やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第5版の序
 本書『理学療法概論』の初版は1984年(昭和54年)に出版され,その後3回の改訂を重ね,このたび第5版を出版する運びとなった.本書の初版が出版されてから23年が経過する.
 本書の第4版増刷時に,「理学療法の基盤」(内山 靖氏),「理学療法と心理的対応」(富樫誠二氏)の2章を追加した.この第5版では,一部の章,「理学療法の歴史」(日下隆一氏),「理学療法の学問的体系化と研究法」(臼田 滋氏),「理学療法部門における管理」(橋元 隆氏)の執筆者を変更して内容の改訂を図った.なお,本書では原則として行政用語を除き「訓練」という用語を使用していないことを付記しておく.
 2005年には社団法人日本理学療法士協会は創立40周年を迎えている.その間,日本の急激な社会構造・社会情勢などの変遷に伴い,日本の理学療法にかかわる諸々の状況も大きく様変わりしてきた.
 2006年には理学療法士養成校数も208校に至り,その1学年定員は約1万人になる.理学療法士免許登録者は52,088人で,その内43,544人が日本理学療法士協会の会員となっている.理学療法学教育については,全体の約30%(55校)が大学教育として行われていることに伴い,大学院教育としての博士課程前期(修士)と博士課程後期(博士)が増えていることが特記すべきことである.
 しかし,近年の日本の経済情勢の停滞から,理学療法診療報酬を含む医療保険の抑制現象が危惧される時代になってきた.なかでも,2006年の診療報酬改定においては「理学療法」としての区分が消え,「リハビリテーション」に取り込まれることになった.これは,理学療法士は法的には医療職として規定され,その基本的職務は「理学療法」である事実が,結果的に無視されたものでありきわめて遺憾な出来事である.理学療法士自体のアイデンティティにも関わる課題であり,これまで40年余にわたり築かれてきた理学療法の基盤を根底から揺るがす出来事でもある.
 時代の流れに逆行するこれらのネガティブな現象をよりポジティブな現象に変革するためには,今後ますます教育・臨床・研究の水準を高め,社会的な活動と有機的に連動して国民の社会的認知を確実なものにしていく自助努力が求められよう.
 2007年3月
 奈良 勲

第4版の序
 本書の初版は1984年に出版され,その後2回の改訂を重ね,このたび改訂第4版として出版する運びとなった.本書の初版から18年が経過するが,その間,日本の理学療法にかかわる諸々の状況も社会情勢の変遷に伴い様変わりしてきた.
 すなわち,1991年の改訂第3版以降,四年制大学や大学院での理学療法教育が実現している.また日本理学療法士協会は,生涯学習システムおよび専門領域研究会を始動し,いわゆる専門職団体としての卒後教育システムの確立に努めている.
 1999年5月には世界理学療法連盟(WCPT)の国際学術大会を横浜で開催している.その開会式に際しては天皇・皇后両陛下にご臨席いただき,かつ天皇陛下の「おことば」を賜ったことはたいへん栄誉ある出来事であった.
 さらに,2001年には「日本理学療法士学会」が「日本理学療法学術大会」と改められて,理学療法士以外の職種にも一般演題報告を開放して学際領域における協同研究を推進している.
 第4版では,改訂第3版以降のこのような変遷を考慮して可能なかぎり最新の情報を盛り込むことに努めた.第4版の主な改訂内容は以下のようである.
 ・全体的には,編集者の意向により文献,引用文・表,行政用語などを除き,「訓練」という用語の使用を避けた.
 ・第8章の「理学療法の役割と職域」を全面的に書き換え,各種統計・資料の数値の見直し,そして新設項目として,「老人保健法と理学療法士」「ゴールドプラン21と理学療法士」「介護保険と理学療法士」「医療法の改正と理学療法士」「医療制度改革と理学療法士」「健康日本21と理学療法士」「地域リハビリテーション推進者・保健医療従事者としての理学療法士」などを加えた.
 ・第10章の「理学療法教育」では,カリキュラムの大綱化に関する解説と国家試験出題基準を加えた.
 ・第11章の「理学療法士の組織と活動」では理学療法(士)界の最近の経緯を追加するとともに,日本理学療法士協会の組織・事業に関する解説の見直しを行った.
 ・第12章の「理学療法の基本用語」では約80の用語を新たに追加した.
 ・付録として添付されている関係法規の全面的な見直しを行った.
 なお,第7章と第11章に現行の診療報酬表が記載されているが,2002年の診療報酬改定表は,本書の印刷時期との関係で間に合わなかったため次回の増刷時に記載したい.
 今回の改訂にあたり,変遷し続ける社会情勢を見据えながら,あるべき理学療法(士)の姿を総括的に追求し,それらを「理学療法概論」として表すように努力した.しかし,さらに本書を充実させるために,読者の卒直な意見を受けながら善処していきたい.
 2002年3月
 奈良 勲

第3版の序
 第1版の発行(昭和59年5月),第2版の発行(昭和61年4月),そしてこのたび第3版の発行の運びとなった.
 第3版では,新たに「理学療法士の法律制度」を加え,武富氏に執筆願った.「理学療法士作業療法士法」が制定されてから,四半世紀を経過するが,再度その解釈を深め,今後の見直しを期すためにも,この方面の検討が期待される.
 「理学療法教育」については,平成2年度より,新カリキュラムに改正されたことから,黒川氏に執筆をお願いして,新たな内容になった.また,今回はほんの一部ではあるが,理学療法に関する基本用語の解説を加えた.全体的には最近の情報・資料を加えて,極力up to dateにした.
 去る9月中旬に,社団法人日本理学療法士協会は日本学術会議法(昭和23年法律121号)第18条第3項に基づき,「学術研究団体」として登録された.日本の理学療法の普及向上に関して責任をもつ日本理学療法士協会が,正規に第三者によって学術団体として認められたことは,たいへん名誉なことである.これは,これまでわれわれ協会会員が誠実に理学療法水準を高める努力をし,臨床・研究・教育の場において研鑽を怠らなかった成果であると確信する.「科学としての理学療法」「理学療法の学問的体系」を追求してきたわれわれとしては,そのスタート点に至ったものとして受け止め,21世紀に向けて,これまで以上に精進しなければなるまい.
 日本は急激に高齢化社会を迎えることになるが,長寿が実現されることは喜ばしいことである.そして,今後は理学療法士として,高齢者の健康増進,障害をもつ高齢者の人間らしい生活・人生を全うしてもらうための援助方法を一層真剣に模索する必要がある.
 平成3年2月
 奈良 勲

第2版の序
 第1版の発行(昭和59年5月15日)から約2年になる.第2版の発行においては,誤植の訂正を行ったことと,宇都宮氏担当の「理学療法の歴史」のなかで,“運動療法の歴史”に関して一部追加していただいた.
 また,第1版に組み入れることができなかった章,「理学療法部門における管理」については濱出氏に執筆していただき,第2版に加えることができた.
 理学療法(士)の存在価値は,それを必要とする人々に対して,どれだけの質量を提供しうるかによって自ずから定まってくるという意味のことは,小生が担当している章で述べている.近年,理学療法に関する研究も徐々に科学的に検証しようとする努力がうかがえる.しかし,仮に,効果的方法が見いだされたとしても,理学療法が実際に提供される場面(臨床)において,それが効率的に活用されないとすれば,学会発表や研究論文にみる研究成果はたいした意味をもたないことになる.したがって,臨床家の責任としては,研究成果をどれだけ臨床の場に生かせるかという大きな問題がある.
 「理学療法部門における管理」の基本論としては濱出氏が述べているごとくであると思われるが,単にみかけ上の管理,もしくは管理者にとって都合のよい管理であってはならない.かねがね小生が考える最高の管理システムとは,上記したごとく,研究成果をいかに臨床に取り入れるかということである.人間の習性の1つとして,一度確立されてしまった思考および行動形態はなかなか修正されがたいものである.よって,われわれはつい習慣として流されてしまう.しかし,そこには発展という姿をみることはまずありえない.
 昭和61年4月
 奈良 勲

初版の序
 理学療法の原形は古代ギリシャにはじまったといわれている.しかし,傷つき病める人間は人類の起源より,本能的に物理的もしくは自然のエネルギーを利用して生体を癒してきたとも予想されないだろうか.医学は診断技術,手術そして薬物などの進歩によって推進されてきた.かといって,物理的,自然のエネルギーにもとづいた治療手段の存在価値が失われたとは考えられない.むしろ,手術や薬物によって対処しえない疾患や障害に対する利用価値は以前よりも認識されてきたといってよい.
 理学療法(physical therapy,physiotherapy)のはじまりはphysical medicineにおけるtherapy,つまり治療をさすものであった.そして,その業務に専念する専門家が正規に養成されるまでは,看護婦をはじめ助手などによって理学療法が行われていたという歴史的経緯がある.このことから,理学療法は本来臨床医学の一部であり,その事実は基本的には今も変わらない.しかし,社会のニーズに伴い,physical medicineを基盤にしてリハビリテーション医学としての概念と形態が展開されるに従い,理学療法そのものも変遷してきたのはいうまでもない.
 わが国ではリハビリテーション医学とよばれているが,アメリカにおける正式名称はphysi-cal medicine and rehabilitationであり,またリハビリテーション専門医の名称はphysiatrist,つまり自然療法士という意味を含んでいることからもこの分野の歴史的背景がうかがえる.
 歴史的経過からみても,理学療法はリハビリテーション医学の支柱として世界各国において着実に発展してきた.しかし,今後の発展がどう展開されていくのか興味のもたれるところである.わが国における理学療法の発展を考えるとき,数多くの問題が山積しており,それらに対する対策が期待される.いずれにせよ,このような時期に理学療法概論の単行本が出版される機会をもてたことはわれわれ理学療法を業とする人間,またそれを学ぼうとしている人々にとって,大変意味のあることといえる.
 あらゆる学問分野において,概論としてまとめられたものがある.概論とは全体にわたって大要を述べたもの(広辞苑)とあるが,特定の分野を総体的に理解するうえで手助けとなることが多い.
 理学療法概論として,これまで散発的に論じられてきたが,まとまった形で出版されるのはわが国でははじめてのことであり,諸外国においてもあまり例をみない.
 それぞれの章を分担していただいた諸氏はこれまでわが国における理学療法の発展に尽されてきた方々であり,それぞれのテーマについて読者の視点を核心に導いていただけると思う.しかし,ここで論じられたことがらに固執するのではなく,さらに高次元の理学療法概論が展開されていくことへの布石として受け止めていただければ幸いである.
 昭和59年5月
 奈良 勲
 第5版の序
 第4版の序
 第3版の序
 第2版の序
 初版の序

序章(奈良 勲)
第1章 理学療法と倫理・哲学(奈良 勲)
 1.倫理(学)とは何か
 2.哲学とは何か
 3.なぜ理学療法と倫理・哲学を考えるのか
 4.人間としての責任
 5.職業倫理
 6.日本理学療法士協会の倫理規程
  1)基本精神
  2)遵守事項
第2章 理学療法の基盤(内山 靖)
 1.効果的な理学療法実践のための基盤
 2.理学療法に関わる国際分類
  1)国際疾病分類
  2)国際障害分類
  3)国際生活機能分類
 3.理学療法モデル
  1)モデルの意味
  2)理学療法を支える基盤モデル
  3)臨床思考過程のモデル
 4.根拠に基づく理学療法
  1)根拠とは
  2)根拠に基づく理学療法の流れ
   (1)問題の定式化
   (2)根拠の入手
   (3)批判的吟味
   (4)実 施
   (5)評 価
  3)根拠を作る
   (1)シングルケーススタディ
   (2)RCT
 5.理学療法学教育の基盤
 6.課題と展望
第3章 理学療法の歴史(日下隆一)
 1.はじめに
  1)理学療法とリハビリテーション
  2)近代医療における理学療法
  3)理学療法の範疇
 2.リハビリテーションと理学療法の歴史
  1)日本のリハビリテーションと理学療法の歴史
  2)アメリカのリハビリテーションと理学療法の歴史
  3)イギリスにおける理学療法の歴史
 3.リハビリテーションおよび理学療法士に関する組織の歴史
  1)アメリカ物理医学リハビリテーションアカデミー
  2)アメリカリハビリテーション医学会
  3)日本リハビリテーション医学会
  4)日本理学療法士協会
 4.物理療法の歴史
  1)電気療法の歴史的概略
  2)個々の物理療法の起源と歴史
   (1)電気療法
   (2)伝導性温熱・寒冷療法
   (3)機械器具療法
   (4)水治療法
 5.運動療法の歴史
  1)徒手療法
   (1)徒手療法・徒手医学療法
   (2)あん摩,マッサージの歴史
  2)疾患別理学療法
   (1)呼吸理学療法
   (2)循環器疾患理学療法
   (3)中枢神経疾患理学療法
   (4)整形外科的理学療法
  3)基礎的運動療法
   (1)ADLトレーニング
   (2)筋力トレーニング
   (3)筋・関節等ストレッチング
第4章 理学療法士の法律制度(武富由雄)
 1.理学療法士身分制度の意義
 2.『理学療法士及び作業療法士法』の歴史
 3.『理学療法士及び作業療法士法』の解説
 4.『理学療法士及び作業療法士法』に対する疑問解説
第5章 理学療法の対象と治療手段(嶋田智明)
 1.痛みとその理学療法
  1)痛みの病態生理
   (1)痛みの性質とその特徴
   (2)皮膚の痛み(表在痛)の受容
   (3)深部痛とトリガー点
   (4)筋の痛みと筋スパズム環
   (5)痛みの伝導路
  2)痛みに対する物理療法
   (1)その解剖生理学的基礎
   (2)温熱による痛みの軽減メカニズム
   (3)温熱療法の種類と特徴
   (4)冷による痛みの軽減効果
  3)痛みに対するその他の理学療法的アプローチ
   (1)筋スパズム痛に対する運動療法
   (2)経皮的電気刺激療法(TENS)
 2.関節可動域制限とその理学療法
  1)関節可動域の機能解剖学的背景
   (1)関節の種類と構造
   (2)関節可動域(ROM)
   (3)各関節の運動学的特徴
   (4)関節に関係する組織
  2)関節可動域制限の病態生理
   (1)拘縮と強直
   (2)その発生機序
  3)関節可動域障害に対する理学療法
   (1)関節拘縮への物理療法の効果
   (2)関節可動域運動(ROM運動)
 3.筋萎縮および筋力低下とその理学療法
  1)筋収縮の正常生理
   (1)骨格筋の基本的構造とその収縮機構
   (2)筋線維の分類とその性質
   (3)筋の刺激に対する反応
   (4)筋力と筋収縮の種類
  2)筋の萎縮の病態生理
   (1)脱神経筋の性質と萎縮の発生機序
   (2)廃用性筋萎縮の特徴とその発生機序
  3)脱神経性筋萎縮の理学療法
   (1)末梢神経損傷の分類と電気診断
   (2)脱神経筋に対する電気刺激療法
  4)筋力増強運動の生理学的背景とその方法
 4.筋疲労とその理学療法
  1)筋疲労の病態生理
   (1)筋持久力とは
   (2)筋持久力を決定する生理学的要因
  2)筋持久力運動
   (1)筋持久力運動による生理学的変化
   (2)筋持久力運動の至適条件
 5.運動コントロールの障害とその理学療法-とくに協調障害について
  1)協調動作の正常生理
   (1)錐体路系と錐体外路系
   (2)小脳
   (3)大脳基底核およびその他の錐体外路系中枢
  2)協調障害の病態生理―とくに失調の定義とその発現機序
  3)失調症の理学療法の概要
 6.中枢神経病変による運動障害(中枢性麻痺)とその理学療法
  1)中枢性麻痺の病態生理
   (1)共同運動
   (2)連合反応
   (3)姿勢反射
   (4)その他
  2)中枢性麻痺に対する運動療法
   (1)神経筋反射療法
   (2)固有受容性神経筋促通法
   (3)Roodの方法
   (4)Brunnstromの体系
   (5)神経発達学的アプローチ
   (6)Vojta法
第6章 理学療法の学問的体系化と研究法(臼田 滋)
 1.学問的体系化の歩み
  1)教育形態の変遷
  2)教育課程の変遷
  3)学会,学会雑誌,卒後教育・生涯学習
 2.今後の学問的体系化の必要性
  1)理学療法の目的,対象,方法の拡大
  2)理学療法学の独自性と学際性
  3)根拠に基づく理学療法(EBPT)の実践
 3.理学療法士として必要な行動-学問的体系化に向けて
  1)卒後教育システム・大学院の利用
  2)専門雑誌・学術雑誌の利用
  3)臨床実践の場で
  4)科学的志向性
 4.理学療法における研究の意義
  1)臨床における基本的態度の習得
  2)問題解決能力の発展
  3)臨床実践に向けた意欲の増進
 5.研究の種類と研究デザイン
  1)基礎研究と臨床研究
  2)記述的研究・分析的研究・介入研究
  3)観察的研究と介入研究
  4)コホート研究とケースコントロール研究
  5)介入研究の種類
  6)症例研究
  7)評価指標に関する研究
  8)調査研究
  9)系統的レビュー
 6.研究の手順
  1)研究テーマ
  2)研究計画
  3)研究の実施
  4)論文作成
 7.学問的体系化の限界
  1)研究における限界
  2)臨床実践における限界
第7章 理学療法部門における管理(橋元 隆)
 1.組織について
  1)組織とは
  2)組織的集団と非組織的集団
 2.病院組織と危機管理
  1)病院組織と管理
  2)医療安全管理のための取り組み
   (1)医療安全対策の基本的な考え方
   (2)用語の定義
   (3)リスクマネジメントとは
   (4)ヒヤリ・ハット(インシデント)レポート
   (5)リスクマネジャーの役割
   (6)事故発生の主な原因
   (7)システムによる事故発生の可能性
   (8)事故に対する2つの志向方向
   (9)安全への取り組み
   (10)医療安全対策マニュアルの作成
 3.理学療法部門の管理
  1)人の管理
   (1)患者への対応
   (2)職場での対応
   (3)実習学生への対応
   (4)良き指導者,リーダーの資質
  2)物の管理
   (1)理学療法機器の選定
   (2)機器の管理
  3)経済性の管理
  4)情報の管理
   (1)処方箋・診療録(カルテ)の管理
   (2)文書の管理
   (3)効果的な報告
  5)研究・教育の管理
   (1)研究
   (2)教育
 4.質の管理
  1)病院機能評価におけるリハビリテーション部門の項目
 5.自己管理
  1)マネジメントとリーダーシップ
  2)時間の管理
  3)ストレスへの対応
第8章 理学療法(士)の役割と職域度(中屋久長)
 1.日本における現状
  1)理学療法の定義
  2)理学療法士の現状
   (1)理学療法士国家試験の推移
   (2)理学療法士の需給計画(推計)
   (3)理学療法士の求人・就職状況
   (4)理学療法士の就労状況
 2.今後の展望
  1)老人保健法と理学療法士
   (1)法の目的と理念
   (2)老人保険事業
   (3)高齢者保健福祉推進10か年戦略(ゴールドプラン)
  2)「ゴールドプラン21」と理学療法士
   (1)プランの基本的方向(目標)
   (2)今後の取り組むべき具体施策
   (3)2004年における介護サービス提供量(目標値)
  3)公的介護保険制度(介護保険法)と理学療法士
   (1)介護保険制度の背景
   (2)介護保険制度の概要
  4)新介護保険制度
   (1)地域密着型サービスの内容
   (2)地域包括支援センター
   (3)介護予防事業
  5)医療法の改正と理学療法士
   (1)入院医療を提供する体制の整備(患者の病態に相応しい医療の提供)
  6)医療制度改正と理学療法士
   (1)改革の基本的な考え方
   (2)安心・信頼の医療の確保と予防の重視
   (3)医療費適正化の総合的な推進
   (4)超高齢社会を展望した新たな医療保険制度体系の実現
   (5)診療報酬等の見直し
   (6)改革の時期
   (7)平成18年度診療報酬改定(リハビリテーション)
  7)「健康日本21」と理学療法士
   (1)「健康日本21」策定の背景
   (2)「健康日本21」の基本的な考え方
   (3)「健康日本21」の基本理念
  8)地域リハビリテーション推進者・保健医療従事者としての理学療法士
  9)その他
第9章 理学療法士としての適性(奈良 勲)
 1.出会い,選択,動機
  1)出会い
  2)選 択
  3)動 機
 2.適性の基本概念
 3.理学療法士としてのaptitude
  1)人間に対する関心
  2)人格,性格と行動形態
  3)知性(問題解決能力としての創造性)
  4)共感
  5)健康
 4.competency
 5.適性の重視と育成
第10章 理学療法学教育(黒川幸雄)
 1.理学療法カリキュラムの変遷
  1)リハビリテーション学院創設の当初
  2)昭和41年(1966年)指定規則
  3)昭和47年(1972年)指定規則カリキュラム改正
  4)現行カリキュラムの実施状況
 2.カリキュラム改正の経過
  1)厚生省とのヒアリング
  2)カリキュラム小委員会における検討
  3)カリキュラム見直しに関する検討結果
  4)指導要領の改正
  5)学則改正
  6)カリキュラム改正で残された諸問題
 3.卒前教育
  1)卒前教育の諸問題
  2)教育上必要な機械器具等の見直し
 4.大綱化カリキュラムと国家試験出題基準(ガイドライン)
  1)大綱化カリキュラム
  2)国家試験出題基準(ガイドライン)
 5.卒後教育
  1)養成校教員および実習指導者の教育
  2)専門領域の卒後研修
 6.生涯学習教育
 7.大学・大学院教育研究の推進
 8.EBMとEBPT
第11章 理学療法士の組織と活動(丸山仁司)
 1.日本理学療法士協会の組織と活動
  1)組織
   (1)会員
   (2)役員
   (3)議決機関
   (4)士会とブロック
  2)事業および活動
   (1)マスタープラン
   (2)学術局事業
   (3)教育局事業
   (4)社会局事業
   (5)職能局事業
   (6)事務局事業
   (7)委員会
 2.世界理学療法連盟
  1)歴史と目的
  2)会員と組織
  3)事業
 3.アジア理学療法連盟
  1)歴史と目的
  2)会員と組織
  3)事業
第12章 理学療法と心理的対応(富樫誠二)
 1.理学療法と心理的対応
  1)哲学的視点から理解する
  2)心理・社会・倫理的視点から理解する
 2.患者の心理を理解する
  1)患者の心理
   (1)適応・不適応と葛藤
   (2)防衛機制
   (3)患者の一般的特性
   (4)病者(患者)・障害者役割
   (5)障害受容
   (6)病気からの回復・障害受容へのプロセス
  2)自己と他者を理解する
   (1)自己を知る
   (2)患者を理解するための交流分析
   (3)対人認知の歪み
 3.家族の心理を理解する
  1)患者の危機=家族の危機である
  2)家族関係-家族はシステムである
  3)家族の病気・障害への不安
  4)家族役割の変化
 4.心理的対応
  1)接遇への対応
   (1)接遇と理学療法-出会い,そしてお辞儀と挨拶-
   (2)気づきと態度
  2)感情への対応
   (1)感情と理学療法
   (2)逆転移の活用
   (3)感情労働としての理学療法
  3)コミュニケーションへの対応
   (1)傾聴する
   (2)話す・表現する
   (3)非言語コミュニケーションを大切にする
  4)関係すること
  5)患者の語る物語を聴く
  6)障害受容への対応
  7)対応困難な患者への対応
  8)家族を支える
第13章 理学療法の基本用語(細田多穂)

 資料
  1.関係法規
  2.日本理学療法学術大会の歩み
  3.日本理学療法士協会全国学術研修大会の歩み
  4.世界の理学療法士事情
  5.診療報酬(リハビリテーション)