やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 第51回理学療法士・作業療法士国家試験は平成28年2月28日に実施され,合格者は平成28年3月29日に厚生労働省より発表されました.本年度の出願者数,受験者数,合格者数および合格率は以下の通りでした.
 
         出願者数 受験者数 合格者数 合格率
  理学療法士  13,104人 12,515人  9,272人 74.1%
 (うち新卒者) 11,094人 10,562人  8,662人 82.0%
  作業療法士   6,272人  6,102人  5,344人 87.6%
 (うち新卒者)  5,120人  5,004人  4,711人 94.1%

 受験者数は昨年に比べて,理学療法士は480人増(昨年:12,035人),作業療法士は778人増(昨年:5,324人)となりました.合格率は昨年と比べると,理学療法士は8.6ポイント減(昨年:82.7%),作業療法士は10.1ポイント増(昨年:77.5%)となりました.
 理学療法士の合格基準は,一般問題を1問1点(157点満点),実地問題を1問3点(117点満点)とし,次のすべてを満たした者を合格としています.

 総得点  165点以上/274点
 実地問題  41点以上/117点

 作業療法士の合格基準は,一般問題を1問1点(158点満点),実地問題を1問3点(120点満点)とし,次のすべてを満たした者を合格としています.

 総得点  167点以上/278点
 実地問題  43点以上/120点

 なお,今回の試験で採点除外等の取り扱いとなった問題は,

 [理学療法士]
  午後 問題16,23,49
 [専門基礎(共通)]
  午前 問題56,74
 の5問でした.

 第51回では,2問セットで段階的に内容を問う連続問題が,理学療法専門領域で2問(1セット),作業療法専門領域で4問(2セット)と,ともに昨年よりもさらに減少しています.また2つの選択肢を選ばせるX2問題も全体の5%ほどにまで減少しました.この傾向が継続するのか,予測するのは難しいですが,従来の傾向に戻ることも考慮して,連続問題・X2問題には十分な準備が必要です.
 理学療法専門領域の問題では,第51回国家試験から適用される新しい国家試験出題基準に沿った問題として,健康予防概念,産業衛生,地域包括ケアシステム,介護保険制度などに関するものが新たに複数出題されています.また,胸部の画像を示す問題が3問出題されるなど,呼吸・循環の内部障害の問題が相対的に多く出題されています.その他に,第51回の問題は実地問題・一般問題ともにかなり難易度が高く,解答を導くのに難渋したものが多く含まれていた模様でした.これまでの見慣れた過去問に準じた比較的平易な問題と比較して,レベルの高い問題との格差が大きいという印象がありました.その結果,近年で最も合格率の低かった第46回と同水準の合格率となりました.
 作業療法専門領域の問題は,第50回に比べると標準的で比較的平易な問題が多く,難度が下がったようです.特に精神障害に関する実地問題は解きやすく,また,評価法に関しても例年通り複数の問題が出題されましたが,知っていれば解答できるもので,このことが全体の得点率を大きく押し上げたと推測されます.
 専門基礎(共通)領域の問題には,出題基準の範囲内に含まれる問題とはいえ,PT・OTが使用する教科書内容からかなり範囲を超えた問題などが出題されており,解答を導くのが困難であったと思われます.しかし,全般的な専門基礎の問題は従来通りの傾向といえます.解剖学,生理学,運動学などの基本的な知識を確実に整理しておくことは言うまでもなく必須のことです.
 とくに第51回(理学療法)のように難問に富んだ問題構成となることがあっても,平易な「解ける問題」から確実に正答を選ぶことで合格ラインに達することは可能となります.日頃から難問を見極めて落ち着いて解答する練習も必要でしょう.
 本書は第47回から第51回までの5年間の理学療法士・作業療法士国家試験の全問題を掲載しております.本書の構成は問題,解答,解説からなります.
 問題は,可能な限り原文に即して記載し,図や写真は縮小しています.
 解答は,基本的には厚生労働省が公表したものとしてあります.一部,厚生労働省の解答と見解が異なる問題については,その旨を明記しました.
 解説は,解答を導き出すのに参考となる事柄を限られたスペースの中にメモ程度に記載しました.
 パーソナルコンピュータで学習できるように,付録にCD-ROM(第41回から第50回分を収録)を添付しました.対応機器と操作方法は巻末のマニュアルをご覧ください.CD-ROMでは出題ジャンルによって問題を分類しています.この分類は,平成28年出題基準に対応しています.出題ジャンルの詳細は,巻末「CD-ROM取扱説明書」の12〜13ページをご覧ください.
 本書の解答,解説,CD-ROM等でお気づきの点,また本書の構成などについてご意見がございましたら,編集部宛にご教示くださいますようお願い申し上げます.
 来る第52回理学療法士・作業療法士国家試験には,どうか本書を存分に活用されて,見事全員が合格されますよう,編集部一同,心からお祈り申し上げます.
 2016年5月
 医歯薬出版編集部
 はじめに
第47回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
 理学療法(午前)
 理学療法(午後)
 作業療法(午前)
 作業療法(午後)
 専門基礎(午前)
 専門基礎(午後)
第48回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
 理学療法(午前)
 理学療法(午後)
 作業療法(午前)
 作業療法(午後)
 専門基礎(午前)
 専門基礎(午後)
第49回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
 理学療法(午前)
 理学療法(午後)
 作業療法(午前)
 作業療法(午後)
 専門基礎(午前)
 専門基礎(午後)
第50回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
 理学療法(午前)
 理学療法(午後)
 作業療法(午前)
 作業療法(午後)
 専門基礎(午前)
 専門基礎(午後)
第51回 理学療法士 作業療法士 国家試験問題 解答と解説
 理学療法(午前)
 理学療法(午後)
 作業療法(午前)
 作業療法(午後)
 専門基礎(午前)
 専門基礎(午後)

 付録 CD-ROM取扱説明書……後付