〜発刊に寄せて〜
人口の高齢化,医療技術の急速な進歩に伴い,リハビリテーション医療においても急性期状態不安定例,呼吸循環器疾患併存例,嚥下障害合併例などのハイリスク例が増加し,医療事故のリスクが高まっている.従来,病院全体としての安全管理への取り組みは多く報告され,リハビリテーション部門に関しても転倒など個別の問題に関する報告は散見されるが,リハビリテーション医療に特有の問題をふまえたチームとしての安全対策に関する報告はほとんどみられなかった.そこで,リハビリテーション医療が安全かつ効果的に行われるために必要なシステムを関連職種の連携により構築することを目的に,平成15年度から平成17年度までの3年間,厚生労働科学研究費補助金「医療の質及び医療安全体制の確保に関する研究―医療事故を防止するための対策の効果的な実施および評価に関する研究(15151501)」において研究事業が展開されてきた(主任研究者:千野直一慶應義塾大学名誉教授).
ちょうど,機を一にして,2004年に日本リハビリテーション医学会に,学会が主体的,先導的にリハビリテーション医学・医療に関するガイドラインを策定・公表・普及することを目的として,診療ガイドライン委員会が設置され,この中に,上記の厚生労働科学研究事業と連動する形で,「リハビリテーション医療における安全管理・推進のためのガイドライン策定委員会」が設けられた.さらに日本リハビリテーション医学会関連専門職委員会の参画も得て,リハビリテーション医療に携わるおもな専門職の学協会との共同作業として,1)リハビリテーション領域における安全管理およびリスク評価に関するこれまでの知見と今後の課題の整理,2)全国のリハビリテーション医療施設を対象とした安全管理に関する実態調査,3)リハビリテーション領域の特殊性をふまえたインシデント・アクシデントデータベースの作成とモニタリングが取り組まれてきた.これらの概要は,本書の資料編に収録されているので参照していただければ幸いである.
以上の成果をふまえて,「リハビリテーション医療における安全管理・推進のためのガイドライン(素案)」が作成され,リハビリテーション医学会および関連専門職学協会ホームページでの公開とパブリックコメントの募集を経て,必要な改訂が行われた後,このたびガイドラインとして出版を迎えることができた.本ガイドラインが毎日のリハビリテーション臨床の現場で安全管理の実践を推進する一助となることを願うとともに,現場からのフィードバックに基づいて定期的な改訂を加え,より実践的な役立つガイドラインに育てていきたいと考えている.読者諸氏からの忌憚のないご意見,叱咤激励をいただければ望外の喜びである.
2006年3月
日本リハビリテーション医学会診療ガイドライン委員会委員長 里宇明元
人口の高齢化,医療技術の急速な進歩に伴い,リハビリテーション医療においても急性期状態不安定例,呼吸循環器疾患併存例,嚥下障害合併例などのハイリスク例が増加し,医療事故のリスクが高まっている.従来,病院全体としての安全管理への取り組みは多く報告され,リハビリテーション部門に関しても転倒など個別の問題に関する報告は散見されるが,リハビリテーション医療に特有の問題をふまえたチームとしての安全対策に関する報告はほとんどみられなかった.そこで,リハビリテーション医療が安全かつ効果的に行われるために必要なシステムを関連職種の連携により構築することを目的に,平成15年度から平成17年度までの3年間,厚生労働科学研究費補助金「医療の質及び医療安全体制の確保に関する研究―医療事故を防止するための対策の効果的な実施および評価に関する研究(15151501)」において研究事業が展開されてきた(主任研究者:千野直一慶應義塾大学名誉教授).
ちょうど,機を一にして,2004年に日本リハビリテーション医学会に,学会が主体的,先導的にリハビリテーション医学・医療に関するガイドラインを策定・公表・普及することを目的として,診療ガイドライン委員会が設置され,この中に,上記の厚生労働科学研究事業と連動する形で,「リハビリテーション医療における安全管理・推進のためのガイドライン策定委員会」が設けられた.さらに日本リハビリテーション医学会関連専門職委員会の参画も得て,リハビリテーション医療に携わるおもな専門職の学協会との共同作業として,1)リハビリテーション領域における安全管理およびリスク評価に関するこれまでの知見と今後の課題の整理,2)全国のリハビリテーション医療施設を対象とした安全管理に関する実態調査,3)リハビリテーション領域の特殊性をふまえたインシデント・アクシデントデータベースの作成とモニタリングが取り組まれてきた.これらの概要は,本書の資料編に収録されているので参照していただければ幸いである.
以上の成果をふまえて,「リハビリテーション医療における安全管理・推進のためのガイドライン(素案)」が作成され,リハビリテーション医学会および関連専門職学協会ホームページでの公開とパブリックコメントの募集を経て,必要な改訂が行われた後,このたびガイドラインとして出版を迎えることができた.本ガイドラインが毎日のリハビリテーション臨床の現場で安全管理の実践を推進する一助となることを願うとともに,現場からのフィードバックに基づいて定期的な改訂を加え,より実践的な役立つガイドラインに育てていきたいと考えている.読者諸氏からの忌憚のないご意見,叱咤激励をいただければ望外の喜びである.
2006年3月
日本リハビリテーション医学会診療ガイドライン委員会委員長 里宇明元
ガイドライン編
リハビリテーション医療における安全管理・推進のためのガイドライン
I 医療安全管理とリスクマネジメントの考え方
II リハビリテーション部門における安全管理
III 全身状態の悪化
IV リハビリテーションの中止基準
V 医療機器の管理
VI 各種リスクの管理
確認のためのフェイスシート
資料編
1.リハビリテーションにおける安全管理に関する全国実態調査―最終集計結果の分析
2.リハビリテーション医療におけるリスクマネジメントの考え方と安全管理マニュアルの作成に向けての提言
3.リハビリテーションにおけるリスクマネジメントの文献的考察
4.リハビリテーションにおけるリスクマネジメント―リハビリテーション看護の立場から
5.リハビリテーションにおけるリスクマネジメント―理学療法士の立場から
6.リハビリテーションにおけるリスクマネジメント―作業療法士の立場から
7.リハビリテーションにおけるリスクマネジメント―言語聴覚士の立場から
8.リハビリテーションにおけるリスクマネジメント―義肢装具士の立場から
リハビリテーション医療における安全管理・推進のためのガイドライン
I 医療安全管理とリスクマネジメントの考え方
II リハビリテーション部門における安全管理
III 全身状態の悪化
IV リハビリテーションの中止基準
V 医療機器の管理
VI 各種リスクの管理
確認のためのフェイスシート
資料編
1.リハビリテーションにおける安全管理に関する全国実態調査―最終集計結果の分析
2.リハビリテーション医療におけるリスクマネジメントの考え方と安全管理マニュアルの作成に向けての提言
3.リハビリテーションにおけるリスクマネジメントの文献的考察
4.リハビリテーションにおけるリスクマネジメント―リハビリテーション看護の立場から
5.リハビリテーションにおけるリスクマネジメント―理学療法士の立場から
6.リハビリテーションにおけるリスクマネジメント―作業療法士の立場から
7.リハビリテーションにおけるリスクマネジメント―言語聴覚士の立場から
8.リハビリテーションにおけるリスクマネジメント―義肢装具士の立場から








