序
2010年12月,厚生労働科学研究費補助金・難治性疾患克服研究事業・アミロイドーシスに関する調査研究班(研究代表者:山田正仁)では,「アミロイドーシス診療ガイドライン 2010」を発行しました(研究班ホームページにて公開:http://amyloid.umin.jp/).ガイドライン作成にあたっては,一般医向けに“エッセンスを簡潔に示すこと”を旨とし厳格な字数制限を行いました.一方,図表を含め懇切丁寧な解説がついた,アミロイドーシス診療にあまりなじみのない読者にとっても理解しやすい詳細版を望む声があがったことから,ガイドラインとは別個に,本書を編集し出版する運びとなりました.
本書は研究班による,「アミロイドーシス診療ガイドライン 2010」を骨子としていますが,ガイドラインにはない項目を盛り込み,アミロイドーシス診療の基礎から,現在の診療ガイドライン,診療の将来展望に至るまでを幅広く,わかりやすく解説する内容となっております.本書は3つの章から構成されています.まず,第I章「アミロイドーシス診療の基礎」では,アミロイドーシスの定義や分類,病理や発症のメカニズム,診断・治療にあたっての基本的な考え方をわかりやすく解説しています.次に,第II章「アミロイドーシス診療ガイドライン詳説」では,ガイドラインで取り上げたアミロイドーシスの代表的な病型について,わかりやすく詳しい解説をガイドライン執筆担当の先生方にお願いしました.簡潔なガイドラインでは触れる余裕のなかった,診療に役立つ具体的なポイントに言及していただきました.さらに,第III章「アミロイドーシス診療に関わる研究動向と最新トピックス」では,アミロイドーシスの診療や研究の最近の動向やトピックスを取り上げました.この章では,現在,どのような方向でアミロイドーシスの診断法や治療法の研究開発が進んでいるのかについて解説いただき,将来の臨床応用に向けた展望を提示しています.
本書の出版にあたっては,研究班内ばかりではなく研究班外からも,わが国を代表するエキスパートの方々にご執筆いただきました.非常にご多忙な先生方に短期間でご執筆をいただき心より感謝申し上げます.
アミロイドーシスは,かつては根本的治療法が全くない難病でしたが,現在では,根本的治療効果が期待される“抗アミロイド療法”が次々と登場してきており,非常にホットな領域となっています.診療のスタンダードや最新の情報を解説した本書が,アミロイドーシスに悩む患者さんの診療に役立つことができれば誠に幸いです.
2011年3月
山田正仁
2010年12月,厚生労働科学研究費補助金・難治性疾患克服研究事業・アミロイドーシスに関する調査研究班(研究代表者:山田正仁)では,「アミロイドーシス診療ガイドライン 2010」を発行しました(研究班ホームページにて公開:http://amyloid.umin.jp/).ガイドライン作成にあたっては,一般医向けに“エッセンスを簡潔に示すこと”を旨とし厳格な字数制限を行いました.一方,図表を含め懇切丁寧な解説がついた,アミロイドーシス診療にあまりなじみのない読者にとっても理解しやすい詳細版を望む声があがったことから,ガイドラインとは別個に,本書を編集し出版する運びとなりました.
本書は研究班による,「アミロイドーシス診療ガイドライン 2010」を骨子としていますが,ガイドラインにはない項目を盛り込み,アミロイドーシス診療の基礎から,現在の診療ガイドライン,診療の将来展望に至るまでを幅広く,わかりやすく解説する内容となっております.本書は3つの章から構成されています.まず,第I章「アミロイドーシス診療の基礎」では,アミロイドーシスの定義や分類,病理や発症のメカニズム,診断・治療にあたっての基本的な考え方をわかりやすく解説しています.次に,第II章「アミロイドーシス診療ガイドライン詳説」では,ガイドラインで取り上げたアミロイドーシスの代表的な病型について,わかりやすく詳しい解説をガイドライン執筆担当の先生方にお願いしました.簡潔なガイドラインでは触れる余裕のなかった,診療に役立つ具体的なポイントに言及していただきました.さらに,第III章「アミロイドーシス診療に関わる研究動向と最新トピックス」では,アミロイドーシスの診療や研究の最近の動向やトピックスを取り上げました.この章では,現在,どのような方向でアミロイドーシスの診断法や治療法の研究開発が進んでいるのかについて解説いただき,将来の臨床応用に向けた展望を提示しています.
本書の出版にあたっては,研究班内ばかりではなく研究班外からも,わが国を代表するエキスパートの方々にご執筆いただきました.非常にご多忙な先生方に短期間でご執筆をいただき心より感謝申し上げます.
アミロイドーシスは,かつては根本的治療法が全くない難病でしたが,現在では,根本的治療効果が期待される“抗アミロイド療法”が次々と登場してきており,非常にホットな領域となっています.診療のスタンダードや最新の情報を解説した本書が,アミロイドーシスに悩む患者さんの診療に役立つことができれば誠に幸いです.
2011年3月
山田正仁
I.アミロイドーシス診療の基礎
1 アミロイドーシスとは?―定義と分類 山田正仁
・アミロイドの定義と由来
・アミロイドーシスの定義と分類
2 アミロイドーシスの病理 星井嘉信
・全身性アミロイドーシスと限局性アミロイドーシス
・生検部位の選択
・アミロイドの組織学的同定
・アミロイドーシスの免疫組織化学的タイプ決定
3 アミロイドーシス発症の分子機構 内木宏延
・アミロイド線維の構造と試験管内形成機構
・アミロイド共存分子とアミロイド線維形成・沈着の分子機構
4 アミロイドーシスの診断・治療の基本的な考え方 山田正仁
・診断への道筋
・治療方針
・専門家による支援
II.アミロイドーシス診療ガイドライン詳説
1 ALアミロイドーシス 島崎千尋
・ALアミロイドーシスの概念と分類
・疫学・病理
・病歴および症候上の特徴
・検査と診断的意義
・化学療法
・自家末梢血幹細胞移植
・同種造血幹細胞移植
・新規薬剤
・治療アルゴリズム
・支持療法
2 AAアミロイドーシス 吉崎和幸・他
・AAアミロイドーシスとは
・病因
・疫学および基礎疾患
・臨床症状および検査所見
・病理所見
・生命予後と死因
・診断のポイント
・重症度診断
・病理診断
・鑑別診断
・薬物療法(非生物学的製剤)
・薬物療法(生物学的製剤)
・治療効果判定
・基本疾患ごとの治療指針
・障害部位ごとの治療指針
3 家族性アミロイドポリニューロパチー 安東由喜雄
・FAPの分類および臨床症状
・疫学
・初発症状
・検査所見
・肝移植療法
・その他の新しい治療
・FAPの治療に関するエビデンス
4 透析アミロイドーシス 西 慎一・乳原善文
・HDAの概念
・HDAの疫学
・HDAの病因・病態
・発症危険因子
・臨床症候
・検査所見
・診断基準
・HDAの予防
・HDAの内科的治療
・HDAの整形外科的治療
・腎移植と HDA
・理学療法
5 老人性全身性アミロイドーシス 池田修一
・疾患概念
・疫学
・アミロイド構成蛋白
・病理組織像
・臨床症状
・鑑別疾患
・治療
6 脳アミロイドーシス(1)―Alzheimer病 東海林幹夫
・ADの概念
・ADの疫学
・ADの病理
・ADの病期
・ADの主要症状
・ADの検査
・診断基準
・除外診断基準
・医学的管理の一般原則
・精神的ケア
・中核症状に対する薬物療法
・BPSDに対する薬物療法
・合併症の予防と終末期の対応
7 脳アミロイドーシス(2)―脳アミロイドアンギオパチー 山田正仁・浜口 毅
・CAAの概念と分類
・CAAの疫学
・CAAの病理・病態・病因
・病歴および症候上の特徴
・CAAの検査と診断的意義
・診断基準
・CAAに対する治療(抗アミロイド療法)
・CAA関連病態の治療
III.アミロイドーシス診療に関わる研究動向と最新トピックス
1 アミロイドイメージング―脳や全身のアミロイドを検出する 工藤幸司
・AD診断法としてのアミロイドイメージング
・NIAおよび Alzheimer's Association提案と Preclinical AD
・NIAおよび Alzheimer's Association提案の問題点と波紋
・脳アミロイドアンギオパチー,その他アミロイドーシスにおけるアミロイドイメージング
2 AAアミロイドーシスに対する生物学的製剤の効果と問題点 奥田恭章
・AAアミロイドーシスに対する治療法
・AAアミロイドーシスに対する生物学的製剤
3 トランスサイレチンアミロイドーシスに対する新規治療法の開発 関島良樹
・TTRアミロイドーシスの臨床
・TTRアミロイドーシスの発症メカニズム
・TTRアミロイドーシスの治療
4 Alzheimer病のワクチン療法 田平 武
・ADの発病機序
・ADのワクチン療法の発明
・AN-1792 ワクチンの治験
・副作用としての髄膜脳炎
・AN-1792 接種患者の剖検例
・ワクチン接種患者の短期臨床経過観察結果
・ワクチン接種患者の長期臨床経過観察結果
・受動免疫ワクチンの開発
・次世代型能動免疫ワクチンの開発
5 βアミロイドの凝集過程と阻害薬開発 小野賢二郎・山田正仁
・Aβ凝集
・in vitro実験系で効果が報告されている化合物
・in vivo実験系で効果が報告されている化合物
・臨床試験が行われている化合物
6 プリオン病の論理的創薬開発 桑田一夫
・蛋白質立体構造の進化
・立体構造進化に関与する分子内構造
・医薬シャペロンの論理的創薬開発戦略
・進化する蛋白質の表現論(われわれ人類最後の切り札)
7 プリオン病以外のアミロイドーシスは伝播するか? 樋口京一
(1)全身性アミロイドーシス
・概説
・AAアミロイドーシスの伝播
・マウス AApoAIIアミロイドーシス
・TTRおよび Aβ2Mアミロイドーシス
8 プリオン病以外のアミロイドーシスは伝播するか? 浜口 毅・山田正仁
(2)脳アミロイドーシス
・アミロイドβ蛋白
・タウ蛋白
・αシヌクレイン
・その他の蛋白
サイドメモ
チオフラビン T法
FLC測定キット
透析アミロイドーシス(HDA)の骨関節親和性
老人性全身性(心)アミロイドーシスがアメリカ黒人になぜ好発するのか?
改訂 NINCDS/ADRD診断基準
preclinical AD
Alzheimer病研究の今昔
TTRの構造と機能
抗体療法の利点と欠点
次世代型ワクチンに求められる条件
Photo-induced cross-linking of unmodified proteins(PICUP)
ワイン関連ポリフェノール類
蛋白コンフォメーション病(Protein conformational disorders)
1 アミロイドーシスとは?―定義と分類 山田正仁
・アミロイドの定義と由来
・アミロイドーシスの定義と分類
2 アミロイドーシスの病理 星井嘉信
・全身性アミロイドーシスと限局性アミロイドーシス
・生検部位の選択
・アミロイドの組織学的同定
・アミロイドーシスの免疫組織化学的タイプ決定
3 アミロイドーシス発症の分子機構 内木宏延
・アミロイド線維の構造と試験管内形成機構
・アミロイド共存分子とアミロイド線維形成・沈着の分子機構
4 アミロイドーシスの診断・治療の基本的な考え方 山田正仁
・診断への道筋
・治療方針
・専門家による支援
II.アミロイドーシス診療ガイドライン詳説
1 ALアミロイドーシス 島崎千尋
・ALアミロイドーシスの概念と分類
・疫学・病理
・病歴および症候上の特徴
・検査と診断的意義
・化学療法
・自家末梢血幹細胞移植
・同種造血幹細胞移植
・新規薬剤
・治療アルゴリズム
・支持療法
2 AAアミロイドーシス 吉崎和幸・他
・AAアミロイドーシスとは
・病因
・疫学および基礎疾患
・臨床症状および検査所見
・病理所見
・生命予後と死因
・診断のポイント
・重症度診断
・病理診断
・鑑別診断
・薬物療法(非生物学的製剤)
・薬物療法(生物学的製剤)
・治療効果判定
・基本疾患ごとの治療指針
・障害部位ごとの治療指針
3 家族性アミロイドポリニューロパチー 安東由喜雄
・FAPの分類および臨床症状
・疫学
・初発症状
・検査所見
・肝移植療法
・その他の新しい治療
・FAPの治療に関するエビデンス
4 透析アミロイドーシス 西 慎一・乳原善文
・HDAの概念
・HDAの疫学
・HDAの病因・病態
・発症危険因子
・臨床症候
・検査所見
・診断基準
・HDAの予防
・HDAの内科的治療
・HDAの整形外科的治療
・腎移植と HDA
・理学療法
5 老人性全身性アミロイドーシス 池田修一
・疾患概念
・疫学
・アミロイド構成蛋白
・病理組織像
・臨床症状
・鑑別疾患
・治療
6 脳アミロイドーシス(1)―Alzheimer病 東海林幹夫
・ADの概念
・ADの疫学
・ADの病理
・ADの病期
・ADの主要症状
・ADの検査
・診断基準
・除外診断基準
・医学的管理の一般原則
・精神的ケア
・中核症状に対する薬物療法
・BPSDに対する薬物療法
・合併症の予防と終末期の対応
7 脳アミロイドーシス(2)―脳アミロイドアンギオパチー 山田正仁・浜口 毅
・CAAの概念と分類
・CAAの疫学
・CAAの病理・病態・病因
・病歴および症候上の特徴
・CAAの検査と診断的意義
・診断基準
・CAAに対する治療(抗アミロイド療法)
・CAA関連病態の治療
III.アミロイドーシス診療に関わる研究動向と最新トピックス
1 アミロイドイメージング―脳や全身のアミロイドを検出する 工藤幸司
・AD診断法としてのアミロイドイメージング
・NIAおよび Alzheimer's Association提案と Preclinical AD
・NIAおよび Alzheimer's Association提案の問題点と波紋
・脳アミロイドアンギオパチー,その他アミロイドーシスにおけるアミロイドイメージング
2 AAアミロイドーシスに対する生物学的製剤の効果と問題点 奥田恭章
・AAアミロイドーシスに対する治療法
・AAアミロイドーシスに対する生物学的製剤
3 トランスサイレチンアミロイドーシスに対する新規治療法の開発 関島良樹
・TTRアミロイドーシスの臨床
・TTRアミロイドーシスの発症メカニズム
・TTRアミロイドーシスの治療
4 Alzheimer病のワクチン療法 田平 武
・ADの発病機序
・ADのワクチン療法の発明
・AN-1792 ワクチンの治験
・副作用としての髄膜脳炎
・AN-1792 接種患者の剖検例
・ワクチン接種患者の短期臨床経過観察結果
・ワクチン接種患者の長期臨床経過観察結果
・受動免疫ワクチンの開発
・次世代型能動免疫ワクチンの開発
5 βアミロイドの凝集過程と阻害薬開発 小野賢二郎・山田正仁
・Aβ凝集
・in vitro実験系で効果が報告されている化合物
・in vivo実験系で効果が報告されている化合物
・臨床試験が行われている化合物
6 プリオン病の論理的創薬開発 桑田一夫
・蛋白質立体構造の進化
・立体構造進化に関与する分子内構造
・医薬シャペロンの論理的創薬開発戦略
・進化する蛋白質の表現論(われわれ人類最後の切り札)
7 プリオン病以外のアミロイドーシスは伝播するか? 樋口京一
(1)全身性アミロイドーシス
・概説
・AAアミロイドーシスの伝播
・マウス AApoAIIアミロイドーシス
・TTRおよび Aβ2Mアミロイドーシス
8 プリオン病以外のアミロイドーシスは伝播するか? 浜口 毅・山田正仁
(2)脳アミロイドーシス
・アミロイドβ蛋白
・タウ蛋白
・αシヌクレイン
・その他の蛋白
サイドメモ
チオフラビン T法
FLC測定キット
透析アミロイドーシス(HDA)の骨関節親和性
老人性全身性(心)アミロイドーシスがアメリカ黒人になぜ好発するのか?
改訂 NINCDS/ADRD診断基準
preclinical AD
Alzheimer病研究の今昔
TTRの構造と機能
抗体療法の利点と欠点
次世代型ワクチンに求められる条件
Photo-induced cross-linking of unmodified proteins(PICUP)
ワイン関連ポリフェノール類
蛋白コンフォメーション病(Protein conformational disorders)