「臨床検査学講座」の刊行にあたって
1958(昭和33)年に衛生検査技師法が制定され,その教育の場からの強い要望に応えて刊行されたのが「衛生検査技術講座」でありました.その後,法改正およびカリキュラム改正などに伴い,「臨床検査講座」,さらに「新編臨床検査講座」,「新訂臨床検査講座」と,その内容とかたちを変えながら,圧倒的な支持を得つつ,重版・改訂を重ねてまいりました.
2000(平成12)年4月より,新しいカリキュラムのもとで,新しい臨床検査技師教育が行われることとなり,その眼目である“大綱化”によって,各学校での弾力的な運用が要求され,またそれが可能となりました.「基礎分野」,「専門基礎分野」,「専門分野」という教育内容とその目標とするところは,従前とかなり異なってきております.
そこで弊社では,この機に「臨床検査学講座」を刊行することといたしました.その目的は,新カリキュラムヘの対応です.臨床検査技師という医療職の重要性がますます高まるなかで,“技術”の修得とそれを応用する力の醸成,および“学”としての構築を目指して,より一層の内容の充実を図るべく,新しい執筆者にも加わっていただきました.そして,教育内容に沿ったかたちで有機的な講義が行えるよう,各巻のバランスにも留意しました.
本講座によって教育された臨床検査技師が社会に大きく受け容れられ,発展されることを願ってやみません.多くの方がたからのご意見,ご叱正を賜れば幸甚です.
2000年春
医歯薬出版株式会社
序
臨床検査の分野で放射性同位元素(RI)が積極的に利用されはじめて30余年が経過し,今日では疾病の診断には欠くことのできない手段となって定着している.
一方では,法律による厳しい規制があるため,使用がままならないこともあり,in vitro検査分野ではRIを用いない酵素免疫測定法,化学発光物による測定法などが開発され,RIにとって代わったものもある.
しかし,今日の医療体系のなかでは,RI,放射線は重要な役割を担い,医療従事者にとってはこれらの知識は欠くことのできないものとなっており,今後とも総体的には利用が拡大し,技術革新も進んでいくであろう.
よって,臨床検査技師にとっても,RIおよび放射線に関する知識は不可欠であり,このことが,医療・生命科学分野で展開している技術革新の波とも相まって,新しい活躍の場をもたらす可能性を秘めている.
また,2000年4月には「臨床検査技師学校養成所指定規則の一部を改正する省令」が制定され,社会のニーズに対応した多様な教育ができるようになった.
このような状況において,今回「臨床検査学講座」の一冊になるにあたり,次のような視点で内容を検討し執筆した.
(1)臨床検査業務に必要なRIについての基礎学力を修得できる内容とする.
(2)臨床検査技師国家試験に出題される可能性のあるものについては網羅する.
(3)検査法を検体検査法と体外測定法に分けて記述し,それぞれについて最新の内容を盛り込む.反面,現在ほとんど行われなくなったものについては削除するとともに,伸展著しい医学画像について最新の技術を盛り込む.
(4)RIの安全管理について,実務面を重視して記述する.
(5)本教科書を利用して学習するものが学習の要点を絞れるよう,各章ごとに「学習のポイント」を記す.
(6)「実習」については共通する基本事項を記述することとし,個々の実習例については省略する.
以上のように,カリキュラムの現状に合わせて必要と思われる事項を網羅するとともに,臨床検査技師の方々が現場でも役立つことを念頭において編集,執筆した.
しかし,この分野は日進月歩進展しているものであり,教育担当の先生方,学生諸君の幅広いご意見をいただきながら,逐次内容の改良と充実を図っていきたいと考えている.
2002年春
執筆者を代表して 藤井張生
1958(昭和33)年に衛生検査技師法が制定され,その教育の場からの強い要望に応えて刊行されたのが「衛生検査技術講座」でありました.その後,法改正およびカリキュラム改正などに伴い,「臨床検査講座」,さらに「新編臨床検査講座」,「新訂臨床検査講座」と,その内容とかたちを変えながら,圧倒的な支持を得つつ,重版・改訂を重ねてまいりました.
2000(平成12)年4月より,新しいカリキュラムのもとで,新しい臨床検査技師教育が行われることとなり,その眼目である“大綱化”によって,各学校での弾力的な運用が要求され,またそれが可能となりました.「基礎分野」,「専門基礎分野」,「専門分野」という教育内容とその目標とするところは,従前とかなり異なってきております.
そこで弊社では,この機に「臨床検査学講座」を刊行することといたしました.その目的は,新カリキュラムヘの対応です.臨床検査技師という医療職の重要性がますます高まるなかで,“技術”の修得とそれを応用する力の醸成,および“学”としての構築を目指して,より一層の内容の充実を図るべく,新しい執筆者にも加わっていただきました.そして,教育内容に沿ったかたちで有機的な講義が行えるよう,各巻のバランスにも留意しました.
本講座によって教育された臨床検査技師が社会に大きく受け容れられ,発展されることを願ってやみません.多くの方がたからのご意見,ご叱正を賜れば幸甚です.
2000年春
医歯薬出版株式会社
序
臨床検査の分野で放射性同位元素(RI)が積極的に利用されはじめて30余年が経過し,今日では疾病の診断には欠くことのできない手段となって定着している.
一方では,法律による厳しい規制があるため,使用がままならないこともあり,in vitro検査分野ではRIを用いない酵素免疫測定法,化学発光物による測定法などが開発され,RIにとって代わったものもある.
しかし,今日の医療体系のなかでは,RI,放射線は重要な役割を担い,医療従事者にとってはこれらの知識は欠くことのできないものとなっており,今後とも総体的には利用が拡大し,技術革新も進んでいくであろう.
よって,臨床検査技師にとっても,RIおよび放射線に関する知識は不可欠であり,このことが,医療・生命科学分野で展開している技術革新の波とも相まって,新しい活躍の場をもたらす可能性を秘めている.
また,2000年4月には「臨床検査技師学校養成所指定規則の一部を改正する省令」が制定され,社会のニーズに対応した多様な教育ができるようになった.
このような状況において,今回「臨床検査学講座」の一冊になるにあたり,次のような視点で内容を検討し執筆した.
(1)臨床検査業務に必要なRIについての基礎学力を修得できる内容とする.
(2)臨床検査技師国家試験に出題される可能性のあるものについては網羅する.
(3)検査法を検体検査法と体外測定法に分けて記述し,それぞれについて最新の内容を盛り込む.反面,現在ほとんど行われなくなったものについては削除するとともに,伸展著しい医学画像について最新の技術を盛り込む.
(4)RIの安全管理について,実務面を重視して記述する.
(5)本教科書を利用して学習するものが学習の要点を絞れるよう,各章ごとに「学習のポイント」を記す.
(6)「実習」については共通する基本事項を記述することとし,個々の実習例については省略する.
以上のように,カリキュラムの現状に合わせて必要と思われる事項を網羅するとともに,臨床検査技師の方々が現場でも役立つことを念頭において編集,執筆した.
しかし,この分野は日進月歩進展しているものであり,教育担当の先生方,学生諸君の幅広いご意見をいただきながら,逐次内容の改良と充実を図っていきたいと考えている.
2002年春
執筆者を代表して 藤井張生
序
第I章 放射能と放射線
I.原子の構造
II.放射線とエネルギー
III.放射性同位元素
IV.原子核崩壊
[1]α崩壊
[2]β崩壊
[3]γ線の放出(γ遷移)
[4]内部転換,特性X線
[5]崩壊図
[6]放射能と崩壊の法則
[7]放射能と質量
[8]自然の放射能
[9]放射平衡
V.放射線の性質
[1]α線
[2]β線
[3]γ線,X線(光子)
VI.X線の発生
VII.線量と単位
[1]照射線量
[2]吸収線量
[3]線量当量,実効線量,等価線量
学習のポイント
第II章 放射線の測定
I.放射線検出器の原理
[1]気体の電離作用を利用した検出器
[2]固体の電離作用を利用した検出器(半導体検出器)
[3]蛍光作用を利用した検出器
[4]写真作用を利用した検出器
II.計数および計数率
III.放射線計数の統計的変動
IV.計数値の取り扱い
V.応用計測機器
[1]試料測定機器
[2]体外測定装置
[3]放射線管理用測定器
学習のポイント
第III章 放射性同位元素の製造
I.原子炉による方法
II.サイクロトロンなど粒子加速器による方法
III.放射性同位元素の生成量
IV.ミルキングによる方法
学習のポイント
第IV章 検査法の分類
I.試料(検体)測定法
[1]in vitroによる方法
[2]in vivoによる方法
II.体外測定法(すべてin vivo法)
第V章 放射性医薬品とその基本的性質
I.放射性医薬品とは
II.放射性医薬品の特徴
[1]in vivo用放射性医薬品
[2]in vitro用放射性医薬品
[3]化学的性状
III.ラジオアイソトープ使用の現況
[1]in vivo用ラジオアイソトープ
[2]in vitro用ラジオアイソトープ
IV.品質管理
[1]発熱性物質試験(pyrogen test)
[2]確認試験
[3]純度試験
V.患者の被曝
[1]有効半減期(T↓eff↓)
[2]MIRD法
第VI章 検体検査法
I.in vitro法
1-直接飽和分析法(direct saturation analysis)
2-ラジオイムノアッセイ(radioimmunoassay;RIA)
3-イムノラジオメトリックアッセイ(immunoradiometric assay;IRMA)
4-放射受容体測定法(radioreceptor assay;RRA)
5-競合的タンパク結合測定法(competitive protein binding assay;CPBA)
6-酵素免疫測定法(enzyme immunoassay;EIA)
7-電気化学発光免疫測定法(electro chemiluminescence immunoassay;ECLIA)
8-その他
II.in vivo法
1-循環血漿量,血液量,血球量の測定
[1]循環血漿量測定
[2]循環赤血球量測定
2-鉄代謝,造血機能検査
3-赤血球寿命の測定
4-血小板寿命の測定
5-ビタミンB↓12↓の吸収試験
6-脂肪吸収試験
7-タンパク漏出性胃腸症の検査
学習のポイント
第VII章 体外測定による検査法
I.臓器別の主な検査
1-甲状腺
[1]甲状腺放射性ヨウ素摂取率測定
[2]甲状腺シンチグラフィ
2-肝・胆道系
[1]肝コロイドシンチグラフィ
[3]肝・胆道シンチグラフィ
[2]肝受容体シンチグラフィ
3-脳神経系
[1]脳血流シンチグラフィ
[2]脳槽・脳室シンチグラフィ
[3]脳シンチグラフィ
4-肺
[1]肺血流シンチグラフィ
[2]肺換気シンチグラフィ
[3]吸入肺シンチグラフィ
5-心臓
[1]心RIアンギオグラフィ
[2]心筋シンチグラフィ
6-腎
[1]レノグラフィ
[2]腎シンチグラフィ
7-骨シンチグラフィ
8-腫瘍シンチグラフィ
[1]↑67↑Ga-クエン酸(ガリウム)
[2]↑201↑TlCl(塩化タリウム)
[3]その他
9-血管,リンパ系
[1]RIアンギオグラフィ
[2]RIヴェノグラフィ
[3]リンパシンチグラフィ
10-その他
II.核医学と他の医学画像の特徴
1-核医学以外の画像検査法
[1]X線像(単純,造影)
[2]X線CT
[3]超音波断層法(US)
[4]核磁気共鳴画像(MRI)
2-核医学検査の特徴
学習のポイント
第VIII章 安全取り扱い法と管理法
I.放射線の被曝
II.人体に対する放射線の影響(障害)
[1]身体的影響
[2]遺伝的影響
[3]確率的影響と非確率的(または確定的)影響
III.関連法規
IV.安全取り扱い法
[1]体外被曝防護のための3原則
[2]安全取り扱い器具
[3]取り扱いの基準
V.放射線管理
[1]個人の放射線管理
[2]環境の放射線管理
VI.その他
[1]使用開始前
[2]使用開始後
学習のポイント
第IX章 放射性同位元素臨床検査技術実習
1-実習を行うにあたっての心がまえ
2-放射性同位元素の取り扱い方
[1]予備知識と予備実験
[2]RI取り扱い(実験)中の留意事項
[3]RI取り扱い作業(実験)終了後の措置
3-RI取り扱いの実際
4-汚染検査,除染
[1]汚染の種類とその検査
[2]除染とその方法
5-測定試料の調製
[1]GM計数装置の試料調製
[2]ウエル型シンチレーションカウンタの試料調製
[3]液体シンチレーションカウンタの試料調製
6-臨床検査(in vitro)で使用される主な器具,設備
7-in vitro検査の作業手順
8-生体内検査(in vivo法)
[1]標識化合物の調製,注射
[2]↑123↑I甲状腺摂取率測定
[3]レノグラフィ
[4]臓器シンチグラフィ
[5]RIアンギオグラフィ
索引
医療および生命科学分野で使用される主な放射性核種と基礎データ……見返し
第I章 放射能と放射線
I.原子の構造
II.放射線とエネルギー
III.放射性同位元素
IV.原子核崩壊
[1]α崩壊
[2]β崩壊
[3]γ線の放出(γ遷移)
[4]内部転換,特性X線
[5]崩壊図
[6]放射能と崩壊の法則
[7]放射能と質量
[8]自然の放射能
[9]放射平衡
V.放射線の性質
[1]α線
[2]β線
[3]γ線,X線(光子)
VI.X線の発生
VII.線量と単位
[1]照射線量
[2]吸収線量
[3]線量当量,実効線量,等価線量
学習のポイント
第II章 放射線の測定
I.放射線検出器の原理
[1]気体の電離作用を利用した検出器
[2]固体の電離作用を利用した検出器(半導体検出器)
[3]蛍光作用を利用した検出器
[4]写真作用を利用した検出器
II.計数および計数率
III.放射線計数の統計的変動
IV.計数値の取り扱い
V.応用計測機器
[1]試料測定機器
[2]体外測定装置
[3]放射線管理用測定器
学習のポイント
第III章 放射性同位元素の製造
I.原子炉による方法
II.サイクロトロンなど粒子加速器による方法
III.放射性同位元素の生成量
IV.ミルキングによる方法
学習のポイント
第IV章 検査法の分類
I.試料(検体)測定法
[1]in vitroによる方法
[2]in vivoによる方法
II.体外測定法(すべてin vivo法)
第V章 放射性医薬品とその基本的性質
I.放射性医薬品とは
II.放射性医薬品の特徴
[1]in vivo用放射性医薬品
[2]in vitro用放射性医薬品
[3]化学的性状
III.ラジオアイソトープ使用の現況
[1]in vivo用ラジオアイソトープ
[2]in vitro用ラジオアイソトープ
IV.品質管理
[1]発熱性物質試験(pyrogen test)
[2]確認試験
[3]純度試験
V.患者の被曝
[1]有効半減期(T↓eff↓)
[2]MIRD法
第VI章 検体検査法
I.in vitro法
1-直接飽和分析法(direct saturation analysis)
2-ラジオイムノアッセイ(radioimmunoassay;RIA)
3-イムノラジオメトリックアッセイ(immunoradiometric assay;IRMA)
4-放射受容体測定法(radioreceptor assay;RRA)
5-競合的タンパク結合測定法(competitive protein binding assay;CPBA)
6-酵素免疫測定法(enzyme immunoassay;EIA)
7-電気化学発光免疫測定法(electro chemiluminescence immunoassay;ECLIA)
8-その他
II.in vivo法
1-循環血漿量,血液量,血球量の測定
[1]循環血漿量測定
[2]循環赤血球量測定
2-鉄代謝,造血機能検査
3-赤血球寿命の測定
4-血小板寿命の測定
5-ビタミンB↓12↓の吸収試験
6-脂肪吸収試験
7-タンパク漏出性胃腸症の検査
学習のポイント
第VII章 体外測定による検査法
I.臓器別の主な検査
1-甲状腺
[1]甲状腺放射性ヨウ素摂取率測定
[2]甲状腺シンチグラフィ
2-肝・胆道系
[1]肝コロイドシンチグラフィ
[3]肝・胆道シンチグラフィ
[2]肝受容体シンチグラフィ
3-脳神経系
[1]脳血流シンチグラフィ
[2]脳槽・脳室シンチグラフィ
[3]脳シンチグラフィ
4-肺
[1]肺血流シンチグラフィ
[2]肺換気シンチグラフィ
[3]吸入肺シンチグラフィ
5-心臓
[1]心RIアンギオグラフィ
[2]心筋シンチグラフィ
6-腎
[1]レノグラフィ
[2]腎シンチグラフィ
7-骨シンチグラフィ
8-腫瘍シンチグラフィ
[1]↑67↑Ga-クエン酸(ガリウム)
[2]↑201↑TlCl(塩化タリウム)
[3]その他
9-血管,リンパ系
[1]RIアンギオグラフィ
[2]RIヴェノグラフィ
[3]リンパシンチグラフィ
10-その他
II.核医学と他の医学画像の特徴
1-核医学以外の画像検査法
[1]X線像(単純,造影)
[2]X線CT
[3]超音波断層法(US)
[4]核磁気共鳴画像(MRI)
2-核医学検査の特徴
学習のポイント
第VIII章 安全取り扱い法と管理法
I.放射線の被曝
II.人体に対する放射線の影響(障害)
[1]身体的影響
[2]遺伝的影響
[3]確率的影響と非確率的(または確定的)影響
III.関連法規
IV.安全取り扱い法
[1]体外被曝防護のための3原則
[2]安全取り扱い器具
[3]取り扱いの基準
V.放射線管理
[1]個人の放射線管理
[2]環境の放射線管理
VI.その他
[1]使用開始前
[2]使用開始後
学習のポイント
第IX章 放射性同位元素臨床検査技術実習
1-実習を行うにあたっての心がまえ
2-放射性同位元素の取り扱い方
[1]予備知識と予備実験
[2]RI取り扱い(実験)中の留意事項
[3]RI取り扱い作業(実験)終了後の措置
3-RI取り扱いの実際
4-汚染検査,除染
[1]汚染の種類とその検査
[2]除染とその方法
5-測定試料の調製
[1]GM計数装置の試料調製
[2]ウエル型シンチレーションカウンタの試料調製
[3]液体シンチレーションカウンタの試料調製
6-臨床検査(in vitro)で使用される主な器具,設備
7-in vitro検査の作業手順
8-生体内検査(in vivo法)
[1]標識化合物の調製,注射
[2]↑123↑I甲状腺摂取率測定
[3]レノグラフィ
[4]臓器シンチグラフィ
[5]RIアンギオグラフィ
索引
医療および生命科学分野で使用される主な放射性核種と基礎データ……見返し