やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

序文
 平成26年11月25日より施行された「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(平成25年法律第85号)は,日本の医療においてその提供計画の段階から国への届出を義務付けるある意味革新的な法律であり,新たに細胞培養加工業という業種を想定し,再生医療を国家単位で推進して行こうとする姿勢が感じられるものとなっている.しかし,法律では届出以外にも様々な義務が課せれられており,再生医療等の提供に係る医療関係者や業者にとっては,その適切な実施において注意するべき点が多々見受けられる.また,本法に関しては,短期間の間に,同法施行令,同法施行規則並びに関連通知が発出,施行されており,再生医療等の実施を志す方々にとっては,その内容を全て把握することが困難となっており,これらの法令を体系的に解説する出版物を期待する声が大きくなってきた.これらの背景を受けて,著者らは,一般社団法人日本再生医療学会の監修の下,法令等の専門家の助力を得ながら,本書を作成,出版するに至った.本書は法令並びに関連通知,学会が発表するガイドラインや雛形を体系的に取りまとめ,その条文等に著者らによる解説を加えた内容となっている.これらの内容は,時代と科学の進歩に伴って見直されるべきものであり,あくまでこの本が出版される段階における内容と解説と考えていただきたい.また,著者らは主に医学の専門家であり,本書も再生医療を実施する者としての観点からその解説や注意点が記述されている.よって,本法の各条文の意義や法解釈は,それらの専門家に委ねたいと思う.

 「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」について
 1.再生医療への期待の向上と国の動き
 再生医療は,細胞を用いて疾病や外傷によって失われた臓器や身体の構造や機能を再建,代替することを目的とする医療であり,これにがん等の疾病の治療を目的として細胞を用いる細胞治療を含めて,平成28年現在の法律用語では再生医療等と呼ばれている(よって以下「再生医療等」と呼ぶ).この再生医療等に対する期待の高まりと,国としての在り方について議論しようとする気運は,おそらくヒト幹細胞を用いる臨床研究に関しての議論(厚生科学審議会科学技術部会ヒト幹細胞を用いた臨床研究の在り方に関する専門委員会)が始まった平成14年頃にはその端緒を求めることができるのではないかと考えられる.さらに,平成18〜19年に京都大学の山中伸弥教授によるiPS細胞の発見を受けて,その期待は一般国民にも広がるようになり,厚生労働省ではこれらの気運の高まりを受け,平成21年4月には再生医療等における制度的枠組みに関する検討会が開始された.平成21年度,平成22年度にそれぞれ一定の取りまとめが行われ,再生医療等推進のための国家的枠組みと基本的考え方に関する提言が示されたが,再生医療等に関してその安易な実施への危惧を抱かせる事例が発生したことも受けて,より具体的な枠組みを求める声が大きくなっていった.以上の背景を踏まえて,平成24年9月には再生医療の安全性確保と推進に関する専門委員会が厚生労働省厚生科学審議会科学技術部会の下に設置され,再生医療等に関する具体的な国としての枠組みの検討が開始されることとなった.

 2.再生医療等安全性確保法の成立と施行
 上述の専門委員会での検討が始まった翌10月には京都大学山中伸弥教授がノーベル生理学・医学賞を受賞され,国民の再生医療への期待はさらに上昇し,同時にこれまで以上に適切な再生医療の推進が望まれることとなった.平成25年に日本経済再生に向けた緊急経済対策(平成25年1月11日閣議決定)の中で再生医療の安全性を確保しつつ,適切に推進していく枠組みを作ることが明言され,前述の専門委員会では,この枠組みに関して,具体的に検討が重ねられた.これら専門委員会の検討を踏まえて,この枠組みに関する法案を平成25年国会中に提出するようにとの総理の指示があったことも受けて,平成25年5月の通常国会に「再生医療等の安全性の確保等に関する法律案」が提出されるに至った.残された審議期間の関係から,審議自体は,同年の臨時国会に持ち越されたが,結果として平成25年11月27日,「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(再生医療等安全性確保法)の公布となった.同法の公布を受けて,各地方厚生局にはこの法律の窓口となる専門官が翌年より配置され,1年間の周知期間を以て平成26年11月25日より同法は施行となった.この間,アカデミア側でも,同法に対応した動きがみられ,一般社団法人日本再生医療学会では,周知を促すためのセミナーの開催や,健康被害の補償への対応のためのガイドラインの検討などを並行して実施した.同法は平成27年11月24日までを移行期間と定めており,移行期間以後は,同法の施行以前から実施していた再生医療に関しても,新たに新法下での届出が必要となるため,医療界でも同法への対応が広く求められることとなった.同法では,再生医療等を第一〜三種に区別し,それに応じた届出の手順を求めている.また,届出には(特定)認定再生医療等委員会と呼ばれる委員会の意見を受けることが必要で,この委員会の設置に関しても国の認定を受ける必要があり,再生医療等の提供には,多くの労力と様々な注意が必要であることが明らかとなってきた.本書の以下の章では,これらの詳細について,項目ごとに法律,政令(同法施行令),省令(同法施行規則),通知,Q&Aをまとめ,解説を行っていく.
 序文
 再生医療等の安全性の確保等に関する法律イラストガイダンス
 凡例
再生医療等の安全性の確保等に関する法律
 総則
 再生医療等の提供
 認定再生医療等委員会
 特定細胞加工物の製造
 雑則
 罰則
 経過措置
チェックリスト
  ・詳説版提供基準チェックリスト
  ・提供計画添付文書簡易チェックリスト
  ・再生医療等提供基準チェックリスト
  ・再生医療等提供基準チェックリスト補足資料
再生医療等臨床研究における健康被害補償に関するガイドライン
特定細胞加工物製造に関する文書雛形

 法律
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