序文
日本の言語聴覚士(ST)が摂食・嚥下障害のリハビリテーションに関わり始めた1980年代後半,臨床の拠り所となる書籍といえば限られた数の洋書や訳本のみであった.それが今や,社会の急速な高齢化も影響し,摂食・嚥下障害に関する出版物は驚くほど豊富になった.そのようななか,医歯薬出版発行の『言語聴覚士のための』シリーズの一翼を担う1冊として誕生した本書は,以下の3点を特徴としている.
第一に,本書はSTをめざす学生を中心的な読者と想定し,教科書としてあるいは国家試験対策として活用していただけるようまとめた.そのため,全般に平易でわかりやすい記述を心がけ,あいまいな表現を避けている.用語は教育的要素を重視し,全体を通して統一するだけでなく,定義や本来の意味に忠実であることに配慮した.具体例として,(1)英語の人名や用語は初出時には和英併記とし,以降はカタカナ表記とした.(2)表現が混在する「梨状陥凹/梨状窩」は「梨状陥凹」で統一した.(3)英語のgag reflexを表す際に,「咽頭反射」と「絞扼反射」が同義に使われることがあるが,「咽頭反射」はpharyngeal reflexとして本来の定義が存在するため,本書ではgag reflexを意味する場合は「絞扼反射」を用いることとした.(4)「感覚」と「知覚」も一般的には明確な区別なく使用されがちであるが,本書においてはsensationやsensoryを意味する場合は「感覚」,perceptionの意味合いが強い場合は「知覚」とし,場合によっては「感覚/知覚」と併記した.(5)間接訓練法の一つであるtongue-holding maneuver/tongue-hold swallowの訳語は,考案者(倉智)が使用を推奨する「前舌保持嚥下法」とし,過去に用いられてきた「舌前方保持嚥下法」や用語として誤解を招きやすい「舌突出嚥下法」の使用は避けた.(6)嚥下反射の「惹起/誘発」の相違については研究者の見解も異なるため,本書ではどちらか一つに統一はせず,文脈に応じた表記を検討した.基本的に用語の選定は執筆者の意図に委ねられているものの,反射機構の生理学的な記述については「惹起」,訓練法等で人為的に嚥下反射を起こす意味合いが強い場合は「誘発」が使われる傾向にある.(7)咽頭期については,嚥下反射惹起(感覚と運動の統合レベル)によって開始される運動出力(運動レベル)であるとの考え方に基づき,運動出力としての咽頭期が始まることに言及する際には,咽頭期の「誘発」ではなく,咽頭期の「開始」と表現することを原則とした.
第二の特徴は,前述した社会状況に鑑み,成人・高齢者の摂食・嚥下障害に焦点を当てたことである.とくに認知症に伴う先行期の摂食・嚥下障害にも多くのページを割いているので,学生のみならず,臨床現場において評価や訓練に苦渋している臨床家にも役立つはずである.小児領域の話題については,成長に伴う正常嚥下の解剖学的・生理学的変化について触れる程度にとどめた.またリハビリテーションの章では,訓練法でその手技の説明だけではなく,記述のなかに対象となる病態とその根拠を入れることによって,根拠に基づいた訓練法が選択できることをねらいとした.さらにその施行法を疾患別介入の項目で実践編として学ぶことができる流れとなっている.
第三の特徴は,執筆者の顔ぶれである.本書では,摂食・嚥下障害領域の教育・臨床・研究分野の最前線で活躍されている高名な先生方に加え,その先生方が次代を担う人材として推薦して下さった若い先生に多くご参加いただいた.ベテランの指導を仰ぎながら執筆の経験を積み,未来の指導者として大きく羽ばたいていただきたいとの願いを込めての企画であり人選である.多忙ななかにもその願いに熱くかつ丁寧に応えて下さった執筆者の皆様に,衷心より感謝の意を表す次第である.
そして最後に,本書の出版にあたり終始辛抱強く編者を支えて下さった医歯薬出版の編集担当者に深謝申し上げる.
2013年9月
倉智雅子
日本の言語聴覚士(ST)が摂食・嚥下障害のリハビリテーションに関わり始めた1980年代後半,臨床の拠り所となる書籍といえば限られた数の洋書や訳本のみであった.それが今や,社会の急速な高齢化も影響し,摂食・嚥下障害に関する出版物は驚くほど豊富になった.そのようななか,医歯薬出版発行の『言語聴覚士のための』シリーズの一翼を担う1冊として誕生した本書は,以下の3点を特徴としている.
第一に,本書はSTをめざす学生を中心的な読者と想定し,教科書としてあるいは国家試験対策として活用していただけるようまとめた.そのため,全般に平易でわかりやすい記述を心がけ,あいまいな表現を避けている.用語は教育的要素を重視し,全体を通して統一するだけでなく,定義や本来の意味に忠実であることに配慮した.具体例として,(1)英語の人名や用語は初出時には和英併記とし,以降はカタカナ表記とした.(2)表現が混在する「梨状陥凹/梨状窩」は「梨状陥凹」で統一した.(3)英語のgag reflexを表す際に,「咽頭反射」と「絞扼反射」が同義に使われることがあるが,「咽頭反射」はpharyngeal reflexとして本来の定義が存在するため,本書ではgag reflexを意味する場合は「絞扼反射」を用いることとした.(4)「感覚」と「知覚」も一般的には明確な区別なく使用されがちであるが,本書においてはsensationやsensoryを意味する場合は「感覚」,perceptionの意味合いが強い場合は「知覚」とし,場合によっては「感覚/知覚」と併記した.(5)間接訓練法の一つであるtongue-holding maneuver/tongue-hold swallowの訳語は,考案者(倉智)が使用を推奨する「前舌保持嚥下法」とし,過去に用いられてきた「舌前方保持嚥下法」や用語として誤解を招きやすい「舌突出嚥下法」の使用は避けた.(6)嚥下反射の「惹起/誘発」の相違については研究者の見解も異なるため,本書ではどちらか一つに統一はせず,文脈に応じた表記を検討した.基本的に用語の選定は執筆者の意図に委ねられているものの,反射機構の生理学的な記述については「惹起」,訓練法等で人為的に嚥下反射を起こす意味合いが強い場合は「誘発」が使われる傾向にある.(7)咽頭期については,嚥下反射惹起(感覚と運動の統合レベル)によって開始される運動出力(運動レベル)であるとの考え方に基づき,運動出力としての咽頭期が始まることに言及する際には,咽頭期の「誘発」ではなく,咽頭期の「開始」と表現することを原則とした.
第二の特徴は,前述した社会状況に鑑み,成人・高齢者の摂食・嚥下障害に焦点を当てたことである.とくに認知症に伴う先行期の摂食・嚥下障害にも多くのページを割いているので,学生のみならず,臨床現場において評価や訓練に苦渋している臨床家にも役立つはずである.小児領域の話題については,成長に伴う正常嚥下の解剖学的・生理学的変化について触れる程度にとどめた.またリハビリテーションの章では,訓練法でその手技の説明だけではなく,記述のなかに対象となる病態とその根拠を入れることによって,根拠に基づいた訓練法が選択できることをねらいとした.さらにその施行法を疾患別介入の項目で実践編として学ぶことができる流れとなっている.
第三の特徴は,執筆者の顔ぶれである.本書では,摂食・嚥下障害領域の教育・臨床・研究分野の最前線で活躍されている高名な先生方に加え,その先生方が次代を担う人材として推薦して下さった若い先生に多くご参加いただいた.ベテランの指導を仰ぎながら執筆の経験を積み,未来の指導者として大きく羽ばたいていただきたいとの願いを込めての企画であり人選である.多忙ななかにもその願いに熱くかつ丁寧に応えて下さった執筆者の皆様に,衷心より感謝の意を表す次第である.
そして最後に,本書の出版にあたり終始辛抱強く編者を支えて下さった医歯薬出版の編集担当者に深謝申し上げる.
2013年9月
倉智雅子
序文
第1章 摂食・嚥下器官の解剖
1 口腔(小野高裕・山本雅章)
1.口腔の空間構成
1 口腔前庭 2 固有口腔
2.口腔を構成する器官
1 口腔粘膜 2 口唇 3 頬 4 歯 5 口蓋 6 舌
7 唾液腺 8 扁桃
2 咽頭(小野高裕・山本雅章)
1.咽頭鼻部(上咽頭)
2.咽頭口部(中咽頭)
3.咽頭喉頭部(下咽頭)
3 喉頭(西澤典子)
1.喉頭の生理的機能「呼吸」「嚥下」「発声」
2.喉頭の枠組み(laryngeal framework)
3.喉頭筋
1 内喉頭筋 2 外喉頭筋
4.喉頭のヒダ構造
5.喉頭の神経支配
4 食道(西澤典子)
1.管腔臓器としての食道
2.食道に接する構造
3.食道の神経支配
第2章 摂食・嚥下・呼吸機能の生理
1 咀嚼の生理と神経機構(山村千絵)
1.咀嚼の生理
1 咀嚼の意義 2 咀嚼と唾液 3 咀嚼能力の評価
4 咀嚼に関与する筋と下顎運動 5 咀嚼時の舌やその他の器官の働き
2. 咀嚼の神経機構
1 咀嚼は半随意運動 2 中枢性調節 3 末梢性調節
4 咀嚼時の顎反射の変調 5 咀嚼時の嚥下反射の抑制
2 摂食・嚥下の生理(稲本陽子)
1.摂食・嚥下運動のメカニズム
1 嚥下理論モデル 2 嚥下反射と気道防御の関係
3 摂食・嚥下の神経機構(西澤典子・橋本竜作)
1.咽喉頭の感覚受容機構と中枢投射
1 咽喉頭粘膜と感覚神経線維の走行 2 咽喉頭粘膜の感覚受容器
3 咽喉頭感覚の中枢投射
2.延髄におけるパタン形成器と咽頭期嚥下の制御
1 嚥下関連筋群と支配神経核 2 咽頭期嚥下のパタン形成器
3 パタン形成器の局在と機能
4 パタン形成器を中心とした「位相」と「期」による嚥下の考え方
3.皮質における嚥下制御
1 CPGより上位の嚥下制御 2 皮質-延髄間の投射
4 呼吸・咳の生理と神経機構(西澤典子・橋本竜作)
1.呼吸器の構造と機能
1 呼吸器の構造 2 胸郭の運動と呼吸
2.気道防御機構
1 気道防御機構と喉頭 2 嚥下と呼吸 3 咳と呼吸
3.呼吸・咳の中枢制御
1 呼吸のパタン形成
第3章 摂食・嚥下の年齢的変化
1 新生児・乳児・小児(苅安 誠)
1.年齢による嚥下の違い
2.成長と発達
3.新生児と乳幼児の嚥下
2 成人・高齢者(苅安 誠)
1.老化
2.適応と失敗
3.嚥下に関連する老化
4.病的な老化と機能低下をもたらす状態
1 サルコペニア(sarcopenia) 2 骨棘(osteophyte) 3 薬剤
5.ライフ・スパンでみる摂食行動
第4章 摂食・嚥下障害の原因と病態
1 摂食・嚥下障害の症状(堀口利之・秦 若菜)
1.ログマン(Logemann)による誤嚥の分類
2.平野らの分類
2 神経疾患の摂食・嚥下障害(巨島文子・横関恵美)
1.原因疾患の分類
1 障害部位による分類 2 疾患の特徴による分類 3 嚥下動態による分類
2.脳血管障害
1 球麻痺による嚥下障害 2 ワレンベルグ症候群
3 偽性球麻痺による嚥下障害 4 前部弁蓋部症候群(Fox-Chavany-Marie syndrome)
5 脳血管障害と嚥下リハビリテーション
3. 進行性神経筋疾患
1 筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)
2 多系統萎縮症(multiple system atrophy:MSA) 3 パーキンソン病
4 進行性核上性麻痺(PSP) 5 重症筋無力症
6 皮膚筋炎・多発筋炎・封入体筋炎・自己免疫性壊死性ミオパチー
4.まとめ
3 器質性の摂食・嚥下障害(津田豪太・高嶋絵里)
1 はじめに 2 口腔疾患 3 咽頭疾患 4 喉頭疾患
5 食道疾患 6 その他
4 その他の問題に伴う摂食・嚥下障害(長谷川賢一)
1.はじめに
2.高次脳機能障害
1 高次脳機能障害とは 2 高次脳機能障害の原因疾患と出現率
3.高次脳機能障害と摂食・嚥下
1 意識障害と摂食・嚥下 2 注意障害(方向性注意含む)と摂食・嚥下
3 記憶障害と摂食・嚥下 4 失行症と摂食・嚥下
5 失認症・視空間認知障害と摂食・嚥下 6 社会的行動障害と摂食・嚥下
4.認知症に伴う摂食・嚥下障害の病態
1 病型別の症状 2 摂食・嚥下に認められる主な初期症状
5.廃用症候群に伴う嚥下障害の病態
1 廃用症候群とは 2 廃用症候群における摂食・嚥下の病態
5 摂食・嚥下障害の合併症(苅安 誠)
1.誤嚥性肺炎
2.脱水
3.低栄養
第5章 摂食・嚥下の検査・評価
1 言語聴覚士が単独で行える検査(堀口利之・秦 若菜)
1.基本情報の収集
1 問診 2 医学的所見 3 高次脳機能・コミュニケーション能力
4 他職種からの情報
2.呼吸・音声・構音検査
1 呼吸機能 2 発声機能 3 構音 4 プロソディ
3.嚥下器官機能検査
4.摂食・嚥下機能検査
5.摂食場面の観察・評価
2 医師が行う検査(兵頭政光)
1.嚥下造影検査
1 検査目的 2 検査方法 3 観察項目 4 検査の留意点
2.嚥下内視鏡検査
1 検査目的 2 検査方法 3 観察項目 4 検査の留意点
3.嚥下圧検査
1 検査目的 2 検査方法 3 観察項目 4 検査の有用性と留意点
4.筋電図検査
1 検査方法 2 観察項目 3 検査の有用性と留意点
5.その他の検査法
1 超音波検査 2 RIシンチグラフィー検査 3 CT,MRI検査
3 言語聴覚士にできるVF・VEの読影(倉智雅子)
1.VF
1 喉頭侵入と誤嚥の読影 2 嚥下反射惹起遅延
3 残留(クリアランスの低下)が教えてくれるもの
4 正面画像による左右差の確認
2.VE
1 嚥下前/嚥下反射惹起前のVE画像の読影 2 嚥下中/咽頭期のVE画像の読影
3 嚥下後/咽頭期終了後の読影 4 VEで見る嚥下反射惹起の遅れ
4 摂食・嚥下検査におけるリスクと対策(堀口利之・秦 若菜)
1.誤嚥
1 対策 2 誤嚥時の対応
2.窒息
1 対策 2 窒息時の対応
3.感染症
1 対策
4.日内・日間変動
第6章 摂食・嚥下障害のリハビリテーション
1 訓練法
1.基礎訓練(間接訓練)法(清水充子・中山剛志)
1 基礎訓練法の目的,実施における留意点
2 基礎訓練法の種類,手続き,対象となる疾患や病態,根拠
3 これからの基礎訓練法
2.摂食訓練(直接訓練)法(小島千枝子)
1 食事の環境設定 2 嚥下反射誘発法 3 開口と嚥下反射誘発
4 嚥下訓練法 5 その他
2 代償法(北條京子)
1.姿勢の調整
1 体幹角度の調整 2 頭位の調節
3 頸部回旋(横向き嚥下,head rotation) 4 頸部突出法
5 一側嚥下(側臥位と頸部回旋のコンビネーション)
2.食品調整
1 嚥下調整食 2 トロミの調整 3 内服の経口摂取
3.その他の代償法
4.食具の工夫
3 歯科補綴的対応(西脇恵子)
1.はじめに
2.歯科補綴装置の具体例
3.作製のために必要なこと
4 疾患別介入の留意点
1.脳血管障害に対するアプローチ─回復時期ごとの特徴と対応(急性期,回復期,維持期)(小島千枝子・原田惠司)
1 急性期脳血管障害の摂食・嚥下障害に対するアプローチ
2 回復期脳血管障害の摂食・嚥下障害に対するアプローチ
3 維持期脳血管障害の摂食・嚥下障害に対するアプローチ
2.先行期障害に対するアプローチ(長谷川賢一)
1 アプローチの枠組みと留意点 2 情報の収集 3 評価
4 摂食・嚥下機能へのアプローチ(訓練・対応・支援)
3.廃用症候群に対するアプローチ(長谷川賢一)
1 評価 2 訓練
4.進行性神経筋疾患に対するアプローチ(西尾正輝)
1 パーキンソン病(Parkinson's Disease:PD)
2 筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis:ALS)
5.頭頸部腫瘍に対するアプローチ(口腔・咽頭)(西脇恵子)
1 はじめに 2 治療前の評価 3 予後予測
4 治療前のアプローチ 5 周術期のアプローチ
6 放射線療法や化学療法に対するアプローチ
7 職業や家庭復帰に対するアプローチ 8 生命予後が悪い場合のアプローチ
9 長期的な経過 10 心理的な支持の必要性
6.頭頸部癌に対するアプローチ(下咽頭・喉頭・食道)(津田豪太・高嶋絵里)
1 はじめに 2 部位ごとの特性 3 治療によって生じる嚥下障害
4 最後に
5 家族指導,患者・家族に対するカウンセリング(清水充子)
1.リハビリテーションに臨む態勢をつくる
1 患者の主体性が大切 2 障害受容
2.患者,家族が主体性を持てるようサポートする
3.家族の希望と本人の希望の乖離への対応
4.疾患により異なる特徴と対応の留意点
1 脳卒中,頭部外傷など脳損傷による摂食・嚥下障害への対応
2 神経,筋疾患など進行性の疾患による摂食・嚥下障害への対応
6 嚥下障害の手術的治療(西澤典子)
1.手術的治療の分類
2.嚥下機能改善手術
1 輪状咽頭筋切断術 2 喉頭挙上術 3 咽頭内圧上昇を目的とする手術
4 喉頭閉鎖の強化手術
3.誤嚥防止手術
1 喉頭閉鎖術 2 気道食道分離術 3 喉頭全摘出術
4.気管切開術
7 代替栄養法(北條京子)
1.主な代替栄養法の種類と特徴
2.代替栄養法の選択
3.経静脈栄養(点滴)
4.経腸栄養
5.経管栄養剤
6.必要エネルギー量,必要水分量
8 チーム医療とNST活動(清水充子・中山剛志)
1 チーム医療の必要性 2 チーム医療と言語聴覚士
3 チーム医療の分類とtransdisciplinary team modelのすすめ 4 NST活動
第7章 臨床上の留意点
1 救急対応の基礎知識(津田豪太・高嶋絵里)
1 はじめに 2 直接的訓練時の準備と対応
3 誤嚥・窒息時の症状と対応 4 その他の注意点
2 気管切開とその管理(兵頭政光)
1.気管切開とは
2.気管切開の適応
1 上気道狭窄 2 下気道管理 3 呼吸管理
3.手術手技
4.気管カニューレ
5.術後管理および合併症
6.嚥下障害と気管切開
7.気管切開患者における嚥下訓練
8.言語聴覚士による気管吸引
1 目的 2 適応 3 吸引手技 4 合併症
3 口腔と咽頭の衛生(小野高裕・稲月 摂)
1 口腔ケアとは 2 口腔ケアの目的 3 口腔ケアの問題点
4 咽頭の衛生 230 5 口腔清掃の基本 230 6 ケアの実際
4 患者の味覚・嗜好(堀口利之・秦 若菜)
1.味覚
2.味覚の加齢変化
3.味覚障害
4.嗅覚・嗅覚の加齢変化
5.口腔内の問題
6.認知症
5 ICF(国際生活機能分類)と摂食・嚥下障害(稲田晴生)
1.疾病,障害構造の考え方
2.ICFによる摂食・嚥下機能の評価
3.障害の3相構造に基づく摂食・嚥下障害への対応
6 症例と報告書の書き方
1.脳血管障害(清水充子)
2.筋萎縮性側索硬化症に伴う摂食・嚥下障害(西尾正輝)
3.認知症(長谷川賢一)
1 症例の紹介 2 本症例の報告書
4.頭頸部腫瘍(西脇恵子)
1 症例の紹介 251 2 本症例の報告書
サイドメモ
モダイオラス(小野高裕・山本雅章)
舌乳頭(小野高裕・山本雅章)
咀嚼は認知症の予防になるか?(山村千絵)
最大咬合力測定時の注意点(山村千絵)
日常の嚥下(稲本陽子)
孤発的咽頭嚥下(isolated pharyngeal swallow:IPS)(稲本陽子)
食塊の推進(稲本陽子)
一気飲み・刀飲み(稲本陽子)
高齢者での認識のズレ(苅安 誠)
嚥下造影でみる高齢者の嚥下(苅安 誠)
メンデルソン手技の意義についての研究(小島千枝子)
綿チップ押しつぶし訓練(小島千枝子)
唾液の量(西脇恵子)
モバイル型PLP(Fujishima type)(小島千枝子)
脳卒中治療ガイドライン2009「嚥下障害のリハビリテーション」(小島千枝子・原田惠司)
間欠的経口食道経管栄養法(西脇恵子)
機械的清掃の効果(小野高裕・稲月 摂)
口腔ケアの脳への刺激(小野高裕・稲月 摂)
口腔ケアによる誤嚥性肺炎の予防(小野高裕・稲月 摂)
口腔ケアにおける感染予防(小野高裕・稲月 摂)
和文索引
欧文索引
第1章 摂食・嚥下器官の解剖
1 口腔(小野高裕・山本雅章)
1.口腔の空間構成
1 口腔前庭 2 固有口腔
2.口腔を構成する器官
1 口腔粘膜 2 口唇 3 頬 4 歯 5 口蓋 6 舌
7 唾液腺 8 扁桃
2 咽頭(小野高裕・山本雅章)
1.咽頭鼻部(上咽頭)
2.咽頭口部(中咽頭)
3.咽頭喉頭部(下咽頭)
3 喉頭(西澤典子)
1.喉頭の生理的機能「呼吸」「嚥下」「発声」
2.喉頭の枠組み(laryngeal framework)
3.喉頭筋
1 内喉頭筋 2 外喉頭筋
4.喉頭のヒダ構造
5.喉頭の神経支配
4 食道(西澤典子)
1.管腔臓器としての食道
2.食道に接する構造
3.食道の神経支配
第2章 摂食・嚥下・呼吸機能の生理
1 咀嚼の生理と神経機構(山村千絵)
1.咀嚼の生理
1 咀嚼の意義 2 咀嚼と唾液 3 咀嚼能力の評価
4 咀嚼に関与する筋と下顎運動 5 咀嚼時の舌やその他の器官の働き
2. 咀嚼の神経機構
1 咀嚼は半随意運動 2 中枢性調節 3 末梢性調節
4 咀嚼時の顎反射の変調 5 咀嚼時の嚥下反射の抑制
2 摂食・嚥下の生理(稲本陽子)
1.摂食・嚥下運動のメカニズム
1 嚥下理論モデル 2 嚥下反射と気道防御の関係
3 摂食・嚥下の神経機構(西澤典子・橋本竜作)
1.咽喉頭の感覚受容機構と中枢投射
1 咽喉頭粘膜と感覚神経線維の走行 2 咽喉頭粘膜の感覚受容器
3 咽喉頭感覚の中枢投射
2.延髄におけるパタン形成器と咽頭期嚥下の制御
1 嚥下関連筋群と支配神経核 2 咽頭期嚥下のパタン形成器
3 パタン形成器の局在と機能
4 パタン形成器を中心とした「位相」と「期」による嚥下の考え方
3.皮質における嚥下制御
1 CPGより上位の嚥下制御 2 皮質-延髄間の投射
4 呼吸・咳の生理と神経機構(西澤典子・橋本竜作)
1.呼吸器の構造と機能
1 呼吸器の構造 2 胸郭の運動と呼吸
2.気道防御機構
1 気道防御機構と喉頭 2 嚥下と呼吸 3 咳と呼吸
3.呼吸・咳の中枢制御
1 呼吸のパタン形成
第3章 摂食・嚥下の年齢的変化
1 新生児・乳児・小児(苅安 誠)
1.年齢による嚥下の違い
2.成長と発達
3.新生児と乳幼児の嚥下
2 成人・高齢者(苅安 誠)
1.老化
2.適応と失敗
3.嚥下に関連する老化
4.病的な老化と機能低下をもたらす状態
1 サルコペニア(sarcopenia) 2 骨棘(osteophyte) 3 薬剤
5.ライフ・スパンでみる摂食行動
第4章 摂食・嚥下障害の原因と病態
1 摂食・嚥下障害の症状(堀口利之・秦 若菜)
1.ログマン(Logemann)による誤嚥の分類
2.平野らの分類
2 神経疾患の摂食・嚥下障害(巨島文子・横関恵美)
1.原因疾患の分類
1 障害部位による分類 2 疾患の特徴による分類 3 嚥下動態による分類
2.脳血管障害
1 球麻痺による嚥下障害 2 ワレンベルグ症候群
3 偽性球麻痺による嚥下障害 4 前部弁蓋部症候群(Fox-Chavany-Marie syndrome)
5 脳血管障害と嚥下リハビリテーション
3. 進行性神経筋疾患
1 筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)
2 多系統萎縮症(multiple system atrophy:MSA) 3 パーキンソン病
4 進行性核上性麻痺(PSP) 5 重症筋無力症
6 皮膚筋炎・多発筋炎・封入体筋炎・自己免疫性壊死性ミオパチー
4.まとめ
3 器質性の摂食・嚥下障害(津田豪太・高嶋絵里)
1 はじめに 2 口腔疾患 3 咽頭疾患 4 喉頭疾患
5 食道疾患 6 その他
4 その他の問題に伴う摂食・嚥下障害(長谷川賢一)
1.はじめに
2.高次脳機能障害
1 高次脳機能障害とは 2 高次脳機能障害の原因疾患と出現率
3.高次脳機能障害と摂食・嚥下
1 意識障害と摂食・嚥下 2 注意障害(方向性注意含む)と摂食・嚥下
3 記憶障害と摂食・嚥下 4 失行症と摂食・嚥下
5 失認症・視空間認知障害と摂食・嚥下 6 社会的行動障害と摂食・嚥下
4.認知症に伴う摂食・嚥下障害の病態
1 病型別の症状 2 摂食・嚥下に認められる主な初期症状
5.廃用症候群に伴う嚥下障害の病態
1 廃用症候群とは 2 廃用症候群における摂食・嚥下の病態
5 摂食・嚥下障害の合併症(苅安 誠)
1.誤嚥性肺炎
2.脱水
3.低栄養
第5章 摂食・嚥下の検査・評価
1 言語聴覚士が単独で行える検査(堀口利之・秦 若菜)
1.基本情報の収集
1 問診 2 医学的所見 3 高次脳機能・コミュニケーション能力
4 他職種からの情報
2.呼吸・音声・構音検査
1 呼吸機能 2 発声機能 3 構音 4 プロソディ
3.嚥下器官機能検査
4.摂食・嚥下機能検査
5.摂食場面の観察・評価
2 医師が行う検査(兵頭政光)
1.嚥下造影検査
1 検査目的 2 検査方法 3 観察項目 4 検査の留意点
2.嚥下内視鏡検査
1 検査目的 2 検査方法 3 観察項目 4 検査の留意点
3.嚥下圧検査
1 検査目的 2 検査方法 3 観察項目 4 検査の有用性と留意点
4.筋電図検査
1 検査方法 2 観察項目 3 検査の有用性と留意点
5.その他の検査法
1 超音波検査 2 RIシンチグラフィー検査 3 CT,MRI検査
3 言語聴覚士にできるVF・VEの読影(倉智雅子)
1.VF
1 喉頭侵入と誤嚥の読影 2 嚥下反射惹起遅延
3 残留(クリアランスの低下)が教えてくれるもの
4 正面画像による左右差の確認
2.VE
1 嚥下前/嚥下反射惹起前のVE画像の読影 2 嚥下中/咽頭期のVE画像の読影
3 嚥下後/咽頭期終了後の読影 4 VEで見る嚥下反射惹起の遅れ
4 摂食・嚥下検査におけるリスクと対策(堀口利之・秦 若菜)
1.誤嚥
1 対策 2 誤嚥時の対応
2.窒息
1 対策 2 窒息時の対応
3.感染症
1 対策
4.日内・日間変動
第6章 摂食・嚥下障害のリハビリテーション
1 訓練法
1.基礎訓練(間接訓練)法(清水充子・中山剛志)
1 基礎訓練法の目的,実施における留意点
2 基礎訓練法の種類,手続き,対象となる疾患や病態,根拠
3 これからの基礎訓練法
2.摂食訓練(直接訓練)法(小島千枝子)
1 食事の環境設定 2 嚥下反射誘発法 3 開口と嚥下反射誘発
4 嚥下訓練法 5 その他
2 代償法(北條京子)
1.姿勢の調整
1 体幹角度の調整 2 頭位の調節
3 頸部回旋(横向き嚥下,head rotation) 4 頸部突出法
5 一側嚥下(側臥位と頸部回旋のコンビネーション)
2.食品調整
1 嚥下調整食 2 トロミの調整 3 内服の経口摂取
3.その他の代償法
4.食具の工夫
3 歯科補綴的対応(西脇恵子)
1.はじめに
2.歯科補綴装置の具体例
3.作製のために必要なこと
4 疾患別介入の留意点
1.脳血管障害に対するアプローチ─回復時期ごとの特徴と対応(急性期,回復期,維持期)(小島千枝子・原田惠司)
1 急性期脳血管障害の摂食・嚥下障害に対するアプローチ
2 回復期脳血管障害の摂食・嚥下障害に対するアプローチ
3 維持期脳血管障害の摂食・嚥下障害に対するアプローチ
2.先行期障害に対するアプローチ(長谷川賢一)
1 アプローチの枠組みと留意点 2 情報の収集 3 評価
4 摂食・嚥下機能へのアプローチ(訓練・対応・支援)
3.廃用症候群に対するアプローチ(長谷川賢一)
1 評価 2 訓練
4.進行性神経筋疾患に対するアプローチ(西尾正輝)
1 パーキンソン病(Parkinson's Disease:PD)
2 筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis:ALS)
5.頭頸部腫瘍に対するアプローチ(口腔・咽頭)(西脇恵子)
1 はじめに 2 治療前の評価 3 予後予測
4 治療前のアプローチ 5 周術期のアプローチ
6 放射線療法や化学療法に対するアプローチ
7 職業や家庭復帰に対するアプローチ 8 生命予後が悪い場合のアプローチ
9 長期的な経過 10 心理的な支持の必要性
6.頭頸部癌に対するアプローチ(下咽頭・喉頭・食道)(津田豪太・高嶋絵里)
1 はじめに 2 部位ごとの特性 3 治療によって生じる嚥下障害
4 最後に
5 家族指導,患者・家族に対するカウンセリング(清水充子)
1.リハビリテーションに臨む態勢をつくる
1 患者の主体性が大切 2 障害受容
2.患者,家族が主体性を持てるようサポートする
3.家族の希望と本人の希望の乖離への対応
4.疾患により異なる特徴と対応の留意点
1 脳卒中,頭部外傷など脳損傷による摂食・嚥下障害への対応
2 神経,筋疾患など進行性の疾患による摂食・嚥下障害への対応
6 嚥下障害の手術的治療(西澤典子)
1.手術的治療の分類
2.嚥下機能改善手術
1 輪状咽頭筋切断術 2 喉頭挙上術 3 咽頭内圧上昇を目的とする手術
4 喉頭閉鎖の強化手術
3.誤嚥防止手術
1 喉頭閉鎖術 2 気道食道分離術 3 喉頭全摘出術
4.気管切開術
7 代替栄養法(北條京子)
1.主な代替栄養法の種類と特徴
2.代替栄養法の選択
3.経静脈栄養(点滴)
4.経腸栄養
5.経管栄養剤
6.必要エネルギー量,必要水分量
8 チーム医療とNST活動(清水充子・中山剛志)
1 チーム医療の必要性 2 チーム医療と言語聴覚士
3 チーム医療の分類とtransdisciplinary team modelのすすめ 4 NST活動
第7章 臨床上の留意点
1 救急対応の基礎知識(津田豪太・高嶋絵里)
1 はじめに 2 直接的訓練時の準備と対応
3 誤嚥・窒息時の症状と対応 4 その他の注意点
2 気管切開とその管理(兵頭政光)
1.気管切開とは
2.気管切開の適応
1 上気道狭窄 2 下気道管理 3 呼吸管理
3.手術手技
4.気管カニューレ
5.術後管理および合併症
6.嚥下障害と気管切開
7.気管切開患者における嚥下訓練
8.言語聴覚士による気管吸引
1 目的 2 適応 3 吸引手技 4 合併症
3 口腔と咽頭の衛生(小野高裕・稲月 摂)
1 口腔ケアとは 2 口腔ケアの目的 3 口腔ケアの問題点
4 咽頭の衛生 230 5 口腔清掃の基本 230 6 ケアの実際
4 患者の味覚・嗜好(堀口利之・秦 若菜)
1.味覚
2.味覚の加齢変化
3.味覚障害
4.嗅覚・嗅覚の加齢変化
5.口腔内の問題
6.認知症
5 ICF(国際生活機能分類)と摂食・嚥下障害(稲田晴生)
1.疾病,障害構造の考え方
2.ICFによる摂食・嚥下機能の評価
3.障害の3相構造に基づく摂食・嚥下障害への対応
6 症例と報告書の書き方
1.脳血管障害(清水充子)
2.筋萎縮性側索硬化症に伴う摂食・嚥下障害(西尾正輝)
3.認知症(長谷川賢一)
1 症例の紹介 2 本症例の報告書
4.頭頸部腫瘍(西脇恵子)
1 症例の紹介 251 2 本症例の報告書
サイドメモ
モダイオラス(小野高裕・山本雅章)
舌乳頭(小野高裕・山本雅章)
咀嚼は認知症の予防になるか?(山村千絵)
最大咬合力測定時の注意点(山村千絵)
日常の嚥下(稲本陽子)
孤発的咽頭嚥下(isolated pharyngeal swallow:IPS)(稲本陽子)
食塊の推進(稲本陽子)
一気飲み・刀飲み(稲本陽子)
高齢者での認識のズレ(苅安 誠)
嚥下造影でみる高齢者の嚥下(苅安 誠)
メンデルソン手技の意義についての研究(小島千枝子)
綿チップ押しつぶし訓練(小島千枝子)
唾液の量(西脇恵子)
モバイル型PLP(Fujishima type)(小島千枝子)
脳卒中治療ガイドライン2009「嚥下障害のリハビリテーション」(小島千枝子・原田惠司)
間欠的経口食道経管栄養法(西脇恵子)
機械的清掃の効果(小野高裕・稲月 摂)
口腔ケアの脳への刺激(小野高裕・稲月 摂)
口腔ケアによる誤嚥性肺炎の予防(小野高裕・稲月 摂)
口腔ケアにおける感染予防(小野高裕・稲月 摂)
和文索引
欧文索引








