発刊にあたって
日本サイトメトリー学会は,東京を中心としたFCM-Cell Biology研究会と,関西を中心とした関西フローサイトメトリー研究会を合併し,1990年(平成2年)に発足しました.
本学会は学術学会ですが,技術者を養成するために1991年よりサイトメトリー技術講習会が年1回開催されてきました.そして他の関係学会を含む6学会(日本サイトメトリー学会,日本臨床衛生検査技師会,日本臨床細胞学会,日本臨床検査医学会,日本臨床検査同学院,日本検査血液学会)と協力し,2000年に「日本サイトメトリー技術者認定協議会」を発足しました.
この技術講習会には基礎コースと応用コースの2つがあり,同時期に開催していましたが,基礎コースは日本サイトメトリー技術者認定協議会が主催し,応用コースは日本サイトメトリー学会が主催することになりました.基礎コースは毎年ほぼ同じ内容であり,毎年技術講習会会長が新しいテキストを作成していましたが,このたび日本サイトメトリー技術者認定協議会の編集で書籍として発行することになりました.
従来からフローサイトメトリーに関する多くの成書が発行されていますが,初心者にはなかなかハードルが高く敬遠されがちでした.現在,臨床検査の現場では客観的で科学的な検査データが要求されるようになっています.そのような意味では,造血器悪性腫瘍をはじめ種々の分野でフローサイトメトリー検査は非常に重要で必須の検査となっています.フローサイトメトリー検査に関する機器の進歩は目覚ましく,誰でも気軽に測定できるのはよいことですが,原理・運用など十分な教育がなされなければ解析結果を保証できない状況になりかねません.また,結果をもとに臨床的判断をする医師や,検査を外部委託している施設の検査技師にとっても,フローサイトメトリーの基本を知らなければ誤った解釈をするおそれがあります.そこで初心者にも簡単に理解でき,実践に応用できるテキストの必要性を感じました.
日本サイトメトリー技術者認定協議会の運営および講習会は長年,村上知之審議会委員長,米山彰子審議会副委員長,東 克巳カリキュラム委員長を中心として運営されていましたので,3名を編集委員として,サイトメトリー技術者講習会用の標準となるテキストを作成することになりました.東先生には,この本の趣旨に沿って企画し,出版社の選定と交渉をして頂きました.
本書がフローサイトメトリーにかかわる多くの方にとって技術的・実務的に役立つ本になるよう,また認定サイトメトリー技術者の資格に挑戦していただく方が増えるように願っています.
2009年8月日本サイトメトリー技術者認定協議会
会長 河本圭司
日本サイトメトリー学会は,東京を中心としたFCM-Cell Biology研究会と,関西を中心とした関西フローサイトメトリー研究会を合併し,1990年(平成2年)に発足しました.
本学会は学術学会ですが,技術者を養成するために1991年よりサイトメトリー技術講習会が年1回開催されてきました.そして他の関係学会を含む6学会(日本サイトメトリー学会,日本臨床衛生検査技師会,日本臨床細胞学会,日本臨床検査医学会,日本臨床検査同学院,日本検査血液学会)と協力し,2000年に「日本サイトメトリー技術者認定協議会」を発足しました.
この技術講習会には基礎コースと応用コースの2つがあり,同時期に開催していましたが,基礎コースは日本サイトメトリー技術者認定協議会が主催し,応用コースは日本サイトメトリー学会が主催することになりました.基礎コースは毎年ほぼ同じ内容であり,毎年技術講習会会長が新しいテキストを作成していましたが,このたび日本サイトメトリー技術者認定協議会の編集で書籍として発行することになりました.
従来からフローサイトメトリーに関する多くの成書が発行されていますが,初心者にはなかなかハードルが高く敬遠されがちでした.現在,臨床検査の現場では客観的で科学的な検査データが要求されるようになっています.そのような意味では,造血器悪性腫瘍をはじめ種々の分野でフローサイトメトリー検査は非常に重要で必須の検査となっています.フローサイトメトリー検査に関する機器の進歩は目覚ましく,誰でも気軽に測定できるのはよいことですが,原理・運用など十分な教育がなされなければ解析結果を保証できない状況になりかねません.また,結果をもとに臨床的判断をする医師や,検査を外部委託している施設の検査技師にとっても,フローサイトメトリーの基本を知らなければ誤った解釈をするおそれがあります.そこで初心者にも簡単に理解でき,実践に応用できるテキストの必要性を感じました.
日本サイトメトリー技術者認定協議会の運営および講習会は長年,村上知之審議会委員長,米山彰子審議会副委員長,東 克巳カリキュラム委員長を中心として運営されていましたので,3名を編集委員として,サイトメトリー技術者講習会用の標準となるテキストを作成することになりました.東先生には,この本の趣旨に沿って企画し,出版社の選定と交渉をして頂きました.
本書がフローサイトメトリーにかかわる多くの方にとって技術的・実務的に役立つ本になるよう,また認定サイトメトリー技術者の資格に挑戦していただく方が増えるように願っています.
2009年8月日本サイトメトリー技術者認定協議会
会長 河本圭司
発刊にあたって
I章 フローサイトメトリー検査の基礎知識
1 フローサイトメトリーの基本概念
1)フローサイトメトリーの概念
2)フローサイトメーターの概念
3)ソーティングの概念
2 フローサイトメーターの基本的な構造と機能
1)流路系
2)光学系
3)電気パルス処理および情報(データ)処理系
4)データ表示
5)ソーティング
II章 検体の採取と保存
1 抗凝固剤の種類と使い方
1)抗凝固剤の種類
2)抗凝固剤の使い方
3)リンパ球サブセット解析
4)赤血球膜抗原
5)血小板
6)体腔液
7)新鮮固形組織
2 検体管理
1)保存法
3 事故の防止対策
1)感染防御
2)検体の取り扱い
III章 フローサイトメトリーの検査法
1 サンプル調整
1)血液(末梢血)
2)骨髄液
3)体腔液
4)組織(新鮮固形組織)
5)培養細胞(単層培養細胞)
2 染色および測定手技
1)蛍光色素と抗体
2)機器のセットアップ
3)細胞表面抗原
4)細胞質内抗原
5)細胞核 DNA量
6)抗原と細胞核 DNA(細胞周期)との2重染色
IV章 データ解析と結果の評価
1 細胞表面抗原
1)末梢血リンパ球解析
2)造血器悪性腫瘍のimmunophenotyping
3)微小病変の検出
4)造血幹細胞移植
2 細胞核 DNA量
1)細胞周期
2)DNA aneuploidy(DA)
V章 フローサイトメトリーの応用
1 細胞内pH測定
1)フローサイトメトリーによる細胞内pH測定法の例
2 白血球貪食能検査
1)フローサイトメトリーによる白血球貪食能検査法の例
3 細胞生死判定法
1)フローサイトメトリーによる細胞生死判定法の例
4 アポトーシス判定法
1)フローサイトメトリーによるアポトーシス判定法の例
5 細胞内ミトコンドリア活性測定
1)フローサイトメトリーによるミトコンドリア膜電位の測定例
6 酵素活性の測定
7 細胞内カルシウムの測定
1)カルシウム蛍光指示薬とサンプル調製
2)使用する光学フィルターの設定(Indo-1)
3)測定と解析(Indo-1)
8 cytometric beads array(CBA)法
1)原理
2)試薬の調製
3)反応
4)機器セッティング
5)測定および解析
VI章 保守管理
1 トラブル対策
1)測定システムのトラブル
2)コンピュータのトラブル
2 メンテナンス
1)毎日
2)毎週
3)毎月
4)2カ月ごと
5)その他(適宜,必要に応じて)
VII章 業務管理
1 内部精度管理
1)標準蛍光ビーズを用いた機器精度管理
2)感度試験(分離度;陰性陽性検出性能)
3)X-R管理図(Levey-Jenningsチャート)
4)プロセスコントロール
2 外部精度管理
1)JCCLS主催サーベイ
2)有志によるサーベイの実施
3)定期外部精度管理システム
VIII章 フローサイトメトリーの具体的測定例
1 ベックマン・コールター社
1)Cytomics FC500のスタートアップ操作手順
2)Cytomics FC500の精度管理操作手順
3)Cytomics FC500のサンプル測定操作手順
4)Cytomics FC500のシャットダウン操作手順
2 BD FACSCaliburによる測定プロトコール(細胞表面マーカー解析)
1)機器のスタートアップ
2)毎日の機器精度管理
3)機器のセットアップ
4)マルチカラー解析のための蛍光補正値の設定
5)データ取り込み
6)データ解析
7)機器のシャットダウン
3 BD FACSCantoIIによる測定プロトコール(細胞表面マーカー解析)
1)機器のスタートアップおよびシャットダウン
2)毎日の機器精度管理
3)機器のセットアップ
4)データ取り込み
5)データ解析
IX章 認定サイトメトリー技術者制度
1 “日本サイトメトリー学会”の歴史
2 “日本サイトメトリー技術者認定協議会”の歴史
3 国際サイトメトリー学会
4 ISACパイオニア
5 コンサルテーション
1)施設内コンサルテーション
2)施設外コンサルテーション
6 教育とトレーニング
1)教育の場と指導者,カリキュラム
2)教育効果の評価
索引
I章 フローサイトメトリー検査の基礎知識
1 フローサイトメトリーの基本概念
1)フローサイトメトリーの概念
2)フローサイトメーターの概念
3)ソーティングの概念
2 フローサイトメーターの基本的な構造と機能
1)流路系
2)光学系
3)電気パルス処理および情報(データ)処理系
4)データ表示
5)ソーティング
II章 検体の採取と保存
1 抗凝固剤の種類と使い方
1)抗凝固剤の種類
2)抗凝固剤の使い方
3)リンパ球サブセット解析
4)赤血球膜抗原
5)血小板
6)体腔液
7)新鮮固形組織
2 検体管理
1)保存法
3 事故の防止対策
1)感染防御
2)検体の取り扱い
III章 フローサイトメトリーの検査法
1 サンプル調整
1)血液(末梢血)
2)骨髄液
3)体腔液
4)組織(新鮮固形組織)
5)培養細胞(単層培養細胞)
2 染色および測定手技
1)蛍光色素と抗体
2)機器のセットアップ
3)細胞表面抗原
4)細胞質内抗原
5)細胞核 DNA量
6)抗原と細胞核 DNA(細胞周期)との2重染色
IV章 データ解析と結果の評価
1 細胞表面抗原
1)末梢血リンパ球解析
2)造血器悪性腫瘍のimmunophenotyping
3)微小病変の検出
4)造血幹細胞移植
2 細胞核 DNA量
1)細胞周期
2)DNA aneuploidy(DA)
V章 フローサイトメトリーの応用
1 細胞内pH測定
1)フローサイトメトリーによる細胞内pH測定法の例
2 白血球貪食能検査
1)フローサイトメトリーによる白血球貪食能検査法の例
3 細胞生死判定法
1)フローサイトメトリーによる細胞生死判定法の例
4 アポトーシス判定法
1)フローサイトメトリーによるアポトーシス判定法の例
5 細胞内ミトコンドリア活性測定
1)フローサイトメトリーによるミトコンドリア膜電位の測定例
6 酵素活性の測定
7 細胞内カルシウムの測定
1)カルシウム蛍光指示薬とサンプル調製
2)使用する光学フィルターの設定(Indo-1)
3)測定と解析(Indo-1)
8 cytometric beads array(CBA)法
1)原理
2)試薬の調製
3)反応
4)機器セッティング
5)測定および解析
VI章 保守管理
1 トラブル対策
1)測定システムのトラブル
2)コンピュータのトラブル
2 メンテナンス
1)毎日
2)毎週
3)毎月
4)2カ月ごと
5)その他(適宜,必要に応じて)
VII章 業務管理
1 内部精度管理
1)標準蛍光ビーズを用いた機器精度管理
2)感度試験(分離度;陰性陽性検出性能)
3)X-R管理図(Levey-Jenningsチャート)
4)プロセスコントロール
2 外部精度管理
1)JCCLS主催サーベイ
2)有志によるサーベイの実施
3)定期外部精度管理システム
VIII章 フローサイトメトリーの具体的測定例
1 ベックマン・コールター社
1)Cytomics FC500のスタートアップ操作手順
2)Cytomics FC500の精度管理操作手順
3)Cytomics FC500のサンプル測定操作手順
4)Cytomics FC500のシャットダウン操作手順
2 BD FACSCaliburによる測定プロトコール(細胞表面マーカー解析)
1)機器のスタートアップ
2)毎日の機器精度管理
3)機器のセットアップ
4)マルチカラー解析のための蛍光補正値の設定
5)データ取り込み
6)データ解析
7)機器のシャットダウン
3 BD FACSCantoIIによる測定プロトコール(細胞表面マーカー解析)
1)機器のスタートアップおよびシャットダウン
2)毎日の機器精度管理
3)機器のセットアップ
4)データ取り込み
5)データ解析
IX章 認定サイトメトリー技術者制度
1 “日本サイトメトリー学会”の歴史
2 “日本サイトメトリー技術者認定協議会”の歴史
3 国際サイトメトリー学会
4 ISACパイオニア
5 コンサルテーション
1)施設内コンサルテーション
2)施設外コンサルテーション
6 教育とトレーニング
1)教育の場と指導者,カリキュラム
2)教育効果の評価
索引