツの選び方と工夫
      枕の選び方
   2)寝衣・衣服
      衣服の選択と購買への配慮
      寝衣,肌着の選び方と工夫
      普段着の選び方
      事例19
   3)更衣の援助
      更衣を援助するときの配慮と工夫
      〔演習〕
  5 睡眠
   1)安眠のための援助
      環境の整備
      不眠予防の工夫
      事例20
   2)眠剤服用時の援助
      不眠の原因除去と服薬の指導
   3)介護者への援助
      介護者の睡眠確保への対応
  6 移動
   1)体位交換
      体位交換時の良肢位の保持の工夫
      移動のための工夫
   2)移動の援助と補助器具
      起き上がりと起立の援助
      歩行の援助
      事例21
   3)車いす利用の援助
      機種の選択と作り替え
      車いすでの外出
      事例22
   4)住宅改造
      住宅療養継続のための住宅改造
      事例23
      災害時の備え
      〔演習〕
  7 リハビリテーションと生きがい
   1)リハビリテーションへの動機づけ
      リハビリへの意欲を引き出すために
      事例24
      事例25
   2)継続のための援助
      無理なく楽しく続けられる工夫
      事例26
      事例27
      事例28
   3)介護者への援助
      利用者と介護者の関係と看護者のアプローチ
      家族調整のためのアイディア提供
      小児リハビリと家族への共感
      事例29
      事例30
      〔演習〕
  8 服薬
      服薬状況の把握
      服薬目標と服薬方法の理解
      療養者に対する内服の工夫と指導
      薬の保管
      副作用の早期発見に対する本人と家族への指導
      副作用に特に注意が必要な薬
      薬と食べ合わせ飲み合わせ
      在宅訪問服薬管理指導
      事例31
 4.在宅での医療処置
   1)感染の予防と対応  (鹿渡登史子)
   2)創や褥瘡の手当て  (藤田智子)
   3)人工肛門,人工膀胱  (藤田智子)
   4)間欠的自己導尿・膀胱留置カテーテル・膀胱洗浄  (峯久美子)
   5)経管栄養法  (峯久美子)
   6)中心静脈栄養法  (藤田智子)
   7)酸素療法  (藤田智子)
   8)気管カニューレ  (峯久美子)
   9)人工呼吸療法  (峯久美子)
   10)CAPD(連続携行式腹膜透析) (藤田智子)
   11)持続皮下注射法 (鹿渡登史子)
   12)緊急時の対応 (鹿渡登史子)
   13)死後の処置 (鹿渡登史子)

4 ケアマネジメント
 1.ケアマネジメントの理解(白井京子)
   1)ケアマネジメントの実際
      症例:ひとり暮らしの老婦人の退院後の生活への不安
      ケアマネジメントの内容
   2)ケアマネジメントの必要性
      社会資源活用へのアプローチ
      なぜケアマネジメントが必要か
      要援護者の抱える問題の複雑化・多様化
      社会資源の多様化・専門化
      家族機能の低下
      ケアの質の評価が求められている
   3)ケアマネジメントの定義
      要援護者の全面的生活支援システム
      保健・医療・福祉の一体化
   4)ケアマネジメントの目標
      要援護者の自立とQOL向上への援助
      要援護者の自己決定への働きかけ
 2.ケアマネジメントのプロセス(白井京子)
   1)人口
      要援護者を発見するには
   2)アセスメント
      何が問題か,どんなニーズをもっているか
      生活全体のアセスメント
      問題を把握するためのアセスメント
      アセスメントを効果的に行うには
      「在宅ケアアセスメントマニュアル」
   3)計画
      ケア目標の設定とケア計画
      その地域で入手可能な社会資源のチェック
      要援護者が選択するための話し合い
      社会資源
   4)実施
      手続き,ケアの供給,サービスの管理
   5)評価
      ケアが目標を達成しているか
   6)終結
 3.ケアマネジャー(白井京子)
   1)誰がケアマネジャーになるか
      保健・医療・福祉の専門家によるケアチーム
   2)ケアマネジメント機関
      ケア計画と実施の決定権をもつ機関
   3)ケアマネジャーの役割と資質
      ケアマネジャーの役割
      ケアマネジャーの資質
 4.公的介護保険(白井京子)
   1)介護保険制度導入の背景
      要介護者の増加
      介護の長期化と重度化
      介護者の高齢化
      老後に関する介護への不安
      医療費の増大と介護環境
   2)介護保険制度のねらい
      利用しやすいものにする
      適切な介護サービスが受けられるようにする
      公平なものにする
      効率的なものにする
   3)介護保険制度のしくみ
      保険給付の対象者
      介護保険の財源
      保険給付の内容
      申請から介護保健サービスを受けるまで
      要介護認定の方法
      要介護認定の基準と在宅介護サービスの利用限度額,サービスの標準
   4)介護支援専門員
   5)介護支援専門員(ケアマネジャー)と訪問看護婦の役割
   6)介護保険の現状の問題・課題
      地域格差の課題
      その他
   7)公的介護保険におけるケアマネジメントの特徴

5 在宅看護の変遷
 1.日本の在宅看護 4(沖 壽子)
   1)在宅看護の歴史
      在宅看護の芽生え
      公衆衛生看護の発展
      公共としての公衆衛生看護が開始
      第二次大戦後の公衆衛生看護
      在宅を支える訪問看護の多様な基盤
      訪問看護制度が保健医療制度に
      「老人保健法」による老人訪問看護制度
      看護婦3年過程に「在宅看護論」
      保健所法から地域保健法へ
      伝染病予防法が100年ぶりに改正
   2)在宅看護と法律
      老人訪問看護制度
      健康保険法による訪問看護制度
      診療報酬と訪問看護
      訪問看護と「保健婦助産婦看護婦法」および「医師法」との関連
      介護保険法成立
 2.諸外国における在宅看護 (鳩野洋子)
   1)イギリス
   2)スウェーデン
   3)デンマーク
   4)アメリカ

 ◯ワンポイントアドバイス:社会資源利用に対する偏見・抵抗感にどう対応する? 核家族 家族システム理論 訪問看護はおもしろい 今日は何のために訪問するの? 訪問カバンには何が入っているの? 今日の訪問は来てよかった,来なくてもよかった 訪問滞在時間は短めに 洗濯物や洗い物は少なく 各家庭のやり方に合わせる 訪問の最後の一言 訪問から戻ったら 「激変緩和措置」 家族に介護報酬が支給される?
 ◯ワンポイント「在宅でのマナー」:訪問時間の約束 訪問する前に 言葉づかい コートはどこで? 雨の日,雪の日の訪問 抜いた靴はどこに? 訪問中のマナー あなたの座る場所は? お茶やお菓子を出されたときは? 手洗い ごみの始末