●序
細胞診断の臨床に果たす貢献度は,いまさらいうまでもない.その対象が,上皮性・非上皮性腫瘍を問わず,身体中の全臓器・組織をカバーしているということからも,うかがい知ることができる.また現在は,悪性か否かの診断価値にとどまらず,免疫細胞化学的手法をも取り入れた質的側面への応用の比重も増しており,当然ながら,細胞診関係の書籍がその進歩に追いつくべく数多く刊行されているのも事実である.
しかしながら,リンパ節についての専門書はどうかというと,極端に少ないといわざるをえない.悪性リンパ腫細胞診の講義・実習に長年携わってきたわれわれが常々不便に感じていたのが実状である.また,日常細胞診業務に携わっている細胞検査士,医師から“リンパ節疾患はむずかしい”と聞く.
免疫学的解析の進歩と相まって,この十数年間,悪性リンパ腫の分類も大がかりな改訂を余儀なくされ,Updated Kiel分類(1988,1992年)のあと,これを基礎としたREAL分類(1994年)の提唱を経て,新WHO分類(2001年)が用いられて4年目になる.未解決の問題も残されており今後改変されていくものと思われるが,リンパ腫分類の基本的なことは,病理医,臨床医に共有される分類となり,この新WHO分類が今後,国際的分類として使用されていくものと考えられる.
この時期に,この分類に沿った悪性リンパ腫を中心とした細胞診断学書が刊行されてもなんら不思議ではなく,むしろ時宜を得た自然な流れと理解している.
著者らは,出版の具体化を進める前に経験例を持ち寄り,はたして満足する種類の症例があるかどうかを検討した.その結果,日常検査に必要な症例は十分であるとの結論に達し,さっそく,われわれの意向を出版社に相談したところ快諾をいただき,本書の出版となった次第である.
執筆にあたっては現場で役立つ実用書をめざした.したがって,写真は顕微鏡観察時の雰囲気が感じられるように心がけ,必要に応じて異なる大きさにしている.
最後に,多くの方々から忌憚のないご意見をいただきたいと思います.皆さんと一緒に学んでいきたいと願う気持ちからであります.そして,日常細胞診業務を行っている細胞検査士,医師はもとより,広く血液疾患に関心をもつ諸氏が座右の一冊としてご利用いただければ幸いです.
2005年2月
光谷俊幸・畠山重春
細胞診断の臨床に果たす貢献度は,いまさらいうまでもない.その対象が,上皮性・非上皮性腫瘍を問わず,身体中の全臓器・組織をカバーしているということからも,うかがい知ることができる.また現在は,悪性か否かの診断価値にとどまらず,免疫細胞化学的手法をも取り入れた質的側面への応用の比重も増しており,当然ながら,細胞診関係の書籍がその進歩に追いつくべく数多く刊行されているのも事実である.
しかしながら,リンパ節についての専門書はどうかというと,極端に少ないといわざるをえない.悪性リンパ腫細胞診の講義・実習に長年携わってきたわれわれが常々不便に感じていたのが実状である.また,日常細胞診業務に携わっている細胞検査士,医師から“リンパ節疾患はむずかしい”と聞く.
免疫学的解析の進歩と相まって,この十数年間,悪性リンパ腫の分類も大がかりな改訂を余儀なくされ,Updated Kiel分類(1988,1992年)のあと,これを基礎としたREAL分類(1994年)の提唱を経て,新WHO分類(2001年)が用いられて4年目になる.未解決の問題も残されており今後改変されていくものと思われるが,リンパ腫分類の基本的なことは,病理医,臨床医に共有される分類となり,この新WHO分類が今後,国際的分類として使用されていくものと考えられる.
この時期に,この分類に沿った悪性リンパ腫を中心とした細胞診断学書が刊行されてもなんら不思議ではなく,むしろ時宜を得た自然な流れと理解している.
著者らは,出版の具体化を進める前に経験例を持ち寄り,はたして満足する種類の症例があるかどうかを検討した.その結果,日常検査に必要な症例は十分であるとの結論に達し,さっそく,われわれの意向を出版社に相談したところ快諾をいただき,本書の出版となった次第である.
執筆にあたっては現場で役立つ実用書をめざした.したがって,写真は顕微鏡観察時の雰囲気が感じられるように心がけ,必要に応じて異なる大きさにしている.
最後に,多くの方々から忌憚のないご意見をいただきたいと思います.皆さんと一緒に学んでいきたいと願う気持ちからであります.そして,日常細胞診業務を行っている細胞検査士,医師はもとより,広く血液疾患に関心をもつ諸氏が座右の一冊としてご利用いただければ幸いです.
2005年2月
光谷俊幸・畠山重春
I.リンパ節細胞診の標本作製法(畠山重春)
1.湿潤固定標本か乾燥標本か
2.穿刺吸引細胞診
3.捺印細胞診
II.リンパ節の基本構造と構成細胞(光谷俊幸・岸本浩次)
1.リンパ節の基本構造
2.リンパ装置の基本構造
3.リンパ節構成細胞の細胞像
1)小型細胞群
2)中型細胞群
3)大型細胞群
4)その他
4.リンパ球系細胞の発生と分化
1)B細胞の分化
2)T/NK細胞の分化
3)悪性リンパ腫の組織発生
III.良性リンパ節病変の細胞診(畠山重春)
1.伝染性単核〔球〕症
2.亜急性壊死性リンパ節炎
3.猫ひっかき病
4.結核性リンパ節炎
5.その他
IV.悪性リンパ腫の病理組織分類(光谷俊幸・岸本浩次)
1.悪性リンパ腫分類の変遷
1)LSG分類
2)Working Formulation(WF)分類
3)Updated Kiel分類
4)REAL分類
5)新WHO分類
6)ホジキン病分類の変遷
2.悪性リンパ腫の組織診断
1)組織診の重要性(悪性度分類)
2)悪性リンパ腫組織分類上の基本的事項
3)新WHO分類使用上のポイント(鑑別診断の進め方)
3.B細胞リンパ腫
●前駆B細胞腫瘍
1)前駆Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫
●末梢性B細胞性腫瘍
1)B細胞性慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫
2)B細胞性前リンパ球性白血病
3)リンパ形質細胞性リンパ腫
4)濾胞性リンパ腫
5)マントル細胞リンパ腫
6)節外性濾胞辺縁帯B細胞リンパ腫,粘膜関連リンパ組織型
7)節性濾胞辺縁帯B細胞リンパ腫
8)脾濾胞辺縁帯B細胞リンパ腫
9)有毛細胞白血病
10)形質細胞性腫瘍
11)びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫
12)縦隔(胸腺)大細胞型B細胞性リンパ腫
13)血管内大細胞型B細胞性リンパ腫
14)原発性滲出液リンパ腫
15)バーキットリンパ腫
16)リンパ腫様肉芽腫症
4.T細胞性腫瘍とNK細胞性腫瘍
●前駆T細胞腫瘍
1)前駆Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫
●末梢性T細胞性腫瘍
1)T細胞前リンパ球性白血病
2)T細胞大顆粒リンパ球性白血病
3)攻撃型NK細胞白血病
4)節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型
5)腸管症型T細胞リンパ腫
6)肝脾T細胞リンパ腫
7)皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫
8)菌状息肉腫/セザリー症候群
9)血管免疫芽球型T細胞リンパ腫
10)末梢性T細胞リンパ腫,非特定型
11)成人T細胞白血病/リンパ腫
12)未分化大細胞型リンパ腫,原発性全身型
13)原発性皮膚未分化大細胞型リンパ腫
5.ホジキンリンパ腫(ホジキン病)
V.悪性リンパ腫の細胞診断(畠山重春・松井武寿・岸本浩次)
1.標本観察の基礎
スクリーニングに際して
2.細胞形態の特徴と組織型の関係
●非ホジキンリンパ腫
悪性リンパ腫小細胞群
1)末梢性(成熟型)小リンパ球性リンパ腫
2)リンパ形質細胞性リンパ腫(B)
3)リンパ形質細胞性リンパ腫
悪性リンパ腫中細胞群
1)前駆Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫
2)マントル細胞リンパ腫
3)濾胞性リンパ腫
4)バーキットリンパ腫
5)形質細胞性骨髄腫/形質細胞腫
6)節外性濾胞辺縁帯B細胞リンパ腫,粘膜関連リンパ組織型
悪性リンパ腫大細胞群
1)濾胞性リンパ腫
2)びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫
悪性リンパ腫混合細胞群(多彩)
1)節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型
2)末梢性T細胞リンパ腫,非特定型
3)血管免疫芽球型T細胞リンパ腫
悪性リンパ腫多形細胞群
1)末梢性T細胞リンパ腫,非特定型
2)未分化大細胞型リンパ腫,原発性全身型
3)成人T細胞性白血病/リンパ腫
その他
1)組織球系腫瘍
2)皮膚病性リンパ節症
●ホジキンリンパ腫
3.細胞診断における免疫染色,および分子病理学的検査法
1)代表的な抗体とその特性
2)良性リンパ節病変と悪性リンパ腫の鑑別
3)悪性リンパ腫の組織型推定
4)Epstein-Barr virus(EBV)の検出;EBER RNAs-ISH法
5)悪性リンパ腫のFISH法による遺伝子解析
6)転移性腫瘍と悪性リンパ腫の鑑別
VI.転移性悪性腫瘍(畠山重春)
1.慢性・急性骨髄性白血病
2.カルチノイド転移
3.未分化癌転移
4.肺大細胞癌転移
5.胃腺癌転移
6.肺低分化扁平上皮癌転移
7.毛母腫(石灰化上皮腫)
8.胎児型横紋筋肉腫
9.悪性黒色腫転移
・索引
・和文索引
・欧文索引
1.湿潤固定標本か乾燥標本か
2.穿刺吸引細胞診
3.捺印細胞診
II.リンパ節の基本構造と構成細胞(光谷俊幸・岸本浩次)
1.リンパ節の基本構造
2.リンパ装置の基本構造
3.リンパ節構成細胞の細胞像
1)小型細胞群
2)中型細胞群
3)大型細胞群
4)その他
4.リンパ球系細胞の発生と分化
1)B細胞の分化
2)T/NK細胞の分化
3)悪性リンパ腫の組織発生
III.良性リンパ節病変の細胞診(畠山重春)
1.伝染性単核〔球〕症
2.亜急性壊死性リンパ節炎
3.猫ひっかき病
4.結核性リンパ節炎
5.その他
IV.悪性リンパ腫の病理組織分類(光谷俊幸・岸本浩次)
1.悪性リンパ腫分類の変遷
1)LSG分類
2)Working Formulation(WF)分類
3)Updated Kiel分類
4)REAL分類
5)新WHO分類
6)ホジキン病分類の変遷
2.悪性リンパ腫の組織診断
1)組織診の重要性(悪性度分類)
2)悪性リンパ腫組織分類上の基本的事項
3)新WHO分類使用上のポイント(鑑別診断の進め方)
3.B細胞リンパ腫
●前駆B細胞腫瘍
1)前駆Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫
●末梢性B細胞性腫瘍
1)B細胞性慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫
2)B細胞性前リンパ球性白血病
3)リンパ形質細胞性リンパ腫
4)濾胞性リンパ腫
5)マントル細胞リンパ腫
6)節外性濾胞辺縁帯B細胞リンパ腫,粘膜関連リンパ組織型
7)節性濾胞辺縁帯B細胞リンパ腫
8)脾濾胞辺縁帯B細胞リンパ腫
9)有毛細胞白血病
10)形質細胞性腫瘍
11)びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫
12)縦隔(胸腺)大細胞型B細胞性リンパ腫
13)血管内大細胞型B細胞性リンパ腫
14)原発性滲出液リンパ腫
15)バーキットリンパ腫
16)リンパ腫様肉芽腫症
4.T細胞性腫瘍とNK細胞性腫瘍
●前駆T細胞腫瘍
1)前駆Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫
●末梢性T細胞性腫瘍
1)T細胞前リンパ球性白血病
2)T細胞大顆粒リンパ球性白血病
3)攻撃型NK細胞白血病
4)節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型
5)腸管症型T細胞リンパ腫
6)肝脾T細胞リンパ腫
7)皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫
8)菌状息肉腫/セザリー症候群
9)血管免疫芽球型T細胞リンパ腫
10)末梢性T細胞リンパ腫,非特定型
11)成人T細胞白血病/リンパ腫
12)未分化大細胞型リンパ腫,原発性全身型
13)原発性皮膚未分化大細胞型リンパ腫
5.ホジキンリンパ腫(ホジキン病)
V.悪性リンパ腫の細胞診断(畠山重春・松井武寿・岸本浩次)
1.標本観察の基礎
スクリーニングに際して
2.細胞形態の特徴と組織型の関係
●非ホジキンリンパ腫
悪性リンパ腫小細胞群
1)末梢性(成熟型)小リンパ球性リンパ腫
2)リンパ形質細胞性リンパ腫(B)
3)リンパ形質細胞性リンパ腫
悪性リンパ腫中細胞群
1)前駆Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫
2)マントル細胞リンパ腫
3)濾胞性リンパ腫
4)バーキットリンパ腫
5)形質細胞性骨髄腫/形質細胞腫
6)節外性濾胞辺縁帯B細胞リンパ腫,粘膜関連リンパ組織型
悪性リンパ腫大細胞群
1)濾胞性リンパ腫
2)びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫
悪性リンパ腫混合細胞群(多彩)
1)節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型
2)末梢性T細胞リンパ腫,非特定型
3)血管免疫芽球型T細胞リンパ腫
悪性リンパ腫多形細胞群
1)末梢性T細胞リンパ腫,非特定型
2)未分化大細胞型リンパ腫,原発性全身型
3)成人T細胞性白血病/リンパ腫
その他
1)組織球系腫瘍
2)皮膚病性リンパ節症
●ホジキンリンパ腫
3.細胞診断における免疫染色,および分子病理学的検査法
1)代表的な抗体とその特性
2)良性リンパ節病変と悪性リンパ腫の鑑別
3)悪性リンパ腫の組織型推定
4)Epstein-Barr virus(EBV)の検出;EBER RNAs-ISH法
5)悪性リンパ腫のFISH法による遺伝子解析
6)転移性腫瘍と悪性リンパ腫の鑑別
VI.転移性悪性腫瘍(畠山重春)
1.慢性・急性骨髄性白血病
2.カルチノイド転移
3.未分化癌転移
4.肺大細胞癌転移
5.胃腺癌転移
6.肺低分化扁平上皮癌転移
7.毛母腫(石灰化上皮腫)
8.胎児型横紋筋肉腫
9.悪性黒色腫転移
・索引
・和文索引
・欧文索引








