やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 第58回理学療法士・作業療法士国家試験は令和5年2月19日(日)に実施され,合格者は令和5年3月23日(木)に厚生労働省より発表されました.本年度の出願者数,受験者数,合格者数および合格率は以下の通りでした.
         出願者数 受験者数 合格者数 合格率
 理学療法士   13,648人 12,948人 11,312人 87.4%
 (うち新卒者) 11,452人 10,824人 10,272人 94.9%
 作業療法士    5,938人  5,719人  4,793人 83.8%
 (うち新卒者)  4,983人  4,809人  4,390人 91.3%

 受験者数は昨年に比べて,理学療法士は263人増(昨年:12,685人),作業療法士は4人減(昨年:5,723人)となりました.合格率は昨年と比べると,理学療法士が7.8ポイント増(昨年:79.6%),作業療法士が3.3ポイント増(昨年:80.5%)となりました.

 理学療法士の合格基準は,一般問題を1問1点(158点満点),実地問題を1問3点(120点満点)とし,次のすべてを満たしている者を合格としています.
 総得点 167点以上/278点
 実地問題 43点以上/120点

 作業療法士の合格基準は,一般問題を1問1点(159点満点),実地問題を1問3点(120点満点)とし,次のすべてを満たしている者を合格としています.
 総得点 168点以上/279点
 実地問題 43点以上/120点

 なお,今回の試験で採点除外等の取り扱いとなった問題は,
 [理学療法士]
 午後 問題43
 [専門基礎(共通)]
 午前 問題55,63,86,96
 の5問でした.

 第58回の試験問題は,全体として基本的な問題が多く出題されました.過去問題が少し姿を変えて出題されているものが多いのも従来通りです.5〜10年分ほどの過去問題をチェックしておくことは必須といえます.また,相対的に難易度が高いとされるX2タイプの形式が,全体の1割弱出題されています.「2つ選べ」の問題形式に十分に慣れておく必要があります.
 理学療法専門領域は「理学療法診療ガイドライン」の問題(PT午後43)が採点除外となりました.結果として,87.4%という高い合格率が物語るように,シンプルかつ平易で,過去問題をしっかりと勉強していれば十分に合格圏内に入ることのできる問題構成でした.その反面,(1)CBRマトリクス(PT午前46)など主題としては初出の問題や,(2)筋電図検査の所見を問う問題(PT午前14),CPM装置の細かな設定を問う問題(PT午前20)など例年より踏み込んだ知識が求められる問題,あるいは(3)臨床実習(理学療法)における情報管理を問う問題(PT午後20,22,47)など次回からの新しい国家試験出題基準を意識した問題が出題されています.過去問題の反復学習が最重要であるのはいうまでもありませんが,時間の許す限り,新傾向の問題を含めた幅広い知識を身につける取り組みをしたいところです.
 作業療法専門領域は,全体的にスタンダードな問題が多くみられました.過去問題をしっかりおさえておけば,十分合格圏内に入ることができたでしょう.一方,片麻痺患者への運転支援に関する問題(OT午後8)など,例年よりも踏み込んだ内容を問うものや,設問文から疾患名を推測させ,その合併症を問う(OT午前13)といった新傾向の問題が出題されました.また,歩行周期(OT午前25),医療安全対策(OT午前50),就学支援(OT午後50)などは,次回からの新しい出題基準を意識した問題と思われます.過去問題の復習を最優先し,関連する幅広い知識を身につけておきたいところです.また精神障害領域では,ここ数年の傾向通り,設問文に疾患名の記載がない問題が複数出題されました.この傾向はしばらく続くと考えられますので,設問文から症例の病態を理解する練習が必要です.
 専門基礎領域では,内部障害に対する治療薬について具体的な知識を問う問題(専基午後94)や,10年以上出題がなかったPerthes病についての問題(専基午前88)が出されましたが,多くの問題は十分に学習していれば解決できる内容となっており,おおよそ従来通りの傾向でした.第58回では,第43回より毎年1〜2題出題されていた画像問題の出題がありませんでした.しかし,午前・午後ともに画像読影の知識を問う問題が出題されており(専基午前90,午後77),今後も画像を読み解くための基礎知識の習得,頻出疾患の典型的な画像所見への理解は深めておく必要があります.解剖学,生理学,運動学などの基本的な知識を確実に整理しておくことはいうまでもなく大切ですが,どの教科も単語レベルではなく,横断的に深く理解しておくことが得点アップの肝となります.
 本書は第54回から第58回までの5年間の理学療法士・作業療法士国家試験全問題を掲載しております.本書の構成は,問題,解答,解説からなります.
 問題は,可能な限り原文に則して記載し,図や写真は縮小しています.
 解答は,基本的には厚生労働省が公表したものとしています.一部,厚生労働省の解答と見解が異なる問題については,その旨を明記しました.
 解説は,解答を導き出すのに参考となる事柄を限られたスペースのなかにメモ程度に記載しました.
 本書の解答,解説などでお気づきの点,また本書の構成などについてご意見がございましたら,編集部宛にご教示くださいますようお願い申し上げます.
 来る第59回の理学療法士・作業療法士国家試験には,どうか本書を存分に活用されて,見事全員が合格されますよう,編集部一同,心からお祈り申し上げます.
 2023年5月
 医歯薬出版編集部
 はじめに
第54回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
 理学療法(午前)
 理学療法(午後)
 作業療法(午前)
 作業療法(午後)
 専門基礎(午前)
 専門基礎(午後)
第55回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
 理学療法(午前)
 理学療法(午後)
 作業療法(午前)
 作業療法(午後)
 専門基礎(午前)
 専門基礎(午後)
第56回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
 理学療法(午前)
 理学療法(午後)
 作業療法(午前)
 作業療法(午後)
 専門基礎(午前)
 専門基礎(午後)
第57回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
 理学療法(午前)
 理学療法(午後)
 作業療法(午前)
 作業療法(午後)
 専門基礎(午前)
 専門基礎(午後)
第58回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
 理学療法(午前)
 理学療法(午後)
 作業療法(午前)
 作業療法(午後)
 専門基礎(午前)
 専門基礎(午後)