やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第2版の発刊にあたって
 このたび「血管超音波テキスト第2版」が発刊される運びとなりました.日本超音波検査学会が監修する超音波テキスト第2版としては心臓,腹部に続く3冊目であり,これで第2版が出揃ったことになります.
 近年,超音波検査技術の発展が目覚ましく,その領域は拡大の一途を辿っています.血管エコーはその先陣を切った領域といっても過言ではありません.日本は超高齢社会を迎え,生活習慣病や閉塞性動脈硬化疾患の増加と相まって頸動脈エコーが急速に普及しました.また,肺血栓塞栓症の原因となる深部静脈血栓症を診断する標準的検査法として下肢静脈エコーが広く普及しました.大動脈ではステントグラフトによる大動脈瘤の治療法が確立され,大動脈エコーが術前後の評価に用いられるようになり,血管エコーの役割が急速に高まっています.
 その一方で,近年はガイドラインの改定が相次いでいます.頸動脈では日本超音波医学会と日本脳神経超音波学会から「超音波による頸動脈病変の標準的評価法2017」が統一改訂されています.ここではエビデンスレベル,新しい計測項目,プラーク・狭窄診断のフローチャート,ルーチン検査における必須項目のフローチャートなどが追加されています.この他にも,日本超音波医学会から「超音波による大動脈・末梢動脈病変の標準的評価法」,「超音波による腎動脈病変の標準的評価法」が提唱され,さらに,日本超音波医学会と日本静脈学会,日本脈管学会の合同により「超音波による深部静脈血栓症・下肢静脈瘤の標準的評価法(案)」が出されました.このようなガイドライン改定に伴う診断基準の変化,検査手技の変更,計測項目の追加などに対応できるようにするためにも,「血管超音波テキスト」の改訂が必要でした.そのような流れを受けて,第2版では,基本的には初版の骨格を維持しながらも現在のニーズに合わせた必要事項を収載し,より実践的に使えるテキストになっています.
 本書を発刊するにあたって,お忙しいなかを執筆してくださった執筆者の先生方にまずは感謝申し上げます.また,長期にわたって編集の労を賜った編集委員の佐藤 洋先生,ならびに本書の企画・編集を担当いただいた医歯薬出版(株)の皆様に厚く御礼申し上げます.本書が日常検査の実用書として末永く愛されることを祈念し,発刊のご挨拶といたします.
 2018年2月
 一般社団法人 日本超音波検査学会理事長 種村 正


第2版の序文
 血管超音波テキスト第2版が発刊となり,編集を担当させていただきましたことを光栄に思います.
 私が国立循環器病センター(現 国立循環器病研究センター)に在籍し,日本での血管エコーの第一人者である松尾 汎先生のもと血管エコー検査を中心に従事していた2003年のある日,上司であり日本超音波検査学会理事長(当時)であった増田喜一先生に「佐藤君なぁ,血管エコーテキストを出すんや,手伝ってくれるか?ええな」と声をかけられました.すでに,日本超音波検査学会監修にて心臓(2001年),腹部(2002年)とテキストが出版されており,第3弾として血管が選ばれたことをとても嬉しく思いました.私自身は大動脈領域を執筆し,2005年春に血管超音波テキストが発刊となりました.
 それから13年の月日が流れました.当時と比較すると医学,医療はとても進歩しています.血管エコーについても然りです.まず,装置の性能向上があげられます.また,日本超音波医学会より,種々の血管領域の標準的評価法が発表され,2008年からは血管領域の超音波検査士制度がスタートしました.私自身これらに委員として関わらせていただいた経験から,“超音波装置があれば,どの医療機関でも同じ品質の検査を受けていただけるようになる”ということを強く願っていました.
 その思いをもとに,今回の改訂では,編集者として以下の4つにこだわりました.
 (1)臨床的に必要な血管エコー検査が網羅されていること,標準的な検査法であること
 (2)章ごとに責任者を配置して,若手にも執筆の機会をもってもらうこと
 (3)書式を統一して本全体が読みやすいこと
 (4)これから検査を始めようとする人が読んでも理解できること
 血管エコーは全身が検査対象であり,部位ごとに評価法が異なります.血管領域としては,頸動脈や腎動脈,下肢動脈,大動脈や深部静脈血栓症,下肢静脈瘤などの検査がありますが,時代とともに普及,確立してきた検査法を第2版では追加しました.具体的には,頭蓋内,血管内皮機能,腎動脈,大静脈,バスキュラーアクセス,さらには下肢浮腫の鑑別といった項目です.また,自己の経験値による記述だけではなく,標準的な検査の記述にこだわりました.
 章ごとに責任者を配置し,責任者に若手も含めて推薦いただき執筆していだきました.第1版では12名だった執筆者は今回66名にもなりました.技術書の執筆には,学会発表や講演,実技指導,さらには論文執筆とは明らかに異なった技能が求められますが,それらは実際に執筆してみないことには身につきません.経験が大切です.ただし,良い本を出版することが大前提であるため,何度も書き直しや写真の差し替えなどをお願いすることになりました.時間はかかりましたが良書ができたと感じています.
 書式を統一して読みやすいこと,これにはこだわりました.章の冒頭には要旨(対象となる疾患,重要なガイドライン,対象となる患者,探触子,評価項目,診断基準)をまとめています.また,ここは注意してほしいという点は,“ワンポイントアドバイス““ひとくちメモ”といった形でまとめています.全編をひとつの流れで読んでいただけると思います.実際に検査してみるとわかりますが,血管エコーは装置の条件設定が観察部位で大きく異なりますし,検査中に画像調整を行う操作がとても多いものです.そのため,各章では領域ごとの装置条件に関する注意点は最小限にとどめて,「第1章 血管超音波検査に求められる装置条件」にまとめました.第1章はあとからでも結構ですから是非読んでください.多くのヒントが散りばめられています.
 今,本書を手にとられた方には,これからエコー検査を始める方や,腹部や心臓のエコー検査はしているが血管は初めて,さらに頸動脈エコーはしているが下肢静脈はこれから…など,いろいろな方がおられると思います.誰でも初めは初心者です.良い技術書は,これから検査を始めようとする人が読んで理解できるものです.本書は,経験の少ない人にも理解していただける解説を目指しました.ただし,治療前後の評価など,エキスパートの方が読んでも十分に納得していただける内容になっています.さらに,辞書的な使い方もできると思います.
 テキストは出版された時から過去のものとなります.10年ほどの未来には第3版の企画が出てくることでしょう.その時には,今回活躍してくれた若い世代の執筆陣や,さらに新しい気鋭の人材が登場して活躍してくれることでしょう.その日がくることを楽しみにしています.
 2018年3月 最終原稿を読みながら
 血管超音波テキスト第2版編集担当 佐藤 洋



第1版の発刊にあたって
 このたび,日本超音波検査学会書籍委員会の編集により,「血管超音波テキスト」が発刊されることになった.既刊である「心臓超音波テキスト」および「腹部超音波テキスト」に続き3冊目の超音波テキストである.これらのテキストが多くの会員のご要望に応え誕生したことは大変意義深いことであり,これにより超音波検査のさらなる知識・技術の習得の手助けになれば望外の慶びである.
 超音波検査はご存じのように既に広く普及し,現在では量より質が求められていることは周知のことである.専門性の高い本検査は医師から技師へと受け継がれ,専門技師による資格制度取得へと関心が注がれつつある.本会のサポート学会でもある日本超音波医学会の超音波検査士認定制度は広く世の中に認知され普及し,今では我々技師の勉学の登竜門とさえなっている.しかしながら,たとえ専門資格を取得したとしても,ハイレベルを維持していくにはたゆまない努力,日々研鑽が求められることはいうまでもなく,基礎的演習の反復,新しい知識・情報の吸収が必要である.今回発刊の「血管超音波テキスト」は,最近急速に発展してきた血管超音波検査の知識・技術のエッセンスをまとめたもので,頸部血管,腹部大動脈血管,下肢動脈・静脈血管の検査にはなくてはならない検査技術のノウハウが記載されている.どうぞ常にお手元におき勉学の一助としていただきたい.
 1974年に本会が発足してから,今年で31年目を迎える.本会の研究発表会もちょうど30回目の記念大会開催が東京にて予定され,この記念すべき年に本書を会員の皆様方にお届けできることはこの上ない慶びである.本書の発刊に際して,長期にわたり労をとっていただいた書籍委員の皆様方に深く感謝申し上げる.また,ご多忙にも関わらずご執筆いただいた先生方に厚くお礼を申し上げるとともに,発刊にご協力をいただいた医歯薬出版(株)並びに関係者の皆様方に感謝の意を申し上げる.
 成17年2月
 日本超音波検査学会理事長 増田 喜一



第1版の序文
 このたび,平成13年の「心臓超音波テキスト」,平成14年の「腹部超音波テキスト」に続き,「血管超音波テキスト」を刊行するに至った.最初の企画から2年近くを要したが,その間にも血管超音波への関心は衰えることなく,逆に循環器内科,脳外科,代謝性疾患の分野など,臨床の広い領域においてますますその需要が高まってきている.実際に,血管疾患の診断学に特化したいくつかの研究会も発足し,超音波検査を中心に精力的な普及活動を行っている.日本超音波検査学会においても,講習会や機関紙などを通じて,血管超音波検査の技術的解説や検査の進め方,判読方法などについて先駆的な医師および技師のノウハウを伝えてきた.本書はその集大成と考えていただきたい.
 血管疾患の検査は,血管造影,CT,MRIなどの画像による形態的診断法と,脈波伝播速度(Pulse Wave Velocity;PWV),足関節・上腕血圧比(Ankle Brachial Pressure Index;ABI,ABPI)などの機能的診断法に大別される.血管疾患を診断するうえではその両者ともが重要であるが,超音波検査は断層像による形態診断と,血流情報を介しての機能診断の両者が可能であり,その情報量は多大である.さらに,超音波検査の持つ手軽さと反復性,経済性などを考慮すると,現在もっとも優れた検査法であるといっても過言ではない.
 しかしながら,血管超音波検査は腹部や心臓の超音波検査に比べきわめて歴史の浅い領域であり,断面の設定方法ですらようやく統一化・標準化の動きが出てきたというのが現状である.最近になって多くの教科書が発刊されたり,それ以上に多くの講習会も開催されたりしているが,大多数の会員諸氏の周囲には良き指導者がいないのが実状であり,経験に裏打ちされ,実際に即した技術や知識を伝授してもらえる機会は思いのほか少ない.そこで本書では,この領域において第一線で活躍中の方々に,長年の経験の中で培ってきた日常検査の中で真に役立つ技術や知識に重点をおいて,“超音波検査に携わる技術者の会”の刊行するテキストとしてふさわしい内容になるよう留意してご執筆いただいた.
 本書の構成は,まず血管超音波検査における装置設定と総合的な走査手技について解説し,各論としての頸動脈,四肢動脈,四肢静脈,大動脈の各章で,検査のポイントや判読に際しての注意点などについて述べられている.大動脈領域は心臓のテキストの一部に解説されていることが一般的であり,その場合内容的にも量的にも必ずしも満足のいくものでないことが多い.本書では大動脈疾患も血管病変のひとつとして,十分な頁数を割いて詳細に解説した.既刊の「心臓超音波テキスト」,「腹部超音波テキスト」に倣って,ワンポイントアドバイスやひとくちメモを多用し,筆者がとくに伝えたい技術的事項やトピックス的な情報を本文とは別に解説した.巻末には各領域の解剖図をまとめて掲載し,日常検査の中で簡単な解剖アトラスとして使えるよう留意した.
 本書の発行に際して,構想から発刊まで多大の労をおとりいただいた書籍編集委員各氏,多忙の中でご執筆いただいた皆様,さらに編集・発刊にご協力いただいた医歯薬出版(株)ならびに関係の皆様に心から感謝の意を申し上げる.
 本書が血管超音波検査の技術書として検査に携わる方々のお役に立ち,ひいては超音波検査技術の発展に寄与することを願ってやまない.
 平成17年2月
 書籍編集委員長 戸出 浩之
 第2版の発刊にあたって(種村 正)
 第2版の序文(佐藤 洋)
 第1版の発刊にあたって(増田喜一)
 第1版の序文(戸出浩之)
 血管エコーの応用(松尾 汎)
  1.はじめに
  2.血管疾患への関心
  3.血管エコーの歴史
  4.血管エコーの現況
   1)頭頸部
   2)胸部
   3)腹部
   4)四肢動脈
   5)静脈
   6)機能検査
  5.おわりに
 全身の血管解剖図(土居忠文)
  動脈
  静脈
第1章 血管超音波検査に求められる装置条件
 (江藤博昭・佐藤 洋)
 (1)Bモード法
  1.探触子の選択と発信周波数
   1)胸部領域
   2)腹部領域
   3)頸部,体表(四肢)血管
  2.超音波断層法の表示方法
  3.ゲイン
  4.STC
  5.ダイナミックレンジ
  6.フォーカス
  7.ティッシュハーモニックイメージング
  8.モニタ画面と照明
 (2)ドプラ法
  1.カラードプラ法
   1)カラー表示方法
   2)関心領域(ROI:region of interest)
   3)流速レンジ( 繰り返し周波数)
   4)ドプラゲイン
   5)ドプラフィルタ
  2.パルスドプラ法,連続波ドプラ法
   1)ドプラ入射角
   2)スラント機能
   3)サンプルボリューム
   4)超音波出力の調整
   5)ドプラフィルタ
   6)スイープ速度
   7)スライス厚の影響
 (3)動脈系検査と静脈系検査の条件の違い
  1.探触子の選択
  2.流速レンジ
  3.ドプラフィルタ
 (4)評価に際しての留意点
  1.装置の性能限界と留意点
  2.よい検査のための走査テクニック
   1)血管の縦断面を描出する方法
   2)表在静脈は探触子のおさえすぎに注意する
   3)血管内の異常エコーとアーチファクトとの鑑別
   4)血流の評価は左右の血管を比較する
   5)超音波断層面の設定
   6)評価する項目で異なる至適断面設定
   7)音響陰影を伴う石灰化病変の評価
第2章 頸動脈
 (1)要旨(小谷敦志)
  1.対象となる代表的疾患
  2.重要なガイドライン
  3.検査対象
  4.探触子
  5.評価項目
  6.診断基準
 (2)解剖・生理
  1.総頸動脈
  2.総頸動脈洞
  3.内頸動脈
  4.外頸動脈
  5.椎骨動脈
  6.鎖骨下動脈
  7.腕頭動脈,右総頸動脈,右鎖骨下動脈,右椎骨動脈
  8.大動脈弓,左総頸動脈起始部,左鎖骨下動脈起始部
 (3)検査の流れ・描出法(谷口京子)
  1.患者の体位・前準備
   1)前準備
   2)患者の体位
   3)使用する探触子
   4)検査手順
  2.描出法
   1)形態の評価(断層法での評価)
   2)血流の評価(ドプラ法での評価)
 (4)頸動脈IMT測定
  1.IMT計測方法
   1)IMTとは
   2)max IMT(最大内中膜厚)の計測
   3)IMT-C10 の計測
   4)拡大して計測する
   5)最大短径を記録する
   6)適正な装置設定で計測する
  2.プラーク測定
   1)プラークとは
   2)プラークの計測
 (5)頸動脈プラーク分類と病理(久米伸治)
  1.プラーク性状の病理学的分類
   1)線維化
   2)石灰化
   3)脂質
   4)出血
  2.超音波検査によるプラークの性状分類
   1)エコー輝度の分類
   2)エコー輝度とプラークの性状分類
  3.可動性プラーク
  4.プラーク評価の手順
 (6)頸動脈血管弾性(stiffness parameter β)(濱口浩敏)
  1.stiffness parameter βとは
  2.βの計測
  3.βの測定方法
  4.βの基準値
  5.描出のコツ
 (7)血流の評価法(ドプラ法での評価)(小谷敦志)
  1.カラードプラ法
  2.パルスドプラ法
  3.総頸動脈
  4.内頸動脈
 (8)狭窄率の評価(小谷敦志)
  1.断層法による狭窄率の評価方法
  2. 収縮期最大血流速度による狭窄率の評価方法
  3.閉塞の評価
   1)急性期内頸動脈遠位部の閉塞病変の推定
 (9)頸動脈内膜剥離術(CEA)と頸動脈ステント留置術(CAS)(濱口浩敏)
  1.CEAとCAS
  2.CEA,CASの術前評価
  3.CEA,CAS後評価
  4.CEA後の描出のコツ
 (10)椎骨動脈評価(斎藤こずえ)
 (11)高安動脈炎(濱口浩敏)
  1.高安動脈炎とは
  2.高安動脈炎の頸動脈エコー画像診断
  3.鑑別すべき病態
   1)動脈硬化病変
   2)巨細胞性動脈炎
  4.高安動脈炎の描出のコツ
 (12)鎖骨下動脈盗血症候群と鎖骨下動脈盗血現象(小谷敦志)
  1.SSSの病因
  2.SSPの診断
  3.エコーにおけるSSPの診断手順
 (13)頸動脈解離,椎骨動脈解離(濱口浩敏)
  1.頸動脈解離のエコー画像診断
  2.頭蓋外椎骨動脈解離のエコー画像診断
  3.鑑別すべき病態
   1)動脈硬化病変
   2)潰瘍病変
   3)膜様虚像エコー
  4.描出のコツ
第3章 経頭蓋超音波検査
 (1)要旨(鮎川宏之)
  1.対象となる代表的疾患
  2.重要なガイドライン
  3.対象となる患者
  4.探触子
  5.評価項目
  6.診断基準
 (2)解剖・生理(濱口浩敏)
  1.脳動脈の解剖
  2.脳静脈の解剖
  3.脳血管の生理
 (3)検査対象となる患者(鮎川宏之)
 (4)検査の流れ・描出法(側頭骨窓アプローチ)(高坂仁美・濱口浩敏)
  1.検査の流れ
   1)検査時の体位
   2)画像調整
   3)血流速度計測
  2.描出方法
   1)描出部位
   2)描出手順
 (5)中大脳動脈血流評価(福住典子・濱口浩敏)
  1.正常
  2.中大脳動脈狭窄の評価方法
  3.中大脳動脈閉塞の評価方法
  4.超音波造影剤を用いた評価
 (6)検査の流れ・描出法(大後頭孔窓アプローチ)(鮎川宏之)
  1.検査の流れ
   1)検査時の体位を知る
   2)血流描出後にカラードプラを調整する
   3)両側頭蓋内椎骨動脈と脳底動脈起始部の血流速計測
  2.描出法
   1)脳底動脈の描出率と探触子の選択
   2)大後頭孔窓アプローチ部位を知る
   3)椎骨脳底動脈の血流描出におけるメルクマールと探触子走査を知る
 (7)椎骨脳底動脈評価方法(清水 舞・鮎川宏之)
  1.頭蓋内椎骨動脈病変
   1)頭蓋内椎骨動脈狭窄の評価方法
   2)頭蓋内椎骨動脈閉塞の評価方法
  2.脳底動脈病変
   1)狭窄の評価方法
   2)閉塞の評価方法
 (8)微小栓子シグナル(HITS/MES)の検出(古井英介)
  1.微小栓子シグナル(HITS/MES)とは
  2.重要なガイドライン
  3.解剖
  4.検査対象となる患者
  5.使用する探触子,検査の流れ,正常値,装置条件設定
  6.評価項目
  7.診断基準
  8.代表的疾患
  9.アーチファクトの特徴
第4章 上肢動脈
 (1)要旨(寺澤史明)
  1.対象となる代表的疾患
  2.重要なガイドライン
  3.対象となる患者
  4.探触子
  5.評価項目
  6.診断基準
 (2)解剖・生理(中森理江)
 (3)検査対象(横山典子)
 (4)検査の流れ・描出法(須甲正章)
  1.使用する探触子
  2.描出方法
  3.検査の流れ
 (5)胸郭出口症候群(岡田豊治)
  1.解剖
  2.検査対象となる患者
  3.描出方法,検査の流れ
第5章 血管内皮機能検査
 (1)要旨(久保田義則)
  1.対象となる代表的疾患
  2.重要なガイドライン
  3.対象となる患者
  4.探触子
  5.評価項目
  6.診断基準
 (2)解剖・生理(寺野雅美)
  1.血管壁の構造
  2.血管壁の機能
  3.血管内皮の生理と役割
 (3)検査対象(赤坂和美)
 (4)検査の流れ・描出法(川ア俊博)
  1.測定準備
  2.測定機器
  3.測定条件
  4.測定方法
   1)阻血方法
   2)血管の評価
   3)FMDの測定値における問題点
 (5)結果の解釈(赤坂和美)
  1.評価項目
  2.診断基準
  3.ピットフォール
第6章 大動脈
 (1)要旨(水上尚子)
  1.対象となる代表的疾患
  2.重要なガイドライン
  3.対象となる患者
  4.探触子
  5.評価項目
  6.診断基準
 (2)解剖・生理(古藤文香)
  1.動脈の構造と機能
  2.大動脈の走行
  3.大動脈の分枝血管と灌流域
 (3)検査の流れ・描出法(森尾のぞみ)
  1.胸部大動脈描出方法
   1)探触子の選択
   2)アプローチの部位
  2.経食道エコー法による胸部大動脈の描出(西上和宏)
   1)大動脈各部位の描出
  3.腹部大動脈(平賀真雄)
   1)被検者の体位
   2)アプローチ法
   3)評価項目の計測と記録
 (4)大動脈疾患の治療―ステントグラフトと人工血管置換術―(三浦純男)
  1.人工血管の歴史
  2.人工血管置換術
  3.ステントグラフト内挿術
  4.ステントグラフト内挿術の手技
  5.ステントグラフト特有の合併症
   1)マイグレーション(migration)
   2)エンドリーク(endoleak)
   3)血流障害
 (5)症例
  1.大動脈瘤
   1)胸部大動脈瘤(水上尚子)
   2)腹部大動脈瘤(倉重康彦)
   3)腹部大動脈破裂
   4)炎症性大動脈瘤
   5)感染性大動脈瘤
  2.大動脈解離
   1)胸部大動脈解離(水上尚子)
   2)腹部大動脈解離(牟田光明)
  3.大動脈内プラークの評価(大原未希子)
   1)大動脈プラークの分類
   2)大動脈の部位による相違
   3)胸部大動脈のプラーク評価
  4.ステントグラフト留置術前後の評価(山本哲也)
   1)術前評価ポイント
   2)術後評価ポイント
  5.人工血管術前・術後の評価(久保田義則)
   1)腹部大動脈瘤・術前評価
   2)装置の設定
   3)計測と観察のポイント
   4)腹部大動脈瘤・術後
第7章 腎動脈
 (1)要旨(三木 俊)
  1.対象となる代表的疾患
  2.重要なガイドライン
  3.対象となる患者
  4.探触子
  5.評価項目
  6.診断基準
 (2)解剖・生理(三木未佳)
 (3)検査対象
 (4)検査の流れ・描出法
  1.使用する探触子
  2.機器の設定
  3.検査手順
   1)腹部大動脈の血流速度
   2)腎動脈の検出:モザイク血流の有無
   3)腎動脈のPSV(RI)の測定
   4)腎臓のサイズ計測
   5)腎臓の形態観察
   6)腎内血流の測定
   7)腹部大動脈,腸骨動脈径の計測
  4.腎動脈エコーの評価項目,診断基準
 (5)腎血管性高血圧症(青木 朋)
 (6)線維筋性異形成(三木未佳)
 (7)腎機能評価
  1.慢性腎不全
 (8)その他症例
  1.腎動脈瘤(八鍬恒芳)
   1)病態,超音波所見
   2)腎動脈瘤の鑑別疾患
  2.腎動静脈瘻
  3.腎梗塞
   1)病態,超音波像
   2)腎梗塞の鑑別疾患
  4.腎静脈血栓症(三木未佳)
  5.大動脈解離(青木 朋)
 (9)移植腎評価(八鍬恒芳)
  1.移植腎の概要
   1)移植腎の吻合様式
   2)移植後合併症
  2.移植腎評価項目
  3.診断基準と移植腎評価例
  4.移植腎の異常像
   1)吻合部腎動脈狭窄
   2)移植腎動静脈瘻
第8章 下肢動脈
 (1)要旨(八鍬恒芳)
  1.対象となる代表的疾患
  2.重要なガイドライン
  3.対象となる患者
  4.探触子
  5.評価項目
  6.診断基準
 (2)解剖・生理
 (3)検査対象(藤崎 純)
 (4)検査の流れ・描出法
  1.使用する探触子
  2.検査の流れ・描出法
 (5)閉塞性動脈硬化症(西上和宏)
  1.Type A病変
  2.Type B病変
  3.Type C病変
  4.Type D病変
 (6)波形評価(小林清子・渡邊博昭)
  1.評価対象となる血管
  2.正常波形と評価項目
   1)正常波形
   2)評価項目
 (7)狭窄度評価
 (8)形態評価(藤崎 純)
  1.精査(術前評価)目的
   1)血管内治療術前評価
   2)ステント留置術後の評価
   3)外科的バイパス術前評価
   4)外科的バイパス術後評価
 (9)下肢動脈血管内治療
  1.エコーガイド下EVT
  2.探触子走査テクニック
   1) ガイドワイヤーの先端を常に追いかける描出法
   2)血管の中心部(最大断面)を縦断像で常に描出し続ける描出法
 (10)バイパス術(井上芳徳)
  1.解剖学的バイパス術
   1)大動脈-大腿動脈バイパス術
   2)大腿動脈-膝窩動脈バイパス術
   3)大腿動脈-膝下動脈バイパス術
  2.非解剖学的バイパス術
   1)大腿動脈-大腿動脈バイパス術
   2)腋窩動脈-大腿動脈バイパス術
 (11)急性動脈閉塞症(工藤岳秀)
  1.急性動脈閉塞症の原因
 (12)代表的疾患(八鍬恒芳)
  1.膝窩動脈外膜嚢腫
   1)病態,超音波像
   2)膝窩動脈外膜嚢腫の鑑別疾患
  2.膝窩動脈捕捉症候群
   1)病態,超音波像
   2)膝窩動脈捕捉症候群の鑑別疾患
 (13)医原性疾患(工藤岳秀)
  1.主な疾患
  2.超音波検査で確認する項目
第9章 バスキュラーアクセス
 (1)要旨(小林大樹)
  1.対象となる代表的疾患
  2.重要な各国のガイドライン
  3.対象
  4.探触子
  5.評価項目
  6.診断基準
 (2)解剖・生理
  1.動脈と深部静脈
   1)上腕動脈
   2)橈骨動脈
   3)尺骨動脈
   4)鎖骨下動脈
   5)上腕静脈
   6)深部静脈交通枝
  2.皮静脈
   1)橈側皮静脈
   2)尺側皮静脈
   3)肘正中皮静脈
   4)橈側副皮静脈
   5)鎖骨下静脈
   6)内頸静脈
   7)腕頭静脈
 (3)検査対象となる患者
 (4)検査の流れ
  1.AVF作製術前評価
   1)動脈血流の評価
   2)動脈の評価
   3)静脈の評価
  2.シャント評価
   1)血流の評価
   2)動脈の評価
   3)静脈の評価
   4)総合評価
 (5)描出方法
  1.探触子走査
  2.血流の評価(血流量,RI,ATの測定)
   1)走査と設定
  3.形態の評価
 (6)バスキュラーアクセス作製術前評価(山本裕也)
  1.理学的観察
  2.AVF作製における術前評価
  3.AVG作製における術前評価
  4.動脈表在化作製における術前評価
 (7)代表的疾患
  1.シャント静脈狭窄・閉塞病変
   1)病態と原因
   2)閉塞病変の形態と評価
  2.脱血不良と静脈圧(返血圧)上昇
  3.静脈高血圧症
   1)病態と原因
   2)検査のポイント
   3)ソアサム症候群
   4)中心静脈病変による静脈高血圧症
  4.steal症候群
   1)病態と原因
   2)検査のポイント
  5.瘤
   1)検査のポイント
  6.血清腫
   1)病態
   2)検査のポイント
  7.感染
  8.穿刺困難
   1)病態と原因
第10章 上肢静脈・頸静脈
 (有吉 亨・和田靖明)
 (1)要旨
  1.対象となる代表的疾患
  2.重要なガイドライン
  3.対象となる患者
  4.探触子
  5.評価項目
 (2)解剖
 (3)検査対象となる患者
 (4)検査手技
  1.検査体位
  2.探触子の選択,装置の設定
  3.上肢静脈検査に用いる手技
   1)探触子による圧迫法
   2)ドプラ法による静脈血流変動評価
  4.検査の流れ
 (5)中心静脈カテーテル留置における注意点
  1.穿刺静脈の同定
  2.穿刺部位の決定
 (6)検査の実際
  1.上肢静脈血栓症
第11章 大静脈
 (1)要旨(富田文子)
  1.対象となる代表的疾患
  2.重要なガイドライン
  3.対象となる患者
  4.探触子
  5.評価項目
 (2)解剖
 (3)対象となる患者
   1)上大静脈
   2)下大静脈
 (4)検査の流れ,描出法,正常像
   1)上大静脈
   2)下大静脈
 (5)主な疾患(山本多美)
  1.上大静脈の疾患
   1)上大静脈症候群
   2)左上大静脈遺残
   3)両側上大静脈
  2.下大静脈疾患(満瀬亜弥)
   1)下大静脈の先天性奇形
   2)下大静脈塞栓症
   3)門脈-大静脈シャント
   4)Budd-Chiari症候群
第12章 下肢静脈(DVT)
 (1)要旨(山本哲也)
  1.対象となる代表的疾患
  2.重要なガイドライン
  3.対象となる患者
  4.探触子
  5.評価項目
  6.診断基準
 (2)解剖・生理(数野直美)
  1.骨盤部の解剖
  2.大腿部の解剖
  3.下腿部の解剖
  4.骨盤内から下肢深部静脈の生理
   1)重力作用
   2)骨格筋ポンプと静脈弁
   3)呼吸による血液還流
 (3)検査対象
 (4)検査の流れ・描出法(山本哲也)
  1.検査手順
  2.描出法
   1)超音波診断装置と探触子の選択
   2)装置条件の調整方法
   3)各部位における描出法と正常像
 (5)静脈血栓塞栓症の診断,予防と治療(椎名昌美・保田知生)
  1.静脈血栓塞栓症の診断
   1)VTEの特徴
   2)PTEの診断
   3)DVTの診断
   4) VTEの疾患可能性とVTEリスクの評価
   5)凝固素因
  2.静脈血栓塞栓症の予防
   1)薬物予防
   2)理学的予防
  3.静脈血栓塞栓症の治療
   1)呼吸循環管理
   2)抗凝固療法
   3)線溶療法
   4)カテーテル血栓溶解療法
   5)手術療法
 (6)病理からみた下肢深部静脈血栓症(呂 彩子・景山則正)
  1.早期血栓
  2.晩期血栓
 (7)深部静脈血栓症評価
  1.静脈血栓の診断基準(高井洋次)
   1)血栓の評価
   2)血流誘発法
   3)病期の確認(急性期,慢性期)
   4)病型の確認(腸骨型,大腿型,下腿型)
   5)血栓中枢端の確認(安定,不安定)
   6)初診時評価と再診時評価について
  2.下大静脈フィルター(赤堀竜一)277
   1)下大静脈フィルターの種類
   2)下大静脈フィルターの適応
   3)描出方法
 (8)被災地における下肢静脈エコー検査法(千葉 寛)
  1.検査対象とする被災者
  2.検査の準備
  3.検査部位および観察評価項目
  4.DVT検診の流れ
   1)災害直後の場合
   2)災害中長期後の経過観察の場合
  5.弾性ストッキング指導
第13章 下肢静脈瘤
 (1)要旨(中島里枝子)
  1.対象となる代表的疾患
  2.重要なガイドライン
  3.対象となる患者
  4.探触子
  5.検査体位
  6.血流誘発方法
  7.評価項目
  8.診断基準
 (2)解剖・生理
  1.大伏在静脈
  2.小伏在静脈
  3.穿通枝
  4.生理(静脈瘤の血行動態)
 (3)CEAP分類(宮井美恵子)
  1.下肢静脈瘤の分類法とは
  2.検者目線のCEAP分類とは
  3.最も重要な“E”
  4.検査前には“C”を確認
  5.“A”と“P”は・・・
 (4)治療方法(内山英俊)
  1.弾性ストッキング
  2.硬化療法
  3.ストリッピング手術
  4.血管内焼灼術
  5.静脈瘤切除
 (5)検査対象となる患者(宮井美恵子)
 (6)検査の流れ・描出法(中島里枝子)
  1.用意するもの
  2.基本事項
  3.評価の方法
   1)深部静脈血栓の評価方法
   2)弁不全の評価方法
  4.検査の流れ
  5.下肢静脈瘤エコー走査手順
  6.検査のポイント
  7.短時間で検査を行うコツ
 (7)下肢静脈瘤の術前マーキングと術中超音波(内山英俊)
 (8)術後評価(宮井美恵子)
  1.ストリッピング(抜去)術の場合
  2.下肢静脈瘤血管内焼灼術の場合
  3.硬化療法,静脈瘤切除術の場合
第14章 下肢腫脹鑑別
 (1)要旨(西尾 進)
  1.腫脹と浮腫の違い
  2.全身性浮腫と局所性浮腫
  3.圧痕性浮腫(pitting edema)と非圧痕性浮腫(non pitting edema)
  4.超音波検査における浮腫の鑑別
  5.下肢腫脹をきたす代表的疾患
  6.重要なガイドライン
 (2)腫脹,浮腫とは(山田博胤)
  1.浮腫の病態
  2.浮腫の診断
   1)問診
   2)視診
   3)触診
   4)臨床検査
  3.下肢腫脹,浮腫における血管エコー検査
 (3)全身性浮腫と局所性浮腫(平田有紀奈)
  1.全身性浮腫
  2.局所性浮腫
 (4)pitting edemaとnon-pitting edema(遠藤桂輔)
  1.pitting edema
  2.non-pitting edema
 (5)敷石様所見(cobble stone sign)(鳥居裕太)
  1.敷石様所見とは
  2.超音波検査
 (6)浮腫の鑑別(楠瀬賢也)
  1.全身性浮腫
  2.局所性浮腫
  3.浮腫の鑑別
 (7)超音波検査で診断できる下肢腫脹(局所性浮腫)の原因疾患(西尾 進・鳥居裕太)
  1.Baker嚢胞の破裂
  2.筋肉内血腫
  3.動静脈奇形
  4.骨盤内腫瘍

 索引