はじめに
第59回理学療法士・作業療法士国家試験は令和6年2月18日(日)に実施され,合格者は令和6年3月21日(木)に厚生労働省より発表されました.本年度の出願者数,受験者数,合格者数および合格率は以下の通りでした.
出願者数 受験者数 合格者数 合格率
理学療法士 13,276人 12,629人 11,282人 89.3%
(うち新卒者) 11,970人 11,408人 10,869人 95.3%
作業療法士 5,975人 5,736人 4,840人 84.4%
(うち新卒者) 5,213人 5,019人 4,597人 91.6%
受験者数は昨年に比べて,理学療法士は319人減(昨年:12,948人),作業療法士は17人増(昨年:5,719人)となりました.合格率は昨年と比べると,理学療法士が1.9ポイント増(昨年:87.4%),作業療法士が0.6ポイント増(昨年:83.8%)となりました.
理学療法士の合格基準は,一般問題を1問1点(159点満点),実地問題を1問3点(120点満点)とし,次のすべてを満たしている者を合格としています.
総得点 168点以上/279点
実地問題 43点以上/120点
作業療法士の合格基準は,一般問題を1問1点(160点満点),実地問題を1問3点(117点満点)とし,次のすべてを満たしている者を合格としています.
総得点 167点以上/277点
実地問題 41点以上/117点
なお,今回の試験で採点除外等の取り扱いとなった問題は,
[理学療法士]
午前 問題42
午後 問題22
[作業療法士]
午前 問題7,32
[専門基礎(共通)]
午前 問題52,53,72,87
午後 問題71,79
の10問でした.
第59回の試験問題は,全体として基本的な問題が多く出題されました.過去問題が少し姿を変えて出題されているものが多いのも従来通りです.5〜10年分ほどの過去問題をチェックしておくことは必須といえます.また,相対的に難易度が高いとされるX2タイプの形式が,全体の1割弱出題されています.「2つ選べ」の問題形式に十分に慣れておく必要があります.
理学療法専門領域は「アキレス腱炎におけるアライメント異常」の問題(PT午前42)と「予防医学」の問題(PT午後22)が採点除外となりました.結果として,89.3%という高い合格率が物語るように,シンプルかつ平易で,過去問題をしっかりと勉強していれば十分に合格圏内に入ることのできる問題構成でした.その反面,今回より「令和6年版理学療法士作業療法士国家試験出題基準」が導入されています.昨年より理学療法管理学に該当する問題は増加傾向にありましたが,基礎理学療法学に追加された「薬理」の問題(PT午前50),理学療法評価学に追加された「画像評価」の問題(PT午前4)などは新傾向と思われます.過去問題の反復学習が最重要であるのはいうまでもありませんが,時間の許す限り,新傾向の問題を含めた幅広い知識を身につける取り組みをしたいところです.
作業療法専門領域は昨年とほぼ同じ難易度であり,比較的平易な問題が多くみられました.一方で,新しい出題基準が適用され,目新しさを感じた受験生も多かったでしょう.例えば,診療報酬制度(OT午前39)は「作業療法管理学」,災害支援(OT午後36)は「地域作業療法学」,ハラスメント(OT午前50),臨床参加型実習(OT午後50)は「臨床実習」に追加された新傾向問題と思われます.また,これまでの出題基準の範疇であるものの,Hoehn & Yahrの重症度分類ステージIを主題とした問題(OT午後2)や,臨床推論に関わる問題(OT午後7)など,従来とは設定・問い方がやや異なる問題が散見されました.多くが過去問題をベースとした基本的な知識・思考を問う出題であるため,過去問題の復習に最大限の力点を置きつつ,幅広い知識と対応力を養いたいところです.
専門基礎領域も,少なからず新しい出題基準への準拠がみられました.例えば,熱傷については,過去は深度について問う問題が主だったのに対し,治療について問われています(専基午後95).また,栄養管理についての出題(専基午前84),薬剤についての問いの増加(専基午後65,84,86)も,その影響だと考えられます.また,前年は出題がなかった画像問題が復活し(専基午前60),画像読影の基礎知識を問う問題も出題されています(専基午前86).今後も画像を読み解くために最低限知っておくべき知識の習得は必須であるといえます.全体としては,ほとんどがシンプルに基礎的な知識を問う問題となっており,過去問題を中心に十分に学習していれば得点できる従来通りの傾向でした.落ち着いて正解を導くために,どの科目においても,単語レベルではなく横断的に深く理解しておくことが肝要です.
本書は第55回から第59回までの5年間の理学療法士・作業療法士国家試験全問題を掲載しております.本書の構成は,問題,解答,解説からなります.
問題は,可能な限り原文に則して記載し,図や写真は縮小しています.
解答は,基本的には厚生労働省が公表したものとしています.一部,厚生労働省の解答と見解が異なる問題については,その旨を明記しました.
解説は,解答を導き出すのに参考となる事柄を限られたスペースのなかにメモ程度に記載しました.
本書の解答,解説などでお気づきの点,また本書の構成などについてご意見がございましたら,編集部宛にご教示くださいますようお願い申し上げます.
来る第60回の理学療法士・作業療法士国家試験には,どうか本書を存分に活用されて,見事全員が合格されますよう,編集部一同,心からお祈り申し上げます.
2024年5月
医歯薬出版編集部
第59回理学療法士・作業療法士国家試験は令和6年2月18日(日)に実施され,合格者は令和6年3月21日(木)に厚生労働省より発表されました.本年度の出願者数,受験者数,合格者数および合格率は以下の通りでした.
出願者数 受験者数 合格者数 合格率
理学療法士 13,276人 12,629人 11,282人 89.3%
(うち新卒者) 11,970人 11,408人 10,869人 95.3%
作業療法士 5,975人 5,736人 4,840人 84.4%
(うち新卒者) 5,213人 5,019人 4,597人 91.6%
受験者数は昨年に比べて,理学療法士は319人減(昨年:12,948人),作業療法士は17人増(昨年:5,719人)となりました.合格率は昨年と比べると,理学療法士が1.9ポイント増(昨年:87.4%),作業療法士が0.6ポイント増(昨年:83.8%)となりました.
理学療法士の合格基準は,一般問題を1問1点(159点満点),実地問題を1問3点(120点満点)とし,次のすべてを満たしている者を合格としています.
総得点 168点以上/279点
実地問題 43点以上/120点
作業療法士の合格基準は,一般問題を1問1点(160点満点),実地問題を1問3点(117点満点)とし,次のすべてを満たしている者を合格としています.
総得点 167点以上/277点
実地問題 41点以上/117点
なお,今回の試験で採点除外等の取り扱いとなった問題は,
[理学療法士]
午前 問題42
午後 問題22
[作業療法士]
午前 問題7,32
[専門基礎(共通)]
午前 問題52,53,72,87
午後 問題71,79
の10問でした.
第59回の試験問題は,全体として基本的な問題が多く出題されました.過去問題が少し姿を変えて出題されているものが多いのも従来通りです.5〜10年分ほどの過去問題をチェックしておくことは必須といえます.また,相対的に難易度が高いとされるX2タイプの形式が,全体の1割弱出題されています.「2つ選べ」の問題形式に十分に慣れておく必要があります.
理学療法専門領域は「アキレス腱炎におけるアライメント異常」の問題(PT午前42)と「予防医学」の問題(PT午後22)が採点除外となりました.結果として,89.3%という高い合格率が物語るように,シンプルかつ平易で,過去問題をしっかりと勉強していれば十分に合格圏内に入ることのできる問題構成でした.その反面,今回より「令和6年版理学療法士作業療法士国家試験出題基準」が導入されています.昨年より理学療法管理学に該当する問題は増加傾向にありましたが,基礎理学療法学に追加された「薬理」の問題(PT午前50),理学療法評価学に追加された「画像評価」の問題(PT午前4)などは新傾向と思われます.過去問題の反復学習が最重要であるのはいうまでもありませんが,時間の許す限り,新傾向の問題を含めた幅広い知識を身につける取り組みをしたいところです.
作業療法専門領域は昨年とほぼ同じ難易度であり,比較的平易な問題が多くみられました.一方で,新しい出題基準が適用され,目新しさを感じた受験生も多かったでしょう.例えば,診療報酬制度(OT午前39)は「作業療法管理学」,災害支援(OT午後36)は「地域作業療法学」,ハラスメント(OT午前50),臨床参加型実習(OT午後50)は「臨床実習」に追加された新傾向問題と思われます.また,これまでの出題基準の範疇であるものの,Hoehn & Yahrの重症度分類ステージIを主題とした問題(OT午後2)や,臨床推論に関わる問題(OT午後7)など,従来とは設定・問い方がやや異なる問題が散見されました.多くが過去問題をベースとした基本的な知識・思考を問う出題であるため,過去問題の復習に最大限の力点を置きつつ,幅広い知識と対応力を養いたいところです.
専門基礎領域も,少なからず新しい出題基準への準拠がみられました.例えば,熱傷については,過去は深度について問う問題が主だったのに対し,治療について問われています(専基午後95).また,栄養管理についての出題(専基午前84),薬剤についての問いの増加(専基午後65,84,86)も,その影響だと考えられます.また,前年は出題がなかった画像問題が復活し(専基午前60),画像読影の基礎知識を問う問題も出題されています(専基午前86).今後も画像を読み解くために最低限知っておくべき知識の習得は必須であるといえます.全体としては,ほとんどがシンプルに基礎的な知識を問う問題となっており,過去問題を中心に十分に学習していれば得点できる従来通りの傾向でした.落ち着いて正解を導くために,どの科目においても,単語レベルではなく横断的に深く理解しておくことが肝要です.
本書は第55回から第59回までの5年間の理学療法士・作業療法士国家試験全問題を掲載しております.本書の構成は,問題,解答,解説からなります.
問題は,可能な限り原文に則して記載し,図や写真は縮小しています.
解答は,基本的には厚生労働省が公表したものとしています.一部,厚生労働省の解答と見解が異なる問題については,その旨を明記しました.
解説は,解答を導き出すのに参考となる事柄を限られたスペースのなかにメモ程度に記載しました.
本書の解答,解説などでお気づきの点,また本書の構成などについてご意見がございましたら,編集部宛にご教示くださいますようお願い申し上げます.
来る第60回の理学療法士・作業療法士国家試験には,どうか本書を存分に活用されて,見事全員が合格されますよう,編集部一同,心からお祈り申し上げます.
2024年5月
医歯薬出版編集部
はじめに
第55回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
理学療法(午前)
理学療法(午後)
作業療法(午前)
作業療法(午後)
専門基礎(午前)
専門基礎(午後)
第56回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
理学療法(午前)
理学療法(午後)
作業療法(午前)
作業療法(午後)
専門基礎(午前)
専門基礎(午後)
第57回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
理学療法(午前)
理学療法(午後)
作業療法(午前)
作業療法(午後)
専門基礎(午前)
専門基礎(午後)
第58回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
理学療法(午前)
理学療法(午後)
作業療法(午前)
作業療法(午後)
専門基礎(午前)
専門基礎(午後)
第59回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
理学療法(午前)
理学療法(午後)
作業療法(午前)
作業療法(午後)
専門基礎(午前)
専門基礎(午後)
第55回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
理学療法(午前)
理学療法(午後)
作業療法(午前)
作業療法(午後)
専門基礎(午前)
専門基礎(午後)
第56回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
理学療法(午前)
理学療法(午後)
作業療法(午前)
作業療法(午後)
専門基礎(午前)
専門基礎(午後)
第57回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
理学療法(午前)
理学療法(午後)
作業療法(午前)
作業療法(午後)
専門基礎(午前)
専門基礎(午後)
第58回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
理学療法(午前)
理学療法(午後)
作業療法(午前)
作業療法(午後)
専門基礎(午前)
専門基礎(午後)
第59回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
理学療法(午前)
理学療法(午後)
作業療法(午前)
作業療法(午後)
専門基礎(午前)
専門基礎(午後)