序文
これまで医歯薬出版から,「バスキュラーアクセス超音波テキスト」と「実践シャントエコー」の2冊のテキストを出版させていただいた.これらのテキストは,主に検査室において,医師や臨床検査技師が使用するエコーを念頭におき,編集・執筆した.しかしその後,この数年で,透析施設においてバスキュラーアクセスのエコー検査が急速に普及してきた.その担い手となっているのは,臨床工学技士や看護師などの透析スタッフである.
透析スタッフは,臨床検査技師とは違った視点,すなわち穿刺する対象としてシャントをとらえている.穿刺困難,脱血不良あるいはシャント閉塞はまさしくその日に血液透析が行えるかどうかにかかわる問題であり,より切迫した場面でエコーを必要としている.そのような状況で,どのようにシャントエコーを使用していくか,その具体的な方法については今までのテキストでは十分に記載することができず,新たなテキストの編集を模索していた.
本書は,透析スタッフが透析施設で使用するエコーを主眼として編集した.シャントの解剖や基本的なプローブの走査法,また機能評価・形態評価についての手技や考え方について解説していただいた.特に,穿刺におけるエコーの使用法については,穿刺前の血管の確認から,エコーガイド下穿刺,穿刺後の針の修復などを詳細に記載していただいた.
透析スタッフのなかには,いままでプローブをもったことのない方もいるであろう.まずは本書で,基本的な考え方や技術を習得してほしい.ただ,どれほどテキストで勉強しても,エコーの技術は上達しない.プローブを微調整し,脳と手の動きを連動させなければならない.そういう意味では,エコーは自転車と似ている.一度自転車に乗れるようになったら一生乗ることができるように,エコーも一度その技術を身につければ,一生大きな武器となる.本書で基本を身につけたら,さっそくプローブをもつこと,そこから出発してもらいたい.最初は戸惑うかもしれないが,エコーは試行錯誤することでしかマスターしえない.
視診・触診・聴診だけでは伝えきれなかった所見も,エコーを用いてシャントをマッピングすることで正しく伝わり,情報共有が可能となる.透析施設におけるスタッフ間の連携,さらに透析施設間での連携として,今後エコーの情報はさらに有用となってくるであろう.それぞれの施設で,エコーを核としたシャント管理法を構築してほしい.
本書の出版に際し,忙しい臨床の場で活躍されながら執筆していただいた先生方に,この場を借りて心よりお礼を申し上げる.また,編集作業をはじめとして多大なる協力をいただいた医歯薬出版のスタッフの皆様に深謝する.
シャントは血液透析のアキレス腱ともいわれるが,患者さんにとっては命綱といってもよい.本書を通して,多くの透析スタッフにエコーをマスターしてもらいたい.そして,一人でも多くの患者さんのシャントが救われ,安心して血液透析が受けられることを願っている.
2017年 5月 春口洋昭
これまで医歯薬出版から,「バスキュラーアクセス超音波テキスト」と「実践シャントエコー」の2冊のテキストを出版させていただいた.これらのテキストは,主に検査室において,医師や臨床検査技師が使用するエコーを念頭におき,編集・執筆した.しかしその後,この数年で,透析施設においてバスキュラーアクセスのエコー検査が急速に普及してきた.その担い手となっているのは,臨床工学技士や看護師などの透析スタッフである.
透析スタッフは,臨床検査技師とは違った視点,すなわち穿刺する対象としてシャントをとらえている.穿刺困難,脱血不良あるいはシャント閉塞はまさしくその日に血液透析が行えるかどうかにかかわる問題であり,より切迫した場面でエコーを必要としている.そのような状況で,どのようにシャントエコーを使用していくか,その具体的な方法については今までのテキストでは十分に記載することができず,新たなテキストの編集を模索していた.
本書は,透析スタッフが透析施設で使用するエコーを主眼として編集した.シャントの解剖や基本的なプローブの走査法,また機能評価・形態評価についての手技や考え方について解説していただいた.特に,穿刺におけるエコーの使用法については,穿刺前の血管の確認から,エコーガイド下穿刺,穿刺後の針の修復などを詳細に記載していただいた.
透析スタッフのなかには,いままでプローブをもったことのない方もいるであろう.まずは本書で,基本的な考え方や技術を習得してほしい.ただ,どれほどテキストで勉強しても,エコーの技術は上達しない.プローブを微調整し,脳と手の動きを連動させなければならない.そういう意味では,エコーは自転車と似ている.一度自転車に乗れるようになったら一生乗ることができるように,エコーも一度その技術を身につければ,一生大きな武器となる.本書で基本を身につけたら,さっそくプローブをもつこと,そこから出発してもらいたい.最初は戸惑うかもしれないが,エコーは試行錯誤することでしかマスターしえない.
視診・触診・聴診だけでは伝えきれなかった所見も,エコーを用いてシャントをマッピングすることで正しく伝わり,情報共有が可能となる.透析施設におけるスタッフ間の連携,さらに透析施設間での連携として,今後エコーの情報はさらに有用となってくるであろう.それぞれの施設で,エコーを核としたシャント管理法を構築してほしい.
本書の出版に際し,忙しい臨床の場で活躍されながら執筆していただいた先生方に,この場を借りて心よりお礼を申し上げる.また,編集作業をはじめとして多大なる協力をいただいた医歯薬出版のスタッフの皆様に深謝する.
シャントは血液透析のアキレス腱ともいわれるが,患者さんにとっては命綱といってもよい.本書を通して,多くの透析スタッフにエコーをマスターしてもらいたい.そして,一人でも多くの患者さんのシャントが救われ,安心して血液透析が受けられることを願っている.
2017年 5月 春口洋昭
序文(春口洋昭)
1章 総論
I 透析スタッフとVA管理,透析室におけるVAエコーの必要性(村上 淳)
1 透析スタッフによるVA管理
1)理学所見
2)実血液ポンプ流量の測定
3)VA血流量測定
4)静脈圧の測定
5)VA再循環率測定
6)クリアランスギャップ
7)超音波診断装置(エコー)
2 透析室における超音波診断装置の必要性
1)臨床工学技士会のアンケートから 2)透析室におけるエコー普及の理由
2章 各論
I バスキュラーアクセスの基礎
1.シャントの解剖
AVF(廣谷紗千子)
1 全身の血液分布
2 動脈・静脈の種類,血管径,血管壁厚,特徴,名称
1)弾性型動脈
2)筋型動脈
3)細動脈,毛細血管,細静脈
4)静脈
5)大静脈
3 心臓および動静脈各部位での血圧
4 上肢の動脈
5 上肢の静脈
6 内シャントの構造
AVG(末光浩太郎)
1 AVG適応
2 AVGデザイン
1)植え込み部位,形態
2)流入動脈 3)流出静脈
4)人工血管種類
3 開存率
4 開存率に影響する可能性がある因子
1)グラフトの種類 2)ヘパリンボンディングの有無 3)内服の有無
5 管理
1)診察 2)超音波検査
6 術後合併症
1)狭窄
2)感染
3)スチール症候群
4)静脈高血圧
5)血清腫
2.VAのモニタリングとサーベイランス
モニタリング(理学所見)(野口智永)
1 理学所見のとり方
1)視診 2)触診 3)聴診
2 理学所見をとる際のポイント
1)AVF 2)AVG
サーベイランス(エコー以外)(小野淳一)
1 VA機能のモニタリング・サーベイランスとは
2 VA機能に関するサーベイランス指標
1)実血流量 2)再循環 3)透析量の質的管理法:クリアランスギャップ
3 VAIVT施行前後におけるモニタリング・サーベイランス指標の実際
II VAエコーの基礎
1.透析室で使用するために必要な超音波検査機器の機能八鍬恒芳)
1 超音波機器の種類と用途
1)汎用機器 2)ノートブック型の小型機器 3)ハンディータイプの小型機器
2 透析室で使用されるプローブの種類と用途
1)中心周波数9MHz前後の高周波リニア型プローブ
2)中心周波数12〜15MHz前後の高周波リニア型プローブ
3)その他のプローブ
3 透析室に必要な超音波の主な機能
1)Bモード断層像の調整に必要な設定項目
2)カラードプラの調整に必要な設定項目
3)パルスドプラの調整に必要な設定項目
2.基本的なプローブ走査(小林大樹)
1 プローブの持ち方とエコー像
1)縦断像および横断像
2)側面からの走査
3)血管分岐部の描出
4)背側枝の描出
5)蛇行
2 装置の設定
1)プローブマークと画面表示 2)フォーカス 3)ゲイン
3.感染対策(木船和弥)
1 透析室でエコー装置を使うには
1)透析療法における血液汚染 2)エコー装置本体への血液汚染のリスク
2 交差感染対策−エコー装置本体
1)エコー装置の汚染源
2)透析室以外での清拭・消毒
3)透析室における清拭・消毒
4)血液汚染を考えた装置選び
3 交差感染対策−プローブの使用前
1)流水での洗浄と消毒 2)プローブカバー
4 交差感染対策−エコーガイド下穿刺
1)滅菌ゼリーや滅菌プローブカバーの使用
2)代用品
3)カバー装着法のコツと実際
5 交差感染対策−プローブの使用後
III 機能評価と形態評価
1.シャント機能評価
機能評価の基本(山本裕也)
1 機能評価の実際
2 計測部位
1)AVF 2)AVG
3 各評価項目の算出
1)血流量 2)血管抵抗指数(RI) 3)収縮期加速時間(AT)
4 血流量測定における誤差要因
5 上腕動脈高位分岐症例における機能評価
1)頻度 2)確認法 3)機能評価法
6 不整脈を有する症例における機能評価
透析中の機能評価(人見泰正)
1 透析中のシャント機能評価の信頼性
2 透析中に行う血流機能評価の利点・欠点と注意点
1)利点 2)欠点と注意点
3 透析中の血流機能評価の手順
4 血流機能評価を行ううえでの注意点
5 透析中に行うVA管理の運用(例)
1)VA管理運用フロー 2)治療介入
6 VA管理における血流機能評価の位置づけ
機能評価の意味(小川智也)
1 機能評価が注目されるまで
2 機能評価と測定部位
3 機能評価をどのように活かすか
2.シャント形態評価(真部美穂・三木 俊)
1 狭窄
1)注意点
2 症例からみる形態評価法の実際
3.機能評価・形態評価をどのように治療に活かすか(尾上篤志)
1 形態評価の有用性を理解する
2 機能評価を行ううえでの注意点
1)過大評価と過小評価 2)オートトレースと計測ソフト
3 無症候性機能不全の発症と対策
1)無症候性機能不全とは 2)症例 3)VA管理のフローチャート
IV マッピング
1.マッピングの意義(鈴木 敦)
1 シャントマップ作成,活用法
2 情報管理法
2.理学所見でのマッピング(若林正則)
1 動脈か静脈か
2 静脈弁の評価
3 分枝の評価
4 狭窄病変の評価
5 透析時の所見
6 狭窄病変の部位別所見
1)動脈内狭窄,吻合部付近の狭窄 2)中間部狭窄 3)中枢狭窄
7 瘤,仮性瘤,血管拡張
3.エコーを用いたマッピング(鈴木雄太)
1 当院透析室でのVAマッピング
1)マッピングの頻度 2)新規導入患者のマッピング 3)VA情報書の作成
2 マッピングの実際
1)上肢自己血管内シャント(AVF)
2)人工血管内シャント(AVG)
3)表在化動脈
4)VA情報書の作成
5)VAマッピングの限界
V 穿刺とエコー
1.穿刺前の理学所見による血管評価(瀧澤亜由美)
1 穿刺前に理学所見をとる意義
2 穿刺前理学所見のポイント
3 理学所見をとる
1)視診 2)聴診 3)触診
2.穿刺前のエコーによる血管評価(真崎優樹・平山遼一・下池英明)
1 穿刺困難の原因および対策
2 エコーでの評価項目
3 穿刺が容易な血管のエコー所見
4 穿刺困難の原因別エコー所見およびその対策
1)血流不良 2)血管の問題
3.エコーガイド下穿刺
基本的要素と機器の選択(人見泰正)
1 姿勢
2 駆血と血管固定
3 刺入針の角度,速度
4 機器の選択
短軸法(若山功治)
1 短軸法の利点と欠点
2 短軸法における穿刺針のみえ方
3 短軸法におけるプローブ走査
4 短軸法によるエコーガイド下穿刺の実際
長軸法(佐藤純彦)
1 穿刺困難の要因
2 長軸法と短軸法
1)長軸法の概要
2)長軸法によるエコーガイド下穿刺症例
3)長軸法の長所
4)長軸法の短所 5)長軸法と短軸法
3 エコーガイド下穿刺(長軸法)の実際
1)必要物品 2)プローブの準備 3)エコーガイド下穿刺手順
短軸法と長軸法のミックス(木船和弥)
1 短軸法から長軸法に切り替える必要がある事例
1)血管の走行(横・深さ方向)
2)蛇行する上腕動脈表在化血管における短軸法と長軸法の繰り返し
3)長軸像のまま針先と血管走行を平行にする方法
2 エコーガイド下穿刺の基本技術習得における3つの工夫
1)必要とする穿刺針の刺入角度を再現できる
2)1人でエコーガイド下穿刺ができる
3)短軸で血管中央を穿刺針が確実にとらえることができる
3 短軸像から長軸像にプローブを清潔に持ちかえるには
4.エコーガイド下針先修正(安部貴之)
1 エコーガイド下針先修正の目的
1)抜針の判断 2)修正の方法
2 エコーの有用点
5.エコーガイド下穿刺におけるシミュレーターの活用(鎌田 正)
1 自分の腕をエコーで観察
2 自作シミュレーター作製法
3 市販シミュレーター
4 訓練法
1)訓練の手順 2)シミュレーターの特性
5 評価法
6 “穿刺のプロ”としての心構え
6.エコー穿刺マニュアルの作成と活用(下池英明・平山遼一・真崎優樹)
1 エコー穿刺マニュアルの作成
1)ブラインド穿刺とエコー穿刺の比較
2)エコー穿刺の適応
3)プローブの準備
4)エコー機器配置
5)画像表示の方向の統一
6)長軸法,短軸法の特徴と使い分け
7)穿刺法(短軸法)
8)エコー穿刺のポイント:針の先端を描出
9)プローブの片付け
2 エコー穿刺マニュアルの活用
7.エコーガイド下穿刺におけるスタッフ教育(高森佳代)
1 エコーガイド下穿刺教育プログラムの概要
2 プログラムを使用したスタッフ教育
1)STEP 1 2)STEP 2 3)STEP 3 4)STEP 4
3 教育プログラムの有用性と限界
VI 治療における臨床工学技士の役割
1.透視下PTA(赤松 眞)
1 治療の概要
1)血管造影 2)造影下PTA
2 PTAに必要な機器と機材
3 臨床工学技士の役割
1)患者入室から治療開始まで
2)造影用留置針の留置
3)シャント造影
4)PTA
5)PTA終了後
4 透視併用下のエコー下PTA
2.エコーガイド下PTA(佐久間宏治)
1 エコー下PTAの適応
2 エコー下PTAにおける臨床工学技士(CE)の役割
1)患者入室前の準備 2)患者入室からPTAまでの準備
3)当院におけるエコー下PTAの手順
3章 これからのVAエコー
I VAエコーを用いたチーム連携と情報共有(松田政二)
1 VAにおけるチーム連携とは
1)チーム連携の必要性 2)チーム連携によるVA管理の流れ
2 透析室でのエコーを用いたVA評価
1)エコーを用いたVA管理の流れと要点 2)VAレポートの作成
3 VAカルテによる情報の共有
1)VAカルテの有用性 2)VAカルテ運用の注意点
4 VA管理ノート
5 VA管理システムの構築
1)モニタリングとサーベイランス 2)当院におけるVA管理システム
3)クリニカルパスとフローチャート 4)電子化
II 透析室におけるこれからのVAエコーの活用法(春口洋昭)
1 穿刺におけるエコー
2 機能と形態を把握するためのエコー
3 透析スタッフの役割とトレーニング方法
4 エコー装置をすべての透析施設に
索引
1章 総論
I 透析スタッフとVA管理,透析室におけるVAエコーの必要性(村上 淳)
1 透析スタッフによるVA管理
1)理学所見
2)実血液ポンプ流量の測定
3)VA血流量測定
4)静脈圧の測定
5)VA再循環率測定
6)クリアランスギャップ
7)超音波診断装置(エコー)
2 透析室における超音波診断装置の必要性
1)臨床工学技士会のアンケートから 2)透析室におけるエコー普及の理由
2章 各論
I バスキュラーアクセスの基礎
1.シャントの解剖
AVF(廣谷紗千子)
1 全身の血液分布
2 動脈・静脈の種類,血管径,血管壁厚,特徴,名称
1)弾性型動脈
2)筋型動脈
3)細動脈,毛細血管,細静脈
4)静脈
5)大静脈
3 心臓および動静脈各部位での血圧
4 上肢の動脈
5 上肢の静脈
6 内シャントの構造
AVG(末光浩太郎)
1 AVG適応
2 AVGデザイン
1)植え込み部位,形態
2)流入動脈 3)流出静脈
4)人工血管種類
3 開存率
4 開存率に影響する可能性がある因子
1)グラフトの種類 2)ヘパリンボンディングの有無 3)内服の有無
5 管理
1)診察 2)超音波検査
6 術後合併症
1)狭窄
2)感染
3)スチール症候群
4)静脈高血圧
5)血清腫
2.VAのモニタリングとサーベイランス
モニタリング(理学所見)(野口智永)
1 理学所見のとり方
1)視診 2)触診 3)聴診
2 理学所見をとる際のポイント
1)AVF 2)AVG
サーベイランス(エコー以外)(小野淳一)
1 VA機能のモニタリング・サーベイランスとは
2 VA機能に関するサーベイランス指標
1)実血流量 2)再循環 3)透析量の質的管理法:クリアランスギャップ
3 VAIVT施行前後におけるモニタリング・サーベイランス指標の実際
II VAエコーの基礎
1.透析室で使用するために必要な超音波検査機器の機能八鍬恒芳)
1 超音波機器の種類と用途
1)汎用機器 2)ノートブック型の小型機器 3)ハンディータイプの小型機器
2 透析室で使用されるプローブの種類と用途
1)中心周波数9MHz前後の高周波リニア型プローブ
2)中心周波数12〜15MHz前後の高周波リニア型プローブ
3)その他のプローブ
3 透析室に必要な超音波の主な機能
1)Bモード断層像の調整に必要な設定項目
2)カラードプラの調整に必要な設定項目
3)パルスドプラの調整に必要な設定項目
2.基本的なプローブ走査(小林大樹)
1 プローブの持ち方とエコー像
1)縦断像および横断像
2)側面からの走査
3)血管分岐部の描出
4)背側枝の描出
5)蛇行
2 装置の設定
1)プローブマークと画面表示 2)フォーカス 3)ゲイン
3.感染対策(木船和弥)
1 透析室でエコー装置を使うには
1)透析療法における血液汚染 2)エコー装置本体への血液汚染のリスク
2 交差感染対策−エコー装置本体
1)エコー装置の汚染源
2)透析室以外での清拭・消毒
3)透析室における清拭・消毒
4)血液汚染を考えた装置選び
3 交差感染対策−プローブの使用前
1)流水での洗浄と消毒 2)プローブカバー
4 交差感染対策−エコーガイド下穿刺
1)滅菌ゼリーや滅菌プローブカバーの使用
2)代用品
3)カバー装着法のコツと実際
5 交差感染対策−プローブの使用後
III 機能評価と形態評価
1.シャント機能評価
機能評価の基本(山本裕也)
1 機能評価の実際
2 計測部位
1)AVF 2)AVG
3 各評価項目の算出
1)血流量 2)血管抵抗指数(RI) 3)収縮期加速時間(AT)
4 血流量測定における誤差要因
5 上腕動脈高位分岐症例における機能評価
1)頻度 2)確認法 3)機能評価法
6 不整脈を有する症例における機能評価
透析中の機能評価(人見泰正)
1 透析中のシャント機能評価の信頼性
2 透析中に行う血流機能評価の利点・欠点と注意点
1)利点 2)欠点と注意点
3 透析中の血流機能評価の手順
4 血流機能評価を行ううえでの注意点
5 透析中に行うVA管理の運用(例)
1)VA管理運用フロー 2)治療介入
6 VA管理における血流機能評価の位置づけ
機能評価の意味(小川智也)
1 機能評価が注目されるまで
2 機能評価と測定部位
3 機能評価をどのように活かすか
2.シャント形態評価(真部美穂・三木 俊)
1 狭窄
1)注意点
2 症例からみる形態評価法の実際
3.機能評価・形態評価をどのように治療に活かすか(尾上篤志)
1 形態評価の有用性を理解する
2 機能評価を行ううえでの注意点
1)過大評価と過小評価 2)オートトレースと計測ソフト
3 無症候性機能不全の発症と対策
1)無症候性機能不全とは 2)症例 3)VA管理のフローチャート
IV マッピング
1.マッピングの意義(鈴木 敦)
1 シャントマップ作成,活用法
2 情報管理法
2.理学所見でのマッピング(若林正則)
1 動脈か静脈か
2 静脈弁の評価
3 分枝の評価
4 狭窄病変の評価
5 透析時の所見
6 狭窄病変の部位別所見
1)動脈内狭窄,吻合部付近の狭窄 2)中間部狭窄 3)中枢狭窄
7 瘤,仮性瘤,血管拡張
3.エコーを用いたマッピング(鈴木雄太)
1 当院透析室でのVAマッピング
1)マッピングの頻度 2)新規導入患者のマッピング 3)VA情報書の作成
2 マッピングの実際
1)上肢自己血管内シャント(AVF)
2)人工血管内シャント(AVG)
3)表在化動脈
4)VA情報書の作成
5)VAマッピングの限界
V 穿刺とエコー
1.穿刺前の理学所見による血管評価(瀧澤亜由美)
1 穿刺前に理学所見をとる意義
2 穿刺前理学所見のポイント
3 理学所見をとる
1)視診 2)聴診 3)触診
2.穿刺前のエコーによる血管評価(真崎優樹・平山遼一・下池英明)
1 穿刺困難の原因および対策
2 エコーでの評価項目
3 穿刺が容易な血管のエコー所見
4 穿刺困難の原因別エコー所見およびその対策
1)血流不良 2)血管の問題
3.エコーガイド下穿刺
基本的要素と機器の選択(人見泰正)
1 姿勢
2 駆血と血管固定
3 刺入針の角度,速度
4 機器の選択
短軸法(若山功治)
1 短軸法の利点と欠点
2 短軸法における穿刺針のみえ方
3 短軸法におけるプローブ走査
4 短軸法によるエコーガイド下穿刺の実際
長軸法(佐藤純彦)
1 穿刺困難の要因
2 長軸法と短軸法
1)長軸法の概要
2)長軸法によるエコーガイド下穿刺症例
3)長軸法の長所
4)長軸法の短所 5)長軸法と短軸法
3 エコーガイド下穿刺(長軸法)の実際
1)必要物品 2)プローブの準備 3)エコーガイド下穿刺手順
短軸法と長軸法のミックス(木船和弥)
1 短軸法から長軸法に切り替える必要がある事例
1)血管の走行(横・深さ方向)
2)蛇行する上腕動脈表在化血管における短軸法と長軸法の繰り返し
3)長軸像のまま針先と血管走行を平行にする方法
2 エコーガイド下穿刺の基本技術習得における3つの工夫
1)必要とする穿刺針の刺入角度を再現できる
2)1人でエコーガイド下穿刺ができる
3)短軸で血管中央を穿刺針が確実にとらえることができる
3 短軸像から長軸像にプローブを清潔に持ちかえるには
4.エコーガイド下針先修正(安部貴之)
1 エコーガイド下針先修正の目的
1)抜針の判断 2)修正の方法
2 エコーの有用点
5.エコーガイド下穿刺におけるシミュレーターの活用(鎌田 正)
1 自分の腕をエコーで観察
2 自作シミュレーター作製法
3 市販シミュレーター
4 訓練法
1)訓練の手順 2)シミュレーターの特性
5 評価法
6 “穿刺のプロ”としての心構え
6.エコー穿刺マニュアルの作成と活用(下池英明・平山遼一・真崎優樹)
1 エコー穿刺マニュアルの作成
1)ブラインド穿刺とエコー穿刺の比較
2)エコー穿刺の適応
3)プローブの準備
4)エコー機器配置
5)画像表示の方向の統一
6)長軸法,短軸法の特徴と使い分け
7)穿刺法(短軸法)
8)エコー穿刺のポイント:針の先端を描出
9)プローブの片付け
2 エコー穿刺マニュアルの活用
7.エコーガイド下穿刺におけるスタッフ教育(高森佳代)
1 エコーガイド下穿刺教育プログラムの概要
2 プログラムを使用したスタッフ教育
1)STEP 1 2)STEP 2 3)STEP 3 4)STEP 4
3 教育プログラムの有用性と限界
VI 治療における臨床工学技士の役割
1.透視下PTA(赤松 眞)
1 治療の概要
1)血管造影 2)造影下PTA
2 PTAに必要な機器と機材
3 臨床工学技士の役割
1)患者入室から治療開始まで
2)造影用留置針の留置
3)シャント造影
4)PTA
5)PTA終了後
4 透視併用下のエコー下PTA
2.エコーガイド下PTA(佐久間宏治)
1 エコー下PTAの適応
2 エコー下PTAにおける臨床工学技士(CE)の役割
1)患者入室前の準備 2)患者入室からPTAまでの準備
3)当院におけるエコー下PTAの手順
3章 これからのVAエコー
I VAエコーを用いたチーム連携と情報共有(松田政二)
1 VAにおけるチーム連携とは
1)チーム連携の必要性 2)チーム連携によるVA管理の流れ
2 透析室でのエコーを用いたVA評価
1)エコーを用いたVA管理の流れと要点 2)VAレポートの作成
3 VAカルテによる情報の共有
1)VAカルテの有用性 2)VAカルテ運用の注意点
4 VA管理ノート
5 VA管理システムの構築
1)モニタリングとサーベイランス 2)当院におけるVA管理システム
3)クリニカルパスとフローチャート 4)電子化
II 透析室におけるこれからのVAエコーの活用法(春口洋昭)
1 穿刺におけるエコー
2 機能と形態を把握するためのエコー
3 透析スタッフの役割とトレーニング方法
4 エコー装置をすべての透析施設に
索引