序
超音波検査は,近年の医療において最も顕著に進歩かつ普及したモダリティのひとつである.現在では全国で何万人もの方々が超音波検査業務に携わっており,各自がその業務に誇りと希望を持って,日々トレーニングを積んでいることと思う.私自身も1980年の癌研入職直後から超音波検査に関わることができ,とても幸運であったと感じている.
しかし,30歳代に入ってからは常に肩こりに悩まされ,43歳の時には突然頚の痛みに襲われた.現代の日本人の多くは,中年になると肩こりや腰痛に悩まされている.もちろん,その原因の多くは,日常の生活習慣とりわけ運動不足によるものだが,少なからず職業に起因している場合もあることを忘れてはならない.そういう目で自分の超音波検査環境を見直すと,数々の問題点が露呈した.超音波人口が飛躍的に増えた現在,私と同様に発症する危険を孕んでいる方もたくさんいらっしゃるということになる.その事実を早く皆さんに伝えなければいけないと考えた.しかし,私の専門は乳房超音波検査であり,肩こり・腰痛に関する知識は限られている.そこで私自身が現在診てもらっている,最も信頼する鍼灸師の花谷博幸先生に共著をお願いすることにした.
本書の中で最も大切だと思うのはセルフチェックの項である.まだ症状が現れていない方々も,このチェックによって自分の身体がどの程度ダメージを受けているかを知ることができる.まずはそれに気が付くことが大切である.早い段階に気が付けば,その対処方法はいくらでもあるが,気が付かない限りは水面下でどんどん身体が蝕まれていくことになる.
なお,本書は超音波診断装置メーカーの方々にもぜひ読んでいただきたい.残念ながら,われわれの身体にかかる負担は,装置本体の設計にその原因がある場合も多い.本書に挙げた,現行装置の問題点を改善し,検者にやさしい装置の開発をしていただきたいと切望してやまない.
さらに,超音波検査以外のさまざまな医療の現場で,身体の不調を訴えている先生方も多い.長時間の手術で腰を痛めたり,顕微鏡の見すぎで頚を痛めたりと,その実例はいくらでもある.私の考察は超音波検査業務の範疇でしかないが,本書の存在によって,各分野の専門家が今後それぞれの業務環境の改善を考えてくださるならば,われわれの医療の現場は今まで以上に快適なものになるはずである.
2009年4月 佐久間 浩
超音波検査は,近年の医療において最も顕著に進歩かつ普及したモダリティのひとつである.現在では全国で何万人もの方々が超音波検査業務に携わっており,各自がその業務に誇りと希望を持って,日々トレーニングを積んでいることと思う.私自身も1980年の癌研入職直後から超音波検査に関わることができ,とても幸運であったと感じている.
しかし,30歳代に入ってからは常に肩こりに悩まされ,43歳の時には突然頚の痛みに襲われた.現代の日本人の多くは,中年になると肩こりや腰痛に悩まされている.もちろん,その原因の多くは,日常の生活習慣とりわけ運動不足によるものだが,少なからず職業に起因している場合もあることを忘れてはならない.そういう目で自分の超音波検査環境を見直すと,数々の問題点が露呈した.超音波人口が飛躍的に増えた現在,私と同様に発症する危険を孕んでいる方もたくさんいらっしゃるということになる.その事実を早く皆さんに伝えなければいけないと考えた.しかし,私の専門は乳房超音波検査であり,肩こり・腰痛に関する知識は限られている.そこで私自身が現在診てもらっている,最も信頼する鍼灸師の花谷博幸先生に共著をお願いすることにした.
本書の中で最も大切だと思うのはセルフチェックの項である.まだ症状が現れていない方々も,このチェックによって自分の身体がどの程度ダメージを受けているかを知ることができる.まずはそれに気が付くことが大切である.早い段階に気が付けば,その対処方法はいくらでもあるが,気が付かない限りは水面下でどんどん身体が蝕まれていくことになる.
なお,本書は超音波診断装置メーカーの方々にもぜひ読んでいただきたい.残念ながら,われわれの身体にかかる負担は,装置本体の設計にその原因がある場合も多い.本書に挙げた,現行装置の問題点を改善し,検者にやさしい装置の開発をしていただきたいと切望してやまない.
さらに,超音波検査以外のさまざまな医療の現場で,身体の不調を訴えている先生方も多い.長時間の手術で腰を痛めたり,顕微鏡の見すぎで頚を痛めたりと,その実例はいくらでもある.私の考察は超音波検査業務の範疇でしかないが,本書の存在によって,各分野の専門家が今後それぞれの業務環境の改善を考えてくださるならば,われわれの医療の現場は今まで以上に快適なものになるはずである.
2009年4月 佐久間 浩
序
執筆協力者一覧
第1章 肩こり・腰痛の基礎知識
1.肩こり・腰痛とは?
2.肩こり・腰痛を招きやすい人体の構造
1 骨格
2 筋肉
1 表層筋(アウターマッスル)
2 深層筋(インナーマッスル)
3.肩こり・腰痛になりやすい身体的条件
4.危険な肩こり・腰痛
第2章 超音波検査環境の検証
1.検査時の姿勢をチェック
1 腹部エコー検査時
2 心エコー検査時
2.身体に負担をかけない検査法
1 装置・ベッド・椅子の高さ
2 患者さんとの距離
1 患者さんの左右の位置を調節
2 患者さんの前後の位置を調節
3 探触子の持ち方・動かし方
1 腹部検査用の探触子
2 心臓検査用の探触子
3 乳房検査用の探触子
4 力の入れ具合
5 プローブケーブルを肩にかけない
6 患者さんを抱きかかえる時
3.検査環境の見直し
1 椅子
2 検査用ベッド
3 検査室の照明
4 検査室の温度
5 労働時間
4.身体にやさしい装置の選び方
1 モニター高
2 コントロールパネルの高さ
3 装置の奥行き
4 モニターの大きさ
5 コントロールパネルの使い勝手
1 配置
2 操作形式
6 探触子の形状
7 探触子の重さ
8 プローブケーブルハンガ
第3章 ダメージのセルフチェック法
1.頚・背中上部
2.頚・背中上部
3.頚・肩
4.肩
5.手首・肘
6.肩
7.肩・背中
8.腰
9.わき腹・腰
10.背中・腰
第4章 肩こり・腰痛解消エクササイズ
1.検査室でストレッチ
1 (基本ストレッチ)頚・肩の基本ストレッチ
2 (基本ストレッチ)肩の脱力
3 頚の後のストレッチ
4 頚の横のストレッチ
5 肩の動的ストレッチ
6 肩の動的ストレッチ
7 肩のストレッチ
8 手首・上腕のストレッチ
9 手首のストレッチ
10 指のストレッチ
11 上体側面のストレッチ
12 背中・腰の動的ストレッチ
13 大腿部のストレッチ
14 お尻のストレッチ
2.自宅でストレッチ
1 頚・背中のストレッチ
2 背骨のストレッチ
3 腰・お尻・大腿のストレッチ
4 お尻・大腿のストレッチ
5 太腿つけ根のストレッチ
3.自宅で筋トレ
1 アイソメトリクス
2 スキャプラプッシュアップ
3 スキャプラモーション
4 ライイングニーレイズ
5 ヒップローテーション
6 クランチ
7 リバースクランチ
8 トランクツイスト(ソルトーローテーション)
9 ニー・トゥー・エルボー(アブフォーカスバイシクル)
10 サイドブリッジ
11 ヒップリフト
12 ダイアゴナルバック
13 プローンバランス(クロスバック)
第5章 日常生活の見直し
1.正しい立ち方
2.正しい座り方
3.正しい歩き方
4.正しい靴選び
1 良い靴の条件
2 購入時の注意点
3 購入後の手入れ
5.正しい入浴法
1 入浴の効果
2 温冷交代浴
3 ブラシによる刺激
4 足の洗い方
6.正しい睡眠
7.肥満からの脱出
1 脂肪1kg=7,200kcal
2 カギは基礎代謝
8.正しい治療院の選び方
9.文明社会との付き合い方
10.元気を維持する人生設計
参考文献
執筆協力者一覧
第1章 肩こり・腰痛の基礎知識
1.肩こり・腰痛とは?
2.肩こり・腰痛を招きやすい人体の構造
1 骨格
2 筋肉
1 表層筋(アウターマッスル)
2 深層筋(インナーマッスル)
3.肩こり・腰痛になりやすい身体的条件
4.危険な肩こり・腰痛
第2章 超音波検査環境の検証
1.検査時の姿勢をチェック
1 腹部エコー検査時
2 心エコー検査時
2.身体に負担をかけない検査法
1 装置・ベッド・椅子の高さ
2 患者さんとの距離
1 患者さんの左右の位置を調節
2 患者さんの前後の位置を調節
3 探触子の持ち方・動かし方
1 腹部検査用の探触子
2 心臓検査用の探触子
3 乳房検査用の探触子
4 力の入れ具合
5 プローブケーブルを肩にかけない
6 患者さんを抱きかかえる時
3.検査環境の見直し
1 椅子
2 検査用ベッド
3 検査室の照明
4 検査室の温度
5 労働時間
4.身体にやさしい装置の選び方
1 モニター高
2 コントロールパネルの高さ
3 装置の奥行き
4 モニターの大きさ
5 コントロールパネルの使い勝手
1 配置
2 操作形式
6 探触子の形状
7 探触子の重さ
8 プローブケーブルハンガ
第3章 ダメージのセルフチェック法
1.頚・背中上部
2.頚・背中上部
3.頚・肩
4.肩
5.手首・肘
6.肩
7.肩・背中
8.腰
9.わき腹・腰
10.背中・腰
第4章 肩こり・腰痛解消エクササイズ
1.検査室でストレッチ
1 (基本ストレッチ)頚・肩の基本ストレッチ
2 (基本ストレッチ)肩の脱力
3 頚の後のストレッチ
4 頚の横のストレッチ
5 肩の動的ストレッチ
6 肩の動的ストレッチ
7 肩のストレッチ
8 手首・上腕のストレッチ
9 手首のストレッチ
10 指のストレッチ
11 上体側面のストレッチ
12 背中・腰の動的ストレッチ
13 大腿部のストレッチ
14 お尻のストレッチ
2.自宅でストレッチ
1 頚・背中のストレッチ
2 背骨のストレッチ
3 腰・お尻・大腿のストレッチ
4 お尻・大腿のストレッチ
5 太腿つけ根のストレッチ
3.自宅で筋トレ
1 アイソメトリクス
2 スキャプラプッシュアップ
3 スキャプラモーション
4 ライイングニーレイズ
5 ヒップローテーション
6 クランチ
7 リバースクランチ
8 トランクツイスト(ソルトーローテーション)
9 ニー・トゥー・エルボー(アブフォーカスバイシクル)
10 サイドブリッジ
11 ヒップリフト
12 ダイアゴナルバック
13 プローンバランス(クロスバック)
第5章 日常生活の見直し
1.正しい立ち方
2.正しい座り方
3.正しい歩き方
4.正しい靴選び
1 良い靴の条件
2 購入時の注意点
3 購入後の手入れ
5.正しい入浴法
1 入浴の効果
2 温冷交代浴
3 ブラシによる刺激
4 足の洗い方
6.正しい睡眠
7.肥満からの脱出
1 脂肪1kg=7,200kcal
2 カギは基礎代謝
8.正しい治療院の選び方
9.文明社会との付き合い方
10.元気を維持する人生設計
参考文献