やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社


 今回,Cumitechの翻訳本は血液培養,下気道感染症に続いて3冊目となる.ご存知のとおり,Cumitechのシリーズは多くの種類があり,いずれも微生物検査の指標としてまとめられ多くの方々の信頼を得ている.もし可能であればこれらのシリーズを片っ端から翻訳していけば,国内の微生物検査や感染症に関わる方々を中心に有益な情報源になると思われるが,その労力を考えるとせいぜい年に1冊程度というのが限界となっている.そこで私達がつぎにどのCumitechを翻訳するかを決める際には,微生物検査の主要な領域に関連し,かつ最近アップデートされたものを優先するようにしている.今回,その条件に見合ったのが,Cumitech 2C 「Laboratory Diagnosis of Urinary Tract Infections」であり,改訂版が2009年に出版されている.
 Cumitech 2Cの対象は尿路感染症領域で,従来翻訳していた領域と異なるため,前2冊で好評であった「訳者による参考資料」の項を今回も設け,尿路カテーテル・検査用器具の解説や,CDCガイドラインの解説を追加した.また,グラム染色像については,小栗豊子先生(亀田総合病院 臨床検査部)に,これまでの貴重なストックから本書に適した菌の画像を選び出していただき,解説とともにご提供いただいた.ここに深く感謝の意を表したい.
 本書が臨床検査技師をはじめとする多くの方々にとって有用な書籍となれば,翻訳者として望外の喜びである.
 2010年7月
 松本哲哉・満田年宏・清田 浩
 序
はじめに
臨床的な重要事項と臨床診断
 尿路感染症の重要性
 尿路感染症の種類
 病原性,常在菌叢と薬剤耐性
 診断学的なアプローチ
検体の採取
 恥骨上膀胱穿刺と導尿法
 清潔に採取した中間尿
 留置カテーテル
 小児でのバッグあるいはオムツによる採尿
 回腸導管
 他の検体採取法
検体の搬送
検査室における検体の取り扱い法
検体の詳細な検査
 臨床医と検査室の連携
 検体の詳細な検査のためのアプローチ
 検体の接種,培養,精査,結果の判定のためのガイドライン
 検体の接種と培養
 保険の償還と請求コード
結果の報告
薬剤感受性検査
迅速尿検査
 顕微鏡検査
 酵素法
細菌培養システム
検査の注意点
文献

 訳者による参考資料
 索引