やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
難易度が高くなっても,合格は十分に可能です
 平成17年度第41回理学療法士・作業療法士国家試験(平成18年3月5日に実施)の受験者数は,理学療法士(以下PT)6,155名,作業療法士(以下OT)4,571名であり,昨年度と比較するとPTは約1,050名,OTは約680名増加しています.実際に合格した人数は,PTは6,002名,OTは4,185名で,PT・OTを合計した人数は,ついに10,000名/年を超えました.
 国家試験(以下,国試)の合格率は,PT97.5%,OT91.6%と大変高い水準になっています.第40回国試の合格率と比較すると,PTでは94.9%から2.6ポイント,OTでは88.4%から2.8ポイント上昇しており,PT・OT国試受験者の学習意欲が非常に高いことがわかります.21世紀の日本の超高齢社会と政府の自由化政策により,平成10年度以降PT・OTの養成校は激増し,国試受験者も今後さらに増加するでしょう.
 厚生労働省は「養成校認可の自由化により国家試験受験者は増加するであろうが,国家試験そのものにおいて理学療法士・作業療法士の質を問う」とはっきりと打ち出しています.その証拠に第39回国試から専門分野の「実地問題」(問題1〜40番まで)において,五者二択(「“正しい“あるいは“誤っている”ものを2つ選べ」)の問題が4題出題されました.第40回および第41回の国試においても専門分野の「実地問題」で五者二択の問題が,同じように4題出題されました.厚生労働省はさらに「今後は五者複択問題を実地問題以外にも出題する」と発表していますので,第42回以降の国試では五者複択の問題の出題数が多くなると思われます.
 上述のように,PT・OT国試問題は今後,徐々に難易度が高くなり,合格点数獲得が困難になる傾向にあります.しかし本書を基本にして受験対策をしっかりと立てて,着実に一歩一歩学習を進めていけば,合格は十分可能になるでしょう.
合格を確実にするための本書の特徴
 本書は,PT・OT国試対策用の参考書として,基礎から臨床まで十分に理解できるように構成しています.合格を確実にしたい受験者のために,以下のような項目を網羅しました.
 (1)国試の過去問題(第29回〜第41回までの13年間分,1,300問)を分析し,「傾向と対策」を円グラフや棒グラフで表示した.
 (2)各科目をさらに小項目に細分類し,学習項目を絞り込んだ.
 (3)分野ごとに過去13年間の「出題傾向分析表」を提示し,頻出問題に印を付けた.
 (4)専門分野における「実地問題=高得点(3点)問題」には実マークを示した.
 (5)最重要問題は番号を赤色(1)で,重要問題は番号をピンク色(2)で提示した.
 (6)国試問題の設問中に,受験者への注意をうながすため,アンダーラインを付した.
 (7)基本的に1分野1ページ終了形式を基本とした(ただし「実地問題」や「図示問題」等はイラストが多いため2ページ形式もある).
 (8)問題直下の「必須ポイント」欄には「暗記するための表」を掲載し,最低限暗記しなければならない内容を提示した.
 (9)同じく「必須ポイント」には,数多くの「写真やイラスト」を掲載し,「視覚学習・イメージ学習」方式を採用した.
 (10)図表中の暗記項目は,赤字で提示した.
 (11)問題の右側には「解答記入」欄を設定し,設問文ごとに正しい(○)や誤っている(×)を記入できるようにした.
 (12)ページ最下段に「解答」欄を示し,すぐに正解を確認できるようにした.
 (13)参考資料として「かんたんチェックポイント」欄を設け,応用力の育成を図れるようにした.
 (14)巻末に「自己評価テスト」100問を加え,実力養成を図れるようにした.
 (15)さらに「第40回および第41回国家試験問題」を「付録」として挿入し,実際の問題にチャレンジして,さらに実力養成を図れるようにした.
少ない時間で効率よく合格に到達できます
 国試に合格するためには,幅広い出題範囲をより深く学習しなければならないため,受験者は分野別にたくさんの参考書や問題集をそろえなければなりません.しかもできるだけ少ない時間で効率よく合格に到達しなければなりません.本書はこの一冊が受験者にとって最適書となるように,考えながら作成しました.
 本書をしっかりと活用し,有意義に学習され,来たる3月の国試受験当日は,最後の最後まであきらめずにがんばり抜いてください.本書を手にとっていただいた全員の方が,無事に国試合格を勝ち取られることを,編集部一同,心より応援しています.がんばってください.受験対策をしっかりと立てて,着実に一歩一歩学習を進めていけば,合格は十分可能になるでしょう.
 ・国家試験合格率(第30回〜第41回)
 ・はじめに
 ・得点力アップ(本書のページ構成)
 ・合格のための学習テクニック
 ・出題傾向と対策の要点

1.理学療法評価法
 徒手筋力テスト(MMT)
  総論
  かんたんチェックポイント(筋収縮の有無を触察)
  かんたんチェックポイント(肢位別MMT)
  かんたんチェックポイント(筋別肢位別)
  かんたんチェックポイント(筋別MMT評価方法の違い)
  筋力1(Trace)
  筋力2(Poor)
  筋力3(Fair)
  筋力4(Good)
  MMTレベル別(MMT5〜2)
  MMTレベル別(MMT4〜1)
  MMTレベル別(MMT3〜1)
  MMT部位別(下肢・上肢・体幹)
  MMT部位別(上肢)
  かんたんチェックポイント(代償運動)
  代償運動
  かんたんチェックポイント(小児)……43,45
  かんたんチェックポイント(乳幼児)
  小児のMMT
 関節可動域(ROM)テスト
  かんたんチェックポイント(上肢)
  かんたんチェックポイント(下肢)
  かんたんチェックポイント(体幹)
  基本軸(0°軸)
  移動軸
  参考可動域角度と方法論
 ブルンストローム法ステージ
  下肢
  上肢
  かんたんチェックポイント
 整形外科的テスト手技
 疾患別・各種の評価法
 形態(身体)測定
  四肢長
 姿勢観察
  アライメントと重心線
 感覚検査(デルマトーム)
 反射・反応
  深部腱反射
  病的反射
  脳神経検査
 協調性検査
  小脳性失調に対する評価法
 認知症検査
  改訂版長谷川式簡易知能検査
 意識障害
  JCS(Japan Coma Scale)
 その他の理学療法評価法
  呼吸機能検査
  神経伝達速度測定
  小児の検査
  体表観察
 文献(引用文献,参考図書)
2.物理療法
 温熱療法
  生理作用と効果
  熱の伝達様式
  超音波療法(使用方法)
  超音波療法(生理的作用・加温部位)
  超音波療法(適応)
  超音波療法(症例問題)
  極超短波療法(目的・適応・禁忌)
  極超短波療法(入射角と照射量)
  極超短波療法(特徴)
  パラフィン浴
  ホットパック
 低周波療法
  低周波刺激の運動点
  強さ時間曲線
  筋電図(EMG)バイオフィードバック療法
  低周波の電気刺激理論
  低周波電気刺激の操作方法
  治療的電気刺激法(TES)
  経皮的電気刺激法(TENS)
  機能的電気刺激法(FES)
 寒冷療法
  目的
 水治療法
  生理学的反応,利点
  全身浴,プール訓練
  交代浴
  水の深さと体重負荷
 牽引療法
  頸椎(介達)牽引
  腰椎(介達)牽引(骨盤牽引)
 その他の物理療法
  紫外線,マッサージ
 物理療法
  疾患別物理療法(適応)
  物理療法の特性
 文献(引用文献,参考図書)
3.臨床運動学
 生体力学の基礎
  身体とてこ
  重力と分力(三角関数を用いた力学計算)
 運動器の構造と機能
  筋収縮における「長さ―張力曲線と力―速度曲線」
 筋収縮の特性
  求心性収縮と遠心性収縮
 運動学的歩行分析
  正常歩行の筋活動
  正常歩行の関節角度変化
 歩行分析
  異常歩行
 動作解析
  筋電図ポリグラフ
  運動学的分析
  姿勢調節と姿勢異常
 文献(引用文献,参考図書)
4.運動生理学
 エネルギー消費
  最大酸素摂取量・エネルギー消費量
 エネルギー消費量(運動強度)と日常生活活動
  METs
 呼吸生理
  肺気量分画
 運動が生体におよぼす影響
  呼吸循環機能
 運動負荷量の指標
  アンダーソン・土肥の基準,二重積
 文献(引用文献,参考図書)
5.運動療法
 筋力増強運動
  筋力増強の生理学
  筋力増強法
 他動運動
  他動運動の目的,持続的他動運動(CPM)装置の目的
 関節可動域訓練
  関節可動域訓練の目的,効果
 伸張訓練
  伸張方法 実地問題
  伸張方法 一般問題
  かんたんチェックポイント(神経筋促通手技)
 神経筋促通手技(PNF)
  上肢パターン
  下肢パターン
  体幹パターン
 神経生理学的アプローチ
  促通手技とその原理,目的
 全身調整運動(コンディショニング)
  効果
 疾患別運動療法
  コッドマン体操
  ウィリアムス体操
  疾患と治療体操
  協調性回復運動,転倒予防
  術後の運動療法
  褥瘡予防のポジショニング
 文献(引用文献,参考図書)
6.日常生活活動とリハビリテーション関連機器
 ADL(1)
  概念と分類
 ADL評価
  Barthel index
  FIM
  種々の評価法
 車椅子(1)
  基本構造と種類
  名称と処方
 脊髄損傷の車椅子
  処方と付属品
 車椅子駆動
  段差越え,斜面移動,階段
 車椅子(2)
  介助法
 ADL指導
  疾患別ADL指導総合問題
 リハ関連機器
  自助具・補装具・住宅環境整備の疾患別適応
 ADL(2)
  環境,住宅,自動車
 文献(引用文献,参考図書)
7.義肢学
 切断概論
  断端の計測
  下肢切断術後の断端管理(ソフト・ドレッシングとリジット・ドレッシング)
 切断と義足
  切断部位と義足
  義足のソケット
 股義足
  ベンチアライメント
 大腿義足(1)
  四辺形ソケットと座骨収納型ソケット
  四辺形ソケットの適合判定
  吸着式大腿義足のアライメント
  膝継手の機能
 義足足部
  種類
 大腿義足(2)
  歩行分析(床反力)
  異常歩行の原因
  異常歩行の原因(義足が長い,外側ホイップ)
  異常歩行の原因(膝の安定性)
  異常歩行の原因と時期
  異常歩行に対する対策
  ADL訓練
  切断術後の理学療法
 下腿義足
  異常歩行の原因
  異常歩行とその原因との組合せ
 小児の切断と先天性下肢切断
 義手
  特徴
 文献(引用文献,参考図書)
8.装具学
  かんたんチェックポイント(装具の一般的知識)
 下肢装具
  部品(膝継手,足継手,あぶみ)
  長下肢装具の適合判定基準
  短下肢装具の適合判定と継手の位置
  短下肢装具
  かんたんチェックポイント(足部の変形)
  かんたんチェックポイント(靴底の補正)(靴内部の補正)
  かんたんチェックポイント(踵の補正)
  靴型装具の補正(内反足)
  靴型装具の補正(内側縦アーチ)
  靴型装具の補正と適応疾患
  装具と適応疾患
 体幹装具
  胸腰椎の体幹装具
  体幹装具とその適応疾患
 上肢装具
  スプリント
  動的装具と静的装具
  長対立装具・機能的把持装具
  上肢装具と適応疾患
  スプリントと適応疾患
 総合
  装具と適応疾患
 文献(引用文献,参考図書)
9.理学療法概論
 理学療法士及び作業療法士法
  制定・業務・目的・免許・国家試験・罰則
 介護保険制度(介護保険法)
  介護保険制度の規定・特定疾病
 老人保健法
  保険事業・老人保健法の規定
 身体障害者福祉法
  補装具の給付・身体障害者手帳の交付
 その他の制度
  医療・福祉に関する制度
  社会福祉施設
 リスク管理
  感染予防,インフォームド・コンセントとは
 文献(参考図書)

 ・自己評価テスト
  (チェックシート)
  (解答シート)
 ・索引
 ・付録「第40・41回PT・OT国家試験(理学療法 基礎編)」