はじめに
1994年から『母性看護学1 妊娠・分娩』(東野妙子,村本淳子,石原 昌編),『母性看護学2 産褥・新生児』(今津ひとみ,加藤尚美,嶋崎千壽,深川ゆかり編),『母性看護学概論』(村本淳子,森 明子編)の発行が始まりました.その後,それぞれ第2版が発行され,初版発行から20年以上にわたり母性看護を学ぶ多くの学生に読まれています.このたび,これらの書籍の優れた特徴を模範として,新しい書籍を編集,発行するに至りました.
今日,日本をはじめとした先進国では,人口構造の変化に伴い,超高齢社会に対応した社会経済構造を構築することが必須となっています.また,地球規模で自然環境が急速に悪化し,未曾有の大災害という言葉が用いられるような異常な事態が頻繁に引き起こされています.国際社会共通の目標としての「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals;SDGs)」は,まさにこの課題に対する目標といえましょう.
このような21世紀を生き抜くためには,〈変化〉に対応できる〈基礎体力〉が必要であり,とくに保健医療分野の人材を育成するにはこの視点が重要であると考えます.そのためには,いまの知識を暗記する学習法は意味をなさず,知識を使える〈知恵と技術〉を習得することが求められます.また,市民も医療専門職と同じ速度で医療情報にアクセスできるこの時代においては,“質の高い知識と技術を選別する”能力が専門職に求められています.そして,日本では少子化に対するさまざまな取り組みが実施されているにもかかわらず少子化が進行し,人口減少の時代を迎えます.本当にそれでよいのか,人間らしい出産のあり方を市民とともに考え,未来に向けた方向性を共有する必要があります.
本書は,『概論』と『周産期各論』の2巻から構成しました.いずれも,時代の変化に対応でき,市民とともに考えられる看護職のための書籍となるよう編集しました.一般の人が読んでもわかりやすい,けれども各章をその分野の専門家が担当し,最新のエビデンスにもとづいた医療がまとめられています.
『概論』では,今日の周産期ケアがどのような考え方にもとづいて形成されたのかを,基盤となる理論を通して理解していただきたいと思います.いまのケアを鵜呑みにするのではなく,その歴史と背景から理解することによってこそ,次の時代のケアをつくることにつながると考えています.さらに,いわゆるマジョリティではない人びとや想定外の状況へのケアを紹介しています.マイノリティへのまなざしは,マジョリティへの本質的なケアに通じることを理解していただきたいと思います.すなわち,正常/異常という区別ではない,多様性(ダイバーシティ)を理解できる専門職がいままさに求められています.
改訂第2版では,とくにセクシュアリティの内容を充実させてリニューアルを図りました.セクシュアリティに関して,看護の視点から系統的にくわしく最新の内容でまとめられたものになっていると思います.また,本書の執筆者お一人おひとりの看護哲学が垣間見られる文章も堪能いただけますと幸いに存じます.
改訂第3版では,合計特殊出生率が低下しつづける現状に,いま何をすべきかを,母性看護学の視点から考察していただけるように,新たな政策の加筆をしました.さらに,在日外国人の母子保健,災害時における女性と妊産婦・新生児への支援は,基本的な考え方に加え,いままさに必要とされている具体的な支援内容を充実させています.
最後になりましたが,冒頭に記した長い歴史をもつ書籍の編者と執筆者に最大限の敬意を表しますとともに,執筆をお引き受けいただきました諸先生方,監修の労をおとりいただきました先生方,そして,きめ細やかなご配慮と静かな情熱をもってご支援いただきました医歯薬出版編集部に深謝いたします.
2024年12月 有森直子
1994年から『母性看護学1 妊娠・分娩』(東野妙子,村本淳子,石原 昌編),『母性看護学2 産褥・新生児』(今津ひとみ,加藤尚美,嶋崎千壽,深川ゆかり編),『母性看護学概論』(村本淳子,森 明子編)の発行が始まりました.その後,それぞれ第2版が発行され,初版発行から20年以上にわたり母性看護を学ぶ多くの学生に読まれています.このたび,これらの書籍の優れた特徴を模範として,新しい書籍を編集,発行するに至りました.
今日,日本をはじめとした先進国では,人口構造の変化に伴い,超高齢社会に対応した社会経済構造を構築することが必須となっています.また,地球規模で自然環境が急速に悪化し,未曾有の大災害という言葉が用いられるような異常な事態が頻繁に引き起こされています.国際社会共通の目標としての「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals;SDGs)」は,まさにこの課題に対する目標といえましょう.
このような21世紀を生き抜くためには,〈変化〉に対応できる〈基礎体力〉が必要であり,とくに保健医療分野の人材を育成するにはこの視点が重要であると考えます.そのためには,いまの知識を暗記する学習法は意味をなさず,知識を使える〈知恵と技術〉を習得することが求められます.また,市民も医療専門職と同じ速度で医療情報にアクセスできるこの時代においては,“質の高い知識と技術を選別する”能力が専門職に求められています.そして,日本では少子化に対するさまざまな取り組みが実施されているにもかかわらず少子化が進行し,人口減少の時代を迎えます.本当にそれでよいのか,人間らしい出産のあり方を市民とともに考え,未来に向けた方向性を共有する必要があります.
本書は,『概論』と『周産期各論』の2巻から構成しました.いずれも,時代の変化に対応でき,市民とともに考えられる看護職のための書籍となるよう編集しました.一般の人が読んでもわかりやすい,けれども各章をその分野の専門家が担当し,最新のエビデンスにもとづいた医療がまとめられています.
『概論』では,今日の周産期ケアがどのような考え方にもとづいて形成されたのかを,基盤となる理論を通して理解していただきたいと思います.いまのケアを鵜呑みにするのではなく,その歴史と背景から理解することによってこそ,次の時代のケアをつくることにつながると考えています.さらに,いわゆるマジョリティではない人びとや想定外の状況へのケアを紹介しています.マイノリティへのまなざしは,マジョリティへの本質的なケアに通じることを理解していただきたいと思います.すなわち,正常/異常という区別ではない,多様性(ダイバーシティ)を理解できる専門職がいままさに求められています.
改訂第2版では,とくにセクシュアリティの内容を充実させてリニューアルを図りました.セクシュアリティに関して,看護の視点から系統的にくわしく最新の内容でまとめられたものになっていると思います.また,本書の執筆者お一人おひとりの看護哲学が垣間見られる文章も堪能いただけますと幸いに存じます.
改訂第3版では,合計特殊出生率が低下しつづける現状に,いま何をすべきかを,母性看護学の視点から考察していただけるように,新たな政策の加筆をしました.さらに,在日外国人の母子保健,災害時における女性と妊産婦・新生児への支援は,基本的な考え方に加え,いままさに必要とされている具体的な支援内容を充実させています.
最後になりましたが,冒頭に記した長い歴史をもつ書籍の編者と執筆者に最大限の敬意を表しますとともに,執筆をお引き受けいただきました諸先生方,監修の労をおとりいただきました先生方,そして,きめ細やかなご配慮と静かな情熱をもってご支援いただきました医歯薬出版編集部に深謝いたします.
2024年12月 有森直子
第1章 対象の理解と実践の基盤
第1節 親性・母性・父性とは(片岡弥恵子)
(1)母性と父性
(2)親性の定義
第2節 母子相互作用・愛着形成と親役割(片岡弥恵子)
(1)愛着に関する理論・概念
1)フロイトの愛着に関する考え
2)母性剥奪と愛着の概念
3)母子のきずなの概念
(2)人はどのように親になっていくのか
1)ルービンがとらえた母親役割の獲得
2)マーサーがとらえた母親役割の達成
3)母性意識の形成・発展と母親役割獲得過程
第3節 女性・家族を中心にしたケア(片岡弥恵子)
(1)女性を中心にしたケア
1)尊重
2)安全
3)ホリスティック
4)パートナーシップ
(2)家族を中心にしたケア
1)家族とは
2)家族の発達と機能
3)家族を中心にしたケア
第4節 実践の基盤となる理論と概念(片岡弥恵子)
(1)オレムのセルフケア理論
1)セルフケア理論
2)セルフケア不足理論
3)看護について
4)事例でオレムのセルフケア理論をイメージしてみよう!
(2)ロイの適応モデル
(3)ウェルネスの概念
1)ウェルネスとは
2)ウェルネス志向の看護ケア
(4)エンパワメントの概念
(5)危機・喪失に関する概念
1)危機に関する概念
2)悲嘆に関する概念
(6)健康を促進する支援に関する理論
第2章 ウィメンズヘルスの基礎
第1節 女性のライフサイクルとライフステージ(森 明子)
(1)女性のライフサイクル
(2)各ライフステージの特徴
(3)女性の健康をサポートする諸事業
第2節 女性のライフステージと心身の健康の特徴(森 明子)
(1)思春期の女性
1)思春期における心身の特徴
2)思春期の性行動
3)思春期の性と生活環境
4)性に関する思春期保健,健康教育の理論 ―海外の取り組みから
5)思春期にみられる健康問題
(2)成人期の女性
1)成人期における心身の特徴
2)成人期の生活とリプロダクティブ・ヘルス
3)家族計画と受胎調節
4)プレコンセプションケア ―それは思春期前から
5)成人期にみられる健康問題
(3)更年期の女性
1)更年期における心身の特徴
2)更年期の生活とヘルスケア
3)更年期にみられる健康問題
(4)老年期の女性
1)老年期における心身の特徴
2)老年期の生活とヘルスケア
3)老年期にみられる健康問題
第3章 リプロダクティブ・ヘルスの基礎
第1節 リプロダクティブ・ヘルスにかかわる概念(藤井ひろみ)
(1)性と生殖に関する健康と権利
1)リプロダクティブ・ヘルス/ライツとは
2)リプロダクティブ・ヘルス/ライツをめぐる動向と諸概念
(2)性(セクシュアリティ)
(3)セックスとジェンダー
1)ジェンダーとは
2)ジェンダーと社会・文化
(4)性的特徴(セクシュアル・キャラクター)
1)性分化発達の障害と違い
2)性的特徴の多様性と医療的かかわり
(5)性の多様性
(6)性的少数者と家族への母性看護
1)性的指向に関する世界と日本の動向
2)性的指向と看護師の倫理
3)性的指向と性自認の脱疾病化
第2節 ヒトの発生のメカニズム(有森直子)
(1)性周期と妊娠の成立
1)性周期
2)妊娠の成立
(2)性分化のメカニズム
(3)細胞分裂と染色体異常
1)細胞の分裂
2)減数分裂と染色体異常
(4)生物多様性と遺伝的多様性
1)生物多様性と生物が備えもつ特徴
2)遺伝情報と遺伝的多様性
第4章 母子保健をめぐる動向と制度
第1節 母子保健統計(片岡弥恵子)
(1)人口動態
1)人口の増減
2)出生
3)結婚と離婚
4)世帯
(2)母子保健の現状
1)周産期死亡
2)乳児死亡
3)妊産婦死亡
4)死産と人工妊娠中絶
第2節 母子保健にかかわる法律と施策((1)-(5)片岡弥恵子,(6)有森直子)
(1)母子保健にかかわる法律
1)母子保健法
2)児童福祉法
3)特別養子縁組
4)児童虐待防止法
5)戸籍法
6)死産の届出に関する規程
7)母体保護法
8)特定妊婦
9)困難な問題を抱える女性への支援に関する法律
10)成育基本法
11)DV防止法
(2)働く女性の健康・子育て支援に関する法律
1)労働基準法
2)男女雇用機会均等法
3)次世代育成支援対策推進法
4)育児・介護休業法
(3)母子保健行政
(4)21世紀の母子保健計画「健やか親子21」
(5)切れ目のない母子支援
(6)周産期医療の体制と連携
1)医療連携が必要となる背景
2)周産期医療連携の実際
第5章 リプロダクティブ・ヘルスにおける倫理
第1節 看護実践における倫理的課題(辻 恵子)
(1)生命倫理と看護
1)倫理と看護
2)生命倫理学の位置づけ
(2)生命医学倫理の4つの原則
1)自律の尊重
2)無危害
3)善行
4)公正もしくは正義
(3)ケアの倫理 ―人間関係・相互作用を重視する概念
(4)看護実践における倫理的課題の整理 ―倫理的意思決定
(5)生殖・周産期医療と倫理的課題
1)生殖医療
2)人工妊娠中絶と看護ケア実践
3)周産期医療の進歩とともに生じてきた課題
第2節 女性の選択と意思決定プロセスにおける支援(辻 恵子)
(1)妊娠・出産に関連した女性の選択
1)ヘルスケア領域における選択
2)妊娠・出産に関連した女性の選択と決定支援の必要性
(2)ヘルスケアの場における意思決定のスタイル
1)3つの意思決定のスタイル
2)当事者はいつでも決定プロセスへの参加を望むのか
(3)意思決定における困難やストレス ―難しい決定とは
(4)ヘルスケア領域における意思決定支援の方法
1)エビデンスにもとづく選択を促進する試み ―リーフレットの活用例
2)意思決定プロセスの共有を基盤とした方略
3)シェアード・ディシジョンメイキング(SDM) ―意思決定プロセスの共有
(5)母性看護領域における意思決定支援の実際 ―胎児の出生前検査の受検
第6章 リプロダクティブ・ヘルスにおける看護実践
第1節 不妊治療を受ける女性と家族への看護(畑香織)
(1)不妊治療
1)妊孕性
2)不妊
3)不妊症の検査・治療の流れ
4)不妊治療に伴う問題点
5)不妊治療を受けるカップルへの支援・看護
6)不妊治療への社会的支援
(2)不妊治療後の妊娠・出産
1)不妊治療後の妊娠・出産の問題点
2)不妊治療後に妊娠したカップルの心理
3)不妊治療後の妊娠期・分娩期の看護
(3)不妊治療後の育児
1)育児期の問題点
2)育児支援
第2節 先天異常をもつ子どもを出産した女性と家族への看護(辻 恵子)
(1)先天異常をもつ子どもを出産すること
1)生まれた子どもに疾患や障害があることを知る瞬間 ―子どもとの出会いを支える
2)妊娠中に胎児の異常を知ること
(2)子どもに何らかの異常があることをどのように伝えるか
(3)先天異常をもつ子どもを出産した女性とパートナーへの支援
1)生まれた子どもに障害があると知った親の反応
2)先天性疾患,障害をもつ子どもと家族をとりまく環境とケア
3)父親やきょうだいを含めた家族へのサポート
4)当事者の力や仲間とのつながりによる支援
(4)先天異常をもつ子どもに続く妊娠への支援
1)障害をもつ子どもに続く妊娠を考慮すること
2)遺伝診療・カウンセリング部門の紹介と連携
3)次子を妊娠中の女性の心の揺れをそれ以前の経験を踏まえて理解する
第3節 周産期に子どもを亡くした女性と家族への看護(蛭田明子)
(1)周産期の喪失(ペリネイタル・ロス)とは
1)統計にみる周産期の喪失
2)周産期の喪失の原因
(2)周産期の喪失悲嘆の特徴
1)トラウマとなりうる体験
2)親としてのアイデンティティが揺らぐ体験
3)亡くなった子どもの思い出が少ない
4)周囲の人のサポートを得られにくい喪失
(3)周産期の喪失が家族に及ぼす影響
1)夫婦間への影響
2)同胞への影響
(4)両親へのケア
1)ケアのスタンス
2)両親のニーズにもとづくケア
3)ケアにおける態度
第4節 メンタルヘルスに問題をかかえる女性と家族の支援(小澤千恵)
(1)周産期メンタルヘルスの動向
(2)周産期メンタルヘルスとは
1)入院中から産後1カ月健診まで
2)産後1カ月健診
(3)精神的不調を訴える褥婦への支援
1)具体的な支援内容
2)精神的不調をきたしている褥婦と面談する際の留意点
(4)切れ目のない連携づくり
第5節 ドメスティック・バイオレンス被害者と性暴力被害者への支援(片岡弥恵子)
(1)ドメスティック・バイオレンスとは
(2)医療におけるDV被害女性への支援
1)医療者の基本的態度
2)支援環境の整備
3)全妊婦へのDVスクリーニング
4)DVによる臨床症状の探索
5)支援に対する意思の確認
6)危険性の査定
7)DV被害女性への支援
8)社会資源に関する情報提供とフォローアップ
(3)性暴力とは
(4)性暴力被害者への支援
第6節 子ども虐待の予防と早期発見(片岡弥恵子)
(1)児童虐待とは
(2)虐待リスクアセスメント
(3)虐待ハイリスク者(親)へのプログラム
第7節 在日外国人の母子保健(五十嵐ゆかり)
(1)統計にみる日本の国際化
1)外国人入国者数の推移
2)日本に在住する外国人人口の推移
(2)在日外国人の母子保健
1)外国人女性の人口の推移と出産の動向
2)在日外国人の母子保健医療福祉制度
(3)多様な背景をもつ人びとへの看護
1)異文化看護
2)Transcultural Assessment Model
(4)在日外国人の母子保健上の課題とその支援
1)在日外国人の母子保健上の課題
2)在日外国人の母子保健向上のための支援
第8節 災害時における女性と妊産婦・新生児への支援(五十嵐ゆかり)
(1)災害時の時間経過
(2)看護者として被災地に入るときの心構え
(3)応急対応期とは
1)初動期と応急対応期
2)応急対応期の健康課題と支援活動
(4)復旧復興期とは
1)復旧復興期と仮設住宅
2)復旧復興期の健康課題と支援活動
(5)災害への備え/わたしが守るわたしを守る
巻末資料
索引
第1節 親性・母性・父性とは(片岡弥恵子)
(1)母性と父性
(2)親性の定義
第2節 母子相互作用・愛着形成と親役割(片岡弥恵子)
(1)愛着に関する理論・概念
1)フロイトの愛着に関する考え
2)母性剥奪と愛着の概念
3)母子のきずなの概念
(2)人はどのように親になっていくのか
1)ルービンがとらえた母親役割の獲得
2)マーサーがとらえた母親役割の達成
3)母性意識の形成・発展と母親役割獲得過程
第3節 女性・家族を中心にしたケア(片岡弥恵子)
(1)女性を中心にしたケア
1)尊重
2)安全
3)ホリスティック
4)パートナーシップ
(2)家族を中心にしたケア
1)家族とは
2)家族の発達と機能
3)家族を中心にしたケア
第4節 実践の基盤となる理論と概念(片岡弥恵子)
(1)オレムのセルフケア理論
1)セルフケア理論
2)セルフケア不足理論
3)看護について
4)事例でオレムのセルフケア理論をイメージしてみよう!
(2)ロイの適応モデル
(3)ウェルネスの概念
1)ウェルネスとは
2)ウェルネス志向の看護ケア
(4)エンパワメントの概念
(5)危機・喪失に関する概念
1)危機に関する概念
2)悲嘆に関する概念
(6)健康を促進する支援に関する理論
第2章 ウィメンズヘルスの基礎
第1節 女性のライフサイクルとライフステージ(森 明子)
(1)女性のライフサイクル
(2)各ライフステージの特徴
(3)女性の健康をサポートする諸事業
第2節 女性のライフステージと心身の健康の特徴(森 明子)
(1)思春期の女性
1)思春期における心身の特徴
2)思春期の性行動
3)思春期の性と生活環境
4)性に関する思春期保健,健康教育の理論 ―海外の取り組みから
5)思春期にみられる健康問題
(2)成人期の女性
1)成人期における心身の特徴
2)成人期の生活とリプロダクティブ・ヘルス
3)家族計画と受胎調節
4)プレコンセプションケア ―それは思春期前から
5)成人期にみられる健康問題
(3)更年期の女性
1)更年期における心身の特徴
2)更年期の生活とヘルスケア
3)更年期にみられる健康問題
(4)老年期の女性
1)老年期における心身の特徴
2)老年期の生活とヘルスケア
3)老年期にみられる健康問題
第3章 リプロダクティブ・ヘルスの基礎
第1節 リプロダクティブ・ヘルスにかかわる概念(藤井ひろみ)
(1)性と生殖に関する健康と権利
1)リプロダクティブ・ヘルス/ライツとは
2)リプロダクティブ・ヘルス/ライツをめぐる動向と諸概念
(2)性(セクシュアリティ)
(3)セックスとジェンダー
1)ジェンダーとは
2)ジェンダーと社会・文化
(4)性的特徴(セクシュアル・キャラクター)
1)性分化発達の障害と違い
2)性的特徴の多様性と医療的かかわり
(5)性の多様性
(6)性的少数者と家族への母性看護
1)性的指向に関する世界と日本の動向
2)性的指向と看護師の倫理
3)性的指向と性自認の脱疾病化
第2節 ヒトの発生のメカニズム(有森直子)
(1)性周期と妊娠の成立
1)性周期
2)妊娠の成立
(2)性分化のメカニズム
(3)細胞分裂と染色体異常
1)細胞の分裂
2)減数分裂と染色体異常
(4)生物多様性と遺伝的多様性
1)生物多様性と生物が備えもつ特徴
2)遺伝情報と遺伝的多様性
第4章 母子保健をめぐる動向と制度
第1節 母子保健統計(片岡弥恵子)
(1)人口動態
1)人口の増減
2)出生
3)結婚と離婚
4)世帯
(2)母子保健の現状
1)周産期死亡
2)乳児死亡
3)妊産婦死亡
4)死産と人工妊娠中絶
第2節 母子保健にかかわる法律と施策((1)-(5)片岡弥恵子,(6)有森直子)
(1)母子保健にかかわる法律
1)母子保健法
2)児童福祉法
3)特別養子縁組
4)児童虐待防止法
5)戸籍法
6)死産の届出に関する規程
7)母体保護法
8)特定妊婦
9)困難な問題を抱える女性への支援に関する法律
10)成育基本法
11)DV防止法
(2)働く女性の健康・子育て支援に関する法律
1)労働基準法
2)男女雇用機会均等法
3)次世代育成支援対策推進法
4)育児・介護休業法
(3)母子保健行政
(4)21世紀の母子保健計画「健やか親子21」
(5)切れ目のない母子支援
(6)周産期医療の体制と連携
1)医療連携が必要となる背景
2)周産期医療連携の実際
第5章 リプロダクティブ・ヘルスにおける倫理
第1節 看護実践における倫理的課題(辻 恵子)
(1)生命倫理と看護
1)倫理と看護
2)生命倫理学の位置づけ
(2)生命医学倫理の4つの原則
1)自律の尊重
2)無危害
3)善行
4)公正もしくは正義
(3)ケアの倫理 ―人間関係・相互作用を重視する概念
(4)看護実践における倫理的課題の整理 ―倫理的意思決定
(5)生殖・周産期医療と倫理的課題
1)生殖医療
2)人工妊娠中絶と看護ケア実践
3)周産期医療の進歩とともに生じてきた課題
第2節 女性の選択と意思決定プロセスにおける支援(辻 恵子)
(1)妊娠・出産に関連した女性の選択
1)ヘルスケア領域における選択
2)妊娠・出産に関連した女性の選択と決定支援の必要性
(2)ヘルスケアの場における意思決定のスタイル
1)3つの意思決定のスタイル
2)当事者はいつでも決定プロセスへの参加を望むのか
(3)意思決定における困難やストレス ―難しい決定とは
(4)ヘルスケア領域における意思決定支援の方法
1)エビデンスにもとづく選択を促進する試み ―リーフレットの活用例
2)意思決定プロセスの共有を基盤とした方略
3)シェアード・ディシジョンメイキング(SDM) ―意思決定プロセスの共有
(5)母性看護領域における意思決定支援の実際 ―胎児の出生前検査の受検
第6章 リプロダクティブ・ヘルスにおける看護実践
第1節 不妊治療を受ける女性と家族への看護(畑香織)
(1)不妊治療
1)妊孕性
2)不妊
3)不妊症の検査・治療の流れ
4)不妊治療に伴う問題点
5)不妊治療を受けるカップルへの支援・看護
6)不妊治療への社会的支援
(2)不妊治療後の妊娠・出産
1)不妊治療後の妊娠・出産の問題点
2)不妊治療後に妊娠したカップルの心理
3)不妊治療後の妊娠期・分娩期の看護
(3)不妊治療後の育児
1)育児期の問題点
2)育児支援
第2節 先天異常をもつ子どもを出産した女性と家族への看護(辻 恵子)
(1)先天異常をもつ子どもを出産すること
1)生まれた子どもに疾患や障害があることを知る瞬間 ―子どもとの出会いを支える
2)妊娠中に胎児の異常を知ること
(2)子どもに何らかの異常があることをどのように伝えるか
(3)先天異常をもつ子どもを出産した女性とパートナーへの支援
1)生まれた子どもに障害があると知った親の反応
2)先天性疾患,障害をもつ子どもと家族をとりまく環境とケア
3)父親やきょうだいを含めた家族へのサポート
4)当事者の力や仲間とのつながりによる支援
(4)先天異常をもつ子どもに続く妊娠への支援
1)障害をもつ子どもに続く妊娠を考慮すること
2)遺伝診療・カウンセリング部門の紹介と連携
3)次子を妊娠中の女性の心の揺れをそれ以前の経験を踏まえて理解する
第3節 周産期に子どもを亡くした女性と家族への看護(蛭田明子)
(1)周産期の喪失(ペリネイタル・ロス)とは
1)統計にみる周産期の喪失
2)周産期の喪失の原因
(2)周産期の喪失悲嘆の特徴
1)トラウマとなりうる体験
2)親としてのアイデンティティが揺らぐ体験
3)亡くなった子どもの思い出が少ない
4)周囲の人のサポートを得られにくい喪失
(3)周産期の喪失が家族に及ぼす影響
1)夫婦間への影響
2)同胞への影響
(4)両親へのケア
1)ケアのスタンス
2)両親のニーズにもとづくケア
3)ケアにおける態度
第4節 メンタルヘルスに問題をかかえる女性と家族の支援(小澤千恵)
(1)周産期メンタルヘルスの動向
(2)周産期メンタルヘルスとは
1)入院中から産後1カ月健診まで
2)産後1カ月健診
(3)精神的不調を訴える褥婦への支援
1)具体的な支援内容
2)精神的不調をきたしている褥婦と面談する際の留意点
(4)切れ目のない連携づくり
第5節 ドメスティック・バイオレンス被害者と性暴力被害者への支援(片岡弥恵子)
(1)ドメスティック・バイオレンスとは
(2)医療におけるDV被害女性への支援
1)医療者の基本的態度
2)支援環境の整備
3)全妊婦へのDVスクリーニング
4)DVによる臨床症状の探索
5)支援に対する意思の確認
6)危険性の査定
7)DV被害女性への支援
8)社会資源に関する情報提供とフォローアップ
(3)性暴力とは
(4)性暴力被害者への支援
第6節 子ども虐待の予防と早期発見(片岡弥恵子)
(1)児童虐待とは
(2)虐待リスクアセスメント
(3)虐待ハイリスク者(親)へのプログラム
第7節 在日外国人の母子保健(五十嵐ゆかり)
(1)統計にみる日本の国際化
1)外国人入国者数の推移
2)日本に在住する外国人人口の推移
(2)在日外国人の母子保健
1)外国人女性の人口の推移と出産の動向
2)在日外国人の母子保健医療福祉制度
(3)多様な背景をもつ人びとへの看護
1)異文化看護
2)Transcultural Assessment Model
(4)在日外国人の母子保健上の課題とその支援
1)在日外国人の母子保健上の課題
2)在日外国人の母子保健向上のための支援
第8節 災害時における女性と妊産婦・新生児への支援(五十嵐ゆかり)
(1)災害時の時間経過
(2)看護者として被災地に入るときの心構え
(3)応急対応期とは
1)初動期と応急対応期
2)応急対応期の健康課題と支援活動
(4)復旧復興期とは
1)復旧復興期と仮設住宅
2)復旧復興期の健康課題と支援活動
(5)災害への備え/わたしが守るわたしを守る
巻末資料
索引














