やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第3版 序
 本書も第3版を重ねることになった.第2版が出た後の7年間にみられた超音波検査法の進歩,新技術の開発についても,それまでに勝るとも劣らず目覚しい.しかるに,版を重ねるにあたっての最も大きな変化は,超音波検査法の裾野がこの数年で大きく広がったことであろう.この7年の間に超音波検査士認定試験の分野として「健診」(2006年度),「血管」(2008年度)が追加された.そして,いずれの分野も受験者数は現在では年間100名を大きく超えるにいたっている.学会としても,そのような状況をふまえ,より適切な学習の資料として本書を改訂することにした.
 本書の改訂にあたっては,2004年から2008年(第19回〜第23回超音波検査士認定試験)の既出問題のなかから適切と考えられるものを各領域の検査士制度委員の先生方に抽出してもらった.さらに,第2版までは問題と解答を記しただけであったが,本書により学習の一層の効率化が図れることを期待し,この第3版においては,解答に加え,簡単な解説を加えてもらった.また,この数年の間に設問形式に関しても大きな改革があった.そこで,古い形式の問題については,内容を変えないように配慮しながら新形式に変更し,読者への便宜を図った.
 本書の刊行にあたっては,検査士制度委員会委員,検査士認定試験委員会委員諸氏の協力をいただいた.とりわけ,2008年〜2009年度の検査士制度委員の先生方には多大なご努力を頂戴し感謝にたえない.また,医歯薬出版のご担当諸氏,日本超音波医学会事務局諸氏のご助力なしには本書を刊行することはできなかった.刊行に携わったすべての方がたに深甚なる謝意を表して序文としたい.
 2009年8月
 社団法人日本超音波医学会認定超音波検査士制度委員会

第2版 序
 本書が生まれた経緯については,第1版の教育委員会による序文に詳しい.その初版が第1回超音波検査士認定試験のあと8年で刊行され,それからまた8年が経過した今日,多くの方がたから本書の改訂についての強い要望が学会に寄せられるに至った.一時停滞したかに思えた超音波検査法の進歩も最近の発展は目覚ましく,カラードプラ法のroutine化,3-Dやハーモニック画像のような新しい技術の導入など,検査に携わる者に要求される知識の内容にも大きな変化がみられるようになった.学会としてもその現状をふまえて,より適切な勉強の資料として本書の改訂に当たることとなった.
 本書は,主として初版のあとの1995年から2002年(第10回〜第17回検査士認定試験)の既出問題のなかから適切と考えられるものを各領域120問前後抜粋したものである.
 日本超音波医学会における超音波検査士の位置づけも時代とともに変化してきた.かつては教育委員会がこれに関わる業務を行っていたが,1998年からは超音波検査士制度委員会が教育委員会から独立して,検査士および検査士を目指すコ・メディカルに関わるすべての任に当たることとなった.検査士認定試験については年とともに受験者数が増し,現在では約1,000名が東西の2会場に分かれて受験する状況である.今後検査士がさらに増えることは確実で,社会的にその地位が認知されることが期待される.日常診療における検査士の役割の重要性は一層増すことが予想されると同時に,その責任はさらに重くなるものと考えられる.研鑽に励み,実力の向上に努めていただきたい.本書がそのよすがとなることを願ってやまない.
 本書の刊行に当たっては検査士制度委員会委員,検査士認定試験委員会委員諸氏のご協力をいただいた.とりわけ2000年〜2001年度の検査士制度委員の先生には多大のご努力を頂戴し感謝にたえない.また医歯薬出版(株)のご担当諸氏,日本超音波医学会事務局諸氏のご助力なしには本書を刊行することはできなかった.刊行に携わったすべての方に深甚なる謝意を表して序文としたい.
 2002年5月
 社団法人日本超音波医学会認定超音波検査士制度委員会

第1版 序
 今日の臨床医学,医療は,医師のみならず看護婦(士),臨床検査技師,診療放射線技師をはじめ多くのコメディカルワーカーそれぞれの専門的知識,技能,経験に基づいて支えられている.また,電子工学理論やいわゆるME技術の医学分野への導入により,多くの検査法が開発されて診断学の進歩がもたらされたため,断片的な知識あるいは技術しか持ち合わせない医療従事者ではとうてい対応不可能なほどに,診療の高度化および専門化が進んでいる.なかんずく,超音波医学のように学際的な,しかも最先端の学問領域では,日常的にお互いに得意とするところを責任をもって分担し合ってはじめて適正かつ最新の診療が実行される.
 社団法人日本超音波医学会認定「超音波検査士」は,日本超音波医学会が超音波検査の優れた技能を有するコメディカルスタッフを専門の検査士として認定する資格であり,超音波医学の深い知識と優秀な検査技術を保持していることを広く認定・公示するものである.超音波検査の施行にはその特殊性,多様性に適応できる豊富な知識と高度の技術が必要であることから,これに専門的に従事しようとするコメディカルスタッフに対しては適格な指導医による一定期間以上の教育と訓練を要する.こうした専門技師の養成は国家的規模において実施されるのが望ましいが,本学会は1981年11月に「超音波検査に従事する技師に関する見解」を明らかにし,学会として独自にそうした能力の所持者を養成して審査のうえ認定しその資格維持を奨励することが必要と考えた.そして1984年11月には「超音波検査士」認定試験を定期的に施行しこれを推進することにした.このような経緯を経て,「超音波検査士」に関する諸規約が1991年3月に制定され,今日に至っている.
 「超音波検査士」に要求されているのは,超音波検査の実務能力,すなわち実際に探触子を操作して検査を行い,その所見を報告書として作成しうるに十分な知識・技能であり,膨大な検査件数をこなすための単なる労働要員と期待されているわけではない.1985年6月の第一回認定試験以来,1994年2月の第九回認定試験までに誕生した延1,131名(実質902名の資格保持者,1994年8月現在)の「超音波検査士」は,全国各地で超音波検査の普及・発展の担い手として精力的に活動されている.超音波検査における医師と検査士の役割を正しく認識し,新しい知識やニーズを知って技術レベルの向上に努め,よりよい医療の実現に邁進するならば,「超音波検査士」の評価は自ずから高まって行くであろう.「超音波検査士」(英文名:JSUM Registered Medical Sonographer;略称RMS)であることを名乗り,誇りをもって大いにご活躍いただきたい.また,この資格自体がコメディカルワーカーの中でも熱意ある者が受験する試験としてますます存在感のあるものに育ってきており,この分野での努力目標の一つとして定着しつつあることを慶ばしく思う.
 「超音波検査士」が保持すべき医用超音波の基礎および超音波医学の臨床的知識と検査技術のレベルはどの程度が妥当であるかについては,本学会教育委員会において繰り返し議論されてきた.しかし,これに一定の見解を打ち出すことは容易ではない.認定試験における成績は,受験者が増加の一途を辿ってきた最近3年間の平均点でみると,35点満点で医用超音波の基礎領域は約20〜24点,各臨床領域は約22〜28点で,全体としての合格率は各回約49〜73%となっている.出題と合否判定を担当した試験委員にとって,これらは予想した以上に高い正答率であった.すなわち,本認定試験に合格した検査士は試験委員を十分に満足させる優れた知識能力を持っていると考えられる.
 ところで,1991年の第六回試験までは筆記試験とともに面接試験を実施して,実務能力の有無も併せて判定していた.しかし,受験者数の増加のため,これに代わるものとして臨床実績の提出を義務づけることになった.すなわち,本学会が指定する超音波専門医研修施設またはそれに準ずる施設において超音波専門医をはじめとする適格な指導者のもとで,一定の実地研修を積んでいただくことを期待している.また,日常当該業務に従事している場合はもちろん,職場のローテーション等で一時的に当該業務から遠ざかっている場合や検診業務等の従事者あるいはメーカー等の営業技術要員として従事している場合も,一定期間,一定条件下で有所見患者の検査に身近に触れ,直接読影する習練を十分経験しておいていただきたい,と願っている.
 本書は,全ての受験者に公正でかつ具体的な学習目標を設定するため1991年4月に刊行された社団法人日本超音波医学会編「超音波検査士試験既出問題集」を引き継いで,その増補改訂版としての役割を担っている.本書に収めた問題は,社団法人日本超音波医学会認定超音波検査士認定試験第二回(1987年2月)から第九回(1994年2月施行)までに出題された6領域全問題を底本とし,編集委員会各領域担当者によって最も基礎的かつ必須な知識を問うと思われるものが選び抜かれたものである.本書収載にあたって,年代推移により内容の一部が最新の知見に合致しないものは,原作成者の意向を損なわない程度に,現時点で最も妥当と考えられるよう編集委員会の責任において改めた.したがって本書は,「超音波検査士」をめざそうとする者はもとより,超音波専門医,超音波検査士の認定者をはじめ,超音波医学を学ぼうと志す全ての者の指針となるであろう.どうか,座右において,勉学の実を上げる惜しみない努力をかたむけられんことを切に願うものである.
 また本書は,認定試験既出選抜問題集であるとともに,本学会認定超音波検査士関連諸規約ならびに認定試験応募要項など,「超音波検査士」認定試験万般にわたる事項を収め,本試験の受験を希望する者に必要十分な内容を盛り込むべく編集した.検査士の概要を把握し,日常の臨床実績集積のための目安として役立つであろう.
 最後に,「超音波検査士」制度発足10周年の期に本書を上梓できることを,これに関わられた多くの先輩諸氏に感謝するとともに,互いに慶びをわかちあいたいと思う.超多忙な医師および工学者が文字どおり一丸となってこの試験のために参集されてきた.当初は認定試験問題および試験委員名は原則的に非公開としていたが,次のページに過去の委員のご氏名を掲げ,その労を多とし感謝したい.また,本書の成るにあたっては,医歯薬出版(株)編集部および本学会事務局員諸氏に多大の助力をいただいたことを,記して謝する.
 1994年秋菊花香る候
 社団法人日本超音波医学会教育委員会
 第3版序
 第2版序
 第1版序
 超音波検査士認定試験問題集委員会・超音波検査士認定試験委員一覧
 本書の利用にあたって
 カラー口絵
基礎
 §1.音響の原理
 §2.生体の音響特性
 §3.パルスエコー法
 §4.ドプラ法
 §5.診断装置
 §6.探触子
 §7.診断装置の操作運用
 §8.安全性・保守管理
体表臓器
 §1.頸部(除:甲状腺・副甲状腺)
 §2.唾液腺
 §3.甲状腺
 §4.副甲状腺(上皮小体)
 §5.乳房
 §6.運動器・軟部組織
 §7.その他
循環器
 §1.心臓
 §2.心膜
 §3.大動脈
 §4.大静脈
 §5.頸動脈
 §6.その他
消化器
 §1.肝臓
 §2.胆道
 §3.膵臓
 §4.消化管
 §5.脾臓
 §6.その他
泌尿器
 §1.副腎・後腹膜
 §2.腎・腎盂
 §3.尿管・膀胱
 §4.前立腺・精嚢
 §5.陰嚢内容
 §6.副甲状腺(上皮小体)
 §7.その他
産婦人科
 §1.卵巣
 §2.子宮
 §3.妊娠初期
 §4.胎児
 §5.頭・頸部
 §6.胸部
 §7.腹部
 §8.胎盤
 §9.羊水
 §10.手技
健診
血管
資料
 ・社団法人日本超音波医学会認定超音波検査士制度規則
 ・社団法人日本超音波医学会認定超音波検査士認定試験施行規程
 ・社団法人日本超音波医学会認定超音波検査士資格更新実施内規
 ・超音波検査士認定試験申請要項(見本)
  受験申請書類記入要領
  超音波検査実績臨床領域別内訳
  超音波検査士認定試験受験申込書(様式1)
  超音波検査士認定試験個人票(様式2)
  超音波検査実績(様式3の1)
  超音波検査実績 超音波診断報告書抄録(様式3の2)
  超音波検査士認定試験受験者推薦状(様式4)
  超音波検査研修申告書(様式5)
  超音波検査実績(様式3の1)記入例
  超音波検査実績 超音波診断報告書抄録(様式3の2)記入例
   体表臓器
   循環器
   消化器
   泌尿器
   産婦人科
   健診
   血管
索引

 解答・解説編別冊