序
医用放射線科学講座:第14巻「医用画像工学」は,幸いにして「みっちり書いてあり,レベルが高い」と好評をいただき,平成9年(1997)10月1日の初版発行以来,2版12刷を数えた.教員,学生はじめ関係各位に深く御礼申し上げる.今回,改訂版を出版するにあたり,新・医用放射線科学講座『医用画像工学』と改題し,「記述をわかりやすく,レベルは高く」をモットーに版を改めた次第である.
さて,最近の医療技術の進歩と環境の変化は驚くばかりである.
第一に,画像診断装置の発展,画像情報のIT化など,放射線技師の業務が拡大・高度化している.その結果,「チーム医療」が提唱され,画像技術・システムは放射線技師に任せる,と言う声が大きくなりつつある.この環境に対応して,日本診療放射線技師会から厚生労働省に「放射線技師教育の向上(4年制化)」が上申され,放射線技師はすべて大学卒業者とすることが検討されている.
第二に,医療施設における画像診断の重要性が増大するにつれ,放射線医が週に1度,来院し画像診断することが多い小病院や診療所では,対応に苦慮し,放射線技師に「ここの陰影が濃い,ここに変形がある」程度でも臨床医に指摘して欲しい,と言う声が多いと聞く.日本放射線技術学会では,「画像診断の資格」が授与される「特定診療放射線技師」の資格を提唱し,厚生労働省と協議中と報告している〔第67回日本放射線技術学会:総会学術大会「合同シンポジウム2」(2010.4.9)〕.
第三は,「ゆとり教育の学生」の存在である.文部科学省の指導規則「数学I」は2次関数までの学習だが,数学Iのみ勉強して放射線技術学科に進学する学生が少なくない.当然,人体内のX線減衰を論ずる指数関数e-axが分からない.狽ニ∫の違いを知らず,標準偏差やフーリエ変換を教えるのに苦労する,と言う声が聞かれる.
一方で放射線技師の高学力化を期待し,他方で技師の基礎学力の不足を嘆くのが実状である.今回,多くの読者の意見を検討し,いわゆる「医用画像工学」の範囲を多少逸脱するかもしれないが,「医用画像情報学」関連の記述を充実することにした.
今後とも,皆様よりご意見・ご指導をいただき,よりよい医用画像工学書に育ててゆきたい.
2010年6月
岡部哲夫
藤田広志
医用放射線科学講座:第14巻「医用画像工学」は,幸いにして「みっちり書いてあり,レベルが高い」と好評をいただき,平成9年(1997)10月1日の初版発行以来,2版12刷を数えた.教員,学生はじめ関係各位に深く御礼申し上げる.今回,改訂版を出版するにあたり,新・医用放射線科学講座『医用画像工学』と改題し,「記述をわかりやすく,レベルは高く」をモットーに版を改めた次第である.
さて,最近の医療技術の進歩と環境の変化は驚くばかりである.
第一に,画像診断装置の発展,画像情報のIT化など,放射線技師の業務が拡大・高度化している.その結果,「チーム医療」が提唱され,画像技術・システムは放射線技師に任せる,と言う声が大きくなりつつある.この環境に対応して,日本診療放射線技師会から厚生労働省に「放射線技師教育の向上(4年制化)」が上申され,放射線技師はすべて大学卒業者とすることが検討されている.
第二に,医療施設における画像診断の重要性が増大するにつれ,放射線医が週に1度,来院し画像診断することが多い小病院や診療所では,対応に苦慮し,放射線技師に「ここの陰影が濃い,ここに変形がある」程度でも臨床医に指摘して欲しい,と言う声が多いと聞く.日本放射線技術学会では,「画像診断の資格」が授与される「特定診療放射線技師」の資格を提唱し,厚生労働省と協議中と報告している〔第67回日本放射線技術学会:総会学術大会「合同シンポジウム2」(2010.4.9)〕.
第三は,「ゆとり教育の学生」の存在である.文部科学省の指導規則「数学I」は2次関数までの学習だが,数学Iのみ勉強して放射線技術学科に進学する学生が少なくない.当然,人体内のX線減衰を論ずる指数関数e-axが分からない.狽ニ∫の違いを知らず,標準偏差やフーリエ変換を教えるのに苦労する,と言う声が聞かれる.
一方で放射線技師の高学力化を期待し,他方で技師の基礎学力の不足を嘆くのが実状である.今回,多くの読者の意見を検討し,いわゆる「医用画像工学」の範囲を多少逸脱するかもしれないが,「医用画像情報学」関連の記述を充実することにした.
今後とも,皆様よりご意見・ご指導をいただき,よりよい医用画像工学書に育ててゆきたい.
2010年6月
岡部哲夫
藤田広志
第1編 画像基礎論
第1章 画像の展開・画像生成理論(小寺吉衞)
1 画像の展開─フーリエ変換
1.回転と周期性
2.フーリエ変換対の例
3.フーリエ変換の性質
4.フーリエ変換の画像系への応用
2 画像生成理論─畳み込み積分
第2章 X線像の形成(小寺吉衞)
1 X線の発生とその空間分布
2 X線スペクトルと画像
3 X線の減弱と画像
4 画像の検出と記録,表示
1.放射線画像系の結像
2.定常線形系
第3章 画像の品質と評価(小寺吉衞)
1 画像の濃淡
2 コントラスト
3 鮮鋭度
1.点像強度分布
2.線像強度分布
3.MTF
1)定義
2)測定法との関係
3)MTFの考え方
4 雑音─粒状性
1.心理的粒状性
1)試料の表示法
2)測定法
2.物理的粒状性
1)RMS粒状度
2)ウィナースペクトル
3.増感紙-フィルム系の粒状性
4.信号と雑音
第4章 信号検出理論(小寺吉衞)
1 統計的決定理論
1.刺激-反応行列
2.ベイズの決定則
2 ROC曲線
1.yes-no手続き
2.評定手続き
3.連続確信度法
4.強制選択手続き
3 C-Dダイアグラム
4 DQEとNEQ
1.DQE─入力と出力のゆらぎの比
2.DQEとSN比
3.NEQ─雑音に等価な量子数
4.空間周波数特性としてのDQE,NEQ
付則 画像の表現
第2編 デジタル画像論
第1章 デジタル画像の生成(藤田広志)
1 デジタルラジオグラフィ(DR)
1.定義と分類
2.DRシステムの基本構成
2 デジタル化
1.標本化
2.量子化
3.デジタル化と画質
4.デジタル化パラメーター
5.三次元画像
3 標本化定理とエリアシング
1.標本化定理
2.ナイキスト周波数とエリアシング
4 デジタル画像のデータ量と圧縮
1.データ量
2.画像圧縮
第2章 デジタルラジオグラフィの画質
1 画質に影響する因子(藤田広志)
1)感 度
2)入出力特性
3)解像特性
4)ノイズ特性
5)コントラスト
6)X線スペクトル
2 代表的な画質評価法
1.特性曲線
1)DR系の特性曲線の定義
2)DRの特性曲線の例
3)特性曲線の有用性
4)特性曲線の測定法
5)デジタル特性曲線の測定例
2.MTF
1)DR系におけるMTF
2)プリサンプリングMTFの測定法
3)オーバーオールMTF
4)グレア
3.ウィナースペクトル(WS)
1)DR系におけるWS
2)WSの測定法
3)DSAにおけるWSの測定例
4.SN比
1)NEQとDQE
2)知覚系の内部雑音を考慮したSN比
5.コントラストノイズ比
6.C-Dダイアグラム
7.ROC曲線
1)必要なピクセル寸法のROC解析
2)画像処理効果のROC解析
3 CR画像の画質
1.画像読み取り部の構造
2.画像形成過程と画質
1)解像特性
2)ノイズ特性
4 FPD画像の画質(山ア達也)
1.FPDの原理
2.間接型FPDの原理と特徴
3.直接型FPDの原理と特徴
4.FPD固有の画像処理
5.FPD画像の画質評価
5 具体的測定法
1.画像の表現形式
2.線質
3.特性曲線とWSのための撮影
4.画像の線形化
5.WS
1)ROI設定
2)二次元WS計算
3)一次元WS計算
4)位置不変性
6.MTF
1)エッジチャート撮影
2)MTF計算
7.DQE
第3編 画像処理と医学への応用
第1章 画像処理の基礎(石田隆行)
1 画像の拡大・縮小
1.座標変換
2.濃度補間
1)最近傍法
2)線形補間法
3)バイキュービック補間法
2 階調処理
1.LUTを用いた階調処理
2.ヒストグラム平坦化
3 空間フィルタ処理
1.画像の平滑化
2.画像の鮮鋭化
4 エッジ検出
1.1次微分処理
2.2次微分処理
5 空間周波数フィルタ処理
1.畳み込み積分とフーリエ変換
2.空間周波数フィルタ処理
6 画像の2値化
7 ラベリング
8 特徴量分析
1.特徴量について
1)濃度に関する特徴量
2)形状に関する特徴量
3)エッジの強さと方向性
4)空間周波数成分から得られる特徴量
2.特徴量を用いた分類方法
9 モルフォロジカルフィルタ
1.膨張と収縮
2.オープニングとクロージング
10 画像間演算
1.四則処理
1)加算処理
2)減算処理
3)乗算処理
4)除算処理
2.論理演算
付録 ImageJによる画像処理の実践例
第2章 医用画像への応用
1 デジタルX線(杜下淳次)
1.画像の変換と強調
1)階調処理
2)ダイナミックレンジの圧縮処理
2.画像の鮮鋭化のための処理
3.サブトラクション処理
2 CT(市川勝弘)
1.CTの画像再構成
1)CTの基本的構成
2)CTにおける投影
3)画像再構成理論
4)逆投影法とFBP法
2.CT画像
1)CT値
2)CT画像の表示
3)再構成フィルタ関数
3.CT画像の画質評価
1)解像特性
2)ノイズ特性
3)スライス感度分布
4)コントラスト
5)アーチファクト
4.ヘリカルCT
1)360°補間再構成法
2)180°補間再構成法
3)ヘリカルCTにおけるピッチ
5.マルチスライスCT
1)マルチスライスCTの検出器
2)マルチスライスCTにおける180°補間再構成
3)フィルタ補間再構成処理
4)コーン角の補正
5)マルチスライスCTの画質
6)マルチスライスCTの画像
3 MRI(紀ノ定保臣)
1.MRIの撮像パラメーターと画質
1)MRIの撮像パラメーターと画質の関係
2)MRIにおける画質改善
2.MRIによく用いられる画像処理
1)画像間演算処理とSAS
2)ray tracing algorithm
3)MR angiographyと三次元表示手法
3.MRIにおけるサーフェイスレンダリング手法の応用
4 DSA(梅田徳男)
1.種類
2.原理
3.画像のノイズとその処理
1)画像データ取得時のノイズ
2)画像作成時の問題
3)積算処理
4.処理の基本ルーチン
1)撮影
2)画像差分法
3)オート位置合わせ(mask reregistration)
4)補間処理
5.濃度補正
6.多重処理
7.医用画像への応用
1)脳血管への応用例
2)三次元血管撮影法
5 超音波(福岡大輔)
1.医療における超音波
超音波検査の特徴
2.超音波の物理的性質と画像形成
1)波長と音速
2)パルス波
3)反射,屈折,減衰
4)音場,超音波の伝達特性
5)分解能
6)プローブ(探触子)
7)ハーモニックイメージング
3.超音波診断装置と各種画像処理
1)超音波診断装置のデジタル化
2)3D・4D超音波画像
3)組織弾性イメージング
4)音速自動補正機能
5)トラッキング技術
6)IMT計測
7)微細石灰化像の強調表示
8)ホールブレストスキャナ
4.画像評価
6 核医学
1.核医学画像の特性(小野口昌久)
1)画像のもつ特徴
2)画像とマトリックス
3)画像と計数値
2.核医学画像の評価
1)空間分解能評価
2)NMSEの評価
3.補正処理(片渕哲朗)
1)散乱補正法
2)減弱(吸収)補正法
3)空間分解能補正法
4.臨床での画像処理
1)脳領域
2)循環器領域
3)腫瘍領域
7 マンモグラフィ(篠原範充)
1.マンモグラフィとは
2.乳房と病変の特徴
3.マンモグラフィ専用撮影X線撮影装置
1)ターゲットとフィルタ
2)グリッド
3)圧迫器
4.アナログ受光系の特徴
5.デジタルマンモグラフィの概要
1)デジタルマンモグラフィの特徴
2)デジタルマンモグラフィの空間分解能と濃度分解能
6.デジタルマンモグラフィの受光系
1)位相コントラストマンモグラフィシステム
2)光学式スイッチング方式によるX線検出器
7.デジタルマンモグラフィの品質管理のための画像評価
1)ACR推奨ファントムとステップファントムを用いた視覚評価
2)マンモグラフィのためのC-Dダイアグラム
第3章 三次元画像への応用
1 三次元画像表示法(小田敍弘,田畑慶人)
1.医学領域における三次元画像
2.断層画像に基づく三次元ボリュームデータの作成
3.三次元表示法
1)三次元表示法の種類
2)さまざまな三次元表示法
4.三次元表示画像の作成
1)フリーソフトウェアの紹介
2)ImageJを利用した三次元表示画像の作成
2 仮想内視鏡(小倉敏裕)
1.仮想大腸内視鏡
2.さまざまな画像処理による仮想大腸内視鏡の応用
3.仮想大腸内視鏡の読影
4.デジタルバウエルクレンジング法
第4編 医用画像解析
第1章 心機能解析
1 DSAによる心機能解析(浜田正行)
1.心機能解析(1)─左心室容積と左心室駆出率の算出
1)ドッジ法(area-length法)
2)シンプソン法
2.心機能解析(2)─局所左心室壁運動の評価
1)局所駆出率
2)curved perimeter法
3)radial法(Daughters&Ingels法)
4)centerline法(Sheehan法)
3.機能画像
1)位相解析
2)その他の機能画像
4.冠動脈径および狭窄率の測定
2 X線CTによる心機能解析(武村 濃)
1.X線CTによる心臓検査の動向
2.心臓撮影法
1)心電図同期スキャン
2)画像再構成法
3.再構成表示法
1)volume rendering(VR)
2)curved planar reconstruction(CPR)
3)cross-section image(直交断面画像)
4)maximum intensity projection(MIP)
4.心機能解析
心機能と局所壁運動評価
5.今後の展望
3 MRIによる心機能解析(杉本直三)
1.心臓血管領域での撮像法
1)balanced SSFP法
2)パラレルイメージングなどの高速撮像法
2.one stop shopping cardiac MRI
1)位置決め
2)シネMRI(形態・壁運動評価)
3)心筋パーフュージョンMRI(虚血の評価)
4)遅延造影MRI(局所心筋バイアビリティ評価)
5)冠動脈MRA(奇形,虚血性心疾患の評価)
3.MRI特有の撮影像とその解析
1)タギング法(局所心筋収縮能評価)
2)フェイズコントラスト法(心筋局所収縮能評価)
3)その他
4 核医学による心機能解析(高橋康幸)
1.心電図同期心プール検査
1)ファーストパス法
2)平衡時マルチゲート法
2.心筋SPECT検査
3.心電図同期心筋SPECT検査
第2章 脳機能解析(中田 力)
1 fMRI
1.原理
1)磁化率と磁化率効果
2)賦活試験と機能画像
3)fMRIの信号
2.実践
1)撮像装置と解析ソフト
2)課題設定
2 DTI
1.原理
1)拡散強調画像における信号強度
2)DWIを用いた拡散テンソル解析
2.実践
1)固有値による定量解析
2)最大固有値の固有ベクトルを利用した画像解析法
3)三次元不等方性コントラスト
第3章 コンピュータ支援診断
1 コンピュータ支援診断とは(松原友子)
1.コンピュータ支援診断の定義・目的
2.商用化の進展
3.システム構成
4.コンピュータ支援診断の現状
5.性能評価
1)真陽性と偽陽性
2)データベース
3)学習と認識
4)臨床評価
6.CADシステムの処理の流れの具体例
7.今後の展望
2 コンピュータ支援診断の技術(真田 茂)
1.乳房X線画像を対象としたCAD
1)乳房領域および乳頭の抽出
2)微小石灰化陰影の検出と良・悪性鑑別
3)腫瘤状陰影の検出と良・悪性鑑別
2.胸部正面X線画像を対象としたCAD
1)肺野領域の抽出
2)時系列画像の差分処理による病巣陰影の強調
3)結節状陰影の検出
4)間質性浸潤影の定量
5)心臓辺縁の検出
6)線状陰影の検出
3.胸部CD画像を対象としたCAD
1)肺野領域の抽出
2)結節状陰影の検出と良・悪性鑑別
4.骨X線画像を対象としたCAD
3 ニューラルネットワーク(藤田広志)
1.ニューラルネットワークの基礎
1)ニューロコンピュータ
2)ニューロンのモデル
3)パーセプトロン
4)ニューラルネットワーク
2.パターン認識への応用
1)ブラックボックス
2)ニューラルネットワークの実行手順
3)パターン分類
3.医療支援診断システムへの応用
1)応用の現状
2)デシジョンサポートの例
コラム 画像データベース
トピックス1 類似画像検索型CAD
トピックス2 解剖学的正常構造解析型CAD
第5編 画像関連機器
第1章 画像ワークステーションの仕組み(山本修司)
1 コンピュータの仕組み
2 ワークステーションとワークステーションの歴史
3 医療用の画像ワークステーションの仕組み
1.医用画像ワークステーションの特徴
2.画像ワークステーションによる大容量ボリュームデータ処理方法
4 画像ワークステーションのソフトウェア構成
5 画像ワークステーションによるグリッドコンピューティング
6 画像ワークステーションのトレンド
第2章 画像表示装置(市川勝弘)
1 ディスプレイ
1.CRTディスプレイ
1)CRTディスプレイの輝度特性
2)CRTディスプレイの解像特性
2.液晶ディスプレイ
1)液晶ディスプレイの構造
2)液晶の駆動方式
3)液晶ディスプレイの諸特性
4)液晶の視野角特性と動作モード
2 画像記録装置
1.レーザープリンタ
1)データ処理
2)階調処理
3)熱現像処理
2.サーマルヘッド方式プリンタ
第3章 医療情報システムの概要
1 情報システムの基礎(岡部哲夫)
1.ネットワークとは
2.ネットワークの種類と基礎
3.インタフェース
4.メモリ
5.ソフトウェア
2 医療情報システムの分類
1.病院情報システム
2.画像管理・伝送システム
3.電子カルテ
3 DICOM規格(細羽 実)
1.DICOMとは
2.DICOMが利用されるシナリオの例
3.DICOMが提供するサービス
1)サービスクラスとは
2)サービスクラスの例
3)代表的なサービスクラス
4.DICOM情報モデル
5.DICOMのまとめ
6.IHEによるシステム統合とDICOM
1)標準規格による接続の問題点
2)IHEとは
3)IHE統合プロファイル
4)IHEの展開
参考文献
索引
和文索引
欧文索引
第1章 画像の展開・画像生成理論(小寺吉衞)
1 画像の展開─フーリエ変換
1.回転と周期性
2.フーリエ変換対の例
3.フーリエ変換の性質
4.フーリエ変換の画像系への応用
2 画像生成理論─畳み込み積分
第2章 X線像の形成(小寺吉衞)
1 X線の発生とその空間分布
2 X線スペクトルと画像
3 X線の減弱と画像
4 画像の検出と記録,表示
1.放射線画像系の結像
2.定常線形系
第3章 画像の品質と評価(小寺吉衞)
1 画像の濃淡
2 コントラスト
3 鮮鋭度
1.点像強度分布
2.線像強度分布
3.MTF
1)定義
2)測定法との関係
3)MTFの考え方
4 雑音─粒状性
1.心理的粒状性
1)試料の表示法
2)測定法
2.物理的粒状性
1)RMS粒状度
2)ウィナースペクトル
3.増感紙-フィルム系の粒状性
4.信号と雑音
第4章 信号検出理論(小寺吉衞)
1 統計的決定理論
1.刺激-反応行列
2.ベイズの決定則
2 ROC曲線
1.yes-no手続き
2.評定手続き
3.連続確信度法
4.強制選択手続き
3 C-Dダイアグラム
4 DQEとNEQ
1.DQE─入力と出力のゆらぎの比
2.DQEとSN比
3.NEQ─雑音に等価な量子数
4.空間周波数特性としてのDQE,NEQ
付則 画像の表現
第2編 デジタル画像論
第1章 デジタル画像の生成(藤田広志)
1 デジタルラジオグラフィ(DR)
1.定義と分類
2.DRシステムの基本構成
2 デジタル化
1.標本化
2.量子化
3.デジタル化と画質
4.デジタル化パラメーター
5.三次元画像
3 標本化定理とエリアシング
1.標本化定理
2.ナイキスト周波数とエリアシング
4 デジタル画像のデータ量と圧縮
1.データ量
2.画像圧縮
第2章 デジタルラジオグラフィの画質
1 画質に影響する因子(藤田広志)
1)感 度
2)入出力特性
3)解像特性
4)ノイズ特性
5)コントラスト
6)X線スペクトル
2 代表的な画質評価法
1.特性曲線
1)DR系の特性曲線の定義
2)DRの特性曲線の例
3)特性曲線の有用性
4)特性曲線の測定法
5)デジタル特性曲線の測定例
2.MTF
1)DR系におけるMTF
2)プリサンプリングMTFの測定法
3)オーバーオールMTF
4)グレア
3.ウィナースペクトル(WS)
1)DR系におけるWS
2)WSの測定法
3)DSAにおけるWSの測定例
4.SN比
1)NEQとDQE
2)知覚系の内部雑音を考慮したSN比
5.コントラストノイズ比
6.C-Dダイアグラム
7.ROC曲線
1)必要なピクセル寸法のROC解析
2)画像処理効果のROC解析
3 CR画像の画質
1.画像読み取り部の構造
2.画像形成過程と画質
1)解像特性
2)ノイズ特性
4 FPD画像の画質(山ア達也)
1.FPDの原理
2.間接型FPDの原理と特徴
3.直接型FPDの原理と特徴
4.FPD固有の画像処理
5.FPD画像の画質評価
5 具体的測定法
1.画像の表現形式
2.線質
3.特性曲線とWSのための撮影
4.画像の線形化
5.WS
1)ROI設定
2)二次元WS計算
3)一次元WS計算
4)位置不変性
6.MTF
1)エッジチャート撮影
2)MTF計算
7.DQE
第3編 画像処理と医学への応用
第1章 画像処理の基礎(石田隆行)
1 画像の拡大・縮小
1.座標変換
2.濃度補間
1)最近傍法
2)線形補間法
3)バイキュービック補間法
2 階調処理
1.LUTを用いた階調処理
2.ヒストグラム平坦化
3 空間フィルタ処理
1.画像の平滑化
2.画像の鮮鋭化
4 エッジ検出
1.1次微分処理
2.2次微分処理
5 空間周波数フィルタ処理
1.畳み込み積分とフーリエ変換
2.空間周波数フィルタ処理
6 画像の2値化
7 ラベリング
8 特徴量分析
1.特徴量について
1)濃度に関する特徴量
2)形状に関する特徴量
3)エッジの強さと方向性
4)空間周波数成分から得られる特徴量
2.特徴量を用いた分類方法
9 モルフォロジカルフィルタ
1.膨張と収縮
2.オープニングとクロージング
10 画像間演算
1.四則処理
1)加算処理
2)減算処理
3)乗算処理
4)除算処理
2.論理演算
付録 ImageJによる画像処理の実践例
第2章 医用画像への応用
1 デジタルX線(杜下淳次)
1.画像の変換と強調
1)階調処理
2)ダイナミックレンジの圧縮処理
2.画像の鮮鋭化のための処理
3.サブトラクション処理
2 CT(市川勝弘)
1.CTの画像再構成
1)CTの基本的構成
2)CTにおける投影
3)画像再構成理論
4)逆投影法とFBP法
2.CT画像
1)CT値
2)CT画像の表示
3)再構成フィルタ関数
3.CT画像の画質評価
1)解像特性
2)ノイズ特性
3)スライス感度分布
4)コントラスト
5)アーチファクト
4.ヘリカルCT
1)360°補間再構成法
2)180°補間再構成法
3)ヘリカルCTにおけるピッチ
5.マルチスライスCT
1)マルチスライスCTの検出器
2)マルチスライスCTにおける180°補間再構成
3)フィルタ補間再構成処理
4)コーン角の補正
5)マルチスライスCTの画質
6)マルチスライスCTの画像
3 MRI(紀ノ定保臣)
1.MRIの撮像パラメーターと画質
1)MRIの撮像パラメーターと画質の関係
2)MRIにおける画質改善
2.MRIによく用いられる画像処理
1)画像間演算処理とSAS
2)ray tracing algorithm
3)MR angiographyと三次元表示手法
3.MRIにおけるサーフェイスレンダリング手法の応用
4 DSA(梅田徳男)
1.種類
2.原理
3.画像のノイズとその処理
1)画像データ取得時のノイズ
2)画像作成時の問題
3)積算処理
4.処理の基本ルーチン
1)撮影
2)画像差分法
3)オート位置合わせ(mask reregistration)
4)補間処理
5.濃度補正
6.多重処理
7.医用画像への応用
1)脳血管への応用例
2)三次元血管撮影法
5 超音波(福岡大輔)
1.医療における超音波
超音波検査の特徴
2.超音波の物理的性質と画像形成
1)波長と音速
2)パルス波
3)反射,屈折,減衰
4)音場,超音波の伝達特性
5)分解能
6)プローブ(探触子)
7)ハーモニックイメージング
3.超音波診断装置と各種画像処理
1)超音波診断装置のデジタル化
2)3D・4D超音波画像
3)組織弾性イメージング
4)音速自動補正機能
5)トラッキング技術
6)IMT計測
7)微細石灰化像の強調表示
8)ホールブレストスキャナ
4.画像評価
6 核医学
1.核医学画像の特性(小野口昌久)
1)画像のもつ特徴
2)画像とマトリックス
3)画像と計数値
2.核医学画像の評価
1)空間分解能評価
2)NMSEの評価
3.補正処理(片渕哲朗)
1)散乱補正法
2)減弱(吸収)補正法
3)空間分解能補正法
4.臨床での画像処理
1)脳領域
2)循環器領域
3)腫瘍領域
7 マンモグラフィ(篠原範充)
1.マンモグラフィとは
2.乳房と病変の特徴
3.マンモグラフィ専用撮影X線撮影装置
1)ターゲットとフィルタ
2)グリッド
3)圧迫器
4.アナログ受光系の特徴
5.デジタルマンモグラフィの概要
1)デジタルマンモグラフィの特徴
2)デジタルマンモグラフィの空間分解能と濃度分解能
6.デジタルマンモグラフィの受光系
1)位相コントラストマンモグラフィシステム
2)光学式スイッチング方式によるX線検出器
7.デジタルマンモグラフィの品質管理のための画像評価
1)ACR推奨ファントムとステップファントムを用いた視覚評価
2)マンモグラフィのためのC-Dダイアグラム
第3章 三次元画像への応用
1 三次元画像表示法(小田敍弘,田畑慶人)
1.医学領域における三次元画像
2.断層画像に基づく三次元ボリュームデータの作成
3.三次元表示法
1)三次元表示法の種類
2)さまざまな三次元表示法
4.三次元表示画像の作成
1)フリーソフトウェアの紹介
2)ImageJを利用した三次元表示画像の作成
2 仮想内視鏡(小倉敏裕)
1.仮想大腸内視鏡
2.さまざまな画像処理による仮想大腸内視鏡の応用
3.仮想大腸内視鏡の読影
4.デジタルバウエルクレンジング法
第4編 医用画像解析
第1章 心機能解析
1 DSAによる心機能解析(浜田正行)
1.心機能解析(1)─左心室容積と左心室駆出率の算出
1)ドッジ法(area-length法)
2)シンプソン法
2.心機能解析(2)─局所左心室壁運動の評価
1)局所駆出率
2)curved perimeter法
3)radial法(Daughters&Ingels法)
4)centerline法(Sheehan法)
3.機能画像
1)位相解析
2)その他の機能画像
4.冠動脈径および狭窄率の測定
2 X線CTによる心機能解析(武村 濃)
1.X線CTによる心臓検査の動向
2.心臓撮影法
1)心電図同期スキャン
2)画像再構成法
3.再構成表示法
1)volume rendering(VR)
2)curved planar reconstruction(CPR)
3)cross-section image(直交断面画像)
4)maximum intensity projection(MIP)
4.心機能解析
心機能と局所壁運動評価
5.今後の展望
3 MRIによる心機能解析(杉本直三)
1.心臓血管領域での撮像法
1)balanced SSFP法
2)パラレルイメージングなどの高速撮像法
2.one stop shopping cardiac MRI
1)位置決め
2)シネMRI(形態・壁運動評価)
3)心筋パーフュージョンMRI(虚血の評価)
4)遅延造影MRI(局所心筋バイアビリティ評価)
5)冠動脈MRA(奇形,虚血性心疾患の評価)
3.MRI特有の撮影像とその解析
1)タギング法(局所心筋収縮能評価)
2)フェイズコントラスト法(心筋局所収縮能評価)
3)その他
4 核医学による心機能解析(高橋康幸)
1.心電図同期心プール検査
1)ファーストパス法
2)平衡時マルチゲート法
2.心筋SPECT検査
3.心電図同期心筋SPECT検査
第2章 脳機能解析(中田 力)
1 fMRI
1.原理
1)磁化率と磁化率効果
2)賦活試験と機能画像
3)fMRIの信号
2.実践
1)撮像装置と解析ソフト
2)課題設定
2 DTI
1.原理
1)拡散強調画像における信号強度
2)DWIを用いた拡散テンソル解析
2.実践
1)固有値による定量解析
2)最大固有値の固有ベクトルを利用した画像解析法
3)三次元不等方性コントラスト
第3章 コンピュータ支援診断
1 コンピュータ支援診断とは(松原友子)
1.コンピュータ支援診断の定義・目的
2.商用化の進展
3.システム構成
4.コンピュータ支援診断の現状
5.性能評価
1)真陽性と偽陽性
2)データベース
3)学習と認識
4)臨床評価
6.CADシステムの処理の流れの具体例
7.今後の展望
2 コンピュータ支援診断の技術(真田 茂)
1.乳房X線画像を対象としたCAD
1)乳房領域および乳頭の抽出
2)微小石灰化陰影の検出と良・悪性鑑別
3)腫瘤状陰影の検出と良・悪性鑑別
2.胸部正面X線画像を対象としたCAD
1)肺野領域の抽出
2)時系列画像の差分処理による病巣陰影の強調
3)結節状陰影の検出
4)間質性浸潤影の定量
5)心臓辺縁の検出
6)線状陰影の検出
3.胸部CD画像を対象としたCAD
1)肺野領域の抽出
2)結節状陰影の検出と良・悪性鑑別
4.骨X線画像を対象としたCAD
3 ニューラルネットワーク(藤田広志)
1.ニューラルネットワークの基礎
1)ニューロコンピュータ
2)ニューロンのモデル
3)パーセプトロン
4)ニューラルネットワーク
2.パターン認識への応用
1)ブラックボックス
2)ニューラルネットワークの実行手順
3)パターン分類
3.医療支援診断システムへの応用
1)応用の現状
2)デシジョンサポートの例
コラム 画像データベース
トピックス1 類似画像検索型CAD
トピックス2 解剖学的正常構造解析型CAD
第5編 画像関連機器
第1章 画像ワークステーションの仕組み(山本修司)
1 コンピュータの仕組み
2 ワークステーションとワークステーションの歴史
3 医療用の画像ワークステーションの仕組み
1.医用画像ワークステーションの特徴
2.画像ワークステーションによる大容量ボリュームデータ処理方法
4 画像ワークステーションのソフトウェア構成
5 画像ワークステーションによるグリッドコンピューティング
6 画像ワークステーションのトレンド
第2章 画像表示装置(市川勝弘)
1 ディスプレイ
1.CRTディスプレイ
1)CRTディスプレイの輝度特性
2)CRTディスプレイの解像特性
2.液晶ディスプレイ
1)液晶ディスプレイの構造
2)液晶の駆動方式
3)液晶ディスプレイの諸特性
4)液晶の視野角特性と動作モード
2 画像記録装置
1.レーザープリンタ
1)データ処理
2)階調処理
3)熱現像処理
2.サーマルヘッド方式プリンタ
第3章 医療情報システムの概要
1 情報システムの基礎(岡部哲夫)
1.ネットワークとは
2.ネットワークの種類と基礎
3.インタフェース
4.メモリ
5.ソフトウェア
2 医療情報システムの分類
1.病院情報システム
2.画像管理・伝送システム
3.電子カルテ
3 DICOM規格(細羽 実)
1.DICOMとは
2.DICOMが利用されるシナリオの例
3.DICOMが提供するサービス
1)サービスクラスとは
2)サービスクラスの例
3)代表的なサービスクラス
4.DICOM情報モデル
5.DICOMのまとめ
6.IHEによるシステム統合とDICOM
1)標準規格による接続の問題点
2)IHEとは
3)IHE統合プロファイル
4)IHEの展開
参考文献
索引
和文索引
欧文索引