やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 第54回理学療法士・作業療法士国家試験は平成31年2月24日(日)に実施され,合格者は平成31年3月25日に厚生労働省より発表されました.本年度の出願者数,受験者数,合格者数および合格率は以下の通りでした.
         出願者数 受験者数 合格者数 合格率
 理学療法士   13,253人 12,605人 10,809人 85.8%
 (うち新卒者) 11,183人 10,608人 9,845人  92.8%
 作業療法士   6,555人  6,358人  4,531人  71.3%
 (うち新卒者) 5,289人  5,137人  4,108人  80.0%

 受験者数は昨年に比べて,理学療法士は457人増(昨年:12,148人),作業療法士は194人増(昨年:6,164人)となりました.合格率は昨年と比べると,理学療法士が4.4ポイント増(昨年:81.4%),作業療法士が6.3ポイント減(昨年:77.6%)となりました.
 理学療法士の合格基準は,一般問題を1問1点(155点満点),実地問題を1問3点(117点満点)とし,次のすべてを満たしている者を合格としています.
 総得点 164点以上/272点
 実地問題 41点以上/117点

 作業療法士の合格基準は,一般問題を1問1点(155点満点),実地問題を1問3点(120点満点)とし,次のすべてを満たしている者を合格としています.
 総得点 165点以上/275点
 実地問題 43点以上/120点

 なお,今回の試験で採点除外等の取り扱いとなった問題は,
 [理学療法士]
 午前 問題17,40
 [専門基礎(共通)]
 午前 問題56,58,73,93
 午後 問題68,73,83
 の9問でした.

 第54回の試験問題は,全体として基本的な問題が多く出題されました.過去問題が少し姿を変えて出題されているものが多いのも従来通りです.5〜10年分ほどの過去問題をチェックしておくことは必須といえます.また,相対的に難易度が高いとされるX2タイプの形式が,全体の2割弱出題されています.「2つ選べ」の問題形式に十分に慣れておく必要があります.
 理学療法専門領域では,顕在性二分脊椎症の実地問題(PT午前17)と超音波療法の一般問題(PT午前40)が採点除外となりました.2問セットで問われる連続問題が増加し,4セットが出題され,そのうち2セットはイラストをもとに整形外科的検査を問う問題と検査で陽性となった際の病態を問う問題で構成されていました.低出生体重児のポジショニング(PT午後16)など,はじめての問題も出題されましたが,主にはスタンダードな問題構成で,基本をおさえていれば十分に合格圏内に入ることができる内容でした.悪性腫瘍の放射線療法の副作用(PT午後19),疼痛の評価(PT午後27,PT午後36),身体的フレイル(PT午前50)など,近年よく出題される領域から出題されましたが,より多様な内容が問われるようになっており,幅広い知識が求められています.
 作業療法専門領域では,第53回に引き続き第54回でも,連続問題が1問も含まれていませんでしたが,従来の傾向を踏まえて,連続問題への対応も十分に練習しておきたいところです.小児関連の評価としてJDDST-R(OT午前5),二分脊椎症の評価(OT午前34),遠城寺式乳幼児分析的発達検査表(OT午後2),PEDI(OT午後28),知能検査(OT午後31)など多くが出題されたのでしっかりおさえておきましょう.新傾向としてMTDLP(OT午後22)の内容を問う問題が出題されました.ここ数年出題が続くICFは今回2題出題されており必須の知識です.また,精神障害領域の問題を中心に,昨年に続き設問文が長めのものが比較的多く出題されました.設問文のなかで重要な言葉や記述を把握する練習をしておく必要があります.
 専門基礎領域の問題についても,生殖関連(専基午前58,専基午後68)など一部に新傾向の問題もありましたが,ほとんどが十分に学習していれば解決できる問題で,従来通りの出題傾向でした.解剖学,生理学,運動学など基本的な知識を確実に整理しておくことは言うまでもなく必須の事柄です.
 本書は第50回から第54回までの5年間の理学療法士・作業療法士国家試験全問題を掲載しております.本書の構成は,問題,解答,解説からなります.
 問題は,可能な限り原文に則して記載し,図や写真は縮小しています.
 解答は,基本的には厚生労働省が公表したものとしています.一部,厚生労働省の解答と見解が異なる問題については,その旨を明記しました.
 解説は,解答を導き出すのに参考となる事柄を限られたスペースのなかにメモ程度に記載しました.
 パーソナルコンピュータで学習できるように,付録にCD-ROM(第44回から第53回分を収録)を添付しました.対応機種と操作方法は巻末のマニュアルをご覧ください.CD-ROMでは出題ジャンルによって問題を分類しています.この分類は,平成28年出題基準に対応しています.出題ジャンルの詳細は,巻末「CD-ROM取扱説明書」の11〜13ページをご覧ください.
 本書の解答,解説,CD-ROMなどでお気づきの点,また本書の構成などについてご意見がございましたら,編集部宛にご教示くださいますようお願い申し上げます.
 来る第55回の理学療法士・作業療法士国家試験には,どうか本書を存分に活用されて,見事全員が合格されますよう,編集部一同,心からお祈り申し上げます.

 2019年5月
 医歯薬出版編集部
 はじめに
第50回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
 理学療法(午前)
 理学療法(午後)
 作業療法(午前)
 作業療法(午後)
 専門基礎(午前)
 専門基礎(午後)
第51回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
 理学療法(午前)
 理学療法(午後)
 作業療法(午前)
 作業療法(午後)
 専門基礎(午前)
 専門基礎(午後)
第52回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
 理学療法(午前)
 理学療法(午後)
 作業療法(午前)
 作業療法(午後)
 専門基礎(午前)
 専門基礎(午後)
第53回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
 理学療法(午前)
 理学療法(午後)
 作業療法(午前)
 作業療法(午後)
 専門基礎(午前)
 専門基礎(午後)
第54回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
 理学療法(午前)
 理学療法(午後)
 作業療法(午前)
 作業療法(午後)
 専門基礎(午前)
 専門基礎(午後)

 付録 CD-ROM取扱説明書